会社から引き止められても、円満退社を目指すためにやるべきこと
- 転職・退職ノウハウ
- 公開日:2017年12月 5日
新しいキャリアをスタートしようとしている時、退職時において引き止めを受けることがあるかもしれません。「立つ鳥跡を濁さず」の言葉のごとく、円満退社を目指すために知っておきたい退職交渉の仕方、お互いに引くに引けない状況に陥った時の奥の手を紹介しましょう。
この記事の目次
なぜ会社や上司はしつこく引き止めをしてくるの ?
会社や上司が退職希望者を引き止める理由として、2つの要素が考えられます。自分の場合は、どちらにあたるのか見極めて、交渉をスムーズに進めましょう。
【理由1:組織・チームにかかる負担を避けたいため】
退職者が担当していた仕事は、多くの場合誰かが引き継ぐことになるため、残されたチームには負担がかかってきます。
チームの上司が、「この人が退職することで起きる影響はあまりにも大きすぎる」と判断した場合、残される側としては退職希望者を引き止めるより他はありません。
会社によっては退職者の引き止めに失敗した場合、上司の責任問題にも発展する可能性もあるため、しつこく交渉してくることがあります。
こうした場合は、「法的に必要なステップは踏んでいる」「就業規則通りに1ヶ月前申告をした」とご自身の権利を主張するのは逆効果です。まずは、相手の立場になって考えましょう。
仕事が立て込む時期を過ぎてから退職の運びに持っていく、引き継ぎに必要な時間を残される側を考慮したスケジュールで調整するなど、会社の都合に配慮して交渉することによって、相手の出方も変わってきます。
お互いに歩み寄る気持ちを持つことが、円満退社の秘訣でしょう。
【理由2:上司の老婆心によるもの】
ミドルシニア層の転職の場合はともに長く働いてきた人が上司の場合も多いため、「この人の転職はリスクが高い」「今の会社にいるほうが本人のためなのでは」と考え、転職を引き止める上司も存在します。
この場合、本当にあなたのために良かれと思い老婆心として引き止めをしているケースが多いのですが、それが原因で退職が円滑に進まないのは問題です。
そのため、「転職に伴うリスクは充分検討している」「新たな道へ踏み出すにはギリギリのタイミングだと思っている」など、熟慮のうえで決定したことを伝えるようにしましょう。
よくも悪くもですが、長く付き合ってきた人間関係は時に大切なものとなりますので、「退職しても個人的に付き合っていきたい」と思える関係性なのであれば、その旨を伝えることが円満な退職へ結びつくケースもあります。
よくある引き止めのタイプとその対処法
引き止めを行う理由は大きく二つに分けられますが、「引き止めの方法」には、いろいろなタイプがあります。
曖昧な態度を続けて退職を先延ばしにし続ける上司、怒って権力をふりかざす上司など、100人いれば100通りの対応が出てくるはずです。あくまで目安にはなりますが「こんな時にはこう対処したい」という事例別の対策方針を紹介します。
・話を「なかったこと」にするタイプ
退職したいと切り出しても具体的な話をごまかし、はぐらかし、根負けするのを待つタイプです。いつまで経っても具体的なスケジュール、手続きの話ができないことから「本当に退職させてもらえるのか」と不安になってしまうことでしょう。
◎対処法
こまめに「先日の話は」と切り出して、粘り強く交渉しましょう。どうしてもうやむやにされてしまうようなら「部長にはお話している旨を伝えて、人事部に掛け合います」など、問題を放置したままにはできない状況へと持っていく方法もあります。
・力でねじ伏せようとするタイプ
退職の話を切り出しただけで「裏切り者!」とでも言うように、怒鳴ったり叱ったりするタイプです。冷静な話し合いができないと円満退社することは難しく、なかなか話が進みません。法的には労働者に決定権がある内容でも、理不尽な理屈を並べる上司もいます。話を切り出した段階で怒り出してしまうと、その先の交渉が難航することでしょう。
◎対処法
上司が熱くなっている時の言い争いは、良い結果になりません。言い返したくなる気持ちはぐっとこらえて、改めて冷静に話し合いできる場を設けてもらうよう努めましょう。なお、待遇や人間関係などの職場への不満を退職理由に出すと相手の反感を買いやすいため、上司の性格に配慮した言い回しを考えることも重要です。
・改善案の交渉が続くタイプ
退職理由が会社の努力で何とかなる場合、待遇改善や職種変更を交渉されることがあります。理由をしつこく聞き出して「この条件なら続けられるか」といった交渉が続くケースです。退職を言い出した社員が会社にとって必要な存在であるほど、良い待遇で交渉される可能性は大いにあります。良い話をもらうほど退職交渉を進めにくくて、円満退社が難しくなってしまうものです。
◎対処法
会社としての取り組みでは引き止めることができないような退職理由を考えます。異業種への転向、将来プランといったやむを得ない事情があれば、話の方向性も変わるものです。前向きな退職理由だと上司を説得しやすく、引き止めにあうリスクを回避できます。
もし、円満な解決が期待薄になったら?
どうしても退職交渉に応じてもらえず引き止めが続くようなら、第三者を交えた話し合いが検討されます。
身近な相談機関なら、労働基準監督署に相談しましょう。総合労働相談コーナーに足を運ぶ、もしくは電話で事情を説明することで、円満退職するためのノウハウについてアドバイスをもらえます。相談者のプライバシーはきちんと確保されるため、心配はいりません。
引き止めが悪質とされるケースでは、労働局長の助言・指導や紛争調整委員会によるあっせんといった強硬手段も相談できて、総合的なサポートを受けられます。
公的機関であるがゆえに相談しやすいメリットがある反面で、法的な問題や権利の侵害がないと判断されると、一般的なアドバイスにとどまることもあるようです。
では、民間機関のトラブル解決窓口に相談するなら、どこに話しを持ちかけたら良いのでしょうか。
困ったときには、一定のコストはかかりますが、弁護士・社会保険労務士に相談する方法があります。社会保険労務士は退職に関するトラブルを代理で交渉する権利を持たないので、該当分野に強い弁護士に相談するのがスムーズでしょう。
まとめ:次の転職先との契約を優先しつつ、応じられるところを調整して乗り切ろう
これまでお世話になった会社ですから、なるべく負担がかからないようにタイミングを調整、退職交渉の折り合いをつける気持ちを持ちましょう。
基本的には転職先を優先したいところですが、しこりを残す結果は避けたいものです。
退職すること自体は同じでも、交渉の進め方や妥協案を受け入れることにより、円満退社できるケースもあります。しつこい引き止めには適切な対応を行い、次のキャリアを不安なくスタートできる環境を整えましょう。