パートも最低賃金の対象になる!?仕組みと計算方法について【社労士監修】

  • ちょっと得する知識
パートも最低賃金の対象になる!?仕組みと計算方法について【社労士監修】

パートで働く人は、一般に正社員ほど会社や制度に守られていないこともあり、「最低賃金」についても「対象にならないのでは?」と勘違いしがちのようです。実際にはパートも対象になる「最低賃金」について、その仕組みや計算方法を確認しておきましょう。

この記事の目次

    最低賃金とは?

    pixta_19672098_M.png

    最低賃金は、国の法律に基づいて定められているものです。どのような内容の制度なのか、具体的に見ていきましょう。

    最低賃金とは?

    最低賃金とは、雇い主が従業員に支払わなければならない賃金の最低額のことです。「最低賃金法」に基づいて、国が地域や産業別に定めているもので、毎年審議をして見直ししています。金額は時間額、つまり時給で表わされます。

    最低賃金は、雇用の形や年齢に関係なく、すべての従業員に保障されているというのも大きなポイントです。正社員だけが対象の制度ではありません。高校生や65歳以上は除外では?と誤解されがちですが、地域別の最低賃金は適用されます。

    なお、最低賃金の対象は、毎月の「基本的な賃金」のみです。休日、時間外、深夜の割増賃金や臨時の手当などは含まれないので、支払われる賃金から除外して計算します。このことから、少々複雑なのが夜勤の仕事の場合でしょうか。夜勤の賃金は、基本的な賃金に深夜割増賃金がプラスされたものと考えられます。そのため、全体から深夜割増賃金を差し引いた金額が、基本的な賃金として最低賃金の対象となるのです。

    パートももちろん、最低賃金の対象に含まれる

    最低賃金の対象は、正社員に限りません。パートも、アルバイトも、派遣スタッフも、雇用形態にかかわらず最低賃金が保障されています。最低賃金の額も、正社員だから高い、パートだから低い、などという差はありません。あらゆる働き方において同額です。

    最低賃金には種類がある?

    「最低賃金」には、「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

    地域別最低賃金

    「地域別最低賃金」は、47都道府県ごとに定められた最低賃金です。産業や職種にかかわらず、各都道府県内の職場で働くすべての人が対象となります。年齢などの条件から、もうひとつの「特定(産業別)最低賃金」が適用されない場合にも、こちらは有効です。パートやアルバイトで働く人の多くは、この「地域別最低賃金」の対象と考えてよいでしょう。

    特定(産業別)最低賃金

    「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業について設定されている最低賃金です。「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認められている産業について、全国で最低賃金が定められています。具体的には、鉄鋼業、電気機械器具製造業などが対象ですが、年齢や就業期間、業務内容によっては適用されない場合があることに注意しましょう。

    また、「特定(産業別)最低賃金」と「地域別最低賃金」の両方が同時に適用される場合には、高い方の最低賃金額が適用されます。

    最低賃金の計算方法

    支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは、自分でチェックすることができます。最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を、以下の方法で比較してみましょう。

    時給の場合

    最低賃金は時間額、つまり時給で表わされているので、コンビニのアルバイトのように時給ベースで働く人は、チェックが簡単です。時給と最低賃金額を比較して、時給が最低賃金額以上であれば、問題ありません。

    時給≧最低賃金額(時間額)

    気をつけないといけないのは、該当する最低賃金の最新データを使うこと。地域別最低賃金は都道府県ごとに決まっており、さらに毎年見直しされています。たとえば東京都の最低賃金は、2018年10月時点で985円です。時給900円では最低賃金を下回ることになります。正しい金額を把握しておきましょう。

    日給の場合

    日雇いなど、日給で支払われる賃金は、働いた労働時間数で割り算し、日給を時給に換算して比較します。

    日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

    たとえば、埼玉県で所定労働時間1日あたり8時間、日給8,000円で働いている場合を計算してみましょう。1時間当たりの時間給は1,000円となり、埼玉県の最低賃金額898円をクリアしていることがわかります。(2018年10月現在)

    ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給のまま、日額の最低賃金額と比較します。

    日給の場合

    月給では、まず残業代や通勤手当、ボーナスなどの諸手当を差し引いたものを基本給とし、「基本給÷1ヶ月の労働時間」で割り算して時給を出します。

    月給÷1ヶ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

    広島県で、基本給150,000円、1ヶ月の所定労働時間150時間働く例で見ると、1時間当たりの時間給は1,000円。広島県の最低賃金額844円を上回り、問題ないことがわかります。(2018年10月現在)

    2018年(平成30年)10月最新版の地域別最低賃金一覧

    地域別最低賃金は、都道府県によって大きな差があります。2018年10月の最新版では、761円から985円までの幅があり、地域差がはっきりしています。最新版をチェックしておきましょう。

    地域別最低賃金ランキングTOP10

    2018年 10月の地域別最低賃金一覧から、最低賃金時間額の高い都道府県ランキングTOP10を見てみましょう。

    最低賃金.jpg

    地域別最低賃金は、都市部で高い傾向があります。なかでも、関東圏の東京都と神奈川県および関西圏の大阪府が飛びぬけていることがわかります。埼玉県と愛知県が同額で続き、9位には静岡県が入っています。

    最も最低賃金が安い県は?

    一方、最低賃金の安い都道府県は、大都市を持たない地域で、九州や東北に多く見られます。最低賃金が最も安い県は、鹿児島県で761円。次いで、762円の県は、九州では佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、沖縄県。東北では青森県、岩手県、秋田県。そして高知県と鳥取県が並んでいます。

    最低賃金より下回っている場合はどうすれば良い?

    pixta_34136824_M.png

    今の仕事で支払われている賃金が最低賃金より下回っているとわかったら、まずはそのことを、雇い主に話してみましょう。最低賃金と同額の賃金を求めることができますし、「最低賃金額-賃金額」の差額を請求する権利も保障されています。

    双方合意の上で契約したものであっても同様です。最低賃金を知らずに、最低賃金より安い時給で契約してしまうこともあるかもしれませんが、そうであっても、最低賃金を下回る契約は法律上無効だということです。

    雇い主と話をしても解決しない場合には、最寄りの労働基準監督署に相談しましょう。差額分の請求をする際にも、力になってもらえるはずです。

    雇い主は最低賃金を知っている必要があります。最低賃金を下回る賃金は法律違反であり、「知らなかった」では済まされません。悪質な場合には、罰金が科されます。

    最低賃金をチェックして賢く働こう

    最低賃金の制度は働く人を守るためのものなので、正社員だけでなく、パートもしっかりカバーしています。法律で認められた権利を知り、毎年見直される最低賃金の金額をチェックしながら、賢く働きたいものですね。

    記事に関する問合せは、ご意見・お問い合わせよりお寄せください。
    ※個別の相談はお受けできかねます。予めご了承ください。

    マイナビミドルシニアに会員登録(無料) マイナビミドルシニアに会員登録(無料)

    記事をシェアする

    • Twitter
    • Facebook
    • Line

    関連する求人

    しゅふのお仕事

    あなたへのオススメ記事

    人生100時代を生き抜くために、在職定時改定を知っておく!

    人生100時代を生き抜くために、在職定時改定を知っておく!

    皆さん、2022年4月から「在職定時改定」という制度が導入されることをご存じですか?まだ知らないという方も人生100年時代を生き抜くために、在職定時改定をきちんと把握しておきましょう!

    • ちょっと得する知識
    • 2022年4月18日
    高年齢再就職給付金を活用して、心に余裕のある再就職を!

    高年齢再就職給付金を活用して、心に余裕のある再就職を!

    健康なうちは働きたいと思っている方が多くいらっしゃいますが、企業によっては定年以降、社員の雇用が難しいところも…。さらに、今後は年金の受給年齢も上がることが予想されています。そこで今回、シニアの再就職で活用すべき高年齢再就職給付金についてご紹介します。

    • ちょっと得する知識
    • 2022年3月16日
    再就職手当を受け取って、損をしない再就職を目指そう!

    再就職手当を受け取って、損をしない再就職を目指そう!

    春先になると、転職をして新たなライフステージを迎える方が多くなる頃。しかし、再就職するにあたり再就職手当を理解していない人も多いのだそう。本日は、再就職で損をしないためにも再就職手当についてご紹介します。

    • ちょっと得する知識
    • 2022年2月22日
    介護保険料とは?支払い開始時期や金額など疑問を解決

    介護保険料とは?支払い開始時期や金額など疑問を解決

    ミドルシニア層になると老後における介護について、少しずつ考え始めるのではないでしょうか。介護の負担を軽減するために制定された介護保険。今回は、その介護保険にかかる介護保険料の支払い開始時期や実際に支払う料金について詳しくお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

    • ちょっと得する知識
    • 2022年2月 1日
    ミドルシニア世代の副業・兼業に秘められた可能性。メリットとデメリットを解説

    ミドルシニア世代の副業・兼業に秘められた可能性。メリットとデメリットを解説

    コロナウイルスの永続化や定年制度の延長など、急激な社会の変化に直面するなかで、キャリアを見つめ直すミドルシニア世代(40代から60代)が増えています。これまでは本業一本で仕事をしていた人も、副業や兼業に一歩踏み出したいと考えている人も多いはず。そこで今回は、ミドルシニア世代の副業や兼業の可能性やメリット・デメリット、注意すべきポイントなどを紹介していきます。

    • ちょっと得する知識
    • 2021年12月21日
    扶養内の働き方。130万円の壁だけじゃない!意外な落とし穴をご紹介

    扶養内の働き方。130万円の壁だけじゃない!意外な落とし穴をご紹介

    家計にプラスの収入は欲しいけれど、家事や育児との両立を考えて扶養控除の範囲内で働く、という方は多いでしょう。そうした“扶養内ワーカー”の皆さんが毎年、収入の目安としているのが年収130万円未満、いわゆる「年収130万円の壁」ではないでしょうか。ただ、その壁をうっかり超えてしまったらどうなるのか、については意外と知られていません。そこで今回、収入の壁を超えた場合、どのような影響があるのか、どのように行動すればよいのかを解説します。「これから扶養に入る」という方も、ぜひ参考にしてみてください。

    • ちょっと得する知識
    • 2021年12月 8日

    おすすめ・シリーズ記事

    人気記事ランキング

    おすすめの求人はこちら

    活躍中の年代から探す
    雇用形態から探す
    募集条件から探す
    働き方から探す
    福利厚生から探す
    職種から探す
    マイナビミドルシニアに会員登録(無料) マイナビミドルシニアに会員登録(無料)