最低賃金、全国平均1,121円に! 5年連続の引き上げがもたらす生活と企業への影響
- ちょっと得する知識
- 公開日:2025年12月19日
2025年の最低賃金改定により、全国平均は過去最高の1,121円に到達しました。全都道府県で1,000円台を突破し、働く人々の生活や企業経営に大きな変化をもたらしています。背景や今後の展望を詳しく解説します。
この記事の目次
最低賃金は5年連続上昇!全国平均で1,121円に
2025年の最低賃金見直しによる、全国平均は1,121円となりました。これは2024年の最低賃金の平均額から66円アップしたことになります。東京都単体でみてみると、1,163円から63円の引き上げとなり1,226円。これまで900円台だった県も含め、全47都道府県の最低賃金は1,000円台に到達することになりました。
現在、最低賃金近くの報酬で働く人はおよそ700万人に上ることから、今回の引き上げの影響は多くの人の関心事項であったでしょう。今回の改正は、日本の労働環境における転換期とも言えます。
参考:厚生労働省 令和7年度地域別最低賃金の全国一覧
最低賃金とは、労働者に支払わなければならない最低額の賃金
最低賃金とは、企業側が労働者に支払わなければならない最低額の賃金を言います。最低賃金の対象となる賃金は、毎月の基本的な賃金です。毎月の基本的な賃金とは、割増賃金や通勤手当といった一部の手当を差し引いた賃金のことを指します。
最低賃金については、最低賃金法に定められており、企業側は最低賃金よりも低い賃金で労働者を雇用してはならないとされています。もし、そのような雇用契約があった場合、その契約は無効とされ、最低賃金額での契約とみなされるのです。
最低賃金の改定は、中央最低賃金審議会が示した目安をもとに、各都道府県の審議会で議論され、最終的な金額が決定される流れになっています。また、一概に最低賃金には、2つの種類があります。
地域別最低賃金
全国の都道府県ごとに設定される最低賃金。その地域内で働く労働者や企業が対象となり、業種や職種にかかわらず、パートやアルバイトを含めた、すべての労働者に適用されます。
特定最低賃金
特定の産業で働く労働者に適用される最低賃金。特定の産業における賃金水準や労働条件などを踏まえて設定されるため、地域別最低賃金より高くなることも低くなることもあります。
企業側は、この地域別最低賃金と特定最低賃金で、より高い金額の最低賃金を適用しなければなりません。
最低賃金が底上げされる一方で、物価高も続く今

最低賃金引き上げの目的には、労働条件をしっかりと定め、労働者の生活を守ることや消費活動を促し、経済を発展させることなどが挙げられます。現在の日本においては物価高が後を絶たず、食品や衣料品などの値上げラッシュが頻繁に行われています。
今回の最低賃金のアップで収入増加に繋がることから、働く人の労働意欲向上になると期待が寄せられている一方で、企業にとっては人件費の増加により経営圧迫を迫られてしまう側面もあることが懸念されています。
それでも、最低賃金が引き上げられることにより、最低賃金で働く多くのパートの時給は上がることになるため、職業間での格差是正などに繋がると見込まれています。
ただし、扶養内でパートをしている方にとってはこれまでよりも働く時間が少ない中で、扶養の上限額に達してしまう可能性があるため、働き控えを迫られてしまう場面もあるかもしれません。
企業が最低賃金を守らないとどうなる?
最低賃金を守らない場合、違反企業には罰則規定があります。30万円から50万円以下の罰金を科せられるほか、未払い分の賃金を支払わなければならないとされています。
また、パートの給料が最低賃金を下回っているときは、企業側に差額分の請求をできる決まりになっています。ただし、ここで注意しなければならないのは、不足分は過去2年分しか請求できない点です。
そのため、最低賃金未満であることがわかった際は、速やかに請求するようにしてください。それでも支払ってもらえないときは、労働基準監督署などに相談しましょう。
今後、最低賃金水準はどのようになる?

政府は、2020年代に最低賃金を全国平均で1,500円とする目標を掲げています。
この最低賃金1,500円という目標には、労働組合などが行う、単身者の生活に必要とされる「最低生計費」の試算が組み込まれています。
近年の物価高はあまりにもペースが速く、賃金アップがなくては最低限の生活を行うことが難しくなっている人も。そんな状況を打破するため、政府は賃金の上昇が物価高に追いつくようにと政策を推し進めているのです。
なお、最低賃金の改正は、地域間格差を是正することも目的の一つとしています。これまでは地域間格差が課題とされてきました。最低賃金が上がることによって、地域間格差の比率は徐々に縮小傾向にあるようです。
今年度の最高額と最低額での差は最高額の東京「1,226円」と最低額の高知や沖縄などの「1,023円」でした。まだ203円の差がある形とはなっていますが、最低賃金の差が埋まるにつれて、徐々に格差是正への動きも加速しています。
最低賃金上昇による働く私たちへの影響とは?
働く私たちにとって、最低賃金が上がることによる影響にはどのようなものがあるのでしょうか。
生活水準が上がる
最低賃金の引き上げで、手取り収入が増えます。所得増加により、食料品や光熱費などの家計の負担軽減効果が期待できます。
余裕が生まれれば、将来への投資に充てたり、趣味への支出も行ったりすることができるでしょう。また、個人の収入が増えれば、消費傾向も高まり、経済効果の高まりも期待できます。
社会保障が手厚くなる
最低賃金の上昇により、社会保険に新規で加入する方も増えるでしょう。これにより、傷病手当金や出産手当金などを受けられるだけではなく、年金額も増やすことができます。
年収の壁を超えると、手取りが減ってしまうのではとネガティブに捉える方もいるかもしれませんが、働けなくなった場合には所得保障も受けることができるなど、もしもの時に備えることができます。
最低賃金上昇で注意すべきことは?
一方で、最低賃金が上がることで注意しておくべき点もあります。106万円の壁を超えると、勤務先の社会保険に加入することになります。そして、130万円の壁を超えると、親族の扶養から抜けなければなりません。
最低賃金の上昇により、週20時間の就労で「106万円の壁」を超えやすくなります。たとえば、時給1,100円で週20時間のシフトで働いた場合、月給が88,000円となり年収106万円の壁を越えます。結果的に、社会保険料の納付義務が生じてしまい、結果的に毎月の手取り収入が減ってしまうという事態も起こり得てしまうのです。
最低賃金の上昇で企業が抱えるリスクとは?
最低賃金が上がることによって、企業にはどのようなリスクが考えられるのでしょうか。
離職リスクの増加
最低賃金が引き上げられると、パートや非正規社員の賃金が正社員の賃金に近づいたり、場合によっては逆転したりすることも。これによって既存の正社員や先輩従業員の間に不公平感が生まれ、モチベーションや生産性の低下、離職につながるリスクがあります。
採用競争が生まれる
時給ベースがどの地方でも引き上げられるため、求職者は「時給の高さ」だけで企業を選ばなくなります。そのため、採用における競争が激化し、良い人材を集めるためには給与以外の福利厚生などといった魅力が企業側には必要になってくるのです。
人手不足の深刻化
扶養内の上限を超えないよう、従業員の中には働き控えをする人が出てきてしまう懸念があります。そのため、パートタイムやアルバイトで日々の業務を回す飲食店などでは、深刻な人手不足に陥る可能性も否めないでしょう。
まとめ
私たちの生活に直接的に関わってくる、最低賃金のベースアップ。2025年は全国平均で過去最高の1,121円となり、働く私たちや事業者にとって大きな影響を及ぼす結果になったことでしょう。








