リタイア貧乏にならないために知っておきたい「年金生活」

  • ライフプラン・人生設計
リタイア貧乏にならないために知っておきたい「年金生活」

長く勤めた会社を退職すれば、忙しい日常からから一転し、穏やかな第二の人生が始まります。ですが、リタイア後は収入がなくなりますから、年金で生活することになります。しかし、年金で生活するにはいくら必要か、どこまで年金でまかなえるのか、知らない人は意外と多いものです。将来、「足りない!」と慌てないためにも、年金と老後の生活費についてきちんと調べ、準備しておくことが肝心です。

この記事の目次

    今のうちに知っておきたい、年金の基礎知識

    年金生活を考えるためには、まず年金がどのようなものかを知っておく必要があります。しかし、年金にはいくつかの種類があり、それぞれに支払い条件や金額に違いがあります。多くの人々がもらうことになる年金が、加入が義務付けられている公的年金の「国民年金」と「厚生年金」でしょう。

    まずは、それぞれの特徴についてご説明しましょう。

    ・国民年金

    国民年金は、20歳以上60歳未満の国民に加入が義務付けられている公的年金です。保険料は一律で固定され、2017年4月~2018年3月までは月額16,490円となります。

    国民年金には、障害基礎年金や遺族基礎年金などもありますが、一般的に国民年金というと、老齢基礎年金のことを指していることが多いでしょう。保険料を20歳から60歳までの40年間、漏れなく納めた場合は、65歳から老齢基礎年金を満額(2017年度の場合、年額77万9,300円)受け取れます。途中に未納期間があると、その分が減額されてしまいます。

    ・厚生年金

    国民年金に加えて、会社員が加入するのが厚生年金です。国民年金に上乗せする形になるため「2階部分」と呼ばれたりします。国民年金と異なり、保険料は所得が上がるほど高額になりますが、それだけ年金の支給額も高く、保険料は、会社が半分を負担することとされています。

    ほかにも、厚生年金の代わりに公務員や教職員が加入する共済年金や、任意で加入できる国民年金基金など、さまざまな年金が存在します。

    年金生活にも意外とお金がかかる

    pixta_27486838_M.png

    働かずに年金生活をしているというと、悠々自適でのんびりした日々のように聞こえます。しかし、生活にはお金がかかるもの。たとえ子供たちが自立し夫婦二人にだけだとしても、年金だけでまかなえるものでしょうか?

    もちろん、受け取る年金額、持ち家のあるなし、住宅ローンや貯金などの資産状況、生活スタイルなどによってかなり幅がありますから、一概に決めることはできません。そこで、生活にかかるであろう支出の平均値で、リタイア後の年金生活をシミュレーションしてみましょう。

    老後の生活にいくらかかるのか?

    2017年の総務省の発表によると、家計支出は世帯主の年齢が60~69歳で1ヵ月あたり27万7,283円70歳以上で23万8,650円となります。こうして見ると、年金生活にも意外とお金がかかるということがわかります。ちなみに、一番の支出は食費で、68,000~76,000円となっています。

    年金はいくら支給されるのか?

    2017年に厚生労働省年金局が発表した「平成27年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、1人1ヵ月あたり厚生年金が14万7,872円、国民年金が50,927円(厚生年金をもらわない場合は55,244円)となっています。夫が会社員、妻が専業主婦であれば、年金支給額は「厚生年金+国民年金×2」ですから、およそ25万円となります。

    年金だけでは生活が立ち行かないおそれも

    pixta_30905251_M.png

    前項での平均値を使って計算すれば、夫が会社員、妻が専業主婦の家庭では、毎月わずかな赤字で済むように感じます。「貯金もあるし、特に心配はないな」と思われるかもしれません。

    ですが、「余裕のある生活」ではありません。月々の年金の中でやりくりするには、余計な出費を切り詰めなくてはいけませんし、少しでも豊かな生活を送るためには、決して十分な額ではないでしょう。しかも、個人事業主としてがんばってきた人たちは国民年金のみですから、夫婦合わせても約11万円しか支給されません。これでは余裕どころか、不安が先立つ年金生活になってしまいます。

    国民年金以外に加入できる年金とは?

    pixta_8123731_M.png

    国民年金で生活に不安が残る個人事業主は、できるだけ若いうちに、各種の年金保険に加入することをおすすめします。例えば、個人事業主向けに、「国民年金基金」があります。これは会社員が加入する厚生年金と同様の位置付けで、老齢基礎年金に上乗せできる年金です。

    国民年金基金制度について詳しく知りたい方はこちら

    また、20歳以上60歳未満であれば誰でも加入できる個人型の「確定拠出年金」もあります。確定拠出年金は、運用益が非課税になるなど、税制上でも優遇されています。こうした各種の年金保険を用意しておけば、リタイア後も余裕のある生活ができるでしょう。

    個人型確定拠出年金(iDeCo)について詳しく知りたい方はこちら

    こちらの記事も参考になります
    非正規雇用でも退職金がもらえる!?確定拠出年金の基礎知識を学ぼう

    まとめ:自分に合った仕事をするのも、ひとつのスタイル

    pixta_1750663_M.png

    退職したあとも、リタイアせずに別の仕事を続けるというのも賢明な選択でしょう。在籍していた会社に嘱託社員として残れば、それまでの人脈や長年のノウハウを存分に活かせますから、企業側にも喜ばれるでしょう。

    また、逆にまったく畑違いの業種にチャレンジする方法もあります。興味のある業種や、自分の関心と合った分野で働けば、毎日が新鮮に感じるでしょう。年金に上乗せできる収入があれば良いのですから、ハードワークでなくても大丈夫です。

    リタイア後の仕事というと、マンションの管理人などを想像するかもしれません。しかし、人手不足もあってか、ここ数年はシニアの持つ経験やコミュニケーション能力を再評価し、活躍できる職場が増えつつあります。

    外で仕事をしていれば、気持ちにも張り合いが生まれ、いきいきとした生活を送ることにも役立つでしょう。「どんな仕事ができるのかわからない」という場合は、転職サイトをチェックしてみてください。ミドルシニア層に特化した「マイナビミドルシニア」で検索してみれば、あなたに合った仕事がきっと見つかるはずです。

    60代以上歓迎の求人はこちら

    マイナビミドルシニアに会員登録(無料) マイナビミドルシニアに会員登録(無料)

    関連記事

    年金のわからないことが調べやすい!「年金ポータル」のご紹介 加給年金とはどんなもの?徹底解説!【社労士監修】 年金支給の流れと年金支給日【社労士監修】 【社労士監修】定年退職でも失業保険は受け取れる?失業保険の豆知識 定年後の働き方の代表格!シニア歓迎アルバイトの探し方

    記事をシェアする

    • Twitter
    • Facebook
    • Line

    あなたへのオススメ記事

    中高年の半数以上が地方移住に興味あり!理由や移住支援金ランキング

    中高年の半数以上が地方移住に興味あり!理由や移住支援金ランキング

    地方移住は生活費を抑えられたり、自然に囲まれた生活を送れたりと、ミドルシニア世代にも多くのメリットがあります。今回は地方移住に興味がある人の割合から、移住支援金制度の概要をご紹介します。地方移住を検討している人は、ぜひ最後までお読みください。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年12月18日
    人口構造の変化と人材不足が引き起こす「2030年問題」とは?

    人口構造の変化と人材不足が引き起こす「2030年問題」とは?

    人口の変化によって日本の社会や経済に影響を及ぼすとされている、2030年問題。少子高齢化が進み、それによって引き起こされるさまざまな社会問題の総称を指しています。2030年問題では、日本の労働市場の大きな転換点となるとされており、日本で生きる私たちが向き合わなくてはならない課題です。本日は2030年問題をより深堀していきましょう。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年12月12日
    実家の遺産を相続したくない | 相続放棄の流れや注意点を解説

    実家の遺産を相続したくない | 相続放棄の流れや注意点を解説

    ミドル・シニア世代で親や親族の遺産相続に関して悩んでいる人は多いのではないでしょうか。今回は遺産相続の放棄を検討している人に向けて、相続を放棄する際のメリットやデメリット、検討している人の意見などをご紹介します。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年12月 9日
    2024年10月から年金が増えるって本当?在職定時改定で増える人・減る人、収入別シミュレーションもご紹介

    2024年10月から年金が増えるって本当?在職定時改定で増える人・減る人、収入別シミュレーションもご紹介

    令和4年から開始した在職定時改定制度は、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者の年金額を毎年10月に改定し、過去に納めた保険料を年金額に反映させる仕組みの制度です。在職定時改定制度について、基本情報から年収別シミュレーション、注意点などを解説。また、在職定時改定後に再就職する際の確認ポイントも紹介します。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年12月 6日
    65歳になっても年金が受け取れない?年金をもらえる条件や受け取る方法をご紹介

    65歳になっても年金が受け取れない?年金をもらえる条件や受け取る方法をご紹介

    国民年金保険は、20歳から60歳未満までの人に加入義務がある制度です。原則65歳になると受給ができますが、場合によっては受給年齢に達しても受け取れないことがあります。今回は、年金制度の基本から受給要件について、年金を受け取るためのポイントなどをご紹介します。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年11月20日
    ミドルシニア・シニア世代を襲う突然の出費!特別費を上手に管理&資金を準備する方法

    ミドルシニア・シニア世代を襲う突然の出費!特別費を上手に管理&資金を準備する方法

    ミドル・シニア世代は、突然の病気やリフォームなど、急な出費が必要な場面が増えてくる可能性があります。今回は普段の生活費とは別に必要となる、特別費の準備方法や管理方法をご紹介します。家計管理や急な出費に備えるために、ぜひご一読ください。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年11月15日

    おすすめ・シリーズ記事

    人気記事ランキング

    おすすめの求人はこちら

    活躍中の年代から探す
    雇用形態から探す
    募集条件から探す
    働き方から探す
    福利厚生から探す
    職種から探す
    マイナビミドルシニアに会員登録(無料) マイナビミドルシニアに会員登録(無料)