不労所得には税金がかかる?計算方法や確定申告が必要になる条件・やり方も紹介
- ちょっと得する知識
- 公開日:2025年12月 8日
老後の資産形成に向けて人気が高い不労所得ですが、どのような種類があるか知らない人もいるのではないでしょうか。今回は不労所得の種類から、税金の種類と計算方法や確定申告が必要になる条件などをご紹介します。投資や副業などの不労所得に興味がある人は、ぜひ一度ご確認ください。
この記事の目次
不労所得とは働かなくても得られる収入
不労所得とは、個人が直接働かなくても得られる報酬・収入のことを指します。例えば、会社員の場合は、出社をして働いた分を給与として受け取りますが、不労所得は寝ている間や食事をしている間にも発生した収入を指します。
本業をしながら副業として取り組む人が多く、スキマ時間で取り組める仕事が多いのも不労所得のメリットです。ただし、内容によっては初期投資に多くのお金が必要になったり、専門知識が求められたりとリスクや手間がかかるものがあります。
また、本業の会社が副業を禁止している場合、不労所得を得ることが違反となる可能性も出てきます。不労所得は労働は行いませんが、管理や運営の手間がかかる点を知っておいてください。
不労所得の種類
不労所得を得られる方法には、いくつかの種類があります。代表的な方法を7つご紹介いたしますので、まずは興味があるものがないか確認してみてください。
不動産投資
不労所得の代表的なものに、不動産投資があります。不動産を購入して、賃貸として貸し出すことで家賃収入を得る方法です。不動産を売買して利益を得る方法もありますが、家賃収入よりもリスクが高く専門知識も必要なため、初心者には不向きです。
一定条件を満たしていればローンを組んで購入ができるので、少ない自己資金でも始められます。毎月安定したお金が入ってくるので、老後の資金形成にも向いています。ただし、空室や滞納などのリスク、将来的には修繕が必要となるなど管理に手間がかかる点はデメリットです。
駐車場経営
不動産投資よりもリスクを下げたい場合は、駐車場経営がおすすめです。機械を設置すれば、基本的には無人で運営ができます。初期費用はかかりますが、人件費などの運営費用を抑えられること、変形地や狭い土地でも運営できるのがメリットです。
ただし、周辺環境の影響を受けやすく、収益性が家賃収入と比べると低いというデメリットもあります。駐車場経営は減価償却ができないため、利益が出るほど税負担が大きくなり、手元に残るお金が少なくなる可能性もあるでしょう。
株式投資
企業の株式を購入して、配当金や株主優待などを受け取れるほか、売却によって利益も得られるのが株式投資です。企業の業績が良ければ、貯蓄をする以上の利回りを受け取れる可能性があります。
ただし、値下がりリスクや上場廃止などのリスクもあり、一晩で収益がマイナスになる可能性も。少しでもお得に株式投資を始めたい場合は、NISAを利用しましょう。NISAで株式投資を行うと通常、利益の受け取り時にかかる税額が非課税になります。
投資信託
投資信託は専門家が投資家から集めた資金を運用し、運用によって得た利益を投資家へ分配するという金融商品です。プロに運用を任せられるため、投資初心者でも始めやすく、少額からでも購入できるというメリットがあります。
長期・分散・積立に適しているため、老後資産をゆっくりと作りたい人に向いている商品です。まずは不労所得を得る一歩目として、投資信託を始めるのがおすすめです。一方で、元本割れのリスクがある点や、運用などに手数料がかかることがデメリットです。
暗号資産
暗号資産は日本では仮想通貨とも呼ばれており、インターネット上でのみ流通する通貨を購入して、値上がり益を狙う商品です。代表的な銘柄はビットコイン・イーサリアム・リップルなどがあります。
すべてがネット上でのやり取りになるため、24時間365日いつでも売買できるほか、大きな利益を狙いやすい点がメリットです。一方で価格が乱高下しやすいので、大きな損失を出すリスクが高いこと、値動きを追い続けるのが難しいなどのデメリットもあります。
詐欺事件やハッキングの被害なども報告されており、情報収集や適切な状況判断が、通常の投資商品以上に必要となるでしょう。
広告収入
広告収入はブログやSNSなどで商品やサービスを紹介し、収入を得る方法です。広告収入には成果報酬型のアフィリエイトと呼ばれる、広告を貼った後に商品が売れたり、サービスを利用する人がいたり、一定の条件を満たすと報酬が得られる仕組みのものがあります。
他には動画内に広告を貼り付けるものがあり、広告が視聴されれば収入が入ってきます。趣味を活かしてブログ・SNS・動画で収益を得られる点や、初期費用を抑えて始められるのはメリットです。しかし、収益化させるまでに時間がかかることや、継続が難しいなどのデメリットもあります。
印税収入
本や曲などの著作物を販売すると、著作権を有する人に対して、使用料である印税収入が入ってきます。電子書籍での出版や写真販売などが、印税収入に該当します。
好きなことや得意を活かして収益を得られるので、初めて不労所得作りを行う人でも気軽に始められるのが特徴です。しかし、広告収入と同様に収益化までに時間がかかったり、継続が難しかったりという点がデメリットとなります。
不労所得にかかる税金の種類

不労所得には、それぞれに応じた税金が発生します。自身の不労所得はどの区分に該当するのか、ご確認ください。
不動産所得
不動産所得に該当するのは、不動産を所有しており、家賃収入などを得ている場合です。具体的には土地・建物の不動産貸付や、船舶・航空機の貸付などが不動産所得に含まれます。
計算式は、不動産所得=総収入金額-必要経費です。必要経費には、以下のような費用項目が含まれています。経費となる項目が多いので、節税対策がしやすいのが不動産所得の特徴です。
• 固定資産税
• 減価償却費
• 修繕費
• 損保保険料
山林所得
山林所得は所有している山林を伐採して譲渡したり、整備せずに立木のまま譲渡したりした時にかかる所得のことです。山林所得として認められるには保有期間が5年を超えている必要があり、5年以下であれば対象外です。5年以内に伐採や譲渡を行うと、事業的規模であれば事業所得、事業規模でないなら雑所得として計算されます。
計算式は、山林所得=山林譲渡による総収入金額-必要経費-特別控除(最高50万円まで)です。その他、概算経費控除や森林計画特別控除などの控除が利用できる可能性もあります。
事業所得
事業所得は農業・漁業・サービス業など、対価を得て継続的に行われている事業が該当します。開業届を提出して、アフィリエイトブログや動画編集などを行っている場合は事業所得になります。
計算式は、事業所得=総収入金額-必要経費です。さらに、青色申告を選択している場合は、上記で算出された所得から青色申告特別控除の利用ができるため、税額を抑えられます。
一時所得
一時所得とは、営利目的での継続的な所得ではないものを指します。計算式は、(総収入金額-経費-特別控除(最大50万円まで))×2分の1です。一般的な一時所得は以下の通りです。
• 保険の満期返礼金
• 生命保険の一時金
• 宝くじなどの賞金
• 競馬や競輪の賞金
利子所得
利子所得とは、預貯金・国債・合同運用信託の収益分配金などの、利子による所得のことです。利子所得の場合は計算式はなく、収入金額がそのまま課税金額となります。また、利子の支払い時に所得税15%・住民税5%・復興特別所得税(所得税額×2.1%)が源泉徴収されます。
配当所得
株や公債などの配当金で得たお金は、配当所得に分類されます。税率は上場株式の配当と上場株式以外の配当によって異なり、上場株式は20.315%、上場株式以外は20.42%の税率が発生します。
計算式は、配当所得=総収入金額-借入金にかかる負債利子です。配当金は源泉徴収されているため、基本的に確定申告は不要です。
雑所得
雑所得とは、他の所得には分類されない所得のことです。計算式は収入が公的年金か、それ以外かによって異なります。
年金収入の場合、計算式は公的年金等雑所得=収入金額-公的年金等控除額です。公的年金以外の所得は、公的年金等以外の雑所得=総収入金額-必要経費です。公的年金以外の雑所得には、FX・個人年金保険・講演料・印税などが該当します。
不労所得で確定申告が必要になる条件
不労所得を得ている場合、確定申告が必要なのかが気になっている人も多いでしょう。以下では、確定申告が必要なケースをご紹介いたします。
会社員の場合は年間20万円以上
会社員として働いている場合、本業以外の所得が年間で20万円以上になったら確定申告が必要です。しかし、不労所得の収入以外にも医療費控除を利用したり、2箇所以上で給料を受け取っていたりする際は、確定申告が必要になります。不労所得の金額に関係なく、確定申告をすべきかどうか、事前に確認してください。
自営業なら金額に関係なく必要
自営業を行っている場合は、不労所得の金額に関係なく確定申告が必要です。本業での収益を計上するほか、各種控除を適用して正確な税額を計算します。不労所得を得ている場合は、従来の収入に加えて追加するだけですので、申告に関する手間はあまり変わらないでしょう。
住民税の申告は必ず必要
不労所得の金額に関係なく、住民税の申告は必ず必要になります。住民税は賦課課税制度が採用されているため、確定申告を行わないと正しい金額が計算されません。不労所得が20万円以下だからと、住民税の申告をしないままでいると脱税行為と捉えられる可能性もあります。忘れずに住民税の申告を行いましょう。
確定申告の方法

確定申告を行う際は、確定申告書類を毎年2月16日〜3月15日までに、管轄の税務署へ提出する必要があります。まずは、その年の1月1日〜12月31日までの不労所得の収入金額と所得区分を調べて、正しい課税額を計算しましょう。
確定申告書類には第一表に、収入金額・所得額・税金の計算を記入、第二表に所得の内訳を記入します。
不労所得の税金額を減らすコツ
不労所得の税金を少しでも減らしたいと考えている人もいるでしょう。節税をするなら、以下の3つを検討してみてください。
青色申告を活用する
青色申告が利用できれば、青色申告特別控除が適用されるため、課税所得からさらに控除が入ります。65・55・10万円のいずれかが控除されるので、活用すれば白色申告よりもかなり税額を抑えられるでしょう。
正しい経費計上を行う
正しい経費計上によって税額が下がる可能性もあります。経費ではないと思っていたものが、調べると経費に含められるものだったというケースはめずらしくありません。不労所得の区分によって、経費として含められるものは異なるので、事前に調べておいてください。
法人化を検討する
所得額が大きい場合は法人化によって、税率が下がる可能性もあります。税額が高いと感じたら、一度法人化の相談なども検討してみてください。
まとめ
不労所得に税金が発生するのか、その区分などについてご紹介いたしました。不労所得は労働をしなくても得られる収入のことで、不動産投資・株式投資・広告収入などが該当します。
それぞれ、不動産所得・配当所得・事業所得などに分類され、所得に応じた税金が課せられます。確定申告が必要になるケースもあるため、不労所得の種類と所得の区分を把握しておきましょう。不労所得を活用して、ぜひ老後の資産形成を進めてください。








