50代女性の転職体験談|大手企業を早期退職。自分のペースで働くことを選択した自分の正直な気持ち

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50代女性の転職体験談|大手企業を早期退職。自分のペースで働くことを選択した自分の正直な気持ち

高齢のご両親と3人で暮らす53歳の小島さん(仮名)。誰もが知る大企業に長年勤めてきましたが、早期退職の募集に応募。今は派遣社員として自分のペースで働く生活についてお話を伺いました。

この記事の目次

    大手企業へ入社し、国内外を飛び回る生活へ。

    都内で生まれ、横浜で過ごした学生時代。短大は英語専攻を選び、語学留学に行った経験もあったことから、漠然と英語を使った仕事をしたいという思いを抱いていました。

    卒業を控え、就職活動の時期に。こんな仕事がしたい、という確たる思いはありませんでしたが、父が中小企業の経営者でもあったことから、「社名を言えば誰でも知っている」ような大企業に入りたい、と考えていました。

    結果、国際的にも有名な大手電機メーカーへ就職。半導体を扱う国際事業部へ配属となりました。

    営業推進部署に所属し、販路を拡大するというミッションに従事。入社当時はアシスタント的な業務でしたが、徐々に仕事を任されるように。

    販促ツールを作成したり、専門誌や業界紙などに広告出稿を行ったり、国内外のお客様に対して各地で展示会を開催するなど多忙でありながらも、充実した日々を送ることになりました。

    入社前は、「パートナーを見つけて、早めに寿退社」というイメージを持っていましたが、結果的に国内外を飛び回り、バリバリと働くキャリアを描くこととなりましたね。

    女性ながらも主任に昇格。貢献が認められることに満足感

    当時は、欧州から東アジアへ販売の軸足を転換しようとしていた時期。そのため、特に中国への出張が多かった時期でした。

    展示会を開催するとなると、企画内容の検討、資材などの輸出手続きなど、様々な業務が付帯。中国内の複数都市で展示会を開催する場合もあったため、一月近く日本を離れる場合もありました。

    このような状況が続いていたため、会社には自分のサポートスタッフをつけてくれることを希望していましたが、新卒で入社する社員の数も減っていたことや、社内異動もあまりない会社であったため、補充されることはありませんでした。

    そこに対して不満はありましたが、会社は自分を評価していると実感できる出来事が。それは主任に昇格したことです。

    昔と違い、結婚しても会社に残る女性社員は増えていましたが、一般職で役職につけるのは30-40人に一人という低い割合でした。

    任される仕事が増えたこと、そして昇格したことは忙しさも伴いましたが、会社への貢献が認められた実感がありましたね。40歳頃のことでした。

    震災の影響、そして会社の不祥事が社会問題に

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    2011年に起きた大震災は在籍していた会社にも影響を及ぼしました。震災地域に密接な関わりを持つ製品を扱っていたため、広告の出稿内容の確認も非常にデリケートなものとなりました。

    しかし、さらなる問題が発生。会社が経営上の不正を報道され、社会問題となったのです。

    働いている多くの社員はその状況を知らず、事実を報道で初めて知る状況。報道を見た家族に「どうなの?」と聞かれても、自分も初めて知る事実ばかりのため、答えることもできない。

    驚きと、これからへの不安と、このような問題を起こした会社への憤りを、多くの社員が感じていました。

    そして、事態はこれだけでは収まりませんでした。勤続20年以上の社員を対象とした、大規模な早期退職の募集が行われたのです。

    しかも、この事実を知ったのは新聞報道が先。その後に会社からの案内があったことに対しても大きな失望を感じましたね。

    会社に対する「裏切られた」という気持ちから、早期退職を選択

    対象となる社員が大きな会議室へ集められ、説明会が開かれました。

    「今と同様の給与内容が保証できない」
    「異動も行われるため、今後も同じ仕事ができるとは限らない」

    そのようなことが説明され、定期的な面談が行われるため、家族と話し合いなどを進めておくように、という案内が行われました。

    当時、47歳。役職定年は55歳であったため、このまま在籍し続ければ、少し給与が下がるにせよ世間一般の水準よりも高い給与を得続けていられる。

    両親と話したときも「まさか潰れることはないでしょう」「これまで積み上げたキャリアがもったいない」などの理由から反対をされました。

    ですが、私の気持ちは早期退職を受け入れることに傾いていました。

    当時の状況では今後に対して明るい要素が見えず、「まだまだ隠れている膿が出てくるのでは」という会社に対する疑心があったこと

    「これまで会社に貢献してきた。全力を費やしてブランドを作り上げてきた」という自負を踏みにじられたという気持ち

    このまま在籍しても配置転換があるならば、今後同じ仕事に就ける保証は何もないこと

    しかも、このタイミングならば退職金の上乗せもある。独り身であるため、生活費にも不便はない。親も高齢になってきたことから、これを機に同居をするという選択肢もあるのでは。そんな気持ちが高まるようになり、早期退職を受け入れることに決めました。

    蓋を開けてみたところ、予定していた人数よりも多くの応募があったとのこと。多くの社員が会社に対する不信感を抱いていたということを、改めて確認しました。

    そうして27年にわたって勤めた会社との関係にピリオドを打ったのです。

    一社で長く働きたい、という気持ちはありつつも、転々とする働き方に

    早期退職を決めた後、再就職に向けての斡旋サービスがあったので利用。派遣会社へ登録し、求人の紹介を受ける環境を整えて、退職に至りました。

    退職した当時は、これまで働きづめだったこともあり、失業給付を受けながら、長く働ける会社をじっくりと探そう、という気持ちでいました。

    そんな矢先、母が病気にかかり入院。看病をしていると、自分の仕事が決まるかを気に病んでいることが伝わりました。「母を安心させるため」という動機もあって、予定よりも早めでしたが仕事を探すことにしたのです。

    これまでのようなハードな働き方はするつもりがなかったので、正社員ではなく派遣社員。そして、自宅から近めの場所で事務職的な仕事ができればいいな、という希望でした。

    「高望みしていない条件であれば、それなりに求人数はあるのでは」と考えていましたが、なかなか食指が動くような求人が出ない。このとき、年齢の壁というのはやはり大きいものだな、と実感しました。

    ですが、仕事を決めたい気持ちが強かったこともあり、紹介のあった大手の求人へ応募。採用となりました。

    しかし、仕事内容も社風も合わず、2ヶ月で退職。その後も派遣会社から紹介があり、これまでの経験が活かせる仕事や、面白みを感じられるような仕事にも出会いましたが、いずれも3ヶ月から半年程度で退職となりました。

    今は、派遣社員として経理関連の仕事に就いています。

    まとめ:いつかはまた、全力で打ち込める仕事に就きたい

    DSC_0019.png

    短期間で仕事を変える理由は、その企業・仕事ごとに異なりました。パワハラ的な社風を感じたり、勤務先が自宅から遠すぎたりと様々です。

    しかし、短期間で働き先を変えるようになったのは、きっと自分の働く姿勢、スタンスが変わったことが大きな理由だと思っています。

    これまでは正社員であり役職を持っていたため、関わるすべての業務を「自分ごと」として捉えていましたが、派遣社員として働く場合はどうしても「自分の仕事はここまで」という形で線を引いてしまうことも。

    そうなると、正直そこまで頑張る必要はないかな、という意識が働いてしまうこともあります。

    正社員のときはあれだけ嫌だった査定も、今となっては、自分のパフォーマンスを評価されることが、モチベーションにつながっていたのだとわかるようになりました。

    今思えば、早期退職を決めた後、焦って仕事を探すのではなく、じっくりと長く勤められる会社を探すべきだったかも、という気持ちはあります。

    とはいえ、派遣社員として働くことのメリットも多いもの。なんといっても、自分の時間が増えたこと、仕事に関するストレスが低いこと、そして様々な仕事に就くことができるのは派遣で働くメリットだと思います。

    問題は、自分の希望と、今の働き方がマッチしていないということだけかな、と思っています。

    今は派遣社員として自分の時間を確保しながら働くスタイルではありますが、今後両親が亡くなったあとなどを考えると、また全力で仕事に打ち込める職場を見つけて、夢中になって働いてみたい、という思いを持っています。

    なかなか難しいとは思いますけどね。
    ※年齢は2019年4月取材当時のものです

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