【2025年3月開始】マイナ免許証とは?制度の概要やメリットを解説
- ちょっと得する知識
- 公開日:2025年3月18日

2025年3月24日からマイナンバーカードと運転免許証を一本化させた、マイナ免許証の運用がスタートします。しかし、マイナ免許証の概要やメリットについて知らない人も多いでしょう。今回はマイナ免許証の基本的な情報から、メリット・デメリットなどを解説します。今後マイナ免許証の取得を検討している人は、ぜひ最後までご一読ください。
マイナ免許証になると何が変わる?
マイナ免許証とは、免許情報が記録されたマイナンバーカードのことです。道路交通法改正によって、マイナンバーカードと運転免許証の一体化に関する規定が整備されました。
マイナ免許証は2025年3月24日よりスタートします。しかし、くふう生活者総合研究所が2025年2月14日〜2月16日に行った調査では、マイナ免許証開始の認知について以下のような結果が出ています。
• 知っている。概ね内容も把握している:46.8%
• 聞いたことはあるが、内容は知らない:43.2%
• 知らない:10.0%
半数以上の人がマイナ免許証について、制度の内容を詳しく知らないと回答しています。またマイナ免許証の所有を希望するかの調査では、全体の4割が様子を見たいと回答しており、制度の内容や運用状況を確認してから切り替えを行おうと考えている人が多くいる傾向です。
マイナ免許証に記載される内容
マイナ免許証に切り替えると、以下のような情報がマイナンバーカードのICチップに記載されます。
• マイナ免許証の番号
• 免許の年月日およびマイナ免許証の有効期間の末日
• 免許の種類
• 免許の条件に係る事項
• 顔写真 など
記載された情報を確認する際は、マイナポータルへのログインまたはマイナ免許証読み取りアプリが必要です。従来の免許証のように、券面に情報は記載されません。
マイナ免許証は義務なのか
マイナ免許証への切り替えは、義務ではなく希望制です。そのため運用開始期間を過ぎたからといって、慌てて手続きをする必要はありません。制度開始以降の免許の更新日などに、切り替えるかどうかを検討するのでも問題ありません。
マイナ免許証が開始されると、免許の形は3つになります。
• 従来の免許証のみを保有する
• マイナ免許証と従来の免許証の2枚を保有する
• マイナ免許証のみを保有する
マイナ免許証の制度がスタートしても、従来の免許証はそのまま使用できます。そのため、紛失などに備えて従来の免許証も持っておきたい人は、2枚持ちを検討しましょう。
マイナ免許証のメリットは4つ
マイナ免許証へ切り替えると、どのようなメリットがあるのかについてご紹介します。マイナ免許証には、以下の4つのメリットがあります。
住所変更などの手続きがワンストップ
マイナ免許証への切り替えによるメリットの1つ目は、住所変更などの手続きがワンストップ化されることです。従来の免許証では住所や氏名に変更があった場合、警察署か運転免許センターで免許内容の変更手続きを行う必要があります。免許証とは別に、市区町村役場で住所や氏名の変更手続きを行う必要があり、変更手続きのためにかかる手間数が問題となっていました。
しかし、マイナ免許証に切り替えると、市区町村役場での住所・氏名変更手続きで免許証の情報も書き換えられるため、警察や運転免許センターへ行く必要はなくなります。転勤による引越しなどで住所変更の回数が多い人にとって、大きなメリットとなるでしょう。ワンストップ手続きが利用できるのは、マイナ免許証のみを所有する場合です。
オンライン更新時講習
従来の運転免許の更新では、運転免許センターや警察署にて講習を受ける必要がありました。今後は優良・一般ドライバーの場合、オンラインで講習を受けられるようになります。自宅からでもスマホやPCから受講できるため、講習のために現地へ必要がなくなります。オンライン更新時講習を利用できるのは、以下の条件を満たしている人です。
• 更新を受ける際の誕生日が2025年3月24日以降の人
• マイナ免許証の手続きを行っている人(従来の免許証との2枚持ちも対象)
• 優良または一般運転者講習の対象者
ただし視力検査などの免許証更新手続きは、運転免許センターや警察署で受ける必要があります。オンライン更新時講習を受けたからといって、更新とはならない点は知っておきましょう。また、高齢者講習の対象者はオンライン講習の対象外です。
居住都道府県外での更新手続きの便利化
居住都道府県外での更新手続きは、経由地更新と呼ばれており、従来は優良運転者のみが利用できる制度でした。更新をするためには住所地での免許証の作成が必要であったり、更新期間初日から誕生日までに手続きを行う必要があったりと、制約も多くありました。しかし、マイナ免許証によって経由地更新の制約が以下のように緩和されるほか、手続きの速度も迅速になります。
• 経由地更新の対象者:優良運転者と一般運転者
• 経由地更新ができる期間:更新期間初日から有効期限の末日
• 住所地における免許証の作成:不要
従来では交付までに3週間ほどの時間がかかっていましたが、マイナ免許証の場合は即日で交付が完了します。今後は遠方に進学や赴任している人の、免許更新への負担が軽減されるでしょう。ただし、経由地更新を行う際は、住所地県で手数料を支払った証明が必要です。
更新時の手数料が安くなる
マイナ免許証のみの場合は、従来よりも更新時の手数料が安くなります。反対に従来の免許証を持っている場合は、更新手数料が350〜450円値上げされます。免許の持ち方によって手数料は、以下のように変わります。
新規取得手数料 | 更新手数料 | |
応募資格 | 2,050円 | 2,500円 |
従来の免許証のみ | 2,350円 | 2,850円 |
マイナ免許証と従来の免許証の2枚持ち | 2,450円 | 2,950円 |
マイナ免許証のみ | 1,550円 | 2,100円 |
また、講習の手数料もマイナ免許証によって変更される予定です。
対面講習 | オンライン講習 | |
優良運転者講習 | 500円 | 200円 |
一般運転者講習 | 800円 | 200円 |
初回運転者講習 | 1,400円 | - |
違反運転者講習 | 1,400円 | - |
マイナ免許証を利用するとこれまでの手続きが簡易になるほか、手数料が安くなるというメリットを受けられます。
マイナ免許証のデメリット
メリットが多いマイナ免許証ですが、当然デメリットも存在します。今回はマイナ免許証の、デメリットとなる点を3つ解説します。
再発行に手間がかかる
マイナ免許証を紛失・破損などした場合、再発行手続きに従来よりも手間と時間がかかります。原則、従来の運転免許証であれば、運転免許センターや運転免許試験場で手続きを行うと最短即日で再発行されます。しかし、マイナ免許証を再発行する際は、まずマイナンバーカードの再発行手続きが必要です。
マイナンバーカードの再発行には、通常1〜2ヶ月の時間が必要です。交付までの時間が短くなる、特急発行を利用しても再発行までには1週間ほどかかるでしょう。マイナンバーカードが発行された後は、警察署や運転免許センターにて再度マイナンバーカードと運転免許証を一体化させる手続きが必要です。
市区町村役場と警察署などの2箇所で手続きを行う必要があるため、従来よりも再発行にかかる時間も手間も増えてしまいます。どうしても急ぎで運転免許証が必要な場合は、従来の免許証を再発行し、その後改めてマイナ免許証を発行する手続きを検討しましょう。
海外では運転できない場合がある
海外旅行の際などに車を運転する場合、国際運転免許証の取得と運転免許証の切り替えが必要です。従来の運転免許証を持っていれば問題ありませんが、マイナ免許証のみの場合は免許証として認められない可能性があります。海外で運転する予定が出てきた場合、せっかくマイナ免許証で一本化したのに、従来の免許証との2枚持ちをする必要が出てくるでしょう。
券面で免許情報を確認できない
マイナ免許証のデメリットとして、マイナンバーカードの券面で情報の確認ができない点が挙げられます。免許証の番号や有効期限を確認する際は、都度マイナポータルへのログインかマイナ免許証読み取りアプリでの読み取りが必要です。
行政では読み取り機器が設置されるため、券面に情報が記載されていなくても大きな問題はありません。しかし、民間事業では、読み取りができなくなるために、免許証の情報が必要な時には情報が記載された画面の提示や印刷をするなどの手間が発生します。
また、マイナンバーカードと運転免許証の有効期限が異なるため、期限切れに気づけなくなる可能性も出てきます。マイナ免許証読み取りアプリでは、有効期限の通知機能などが実装される予定ですが、自身でも常に有効期限を意識しておくようにしましょう。
マイナ免許証へ変更する手続きの流れ
従来の運転免許証から、マイナ免許証へ切り替えをする際の流れは以下の通りです。
• 運転免許センターや警察署へ向かう
• マイナ免許証一体化を希望すると伝える
• マイナンバーカードに免許証の情報を登録してもらう
手続きに関する詳細は各都道府県によって異なるため、知りたい場合は問い合わせをするか、発表を待ちましょう。警視庁では保有形態変更のみを希望する人、または以下の条件に該当する人、すぐに手続きをしたい人は3月中旬に来場予約を開始する予定の「警視庁行政手続オンライン」にて、事前の予約をするように呼びかけています。
• 記載事項変更手続を希望する
• 条件変更手続を希望する
• 運転免許証の再交付手続(遺失、き損等)を希望する
• 運転免許証の有効期間切れに伴う失効(再取得)手続を希望する
• すでに免許を持っている方が新たな免許種別を取得する際の併記手続を希望する
マイナ免許証を発行するためには、事前に署名用電子証明書が必要となります。署名用電子証明書は、市区町村役場の窓口にて手続きを行うと発行されます。警察署などでは発行できないため、申請前に行いましょう。
さらに住所変更手続きなどのワンストップサービスを利用するためには、マイナポータルとの連携手続きも必要です。マイナ免許証を発行後、すぐにワンストップサービスを利用したい場合は、こちらも事前に連携手続きについて確認しておきましょう。
マイナ免許証だけにするのがおすすめの人・おすすめしない人
便利な内容が多いマイナ免許証へ、変更するのがおすすめの人とおすすめしない人の特徴についてもご紹介します。今後運転免許証の切り替えをするかの、参考としてご活用ください。
マイナ免許証だけにするのがおすすめの人
マイナ免許証だけに一本化するのがおすすめの人は、以下のような人です。
• 身分証明書をまとめたい
• オンライン更新時講習を利用したい
• 更新手数料を抑えたい
• 経由地更新の手間を減らしたい
健康保険証もマイナンバーへと統合されているため、複数の身分証を持ちたくない人は、マイナ免許証のみへの切り替えがおすすめです。また、マイナ免許証のメリットである、オンライン更新時講習や低価格な更新手数料を利用したい人は、マイナ免許証のみの切り替えをご検討ください。
マイナ免許証だけにするのはおすすめしない人
マイナ免許証だけにするのはおすすめしない人の特徴は、以下の通りです。
• 紛失する可能性が高い人
• 海外で運転する機会が多い人
• PCやスマホの操作が苦手
• 運転免許証の情報をよく確認する
マイナ免許証は通常の運転免許証と比較すると、再発行されるまで倍以上の時間がかかります。紛失する可能性が高い、過去に運転免許証を紛失した経験がある人などは、マイナ免許証だけに切り替えるのはおすすめしません。
まとめ
2025年3月から始まる、マイナ免許証についてご紹介しました。マイナ免許証には住所変更手続きなどのワンストップ化、オンライン更新時講習、経由地更新の便利化、手数料の変更などの4つのメリットがあります。
従来の免許証との2枚持ちもできるため、マイナ免許証へ一本化するのが不安な人でも、安心して切り替えできるでしょう。マイナ免許証への切り替えは希望制のため、メリットとデメリットを考慮したうえで、申請を検討してみてください。