副業の所得が20万円以上で、確定申告が必要に!条件や経費について解説
- ちょっと得する知識
- 公開日:2025年2月 7日

多様な働き方が認められてきている中、副業を推奨している会社も多くなってきました。そこで、本日は副業をする場合、どのような条件で確定申告が必要となるかについてご紹介します。
副業の定義とは?
そもそも副業とは、本業以外の仕事で収入を得ることです。パートやアルバイトなど企業に雇われて働くことや、自ら起業して事業主として行うものなど、本業の収入とは別で収入を得ることを指します。副業による働き方は法律によって明確には定義されていませんが、政府によって2018年の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」に要項が載せられています。
ただし、副業は会社によっては就業規則で禁止されている場合がありますので注意が必要です。この就業規則とは、賃金や労働条件といったいわば職場内のルールのことです。業務上の秘密が漏えいする場合や、業務に支障が認められるといった事案に該当する場合は、会社がルールに則り副業を制限することが許されています。
「複業」と「兼業」とはどのように違うのか
副業と似た言葉に「複業」と「兼業」があります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
副業は本業の時間外に取り組む仕事なので、仕事にかける労力は本業の方が大きくなるのに対して「複業」は2つ以上の仕事を掛け持ちする働き方のことで、どの仕事も同じくらいの労力をかけて働くのが特徴です。そんな「複業」はパラレルワークと呼ばれることも。
そして「兼業」とは、本業以外に自ら営む事業やほかの仕事を掛け持ちして働くことです。「兼業」も働き方は副業と似ているものの、副業があくまでもサブの仕事であることを示すのに対し、「兼業」であれば本業と同じくらいの労力をかける仕事という認識になります。
データ元:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
副業したら、確定申告が必要?
このように、本業だけではなく副業をすることが当たり前となってきている今、忘れてはならないことがあります。それは条件を満たした場合には〈確定申告の必要がある〉ということです。しっかりと申告しておかないと後で「こんなはずではなかった...」という事態に陥ってしまうこともありますので、注意しましょう。
では、副業をした際に確定申告をしなければいけない条件には、どのようなものがあるのでしょうか。会社員やアルバイトといった勤務先から給与を受け取っている「給与所得者」は、副業で20万円を超える所得を得た場合に本業先での年末調整とは別に、確定申告をする必要があります。
給与所得者は、勤め先が給料やボーナスからすでに源泉所得税を差し引いているので、年末に会社側が正確な税額を算出して、その過不足を調整する「年末調整」を行います。ですから、1ヵ所で給与所得を得ているだけの人は、この年末調整を経れば確定申告の必要はありません。
しかし、副業をしたことで他で所得を得ると、毎年2月16日から3月15日に行われている確定申告をご自身で行う必要が出てくるのです。これを踏まえ、日本の税制度上で確定申告が必須となる具体的な条件をまとめてみると・・・
・給与収入が2000万円を超える人
・給与を1ヵ所から受け取り、他に所得が20万円を超える場合
・給与を2ヵ所以上から受け取り、年末調整をしなかった場合
つまり、副業をしている方の場合「20万円以上の所得があったかどうか」が確定申告の要件になってくるのです。これは給与所得者の場合においての条件となります。専業主婦やフリーランスの場合は、所得が48万円以下であれば確定申告の必要はないので覚えておきましょう。
また、副業と一概に言っても様々な種類もあるので、自分は大丈夫だと思っても確定申告が必要だった場合に当てはまっていることも。副業に関する「所得」については、他にも以下のようなものがあります。
配当所得
株式の配当金や投資信託の収益分配金などによる所得のこと。上場株式等の配当所得においては配当が支払われる際に源泉徴収されているため、確定申告せずに税金の手続きを終えることができますが「配当控除」や「譲渡損失との損益通算」などの適用を受ける場合は、確定申告を行う必要が出てきます。
不動産所得
土地や建物などの不動産による所得です。不動産所得の金額は、総収入金額から不動産収入を得るための必要経費を差し引いて計算します。会社勤めである場合、不動産所得が20万円を超えると確定申告が必要となります。
雑所得
雑所得とは、公的年金や生命保険契約等に基づく年金などが当てはまります。こちらも一定の収入が出た際に、確定申告の必要があるので注意しておきましょう。
確定申告をする際に、必要なものは?
確定申告をするにあたって必要なものは下記の通りです。
・確定申告書
・源泉徴収票や報酬の支払調書など本業・副業の収入に関する書類
・マイナンバーカード
・経費になる領収証
今はインターネットを通して自宅からもe-Taxといって確定申告が行えるようになっています。しかし、初めて確定申告を行う方は要領がわかっていないことがほとんどだと思いますので「何からやればいいかわからない...」という方は、一度最寄りの税務署に相談に乗ってもらいましょう。
所得という点に注意!経費や控除は要確認
副業で確定申告が必要になる場合、気を付けなくてはならない点があります。それは、『所得が20万円以上』ということです。ここでいう所得とは、収入から経費や控除を差し引いた金額のことを指します。
たとえば、副業でライターをしている場合、作業した費用(会議費やパソコン購入費)や書籍の購入(新聞図書費)などを経費として差し引くことができます。例えば、会社給与のあるサラリーマンが副業で20万円の収入を得て、かかった経費が6万円だとすると・・・〈副業収入〉20万円 - 〈経費〉6万円 = 14万円(副業所得)となります。
副業の収入単体でみると20万円なので、確定申告の必要性がありそうです。しかし経費を引いた場合、所得は14万円となるので、確定申告の必要はないことになります。このように、所得と収入の違いを把握し、適切な確定申告を行うようにしましょう。
どのようなものが経費として認められるのか?
事業のために支出した費用であれば、副業であっても経費計上が可能となります。経費として認められるものを細かく見ていきましょう。
家賃
事務所を借りている場合は、事務所の家賃を経費にすることができます。また、事務所を借りず自宅で副業の業務を行っている場合は、家賃を「業務で利用する割合」で按分して経費計上することができます。
設備や消耗品などの費用
副業を行う上で必要となる設備費用も経費として計上できます。たとえば、文房具といった消耗品や衣類など、業務での必要性によって経費に該当します。〈消耗品として経費計上できるものの例〉パソコンや携帯電話などの通信費・水道光熱費・文房具などの消耗品
保険料
自宅兼事務所や事務所の火災保険料や地震保険料といった保険料も経費として認められます。自宅で副業をしている場合は、家賃と同じく按分して計上となります。
交際費
事業に関する飲食代や交通費も経費となる場合がほとんどです。顧客との打ち合わせに利用したカフェ代や取材のための交通費など、経費計上することができるので、きちんと領収書を取っておくようにすると確定申告の際に慌てずに済みます。
また、副業で経費に計上できないものもあるので留意しておいてください。副業を行う場合は、予め経費として認められるかどうかを確認しておくと、確定申告の際に慌てずにいられるでしょう。考え方としては、経費として認められるものに関しては"業務で必要かどうか"の線引きで考えてみると間違いなさそうです。
副業の所得が20万円以下でも、確定申告をした方がよい場合
下記の条件に当てはまる人は、税金の還付を受けられる可能性があるため、副業所得が20万円以下でも確定申告をした方が良いでしょう。
住宅ローン控除や医療費控除などを受ける場合
確定申告によって納めすぎた税金の一部が返戻されることがありますから、確定申告は必ず行うようにしましょう。住宅ローン控除は2年目以降勤務先の年末調整で手続きできますが、初年度は確定申告が必要になるので覚えておいてください。
医療費控除は年末調整では手続きできないため、副業で得た所得金額に関係なく確定申告が必要です。
確定申告をし忘れるとどうなる?
確定申告が必要だったのにしていない場合、罰則があるので注意する費用があります。申告を怠ると、以下のようなペナルティが科される可能性があるので注意しましょう。
無申告加算税
確定申告期限を過ぎても申告がなされていない場合に、無申告加算税が課されることがあります。申告期限後に自主的に申告した場合にも、申告しなかったことに対するペナルティとして課税されてしまいますので注意しましょう。
延滞税
延滞税とは、期限内に税金を納付しなかった場合に発生するものです。未納税額に対して課され、納付が遅れれば遅れるほどその額は増加していきます。延滞税は時間とともに増加し、多額な額となることがあるため、税金の納付を守ることが重要です。
重加算税
重加算税は、副業所得を意図的に隠すことや虚偽の申告を行った場合に適用される非常に重い加算税です。所得税の場合、特に悪質と認定されてしまうと税率を40%まで引き上げられることもありますので注意してください。
データ元:国税局「加算税の概要」
まとめ
副業が当たり前となってきた今、収入を増やすことで物価高に備えたり老後の資金に充てたり、と考えている方も少なくありません。しかし、副業にまつわる所得が20万円以上になったら、しっかりと確定申告を行うようにしましょう。