2024年12月からiDeCoが改正!引上金額や改正前との違いや注意点を解説

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2024年12月からiDeCoが改正!引上金額や改正前との違いや注意点を解説

老後の資金を貯められる制度であるiDeCoが、2024年12月に改正されました。今回は、iDeCoの基本情報から改正された内容、iDeCoと退職金の関係などについてご紹介します。また、今後予定されている改正内容についても紹介するため、iDeCoを始めている人も始めるか検討している人も、ぜひご一読ください。

この記事の目次

iDeCoの基本情報について

iDeCoは個人型確定拠出年金のことであり、自分が拠出した掛金を運用して資産を作る年金制度です。運用して形成した掛金を受け取れるのは、原則60歳になってからとなります。

iDeCoに加入できるのは、満20歳〜65歳未満の公的年金の被保険者の人です。現時点で国民年金の支払いをしていない人や、免除などを受けている人は加入できません。また、農業年金に加入している人、勤め先の企業型確定拠出年金で事業主掛金に上乗せして、マッチング拠出をしている人なども加入の対象外です。

iDeCoの掛金の上限額

iDeCoの掛金の上限額は、以下の通りです。

加入資格 拠出上限額
第1号被保険者・任意加入被保険者
自営業者など
月額6.8万円(年間81.6万円)
国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠
第2号被保険者
会社員・公務員
会社に企業年金がない場合:月額2.3万円(年間27.6万円)
第2号被保険者
会社員・公務員
企業型DCのみに加入している・DBと企業型DC加入している・公務員:月額2.0万円(年間24.0万円)
第3号被保険者
専業主婦(夫)
月額2.3万円(年間27.6万円)

iDeCoの受取方法

運用を行った掛金は、60歳以降に以下の3つの方法から受け取り可能です。

1. 一時金として一括で受け取る
2. 年金として受け取る
3. 一時金と年金を組み合わせて受け取る

受け取りは60歳以降が原則ですが、加入期間によっては60歳になっても受け取りができない場合があります。例えば、iDeCoへの加入が8年以上10年未満であれば61歳から、1月以上2年未満であれば65歳からとなります。

iDeCoの今回の改正による変更点とは

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今回2024年12月に行われた改正による、変更点を3つご紹介します。自身に影響がある点はないか、ぜひご確認ください。

拠出限度額の変更

以前までは公務員を含む、確定給付型の他の制度を併用した場合、拠出限度額が月額1.2万円でした。しかし、今回の改正によって月額2万円までに上限が変更となります。ただし、企業型DCやDBをなどの制度と合算して、月額5.5万円を超えることはできません。

変更前 変更後
企業型DCとDB等の他制度に加入 月額2.75万円-各月の企業型DCの事業主掛金額(上限は月額1.2万円) 月額5.5万円-各月の企業型DCの事業主掛金額(上限は月額2万円)
DB等の他制度のみに加入 月額1.2万円 月額5.5万円-各月の企業型DCの事業主掛金額(上限は月額2万円)

今回の改正によって、企業型DCの事業主掛金額とDB等の他制度の掛金相当額によっては、iDeCoの掛金の上限額が小さくなる、最低額を下回るといった可能性があります。

加入時の事業主証明書の廃止

以前まではiDeCoへ加入する際や諸変更時に、会社員や公務員の人は「事業主の証明書」を提出する必要がありました。しかし、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金の合算管理の仕組みにDB等の他制度掛金相当額を併せて管理することにより、iDeCoの実施主体である国民年金基金連合会は、毎月企業年金の加入状況を確認できるようになります。

そのため、加入時・諸変更時の事業主の証明書は2024年12月から廃止となり、より気軽にiDeCoを利用できるようになります。ただし、事業主払込を行う人は、引き続き事業主の証明書が必要です。また、事業主が行っていた従業員への年1回の現況確認なども廃止されます。

脱退一時金受給要件の変更

iDeCoの掛金を減額調整する場合や、毎月の最低額である5,000円を拠出できなくなった場合には、一定条件を満たしている場合に脱退一時金の受け取りが可能です。脱退一時金の受給要件は2024年12月から、以下のようになりました。

1. 60歳未満であること
2. 企業型DCの加入者でないこと
3. iDeCoに加入できない者であること
4. 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上65歳未満)でないこと
5. 障害給付金の受給者でないこと
6. 企業型DCの加入者及びiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内であること又は、個人別管理資産の額が25万円以下であること
7. 最後に企業型DC又はiDeCoの資格を喪失してから2年以内であること

出典:厚生労働省

上記内容のいずれにも該当していないと、脱退一時金の受給はできません。

iDeCoの2025年度以降の変更点とは

2024年12月に改正が行われましたが、さらに2025年度以降にも拠出上限額などの変更が行われる予定です。全体を通して、以下のように変更されます。

加入資格 現在の拠出上限額 改正後の拠出上限額
第1号被保険者・任意加入被保険者
自営業者など
月額6.8万円(年間81.6万円)
国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠
月額7.5万円(年間93.6万円)
国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠
第2号被保険者
会社員・公務員
会社に企業年金がない場合:月額2.3万円(年間27.6万円) 会社に企業年金がない場合:月額6.2万円(年間74.4万円)
第2号被保険者
会社員・公務
企業型DCのみに加入している・DBと企業型DC加入している・公務員:月額2.0万円(年間24.0万円) 企業型DCのみに加入している・DBと企業型DC加入している・公務員:月額6.2万円(年間74.4万円)
第3号被保険者
専業主婦(夫)
月額2.3万円(年間27.6万円) 月額2.3万円(年間27.6万円)

参照元:金融庁 令和7(2025)年度税制改正について

さらに拠出上限額が増加される背景としては、高齢期の所得確保のための制度であり、家計の資産形成の環境整備を進めるため考えられます。また、現在は65歳未満の人がiDeCoに加入できますが、加入年齢が70歳までに変更される予定です。つまり、現在加入している人は延長して拠出が利用できるようになります。

iDeCoと退職金の関係

iDeCoの掛金は全額所得控除となるため、所得税や住民税が減税されるなどのメリットがあります。しかし、受け取り時には課税されることが原則です。一時金で受け取る場合は退職所得控除、分割の場合は公的年金等控除の対象です。

現在はiDeCoや企業型DCを老齢一時金として受け取った後の翌年から、4年以内に退職一時金・企業型DC等の一時金を受け取ると、退職所得控除の計算において勤続(加入)期間の重複を除くものとされています。

つまり60歳の時にiDeCoの資産を老齢一時金として受け取り、退職金などを65歳以降に受給すると退職所得控除の枠を両方で利用可能です。しかし、今後はiDeCoや企業型DCを老齢一時金として受け取った後の翌年から9年以内に変更されるため、実質、退職所得控除の枠はどちらかのみでしか利用できなくなります。

自営業者や退職金がない、企業年金がない会社員の場合はほとんど影響がないでしょう。しかし、退職一時金が多い企業や複数の企業年金に加入している人は、iDeCoの受け取り時期に控除が利用できない可能性が高いと考えておきましょう。

iDeCoの掛金を増やした際の税金

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iDeCoを利用する際に気になるのは、掛金によってどの程度税金の控除を受けられるかでしょう。以下では、企業年金のない会社に勤めている会社員と自営業者が、iDeCoに加入した際の所得税と住民税の負担軽減額をご紹介します。

課税所得

所得税率

住民税率

年間掛金276,000 年間掛金816,000
195万円未満

5

10 41,400 122,400
195万円以上〜330万円未満 10 10 55,200 163,200
330万円以上〜695万円未満 20 10 82,800 244,800
695万円以上〜900万円未満 23 10 91,080 269,280
900万円以上〜1,800万円未満 33 10 118,680 35880
1,800万円以上〜4,000万円未満 40 10 138,000 408,000
4,000万円以上 45 10 151,800 448,800

掛金額が大きく、所得も大きくなると税負担軽減額も大きくなります。もし、企業年金のない会社に勤めている会社員で、課税所得が500万円、所得税と住民税ともに10%だった場合、10年間の税負担軽減額は55万2,000円、20年間の税負担軽減額は110万4,000円です。

iDeCoを始めるメリット

2024年から制度改正が行われているiDeCoですが、これから始める人にはどのようなメリットがあるのか、ご紹介します。iDeCoを始めるメリットは、以下の3つです。

老後の資金を貯めやすくなる
iDeCoは個人で用意する年金のため、強制的に老後の資金を貯められる仕組みです。そのため、コツコツとお金を用意できるiDeCoは、将来に向けて備えておきたい人にとってメリットとなります。

70歳までiDeCoの掛金が拠出できる
今後の改正によって70歳まで拠出金を出せるようになる、拠出金の上限額も変更されるため、より多くの人が老後の資金形成をできるようになります。

3つの税制優遇を受けられる
iDeCoでは、掛金の全額所得控除、運用益の非課税、受け取り時の控除の3つの税制優遇を受けられる点もメリットです。金融商品を運用した際に発生する税金を抑えながら、将来のお金を用意できるのは魅力的です。

iDeCoのデメリット

iDeCoには、当然デメリットも存在します。今回は、以下の3つのデメリットをご紹介します。

原則60歳までは引き出し不可
iDeCoは老後の生活資金形成を目的としているため、原則60歳までは運用して得たお金を引き出せません。運用の途中でまとまったお金が必要となった場合は、iDeCo以外の投資資産などからお金を用意する必要があります。

受け取る場合は税負担が発生する可能性がある
iDeCoのお金を受け取る際、退職所得控除や公的年金等控除を利用できますが、控除額を超える金額を受け取る際は税金が発生します。事前に自身の場合は税金が発生する可能性があるのか、もしあるならどの程度の金額になるかを調べておきましょう。

運用リスクがある
iDeCoは拠出した掛金を利用して、自身で決めた商品を運用する仕組みのため、場合によっては元本割れのリスクがある点を理解しておきましょう。確実にプラスとなって手元に還ってくるわけではないため、場合によって老後の年金額が予定よりも下回ることもあります。

まとめ

2024年12月に行われたiDeCoの制度改正と、2025年度に行われる予定のiDeCoの制度改正についてご紹介しました。2024年12月の改正では拠出金額の上限の変更、脱退一時金受給要件の変更が行われ、今までよりもiDeCoを活用しやすくなっています。

また、2025年度以降には拠出金額の上限額のさらなる変更、加入年齢の引き上げなどが行われる予定です。改正によってより使いやすい方向へと進んでいますが、退職所得控除枠の利用についての変更が行われるため、今後も注意して改正内容を把握していきましょう。

iDeCoは老後の資金を貯められる制度で、掛金や運用益に関する税制優遇が用意されている制度です。老後の生活資金を少しずつ作っておきたい、税制優遇も活用したいといった人は、ぜひiDeCoを活用してみましょう。

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