パートも最低賃金の対象になる!?仕組みと計算方法について【社労士監修】

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パートも最低賃金の対象になる!?仕組みと計算方法について【社労士監修】

パートで働く人は、一般に正社員ほど会社や制度に守られていないこともあり、「最低賃金」についても「対象にならないのでは?」と勘違いしがちのようです。実際にはパートも対象になる「最低賃金」について、その仕組みや計算方法を確認しておきましょう。

この記事の目次

    最低賃金とは?

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    最低賃金は、国の法律に基づいて定められているものです。どのような内容の制度なのか、具体的に見ていきましょう。

    最低賃金とは?

    最低賃金とは、雇い主が従業員に支払わなければならない賃金の最低額のことです。「最低賃金法」に基づいて、国が地域や産業別に定めているもので、毎年審議をして見直ししています。金額は時間額、つまり時給で表わされます。

    最低賃金は、雇用の形や年齢に関係なく、すべての従業員に保障されているというのも大きなポイントです。正社員だけが対象の制度ではありません。高校生や65歳以上は除外では?と誤解されがちですが、地域別の最低賃金は適用されます。

    なお、最低賃金の対象は、毎月の「基本的な賃金」のみです。休日、時間外、深夜の割増賃金や臨時の手当などは含まれないので、支払われる賃金から除外して計算します。このことから、少々複雑なのが夜勤の仕事の場合でしょうか。夜勤の賃金は、基本的な賃金に深夜割増賃金がプラスされたものと考えられます。そのため、全体から深夜割増賃金を差し引いた金額が、基本的な賃金として最低賃金の対象となるのです。

    パートももちろん、最低賃金の対象に含まれる

    最低賃金の対象は、正社員に限りません。パートも、アルバイトも、派遣スタッフも、雇用形態にかかわらず最低賃金が保障されています。最低賃金の額も、正社員だから高い、パートだから低い、などという差はありません。あらゆる働き方において同額です。

    最低賃金には種類がある?

    「最低賃金」には、「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

    地域別最低賃金

    「地域別最低賃金」は、47都道府県ごとに定められた最低賃金です。産業や職種にかかわらず、各都道府県内の職場で働くすべての人が対象となります。年齢などの条件から、もうひとつの「特定(産業別)最低賃金」が適用されない場合にも、こちらは有効です。パートやアルバイトで働く人の多くは、この「地域別最低賃金」の対象と考えてよいでしょう。

    特定(産業別)最低賃金

    「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業について設定されている最低賃金です。「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認められている産業について、全国で最低賃金が定められています。具体的には、鉄鋼業、電気機械器具製造業などが対象ですが、年齢や就業期間、業務内容によっては適用されない場合があることに注意しましょう。

    また、「特定(産業別)最低賃金」と「地域別最低賃金」の両方が同時に適用される場合には、高い方の最低賃金額が適用されます。

    最低賃金の計算方法

    支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは、自分でチェックすることができます。最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を、以下の方法で比較してみましょう。

    時給の場合

    最低賃金は時間額、つまり時給で表わされているので、コンビニのアルバイトのように時給ベースで働く人は、チェックが簡単です。時給と最低賃金額を比較して、時給が最低賃金額以上であれば、問題ありません。

    時給≧最低賃金額(時間額)

    気をつけないといけないのは、該当する最低賃金の最新データを使うこと。地域別最低賃金は都道府県ごとに決まっており、さらに毎年見直しされています。たとえば東京都の最低賃金は、2018年10月時点で985円です。時給900円では最低賃金を下回ることになります。正しい金額を把握しておきましょう。

    日給の場合

    日雇いなど、日給で支払われる賃金は、働いた労働時間数で割り算し、日給を時給に換算して比較します。

    日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

    たとえば、埼玉県で所定労働時間1日あたり8時間、日給8,000円で働いている場合を計算してみましょう。1時間当たりの時間給は1,000円となり、埼玉県の最低賃金額898円をクリアしていることがわかります。(2018年10月現在)

    ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給のまま、日額の最低賃金額と比較します。

    日給の場合

    月給では、まず残業代や通勤手当、ボーナスなどの諸手当を差し引いたものを基本給とし、「基本給÷1ヶ月の労働時間」で割り算して時給を出します。

    月給÷1ヶ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

    広島県で、基本給150,000円、1ヶ月の所定労働時間150時間働く例で見ると、1時間当たりの時間給は1,000円。広島県の最低賃金額844円を上回り、問題ないことがわかります。(2018年10月現在)

    2018年(平成30年)10月最新版の地域別最低賃金一覧

    地域別最低賃金は、都道府県によって大きな差があります。2018年10月の最新版では、761円から985円までの幅があり、地域差がはっきりしています。最新版をチェックしておきましょう。

    地域別最低賃金ランキングTOP10

    2018年 10月の地域別最低賃金一覧から、最低賃金時間額の高い都道府県ランキングTOP10を見てみましょう。

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    地域別最低賃金は、都市部で高い傾向があります。なかでも、関東圏の東京都と神奈川県および関西圏の大阪府が飛びぬけていることがわかります。埼玉県と愛知県が同額で続き、9位には静岡県が入っています。

    最も最低賃金が安い県は?

    一方、最低賃金の安い都道府県は、大都市を持たない地域で、九州や東北に多く見られます。最低賃金が最も安い県は、鹿児島県で761円。次いで、762円の県は、九州では佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、沖縄県。東北では青森県、岩手県、秋田県。そして高知県と鳥取県が並んでいます。

    最低賃金より下回っている場合はどうすれば良い?

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    今の仕事で支払われている賃金が最低賃金より下回っているとわかったら、まずはそのことを、雇い主に話してみましょう。最低賃金と同額の賃金を求めることができますし、「最低賃金額-賃金額」の差額を請求する権利も保障されています。

    双方合意の上で契約したものであっても同様です。最低賃金を知らずに、最低賃金より安い時給で契約してしまうこともあるかもしれませんが、そうであっても、最低賃金を下回る契約は法律上無効だということです。

    雇い主と話をしても解決しない場合には、最寄りの労働基準監督署に相談しましょう。差額分の請求をする際にも、力になってもらえるはずです。

    雇い主は最低賃金を知っている必要があります。最低賃金を下回る賃金は法律違反であり、「知らなかった」では済まされません。悪質な場合には、罰金が科されます。

    まとめ:最低賃金をチェックして賢く働こう

    最低賃金の制度は働く人を守るためのものなので、正社員だけでなく、パートもしっかりカバーしています。法律で認められた権利を知り、毎年見直される最低賃金の金額をチェックしながら、賢く働きたいものですね。

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