休職か退職か悩む人へ。休職する時のポイントや退職前に使いたい制度などを解説
- 転職・退職ノウハウ
- 公開日:2024年9月 2日
現在、会社で働いているミドルシニア世代の方のなかには「今の働き方に疑問がある」「仕事を辞めたいけど後悔しそう」などの悩みを抱えている人もいることでしょう。今回は、休職や退職を検討する際に知っておきたい情報や制度を解説します。
この記事の目次
休職と退職で悩むのなら休職
休職と退職で悩んだ際は、まずは休職をする方が良いでしょう。
休職制度は病気や怪我などで働けない場合でも、会社に籍を置いたまま休み期間を取れる制度です。法的な定めがないため、会社によって休職制度の要件は異なりますが、一般的には休職中は無給となります。
会社に籍を残しながら治療に専念できるほか、辞めなければよかったという後悔を防げます。また、休職の相談によって、異動などの話があがれば現状の問題を解決できる可能性もあるでしょう。
現在、休職か退職かで悩んでいる人は、まずは休職をしてから自身の状況を判断し、今後を考えるという方法もあることを知っておきましょう。
休職と退職の判断ポイント
休職をするのか退職をするのか、どちらを選べばよいのか判断に迷う人は多いでしょう。以下では、判断ポイントについてご紹介します。自身の状況や会社の制度などを考えたうえで、判断しましょう。
休職制度が充実しているなら休職
休職制度は法律による定めなどがないため、会社によって給与や期間などの内容はさまざまです。そのため、休職期間が3ヶ月〜6ヶ月と決まっていたり、無給となったりする会社もあります。
しかし、休職制度が充実している会社では最初の3ヶ月間は給与が補償されたり、休職期間に制限がないこともあります。休職であれば、健康保険や年金の加入が継続されるといったメリットも受けられます。
不満が解消する可能性が高いなら休職
休職や退職を検討している人のほとんどは、職場での人間関係や、心身の不調などが理由でしょう。もし、休職をしている間に部署の異動ができる、労働環境の改善が見込まれるなど解消に向かう場合は休職を検討しましょう。
相談をきっかけに、会社全体の環境が変わる可能性も出てきます。現状より不満が改善される傾向が見られる場合は、休職を検討しましょう。
治療に専念するなら休職
病気や怪我で働けなくなる場合は、休職を選択しましょう。病気や怪我が原因の休職であれば、健康保険から給料の3分の2が支給される傷病手当金を利用できます。長期間働けなくても、お金の心配を軽減できるのはひとつ安心材料となります。
完治後はそのまま会社に復帰できるため、転職活動をする必要もありません。ただし、会社によっては治療途中でも退職を迫られる場合もあるため、事前に休職制度は確認しておきましょう。
完治の見込みがない場合は退職
病気の症状などによっては、完治の見込みがない場合もあるでしょう。特に精神疾患の場合は短期間での完治が難しいため、休職をしても期間内に完全復帰ができない場合も多くあります。
まずは休職をしてみて、完治するまでに時間がかかりそうな場合は、退職も検討しましょう。ゆっくりと仕事から離れて、完治に専念した後に復職・転職をすると、その後を健康に過ごせる可能性が高まります。
原因となることが解消しない可能性があるなら退職
休職や退職を検討する原因となったことが解消しない可能性が高い場合は、退職を検討しましょう。会社全体で残業が常態化している、人間関係が良くないといった状態に対して声を上げたにも関わらず、会社が動かない場合は改善する見込みは低いです。そういった場合は、休職をしても復職すれば元の状態に戻ってしまう可能性があります。
また、会社で働くのが怖い、復職をしても働けるイメージが沸かない場合も退職を検討しましょう。労働環境や周囲の人が変われば、改善する可能性もあるため、自身が無理をし続けなければいけない環境の場合は退職をすることも選択肢のひとつです。
休職中の過ごし方のポイント
休職を選択した際は、健康な状態で次へ進むためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
ゆっくりと過ごす
特に休職したばかりの時期はストレスを抱えており、疲労が溜まっている状態です。ストレスや疲労が溜まっていると思考力や、判断力が鈍っている可能性があるため、まずはゆっくりと休みましょう。
急に仕事をしない環境になると罪悪感やネガティブな方向に考えてしまいますが、まずは深く考えずに自分の心と体の状態にのみ注目をして、回復させることに専念しましょう。
生活リズムを整える
仕事をしていると、夜遅い時間の帰宅や早朝に出社する必要があるなど、生活リズムが狂ってしまう場合があります。心身を健康な状態に戻すためには、早寝早起きや適度な運動をするなど、生活リズムを整えましょう。
健康的な生活を戻していくと、徐々にホルモンバランスなどが改善され、元気な状態になっていきます。まずは、取り入れられるものから始め、少しずつ生活リズムを整えましょう。
自分の好きなことをする
ゆっくりと過ごす時間に慣れてきたら、自分の好きなことや興味があることに挑戦しましょう。ショッピングや旅行など、感情を動かす体験によって、より健康的な状態に近づけます。自分と向き合って、好きなことや楽しめることを体験して、少しずつエネルギーを蓄えていきましょう。
休職するときの注意点
休職をする際には、いくつか注意しておくべき点があります。知らずに休職をすると損する可能性があるため、事前に会社の休職制度について確認しましょう。
賃金の支払いについて
会社によっては、休職期間中の給料を補償してもらえる場合があります。賃金の支払いがある場合は、期間や割合などについて確認しましょう。しかし、中小企業の場合はほとんどが休職中の賃金支払いがありません。
収入が途絶えてしまった際に、休職期間中の社会保険料の支払いは待ってもらえるのか、確認をする必要もあります。支払い方法の切り替えは会社が行うため、事前に休職時の対応を確認しましょう。
保険料や税金の支払いを確認する
休職をしていても、支払いが必要な保険料や税金があります。会社員として働いているときに支払うのは、社会保険料・雇用保険料・住民税・所得税などが主です。
そのなかで、休職した後にも支払いが必要なのは、社会保険料と住民税の2つです。会社によってまとめて一括で支払うのか、毎月自分で納めるのかは異なるため、休職をすると決めた際に相談しましょう。
退職する際に活用できる制度
休職後から退職を決めた、休職ではなく退職したいとなった場合は、退職前に会社の制度を利用しましょう。場合によっては当面のお金の心配を軽減できるため、しっかりと会社の規則や制度を確認しておく必要があります。
退職金制度
勤続年数が長い場合は、退職金をもらえる可能性があります。退職金は通常の給与や賞与とは別に支給され、業績や勤続年数によって金額は変動します。受け取りは一括または、分割方式の2つがあるため、自身の都合に合わせた方法を選択可能です。
退職金制度を設けているかどうか、規定などは会社によって異なるため、詳細については事前の確認が必要です。なお、退職金は正社員など雇用形態が影響する場合が多く、アルバイトやパートの場合は支給されない可能性があります。
傷病手当金
傷病手当金は、休職したまま退職するときにもらえる可能性のあるお金です。傷病手当金をもらうには、以下の条件を満たしている必要があります。
・社会保険に加入している
・怪我や病気で働けない状態
・4日以上続けて出勤していない
・給料をもらっていない
健康保険から給料の3分の2が支給されるため、休職中でもお金の不安を解消できます。
有給休暇
退職する際は、残った有給休暇を消化できるか確認しましょう。有給を利用している間は、給料が発生した状態で仕事を休めます。退職後の収入にも影響を与えるため、退職前に会社へ有給消化について相談しましょう。
失業保険
失業保険は、退職をした後に利用できる制度です。今すぐに働ける状態にあるが、再就職活動をしても就職ができていない場合に、お金をもらえる仕組みとなっています。失業保険は受給期間が退職日の翌日から1年となっており、最大で4年まで延長可能です。具体的な支給条件は、以下の通りになります。
・雇用保険に加入し、保険料を支払っている
・離職の日以前2年間に12カ月以上の雇用保険の被保険者期間がある(特定受給資格者等の場合は離職の日以前1年間に6カ月以上)
・就労の意志と能力があり、求職活動を行っている
申請手続きは、ハローワークで行います。
まとめ
休職と退職で悩んでいる人に向けて、判断ポイントや注意点などについてご紹介しました。休職は法律による定めがないため、会社によって期間や賃金の補償などは異なります。まずは休職制度が用意されているのか、会社の制度を確認しましょう。
また、退職を決めた際には、書類の対応方法などについても会社へ相談し、無理をしない方法で進めていきましょう。休職期間はゆっくりと、自身がより健康に活躍できる場所がどこかを検討できる機会です。後悔せずに仕事と生活を両立させるためにも、うまく休職制度や退職時に利用できる制度を活用しましょう。