40代で無職に。失業後に発生する6つのリスクとは?

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40代で無職に。失業後に発生する6つのリスクとは?

40代や50代になって突然無職になったとしたら…、どんな生活が待っているのか想像したことはありますか。真面目に働いていても起こりうる失業リスクと真剣に向き合い、準備をしておく必要があります。退職を選ぶ理由、リスク回避として必要な方策に関してご紹介しましょう。

この記事の目次

    35歳から64歳までの完全失業率はどれくらい?

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    2017年12月発表の労働力調査(総務省統計局調べ)の「求職理由別完全失業者数」を見ると、完全失業者は174万人(男性103万人・女性72万人)となっています。その内訳を見ると「勤め先や事業の都合」によるいわゆる解雇は30万人、「定年または雇用契約の満了」が18万人、そしてもっとも多い75万人が「自発的(自己都合)」による退職となっています。つまり、無職に繋がる退職の形でもっとも多いのは、会社都合ではなく自己都合であることがわかります。

    もっとも退職に至るまで、体調を壊したり待遇や環境に関する要望の不一致だったり、いろいろなことが引き金となっている背景はあります。しかし、世帯主として家計を支えている方の場合は、特にいち早く対応していかなくてはいけない問題でしょう。

    40代50代にとって失業がどれほど現実的な問題なのかを把握するには、完全失業率が参考になります。完全失業率とは、「15歳以上で仕事についておらず、仕事があればすぐ就くことができ、仕事を探す活動をしていた方」が労働人口で占める割合を示す数字です。あくまでも働く意欲がある人が計算対象とされるため、専業主婦や仕事を探していない人は含まれません。

    年齢階級別完全失業率(2017年11月 厚生労働省調べ:労働力調査より)

    完全失業率 2009年 2017年11月
    全年代男女総数 5.1 2.6
    男性 35~44歳 4.4 2.5
    45~54歳 3.9 2.3
    55~64歳 5.6 2.8
    女性 35~44歳 5.0 2.8
    45~54歳 3.8 2.3
    55~64歳 3.4 2.0

    景気が冷え込んだ2009年と比較すれば全体として改善傾向にありますが、一定数は完全失業状態にある状態が続いています。仕事を探しているにも関わらず、思うような求人に恵まれない状態も起こりえる現実です。この傾向は男性・女性ともに共通しており、一定の年齢になった方であれば失業が長引くリスクはあります。

    40代50代で多い退職理由とは?

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    少し前に行われた調査ではありますが「第6回21世紀成年者縦断調査」における回答から、40代を含む離職者の退職理由を見ていきましょう。オレンジに塗られたものが自己都合、水色で塗られたものが会社都合などの特定理由にあたります。

    仕事の有無・就業形態別にみた退職理由(複数回答) 前回調査時の状況

    ※右は前回調査時の状況 正規
    男性
    非正規
    男性
    正規
    女性
    非正規
    女性
    自分の希望する仕事ではなかったから 23.3 10.0 5.8 6.6
    能力・実績が正当に評価されなかったから 25.6 13.3 5.8 6.6
    給与・報酬が少なかったから 25.6 13.3 14.2 10.4
    労働時間が長かった・休暇が少なかったから 23.3 13.3 16.7 11.0
    人間関係がうまくいかなかったから 18.6 6.7 11.7 9.9
    会社の経営方針に不満を感じたから 20.9 10.0 16.7 8.2
    事業又は会社の将来に不安を感じたから 16.3 3.3 10.0 3.8
    健康がすぐれなかったから 16.3 13.3 12.5 13.7
    家族の介護のため - - 2.5 2.7
    会社から出向・転籍を命じられたから 2.3 - 1.7 -
    希望退職に応じたから 2.3 3.3 1.7 1.6
    倒産したから 7.0 - 4.2 1.6
    解雇されたから 4.7 10.0 3.3 4.4
    契約期間が満了したから 2.3 6.7 - 14.8

    働き盛りであり生計を支えている世代とは言え、仕事内容のミスマッチや待遇に対する不満、将来に対する不安感などの理由で退職している人が多いことが分かります。

    無職になってから起こる6つのリスク

    40代50代から無職になった場合に生じる6つのリスクを把握しておきましょう。

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    ・金銭的なストレス

    自己都合退職では多くの場合、失業給付が始まるまでにタイムラグが生じるため、無収入状態を余儀なくされます。支給期間中に次の仕事が見つからなかった場合も同様です。子どもの進学、成人式といったライフイベントに際しても十分な資金を確保できず、後悔が残る結果となりかねません。


    ・社会との隔絶

    一定のキャリアを築いてきた方ほど失業状態を周囲に相談することができず、引きこもりになりがちです。社会との関わりを避けているうちに思考パターンもネガティブになってしまい、負のループに陥ることも珍しくありません。


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    ・居場所がない疎外感

    家族に対してすら失業を隠し続けている場合、家庭でも居場所がなくなります。ドラマや映画に出てくるようにスーツを着て出社するように見せかけて、ただ闇雲に時間をつぶす毎日では、ストレスが募る一方です。知り合いに見つかるリスクを考えると、外でも気は休まりません。逃げ場がどこにもなくなることで、精神的に追い込まれていく方も多いです。


    ・妥協できないジレンマ

    早く仕事を見つけたいと思う一方、培ったキャリアやプライドが邪魔すれば、余計に再就職が遠のきます。転職活動が長引くほどストレスがかかることは分かっているにも関わらず、条件面を妥協したくない気持ちも持っていると「どうしたら良いのか分からない」という状況に陥りがちです。


    ・転職活動を妨げるもの

    生活リズムが不安定になることで体調を崩してしまうと、転職活動したくてもできない状態になってしまいます。仮に入院ともなれば一定の治療費がかかるのに、収入はありません。国民健康保険で一定の保障が受けられるにしても、自己負担分の準備が必要とされるのは当然のこと。また、自分だけではなく家族にトラブルがあった場合も同様です。家計を維持している立場としては、一刻も早く生活基盤を安定させたいという焦りも生まれてしまいます。


    ・両親の介護問題

    40代50代ともなると両親の介護が現実化してくる時期のため、同居や施設への入居も検討していく必要があります。事務的な手続きや家族との話し合いをしている間にも時間は過ぎていき、仕事のブランクが長くなることも懸念されます。

    こちらの記事も参考になります。
    「40歳無職からの脱出!公的支援を受けて社会復帰するノウハウとは」

    無職の期間を長引かせないためにやること

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    40代50代で職を失う事態となっても困らないように、どのような備えができるでしょうか。まず何より大切なのは、前向きな気持ちを忘れないこと。気持ちが折れてしまうと、八方ふさがりになりがちです。万が一のことがあった時にどんな行動を取るのか考えておくだけでも、心の準備に役立ちます。

    ・事前に転職活動を始めておく

    突発的な解雇以外の場合、あらかじめ転職先を決めておくことが大切です。リストラや倒産の場合でも「この会社の経営、大丈夫なのか?」と不安に感じる兆候は出てくるもの。異変を感じた時にすぐに準備を始めれば、船が沈む前に逃げ出すこともできるでしょう。

    これまでお世話になった恩を大切にする気持ちは重要ですが、一緒に沈んでしまっては家族も路頭に迷ってしまいます。日頃から求人サイトを閲覧しておくだけでも、いざという時の検討材料となります。

    ・求人を選びすぎない

    転職先を探すにあたってのポイントは、求人を選びすぎないことです。自分の中で譲れないポイントを決めて、他の要素はある程度の妥協も許容する考え方で進めていくことが、良い結果につながります。契約社員やアルバイトから始めるのも有効な選択肢です。

    職種にもよりますが40代50代からの正社員雇用のハードルは高いものがあるため、入社しやすい雇用形態を選択し、入社後にキャリアアップを狙うことは現実的な判断といえます。

    ・家族への相談を欠かさない

    リスクヘッジをしていても失業に陥ってしまった際には、なるべく早く家族と話す時間を取ります。子どもの教育費や家族の生活費といった現実的な問題に関しては、家族が一丸になることが必要です。

    子どもがアルバイトをする、妻がパートに出るなどして生計を維持できれば、転職活動に専念できる時間が生まれます。トラブルは1人で抱え込まず、家族で協力して危機を乗り越えていきましょう。

    古くからの格言で「山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し 」という言葉があります。40代50代から新たに仕事を探すことは、若い頃に比べれば確かにハードルは高めです。

    しかし、自身のキャリアを棚卸しし、やるべきことを認識し、進むべき道の方向性を固めて活動すればすんなりと決まることも多くあります。

    問題は、自分の中に潜む「見栄」や「こだわり」をどれだけ押さえることができるかです。ネガティブに作用する感情をコントロールし、自分の行動・精神状態を律することができるかにかかっています。

    そのためにも心身ともに健康な生活を送ることが重要となるため、仮に失業したとしても規則正しい生活のリズムを保ち、前向きな気持で過ごすことを心がけましょう。

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