派遣切りの危険、再び。2018年問題を乗り越えるためにやるべきことは?

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派遣切りの危険、再び。2018年問題を乗り越えるためにやるべきことは?

2018年の4月と10月、派遣社員やアルバイト、契約社員にとっての正念場が訪れます。「年越し派遣村」が話題となった2008年を彷彿させるような派遣切り、大量失業が相次ぐ状況が懸念される理由、自己防衛策として今からでもできることを考えてみましょう。

この記事の目次

    「年越し派遣村」が生まれた2008年はリーマンショックの年

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    2008年11月のリーマンショックを皮切りとして、世界的な不況に見舞われました。製造業では大規模な派遣社員の解雇や雇い止め、いわゆる「派遣切り」が行われたことを覚えていますか。住む場所も失って路頭に迷う労働者を守るため、ボランティアメンバーが主導する形で開かれた支援活動が「年越し派遣村」です。数日のうちに数百人もが集まって、政府まで巻き込む大規模な活動となりました。

    東京オリンピックに向けて経済が活性化、企業の業績も伸びており、当時と全く状況が異なる現在。好況が報道されているにも関わらず、大量失業が不安視されているのです。その背景を理解するため、「派遣の2018年問題」「無期転換ルール」と2つの事象に目を向けましょう。

    問題となっている「派遣の2018年問題」とは?

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    派遣の2018年問題とは、2018年10月に最初の期限を迎える「派遣期間3年ルール」に際して起こるかもしれない派遣切りです。2015年に改正された労働者派遣法では、派遣期間の定めがなかった「政令で定める26業種(※)」に関して、3年の縛りを設けることとなりました。直接雇用に切り替える、もしくは期間満了で現場を去ると、2つに1つの選択を迫られます。

    労働者派遣法改正の詳細

    そもそもは、正社員を希望する派遣社員が正当な扱いを受けられるように保護するねらいがありました。派遣社員を雇っていた会社にとっては、人件費の負担が重くなる状態を避けたいので「別の派遣さんを入れよう」という判断になりがちだからです。

    26業種で就労している派遣社員は、2015年6月時点で約65万人とされています。このうちの何割かに対して派遣切りが起こると、労働市場に対して大きなインパクトとなるはずです。派遣先で直接雇用とならなかった場合でも、派遣元から新しい案件の紹介を受ける、派遣元との無期雇用契約を結ぶといった選択肢が残っています。そうなった時に問われるのは、派遣会社の体力です。新しい案件を探すのも大変、無期雇用契約を結ぶ体力もないとすれば、雇い止めを交渉するしかありません。

    ※政令で定める26業務
    1号ソフトウェア開発・2号機械設計・3号放送機器等操作・4号放送番組等演出・5号事務用機器操作・6号通訳、翻訳、速記・7号秘書・8号ファイリング・9号調査・10号財務処理・11号取引文書作成・12号デモンストレーション・13号添乗・14号建築物清掃・15号建築設備運転、点検、整備・16号案内・受付、駐車場管理等・17号研究開発・19号書籍等の制作・編集・20号広告デザイン・21号インテリアコーディネータ・22号アナウンサー・23号OAインストラクション・24号テレマーケティングの営業・25号セールスエンジニアの営業、金融商品の営業・26号放送番組等における大道具・小道具

    追い打ちをかけるのが無期転換ルールの改正

    2018年に働き方の大きな転換点を迎える労働者は、派遣社員ばかりではありません。パート社員、契約社員といった有期雇用で働いてきた労働者が雇い止めを受けるリスクがあります。2013年4月に改正された労働契約法において「有期労働契約が通算5年を超える場合は無期転換ルールが適用される」ことが決まりました。2013年4月を起点として1年更新の契約を繰り返しているとすれば、5年目の節目は2018年4月です。

    節目を迎えた社員に対する処遇として、5つの選択肢が考えられます。

    1 雇い止めによる契約終了
    2 給与などの条件を維持したまま、無期契約社員として契約を行う
    3 新しく雇用条件を設定、無期契約社員として契約を行う
    4 勤務地や担当職務、勤務時間などに縛りを設けたうえで限定正社員化する
    5 他の正社員同様の条件で正社員化する

    政府のねらいは4でしたが、全ての企業で限定正社員化するとは限りません。1を選択する企業が多ければ、大量失業も起こりうる状況となってしまいます。

    無期転換の申し込みが従業員からあった場合、企業に拒否権はありません。同じ職場で何年間も働き続けて「機会さえあれば、ぜひ正社員に」と思っていた方にとってはまたとないチャンスですが、企業のよっては拒否権が無いことを知りつつも無期雇用に応じない可能性も。企業姿勢が問われています。

    不当な雇い止めにあったときにするべきこと

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    企業から雇い止めを受けた場合は、30日前に予告があったか・合理的な理由があるのか・労働期間に関する配慮があったかを確認しましょう。そもそも雇い止めを受けないようにするには、雇用契約を結んだ時の書面をチェックします。

    とはいえ、なかなか書面の確認は申し出づらいのが実情だと思います。「家内が気にしていて、ちょっと教えてほしいのですが」「ニュースで聞いてから気になってしまって。この契約書だと、どの部分に目を通しておけば良いのでしょうか」など、更新のタイミングでさりげなく確認しましょう。契約終了を判断する条件に「会社の経営状況」「従事している業務の進捗」「労働者の能力」といった記述があれば、具体的にどんなケースで雇い止めになるリスクがあるのかを聞いておくと安心です。

    もし、雇い止めを受けてしまった場合は、会社と話し合いの場を持ちます。契約更新を期待させる発言、自分だけが不当な扱いを受けている気がするなど、わだかまりが残った部分を明確にしてもらって、企業としての姿勢を明確化しましょう。

    直接交渉するのに抵抗を感じるようなら、労働基準監督署の窓口相談が手軽です。第三者から見て合理的な判断といえるのか、客観的なアドバイスをもらうことができます。裁判も厭わないくらいの心境なら、労務問題に強い弁護士に相談するのも一案です。

    こちらの記事も参考になります。

    「不法な「雇い止め」には対抗しよう!泣き寝入りしないで撤回させる方法とは!?」

    まとめ:手に職をつける、または需要の高い職を選ぶことが自衛策

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    人材コストがあがるとはいっても、企業にとって「いないと困る」人材になれば、不当な扱いを受けるリスクを軽減できます。企業が必要としている専門資格を取得する、自分がいなくては組織の生産性が下がるなど、自分の存在価値を高めながら仕事を担当することは、根本的な解決策としておすすめです。

    これから転職を考えるなら、人材採用の意欲が高い業界を選択する方法があります。介護、運輸、外食といった人手不足の業界にターゲットを絞っていけば、安定的な仕事を見つけるチャンスです。

    採用意欲が高い分だけ条件交渉もできて、これまで以上に手厚い待遇が期待できるかもしれません。40代、50代からの転職者を受け入れてきた企業も多いため、未経験からチャレンジするにもおすすめです。

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