定年後、どのように生活する?子どもの扶養に入るメリットと働き方について

  • ちょっと得する知識
定年後、どのように生活する?子どもの扶養に入るメリットと働き方について

「年金だけでは金銭面で不安…」と感じるミドルシニアの方も多いのではないでしょうか。そんなときに考えたいのが“子どもの扶養に入る”という選択肢。今回は、年金をもらいながら子どもの扶養に入ることはできるのか?扶養に入りながら働くことはできるのか?といった疑問や、扶養に入るメリットやデメリット、扶養に入るための手続き方法を解説します。

この記事の目次

    【子どもの扶養に入る前に】扶養には「税法上の扶養」と「健康保健上の扶養」がある

    年金をもらっていても子どもの扶養に入ることは可能です。そして扶養には「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2種類があります。
    子どもの扶養に入る前に、この2つの扶養の概要と加入要件を確認しておきましょう。

    税法上の扶養と加入要件

    まずは「税法上の扶養」の概要と、加入要件について解説していきます。

    ご存知の通り、仕事などで所得を得た場合は、その所得の額に応じた所得税や住民税を支払わなければなりません。しかし、家族を扶養に入れることで、その家族の人数に応じた扶養控除を受けることができる、というのが税法上の扶養です。

    税法上の扶養へ加入する要件は以下の通りです。

    【税法上の扶養へ加入する要件】
    ・扶養に入れてもらう子どもと生計を一にしていること
    ・自分が青色申告者の事業専従者として、年間を通じて給与の支払いを受けていないこと
    ・自分が白色申告者の事業専従者ではないこと
    ・自分の年間取得金額が48万円以下であること

    "生計を一にしていること"という要件は、同居している必要はなく、子どもに経済的に支えてもらっているのであれば問題ありません。
    年間取得金額が48万円以下であることについては、後ほど解説します。

    健康保険上の扶養と加入要件

    続いては「健康保険上の扶養」の概要と、加入要件について解説していきます。

    子どもが会社員で社会保険に加入している場合、下記に説明する条件を満たすことで、あなた(被扶養者)の社会保険料の支払いが免除される、というのが健康保険上の扶養です。子どもがフリーランスや自営業などで国民健康保険に加入している場合は、健康保険上の扶養に入ることができません。

    健康保険上の扶養へ加入する要件は以下の通りです。

    【健康保険上の扶養へ加入する要件】
    ・自分の年齢が75歳未満であること
    ・扶養に入れてもらう子どもと生計を一にしていること
    ・同居している場合
     - 60歳未満:年収130万円未満、収入が子ども(被保険者)の収入の半分未満であること
     - 65歳以上もしくは障害年金を受給している:年収180万円未満であること
    ・別居している場合
     - 60歳未満:年収130万円未満、収入が子ども(被保険者)からの援助額未満であること
     - 65歳以上もしくは障害年金を受給している:年収180万円未満であること

    加入要件となっている"年収"には、年金だけでなく給与所得や不動産所得、事業所所得なども含まれています。

    子どもの扶養に入るメリット

    pixta_84375840_M (1) (1).jpg

    続いては、子どもの扶養に入るメリットについて解説していきます。「税法上の扶養に入る場合のメリット」と「健康保険上の扶養に入る場合のメリット」と、それぞれ見ていきましょう。

    税法上の扶養に入る場合のメリット

    子どもの扶養に入ることで、子ども自身の税金が安くなります。具体的には、所得税と住民税の控除を受けられるようになります。

    ▼税法上の扶養に入ることで受けられる「所得税」と「住民税」の控除額(扶養家族1人あたり)

    区分 所得税の控除額 住民税の控除額
    一般の控除対象扶養親族 38万円 33万円
    老人扶養親族(同居老親等以外) 48万円 38万円
    老人扶養親族(同居老親等) 58万円 45万円

    69歳までは「一般の控除対象扶養親族」、70歳以上は「老人扶養親族」という区分になります。ここで覚えておきたいのは、実際の控除額は上記通りではなく、課税所得に対する税率によって決まるということです。

    健康保険上の扶養に入る場合のメリット

    税法上の扶養は子どもに対してメリットがありましたが、健康保険上の扶養では親であるあなたにメリットがあります。

    それは、保険料を支払わずに子どもの健康保険に加入できる、ということ。加えて、医療費が高額になった場合、世帯合算が可能なため医療費を抑えられるというメリットもあります。

    子どもの扶養に入るデメリットや注意点

    子どもの扶養に入ることのメリットについてお伝えしてきました。しかし、メリットだけでなくデメリットや注意点もあります。ここでは「税法上の扶養に入る場合のデメリットや注意点」と「健康保険上の扶養に入る場合のデメリット」について解説していきます。

    税法上の扶養に入る場合のデメリットや注意点

    実は、子どもの税法上の扶養に入るデメリットや注意点はありません。税法上の扶養はメリットしかないため、先述した要件を満たす場合は入ることを検討するのも良いでしょう。

    健康保険上の扶養に入る場合のデメリットや注意点

    子どもの健康保険上の扶養に入ることで、高額医療費の世帯合算が可能になるとお伝えしました。しかし、高額医療費の自己負担限度額が高くなる可能性があります。これは、子どもの所得によって自己負担限度額が決定されるためです。

    また、介護費用も高くなる可能性があります。こちらも同様に、子どもの所得によって限度額が決定される仕組みになっており、低所得者ほど費用が安くなります。このように、健康保険上の扶養に入ることで、子どもの負担が大きくなるというデメリットもある、ということを覚えておいてください。

    子どもの扶養に入りながら働くことはできる?

    pixta_77927634_M (1) (1).jpg

    結論からいうと、子どもの扶養に入りながら働くことは可能です。しかし、年金をもらいながら子どもの扶養に入り、かつ働くためには合計所得に気を付けなければなりません。

    子どもの扶養内での働き方

    もしかすると「年金をもらいながら子どもの扶養に入って働くのは、法律違反じゃないの?」と心配されている方もいるかもしれません。大丈夫です、法律違反ではないので安心してください。

    ただ、先述したように合計所得に気を付けなければなりません。税法上の扶養の加入要件のところでお伝えしましたが、合計所得(年間所得金額)が48万円以下ならば問題ありません。
    それでは、具体的な例を出して見ていきましょう。

    【合計所得48万円以下の例】
    65歳以上で、1年間の年金受給額が120万円、パートの年収が80万円の場合。

    〈年金〉
    65歳以上で、1年間の年金受給額が330万円未満の場合、公的年金等免除は110万円となり、所得として計算されるのは10万円ということになります。公的年金等免除とは、年金による所得を軽減し、税金による負担を減らしてくれる制度のことです。ちなみに、定年後の年金は雑所得扱いです。

    1年間の年金受給額
    120万円(年金受給額)-110万円(公的年金等控除)=10万円(雑所得)

    〈パート〉
    年収が162万5000円以下の場合、給与所得控除は55万円となり、今回の例でいうと所得として計算されるのは25万円ということになります。給与所得控除とは、正社員やパート、アルバイトとして給与をもらっている人の税金を軽減してくれる制度のことです。

    パートでの年収
    80万円(給与所得)-55万円(給与所得控除)=25万円

    それでは、1年間の年金受給額とパートでの年収の合計を見てみましょう。

    1年間の年金受給額+パートでの年収
    10万円(雑所得)+25万円(給与所得)=35万円

    このように合計所得が48万円以下となるため、税制上の扶養の対象となります。

    補足として「公的年金等控除」と「給与所得控除」の一覧表も参考にしてみてください。

    子どもの扶養1.PNG

    参考:国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係

    子どもの扶養2.PNG

    参考:国税庁 No.1410 給与所得控除

    定年後は年金生活を送る?それとも働く?

    定年後は年金生活を送るのか、それとも働くのか、これは個人の自由です。ただ、リクルートワークス研究所の調べによると、定年後に働いているシニアの約60%が仕事に満足しているというデータがあります。

    なにか夢中になれるような趣味などがあれば、定年後は年金をもらいながら充実した老後を過ごせるかもしれません。しかし、定年退職することで、他人との接点がなくなり、虚しさや寂しさを感じる方も少なくはないでしょう。

    近年は「シルバー人材センター」など、シニア向けに仕事を紹介するサービスもあります。働くことで収入を得ることができますし、仕事を通じてできた仲間とのコミュニケーションによって、老後も楽しく元気に過ごすことができます。この機会に、ぜひ働くことも考えてみてはいかがでしょうか。

    参考:シルバー人材センターの仕組みとは?どうやって利用するの?

    子どもの扶養に入るための手続き

    最後に、子どもの扶養に入るための手続きについて解説していきます。「税法上の扶養に入る場合」と「健康保険上の扶養に入る場合」の2つの手続きについて見ていきましょう。

    税法上の扶養に入る場合の手続き

    子どもの税法上の扶養に入る場合は、子どもが会社員や公務員もしくは自営業によって、手続きの方法が異なります。

    子どもが会社員や公務員の場合
    年末調整時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先へ提出します。

    子どもが自営業の場合
    確定申告の際に行います。

    健康保険上の扶養に入る場合の手続き

    子どもの健康保険上の扶養に入る場合は、以下の書類を勤務先へ提出します。

    ・被扶養者(異動)届
    ・被扶養者の住民票
    ・被扶養者の戸籍謄本 など

    まとめ

    今回は「子どもの扶養に入る」というテーマでお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。扶養には「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2種類があり、それぞれに加入要件がありましたね。税法上の扶養にはメリットしかありませんが、健康保険上の扶養にはデメリットもあるので注意しましょう。

    定年後は年金生活を送るも良し、働くのも良しですが、定年後に働いているシニアの約60%が仕事に満足しているといったデータもあります。マイナビミドルシニアでは、シニアにぴったりの求人を数多く掲載しています。ぜひ、仕事を探す際の参考にしてみてください。

    60代以上活躍中の求人を探す

    マイナビミドルシニアに会員登録(無料) マイナビミドルシニアに会員登録(無料)

    関連記事

    【働き方が変わる!】扶養控除・扶養内で働くためのルールを解説 もしもパート勤務で所得税がかかったら? 所得税の計算方法! 定年は何歳まで?60歳定年と65歳定年でもらえるお金はどう変わる?

    記事をシェアする

    • Twitter
    • Facebook
    • Line

    あなたへのオススメ記事

    住民税は都会に住むほど高い?計算方法や住民税の負担を抑える控除・制度も紹介

    住民税は都会に住むほど高い?計算方法や住民税の負担を抑える控除・制度も紹介

    年末調整や確定申告をすると気になるのが、自分が納税する所得税や住民税の金額です。支払う税金の中でも、「住民税は都会の方が高い」というイメージを持っている人も多いでしょう。今回は、住民税の基本から、地域によって変わる住民税率、住民税を抑える控除や制度などを解説します。

    • ちょっと得する知識
    • 2026年3月13日
    奨学金の返済を親がすると贈与になる?生活費・住宅資金などその他贈与に関するよくある疑問を解説

    奨学金の返済を親がすると贈与になる?生活費・住宅資金などその他贈与に関するよくある疑問を解説

    今では大学や専門学校などに通う人の2人に1人が、奨学金を利用しており、奨学金の利用はめずらしいものではありません。奨学金の返済方法は自分で毎月返したり、繰り上げ返済を利用していたりと人によってさまざまです。なかには、親が一括で返済をするケースもありますが、その場合は贈与税の支払いが必要になることを知らない人も多いでしょう。今回は贈与税に当たる対象や、非課税で親が返済する方法などを紹介します。奨学金を利用している人、一括返済を検討している人はぜひ最後までお読みください。

    • ちょっと得する知識
    • 2026年3月 9日
    介護保険サービス費用は医療費控除の対象になる?確定申告で損しないためのポイント

    介護保険サービス費用は医療費控除の対象になる?確定申告で損しないためのポイント

    訪問看護やデイケアなど、医療系サービスを含む介護保険サービスのなかには、医療費控除の対象となるものがあります。適切な手続きをし、医療費控除を受けられれば、経済的な負担の軽減につながります。そこで今回では、医療費控除の対象になる具体的な介護サービスの種類や条件などを紹介します。合わせて見落としやすい対象外の費用も解説しますので、介護保険サービスを利用している人、これから利用を始めようと検討している人は、ぜひご一読ください。

    • ちょっと得する知識
    • 2026年3月 5日
    【2026年4月以降】年金が変わる!65歳以上で年金に上乗せでもらえる制度も紹介

    【2026年4月以降】年金が変わる!65歳以上で年金に上乗せでもらえる制度も紹介

    2025年に年金制度改正法が成立し、2026年4月以降、年金制度を中心とするさまざまな制度が段階的に変わる予定です。しかし、どのように変わるのか、どのような影響があるのか知らない人も多いでしょう。今回は年金制度改正法によって変わる部分、65歳以降でも年金に上乗せができる方法を紹介。あわせて、65歳までに上乗せをする方法も解説しますので、これから年金受給を控えている人も、ぜひ最後までお読みください。

    • ちょっと得する知識
    • 2026年3月 3日
    年収178万円の壁とは?引き上げはいつから?仕組みや対象者などをご紹介

    年収178万円の壁とは?引き上げはいつから?仕組みや対象者などをご紹介

    2025年12月18日に、年収の壁は「178万円の壁」への引き上げで正式合意に至りました。今回の決定はなんとなくメリットがありそうだけれど、どういった内容なのかわからないという方は多いでしょう。今回は年収の壁の基本から、178万円に引き上げられた背景などについて解説します。

    • ちょっと得する知識
    • 2026年2月18日
    【2026最新】確定申告の変更点まとめ!注意すべき変更点は?

    【2026最新】確定申告の変更点まとめ!注意すべき変更点は?

    毎年少しずつ内容の変更が行われる確定申告は、2026年も内容が変更となっています。今回は2026年の確定申告で変更される内容から、確定申告をした方がいい人、注意点などを紹介します。直前で慌てないためにも、どのような影響があるのか、自分は対象となっていないか気になる人は、ぜひご一読ください。

    • ちょっと得する知識
    • 2026年2月16日

    おすすめ・シリーズ記事

    人気記事ランキング

    おすすめの求人はこちら

    活躍中の年代から探す
    雇用形態から探す
    募集条件から探す
    働き方から探す
    福利厚生から探す
    職種から探す
    マイナビミドルシニアに会員登録(無料) マイナビミドルシニアに会員登録(無料)