ミドルシニアの方こそ、「学び直し」が必要な時代に!?リスキリングの必要性と現状を解説

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ミドルシニアの方こそ、「学び直し」が必要な時代に!?リスキリングの必要性と現状を解説

近年、「リスキリング」というワードを聞く方も多いかもしれません。社会環境や働く環境の変化に合わせてスキルを習得していくリスキリングは、ミドルシニア世代にこそ重要な選択肢と言えます。今回は、そんなリスキリング=「学び直し」についての現状や、支援制度などもご紹介します。

この記事の目次

    学び直し(リスキリング)とは仕事に必要とされるスキルを習得すること

    社会環境や働く環境の変化に合わせ、仕事に必要とされるスキルを習得することをリスキリングと呼びます。このリスキリングは日本語で「学び直し」とも呼ばれます。

    同じような言葉に、「リカレント(教育)」があります。このリカレントには「反復する」といった意味があるため、リカレント教育は社会人がいったん職場を離れ、教育を受けた後に仕事に復帰してスキルを活かす、といった意味合いで使われることが多いです。

    そのため、「学ぶ」を軸にしている点では同じですが、仕事を続けながら学ぶリスキリングと仕事から離れて学ぶリカレントとは明確な違いがあるのです。

    ミドルシニアの「学び直し」の現状とは?

    現在、働き手や雇用主からも「学び直し」に多くの注目が集まっています。マイナビ就職によると「学び直し」に興味を持っている年代は30代が9割と最も多く、50代でも7割超という結果になったといいます。さらに、「学び直し」をした方の多くはパソコンや医療・福祉分野、そして語学などを学ぶ傾向が強いとのこと。

    しかし、実際に「学び直し」をしたり、過去にしたことがあったりした人は30代で17.5%、50代で14.5%と、比較的少ないのが現実です。50代でもおよそ7割以上の方が「学び直し」の必要性を感じているのにも関わらず、実際に行動しているのは約14%といいますから、学び直しをしたいと思っていても行動に移せていないミドルシニア層の現状が見えてくるでしょう。

    データ元:
    ・厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン特設サイト」
    ・株式会社マイナビ「社会人の学び直しに関する実態・意識調査」

    働き方が多様化している今、「学び直し」が必要に

    では、現代でなぜこんなにも「学び直し」に注目が集まるのでしょうか。
    その背景には、日本産業の構造の変化やDX化が進んだことが挙げられるでしょう。これからの時代にITスキルは必須です。そのため、アナログからデジタルに変容するビジネスモデルに対応するためにも「学び直し」が必要となっているのです。

    オンライン会議やリモートワークといった就業形態の変化も、そんな「学び直し」に拍車をかけている要因です。デジタルツールは若者のものだという認識はもはや過去の話。今はミドルシニアやシニア層でもITスキルがなければ、働くことに支障が出てしまう時代となったのです。

    また、岸田内閣下では5年間で1兆円もの予算をリスキリングの支援に充てることを発表したことは、皆さんの記憶にも新しいかもしれません。政府や企業、そして働き手が一体となってリスキリングを進めていこうという方針を打ち出したのです。

    この背景には、スイス・ダボスにおいて、世界経済フォーラムの年次総会が開かれ、『リスキリング革命(Reskilling Revolution)』が発表されたことが大きな要因となっています。この総会の中で、2030年までに10億人により良い教育、スキル、仕事を提供するというイニシアチブが示されました。このように、世界全体でも「リスキリング=学び直し」が注目されていることがお分かりいただけると思います。

    データ元:
    一般社団法人日本能率協会「『リスキル革命』~ダボス会議で「2030年までに10億人のリスキル」が提唱」

    学び直しをするメリットとは?

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    では、「学び直し」をするメリットはどのような点にあるのでしょうか。

    キャリアアップに繋がる

    「学び直し」によって新たな知識や技術を得ることができます。また、企業としても働き手が様々なスキルを獲得してくれれば部署ごとに配置転換を行えたり、新規事業を始められたりと、一人の人物のスキルが高まることで効率よく業務を進められるようになります。

    企業の人手不足解消に寄与する

    生産年齢人口が今後減ることが予想される日本において、採用で有能な人材を獲得することが難しくなってきています。そんな中、「学び直し」であれば社内の人材に新しいスキルを身につけてもらうことで、業務の幅を広げられるのです。

    また、雇用期間も70歳定年が推奨されている現代においては、今まで働いてもらっている人材に長く活躍してもらうことができるでしょう。

    即座に業務に活かすことができる

    「学び直し」ではすぐに業務に活かせることもメリットの一つです。リカレントとは異なり、働きながらスキルを身に付けていくので、学んだことを職場で応用することができます。

    例えば、これまでは広報を担当していた人物がウェブデザインを学ぶことで社内の広報誌などをより洗練したデザインに刷新することができるなど、業務に直接的に活かすことができるのです。

    転職する際も有利になる

    現在の職場でも「学び直し」によってスキルを活かしていけそうですが、日々スキルを磨いておくことで転職もしやすくなるでしょう。ミドルシニアの転職は若年層よりもキャリ形成の部分で難しいと思われがちですが、スキルを身に付けた経験豊富な人材であれば、多くの企業から求められる人材になれるでしょう。

    人脈を広げることができる

    「学び直し」をすることで人脈を広げることもできるでしょう。勉強会やスクールに通うことで、これまで関わりのなかった職種や年代の人と接する機会も増えます。歳を重ねてから職場以外で友人や仲間を作るのはなかなか難しいかもしれませんが、同じ目標を持って学ぶ人々が集まる場に顔を出すことで人脈も広がるのです。

    老後の資金づくりに役立つ

    定年後の年金暮らしだけでは、経済的に不安という方にとっては「学び直し」によって知識やスキルを向上させておけば定年後も安定した収入を得ることができます。年金にプラスして副業やアルバイトでの収入を確保できることで、精神的な安定も得られることもリスキリングの大きなメリットだと言えそうです。

    ミドルシニアの「学び直し」が進まない要因とは?

    先ほども触れたように、ミドルシニア就業者の約7割が「学び直し」の必要性を感じているのにも関わらず、実際に行動に移せないのはどうしてなのでしょうか。その理由の多くは、「学ぶための予算がない」や「学ぶ時間が取れない」、「学ぶための気力が湧かない」など、金銭的や時間的、精神的余裕のなさだといいます。

    細かく見てみると、ミドルシニアの多くは会社員の方が多いため、ある程度会社の中では責任のある立場だという方が多い印象です。そんな中、業務と並行して学ぶ時間を確保するのが難しいといった声が聞かれます。日々の業務で身体や気力が取られてしまうため、帰宅してから学ぼうと思ってもなかなか手に付かないといった人も少なくないでしょう。

    そして、休日は家族と過ごす時間に充てたいといった方も多いため「学び直し」にまで意識が向かないといった方も。女性の場合は仕事だけに留まらず、家事や育児、介護といった家族と向き合う場面も多く、そんな中で学ぶことに注力することは困難でしょう。

    また、費用面の問題も「学び直し」を躊躇させてしまう要因の一つです。「学び直し」にはスクールの講座代や書籍代といった費用がかかります。そういった費用を捻出できなければ、現実的に「学び直し」に向かえないことが多いようです。

    「学び直し」を進めるにはどうしたらいいのか?

    では、「学び直し」を具体的に進めるためにはどうしたらよいのでしょうか。

    事例や体験談を聞く

    「学び直し」を進められない原因の一つには、ご自身が学んでいるイメージや学んだ後のメリットが具体的に描けていないことが多いでしょう。そういった場合には、学ぶための気力やモチベーションを保つことは難しいと言えそうです。ですから、「学び直し」に向かうためには「学び直し」に成功した方の事例や体験談を知ることが大切になってきます。

    さらに、職場においてはそういった「学び直し」に積極的な人が多いと自然にご自身も「学び直し」を意識できるといった点からも、周りの環境も重要となってくるでしょう。

    スキルについて調べてみる

    「学び直し」をするには、まずは情報を取ることが大切になってきます。需要のない分野を学び直したとしても、その先の仕事や転職、副業などに活かすことが難しくなってしまいます。そのため、まずは調べが必要になってきます。どういった需要があるスキルなのかを知ってから学び始めると、効率的に「学び直し」に取り組めます。

    まずは趣味として始めてみる

    「学び直し」と聞くとしっかりと知識やスキルを習得しなければならないイメージが強いかもしれません。しかし、まずは趣味として始めてみることで気軽に学びと向き合うことができるでしょう。"学び"には毎日机に座ってテキストを開く、といった固定概念がありますが、趣味として捉えてみると「できるときにやろう!」と精神的にも余裕が生まれます。

    結果、気づいたら楽しく学べていたということもありますので、趣味の一環としてまずは"学ぶ"を取り入れてみると、抵抗なく「学び直し」に向えるでしょう。

    「学び直し」で人気の分野とは?

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    「学び直し」と一概にいっても様々な分野があります。では、どういった分野が人気なのかをみていきましょう。

    IT分野

    パソコンを使って出来る、プログラミングやウェブデザインといったIT分野は「学び直し」でも人気です。また、最近ではYouTubeやTikTokなどの動画コンテンツも多く、マーケティングにも動画を活用する会社も多くあることから、動画編集も始めやすい「学び直し」の分野でしょう。

    宅地建物取引士

    いわゆる宅建は、不動産の取引に関する専門家であることを証明する国家資格です。不動産取引では、重要事項の説明が法律で義務付けられているため、未経験や中高年でも転職やセカンドキャリアに直結しやすい資格でしょう。

    簿記

    簿記は、企業活動での資金の流れなどを帳簿に記録することです。簿記の知識は、企業の経理だけではなく、投資といったさまざまな場面で役立ちます。多くの企業が社員に対して簿記の資格取得を奨励しており、年間で約60万人が受験しているともいいますから、非常に需要のある資格です。

    「学び直し」で活用できる支援制度とは?

    「学び直し」の金銭的な負担を軽減するためには、支援制度の活用が有効です。ここでは、社会人の「学び直し」で活用できる支援制度について紹介していきます。

    教育訓練給付金

    教育訓練給付金は、働く人の能力開発や中長期的なキャリアアップを支援するものです。対象講座を修了した場合は、負担した受講費用の20~70%の支給を受けることができるといいます。興味のある方は、ご自身のやってみたい分野が教育訓練給付金の対象となるのかを一度チェックしてみましょう。

    公的職業訓練(ハロートレーニング)

    公的職業訓練は、厚生労働省が実施している公的な職業訓練の制度です。就職希望者が希望する仕事に就くために、必要な知識やスキルを習得することができます。離職者や求職者、在職者といった、希望者の状況に合わせた訓練を受けられるので、ご自身で興味がある分野があれば積極的にチャレンジしてみると◎。

    データ元:
    厚生労働省「ハロートレーニング(在職者訓練)」

    まとめ

    人生100年時代に突入し、年齢に関係なく「学び直し」が必要とされる社会になりました。ただ、ミドルシニア層では「学び直し」をしたいと思っているのにも関わらず、実際に行動に移せていない方が多いのも実情です。これからの社会は「学び直し」を行いながら、個のスキルを高めていく時代だと言えそうです。

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