営業からの中高年転職を成功させるためのポイントは?
- 働き方を選ぶ
- 公開日:2019年2月20日
営業としてキャリアを積んできたものの、限界を感じて転職を考える人は少なくないようです。そうとはいえ、一定の年齢を過ぎてからの転職はハードルを高く感じがち。ここでは、営業からの転職において考えておくべきポイントと、具体的な転職先候補についてご紹介します。
この記事の目次
営業を辞めたいと思ったら?
営業の仕事に疑問を感じ、次のキャリアを考えるようになったとき、まずはどんなことを考える必要があるでしょうか。辞めた後の転職先を考えるためにも、今の仕事のどの部分に不満を感じているかを正しく認識しておくことがスタートになりそうです。
営業職のやりがい
営業職の魅力を端的に言えば、「成果がわかりやすく数字に表れる」ことでしょう。「新規の顧客を開拓したことで、売上が○円伸びた」「部下を育成したことで、チームとしての売上が○円上がった」などです。努力の成果が数字で見えるため、自分の力量や貢献度を認識しやすい職種といえます。
そして、成果が出ればインセンティブとして報酬に反映されることが多いもの。つまり、営業職は他の職種より成果が評価に、さらに収入アップにつながりやすい職種と言えるでしょう。
「平成29年 労働力調査結果」を見てみると、国内の労働者数は6530万人。そのうち、営業(販売従事者)は862万人と全体の13%を占めていることからわかるように、営業という仕事に魅力を感じている人は多いのです。
ミドル世代の営業職が感じる不安とは?
このように、自分の成果がきちんと評価してもらえるのは嬉しいことですし、給与に反映されるとなればなおさらです。うまく成果が出せるなら、やりがいの大きな仕事と言えます。
しかし、それはあくまで実績を残し続けている場合。成果を出せなければもちろんインセンティブは得られず、収入の低下につながります。
とはいえ、若い世代ならともかく、多くの人は長く「営業畑」で育ってきているため、そこは織り込み済みでしょう。では、ミドル世代の営業職はどんな不安を感じることが多いのでしょうか。
若い頃であれば、与えられる営業予算などがプレッシャーとなるケースが多いですが、ミドル世代が感じる不安は以下のものが多いようです。
部下の育成に関する不安
マネジメントに就いている場合、チームで数字を追いかける役割を担いますが、チームで数字を達成するためには、部下の育成が重要です。しかし、なかなか部下に芽が出ない場合も。そのような部下が続けて配属された場合は、「このまま数字を達成し続けられるだろうか」という不安が首をもたげることもあります。
かつてであれば自分が残業などで不足分を補うこともできましたが、昨今の働き方改革の影響で残業時間が管理されている場合はそれもできず。今後の不安となるケースも多いようです。
会社の評価、目標設定に対する不安
毎年与えられた予算を達成しているにもかかわらず、評価があまり高くないと感じる場合には、「会社は自分に正当な評価をしているのだろうか」という不安が湧くことも。
また、前年比を大幅に上回る予算を与えられた場合にも、「会社は適切な予算管理ができているのだろうか」という不安を抱くことも。
扱う商材への不安
強い商品力を持つ自社商材を持つ企業であっても、競合企業が力をつけてきた場合、営業力だけでは対抗は難しいもの。
自分の力だけでは如何ともし難い理由で、数字が上げられない。そんなケースに対して不安を抱くことも。
今後の自分のキャリアについての不安
入社してから経理畑や人事畑、または技術畑で育ってきた同期などを見ると、専門知識を身に着け、資格を取得している人も増えてきます。
このような場合、「営業はつぶしが利かないのでは」という不安を抱いてしまうことも。
ミドル年齢で営業からの転職を考える人は、このいずれかの不安や不満を抱いていることが多いようです。
「営業が嫌」なのか「会社が嫌」なのか整理する
営業職からの転職を考えている人の中には、「もう営業は嫌だ。営業以外の仕事がしたい」と話す人は少なくありません。しかしそこで、「営業職以外の職種に就きたい」のか、「現在の会社で営業職でいる」ことに拒否感があるのか、どちらなのかを整理しておくことが重要です。
営業の仕事は、業界や会社ごとに大きく異なります。たとえば新卒で入社し、その会社の営業職を経験したとしたら、知っているのはその会社の営業職についてだけです。そこで自分に向いていないと感じたからといって、世間の営業の仕事すべてに向いていないとは限りません。たまたま現職の環境に嫌気がさしただけで、実は営業の仕事は好きな可能性もあるのです。
営業職の中でも、電話や飛び込みなどの新規営業を担当している人の中には、辛さのあまり営業を避けたい気持ちの強い人もあるでしょう。現職のハードさは理解できますが、そのことで営業の仕事すべてを否定することのないようにしたいものです。当たり前ですが営業の仕事もいろいろなのです。
営業は嫌だと決めつける前に、嫌なのは営業の仕事そのものなのか、現職の環境なのかを自己分析してみることです。その結果は転職活動で必ず役に立つはずです。
営業職の転職先候補とは?
営業職に向いていないと感じて転職を希望する人でも、営業職ならではのスキルは身についているものです。転職して環境を変えれば、また営業職としてやっていける人、営業職以外の職種でスキルを生かしていく人、それぞれについてご紹介します。
同じ営業職の転職も考えよう
今の職場は辞めたいけれど営業の仕事は嫌いじゃないという人は、他社の営業職を視野に入れておくことがおすすめです。親和性の高い商材や顧客層、または営業スタイルなどの共通項が見つかれば採用する側は「即戦力としての期待感」を感じやすく、少なくとも話は聞いてみよう、という気持ちが高まります。
転職先の選択肢には、他の会社や他の業界の営業職も入れておき、興味を引かれるような内容であれば検討してみるとよいでしょう。
コミュニケーション力を活かした転職
どんなに自分の強みを活かして選んだ転職先であっても、営業職から違う職種の仕事に就けば「未経験者」です。しかし、営業として働いていた経験と身につけたスキルは、採用のために重要なカギとなるので、上手にアピールすることが大切です。
強みでわかりやすいのは、相手との良好な関係を保ちながら金額交渉した経験、クレーム対応の経験、他部門と連携して業務を推進してきたことで培われた「コミュニケーション能力」です。
これを活かせる職種は幅広く、人と接するサービス系の職種は全般的に親和性が高めです。ホテル、デパートやスーパー、介護など、職場は多種多様です。
精通した業界への転職
人材系の営業が人事へ、広告代理店出身者が広報へ。このような営業を通じて顧客であった側へ転職することや、介護系商社の営業が介護施設へ転職など、取り扱っていた商材に関連する業界へ転身することは、珍しいことではありません。
もちろん、一からのスタートとなりますが、業界事情の理解がされているなどアドバンテージがあるため、早期から即戦力として期待されることも。
直接的な経験者よりも少し違った角度から新しい考えを持ち込んでくれる存在として、重宝されるケースもあるようです。
40代からでも転職を成功させる2つのポイント
若い世代と競合しないことを意識
まず、40代からの転職は、若い頃とは同じではないことを理解しておきましょう。経験やスキルでは負けないという気持ちがあっても、ポテンシャルを含めた総合点では、多くの場合で若年層に分があるのが現実です。
そのため、できるだけ「若い世代と競合しない業界」を意識することが成功の秘訣となります。比較的不人気な業界であったり、大手企業より中小企業をターゲットにした方が、良い結果につながることが多いようです。
特に、営業職から未経験職種へ飛び込む場合は、このポイントが重要となります。
入社時の待遇にこだわりすぎない
採用する企業からすれば「新たな環境・仕事に慣れることができるか」という不安があるなかで、よっぽど魅力的な人材ではなければなかなか高待遇は提示しにくいもの。
しかし、40代となると「今まではこれだけもらってたから」「これだけの収入が必要だから」という理由で年収条件にこだわり、「待遇条件のすり合わせがうまくいかないことで、転職活動が長引く」というケースが多いのです。もちろん待遇は大切な要素ですが、こだわりすぎると悪印象を与えてしまいがちです。
重要なのは「入社時の待遇・収入」ではなく、「入社してからの評価制度」です。入社時は給与が下がってもよい。しかし、入社後に力を発揮できればそのパフォーマンスに見合った待遇・評価をしてほしいと交渉するのが好印象を与えるポイントです。
多くの中高年転職に関わってきた私たちは、条件を下げ転職したにもかかわらず、入社後に活躍を見せ待遇を回復させた例をいくつも見てきました。特に、同じ営業へ転職する場合には、成果は評価され給料に反映しやすいので、決して無理な期待ではありません。
まとめ
営業職で鍛えたスキルは、コミュニケーション能力を始めとして他の多くの職種に活かせます。転職活動の際には存分にアピールしたいところです。また、現職の営業が嫌になっての転職でも、他の営業でなら力が発揮できることも。自分を知ることをスタートに、自分に合った転職先が見つかるとよいですね。