中高年の半数以上が地方移住に興味あり!理由や移住支援金ランキング
- ライフプラン・人生設計
- 公開日:2024年12月18日
地方移住は生活費を抑えられたり、自然に囲まれた生活を送れたりと、ミドルシニア世代にも多くのメリットがあります。今回は地方移住に興味がある人の割合から、移住支援金制度の概要をご紹介します。地方移住を検討している人は、ぜひ最後までお読みください。
この記事の目次
地方移住に興味がある中高年は半数以上!
調査機関「Job総研」が実施した「2023年 地方移住の意識調査」では、地方移住に対して全体の59.8%と半分以上の人が興味ありと回答しています。その中でも、30・40・50代の人は、50〜60%の人が興味ありという回答です。地方移住に興味がある理由としては「首都圏よりも生活費が安い」「転職せずに引っ越しができる」「自然の中で生活ができる」などがあります。
しかし、地方移住に対して環境の変化や、移住にかかる費用について不安を抱いている人も多くいます。今回の調査で、地方移住を支援する制度である「移住支援金制度」について知っている人は全体の35%という結果に。地方移住に興味はあるものの、支援制度はあまり浸透していないことが分かります。
参照元:マイナビニュース 社会人の6割弱、地方移住に「興味あり」 - ハードルになっていることは?
移住支援金制度は「移住支援金」と「起業支援金」の2種類
あまり知られていない、移住支援金制度についてご紹介します。
移住支援金制度には、移住支援金と起業支援金の2つがあります。どちらも首都圏から地方へ移住した際に受けられる制度ですが、条件や支給額は異なります。
移住支援金
移住支援金は東京23区に在住もしくは在勤していた人が、東京圏外に移住し、起業や就職をした際に受けられる制度です。支給対象は以下の通りです。
1. 東京23区在住者または東京圏から東京23区へ通勤している者
2. 東京圏以外の道府県または東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・地町村に限る)
3. 地域の中小企業などへの就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施
引用元:地方創生 移住支援金
上記の条件にすべて該当する人で単身者の場合は60万円以内、世帯の場合は100万円以内が支給されます。
起業支援金
起業支援金は、地域の課題解決のために新たに社会的事業を起こす人を対象に、都道府県が伴走支援と事業費のサポートを行う制度です。助成金は最大200万円で、子育て支援や買い物弱者支援、まちづくり推進など地域の課題解決につながる事業が対象となります。起業支援金を受け取るための条件は、以下の通りです。
新たに起業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)
ア.東京圏以外の道府県又は東京圏内の 条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと。
イ.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと。
ウ.起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。
事業承継又は第二創業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)
ア.東京圏以外の道府県又は東京圏の 条件不利地域において、Society5.0関連業種等の付加価値の高い分野で、社会的事業を 事業承継又は第二創業により実施すること。
イ.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、事業承継又は第二創業を行うもの。
ウ.本事業を行う都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。
引用元:地方創生 起業支援金
起業支援金が支払われるタイミングは、開業後に伴走支援を受け、実績を報告した後です。新たな土地で事業を始めたいと考えている人は、利用を検討してみましょう。
住宅に関する移住支援金がある自治体3選
住宅に関するサポートがある自治体を3つご紹介します。
①島根県飯南町
島根県飯南町では「定住促進賃貸住宅(セミオーダー)」の建築を進めています。木造平屋建ての2LDKまたは3LDKの新築住宅に、25年以上住む人が対象です。そのほかの入居資格は、以下の通りです。
1. 飯南町に定住するための住まいを必要としており、入居後すぐに住民基本台帳を住宅の場所に移す人
2. 入居申込時の年齢がおおむね40歳までの夫婦であること、または入居申込時の年齢がおおむね40歳までの方で同居の親族に中学生以下の子どもがいること
3. 家賃及び敷金を支払う能力を有する人
4. 地方税等を滞納していない人
5. 連帯保証人を1名用意できる人
6. 申込者またはその同居人、もしくは同居人の親族が暴力団員でない人
参照元:飯南町 令和6年度 定住促進賃貸住宅(セミオーダー)
家賃は月40,000円、敷金は入居時に120,000円です。もし、定住から25年未満に退去した場合は、家賃12ヶ月分の違約金が発生します。
➁北海道赤井川村
赤井川村では2016年から村の定住人口増加と、地域活性化を目的として移住や定住の支援事業を行っています。支援対象は、村内の新築の住宅に10年以上居住する人です。対象住宅は専用住宅のほか、店舗や事業所との兼用住宅、アパートなどの共同住宅も含まれています。
支援金額は、専用住宅・併用住宅ともに300万円、共同住宅は1棟6戸以上の住宅に対して、1戸あたり300万円です。そのほか、新築住宅建設後から3年間は固定資産税が半額になる優遇制度も用意されています。
➂愛媛県大洲市
愛媛県大洲市では、住宅の取得や空き家の改修、新規移住就業者などへの家賃補助など、大洲市での暮らしを応援する「大洲市移住・定住促進補助金」を用意しています。例えば、新築住宅取得費補助金は、新築住宅を購入する際に最大150万円、補助率の10分の1を補助する制度です。
また、新規移住就業者で新たに賃貸住宅を借りた場合は、賃貸住宅の月額家賃を最大月額1〜2万円、最長2〜3年間補助する制度もあります。対象となるのは県内外から転入し、転入後1年以内の60歳未満の人がいる世帯です。そのほか、5年以上居住をする、市区町村税の滞納をしていないなどの条件があります。
子育てに関する移住支援金がある自治体3選
子育てに関するサポートを用意している自治体を3つご紹介します。学生の子どもがいらっしゃる人は、ぜひご確認ください。
①大分県豊後高田市
大分県豊後高田市では、「ウェルカム未来の高田っ子応援金」を用意しています。支援を受けられるのは、18歳未満の子を扶養しており、同居している子育て世帯か祖父母世帯です。また、豊後高田市に5年以上定住すること、移住後のフォローアップにかかる調査等に協力できることなどの条件が設けられています。応援金は子育て世帯で10万円、祖父母世帯で2万5,000円です。
そのほか、路線バスを利用して高等学校に通学する生徒がいる保護者向けに、バス通学の費用を支援する制度も用意されています。例えば、市内の高校にバス通学をしている生徒は、定期券や回数券を購入すると、購入額に対して10〜30%分が応援金として交付されます。
参照元:豊後高田市 定住支援情報一覧
➁長野県宮田村
長野県宮田村では、子育てに関する補助金を用意しており、新生児から中学・高校生までを対象にサポートしています。例えば、小中学校の入学祝金や通学カバンの支給、高校などに通学する費用の一部を支援する制度です。小学校に入学した場合は1万円、中学校に入学した場合は3万円、高校などへの通学に関するサポートは一律で年額35,000円です。
また、他の市区町村から転入し、居住開始日に中学生以下の扶養する子と同居する人、子育て応援金事業の対象となる人は1世帯あたり100万円の補助を受けられます。
参照元:宮田村 補助金一覧
➂北海道沼田町
北海道沼田町でも移住支援を用意しており、40代以上の人が新築住宅を購入した場合は80万円の補助を受けられます。子育て世帯へのサポートとしては、高校に修学する生徒の保護者に対し、生徒1人あたり月10,000円の支援や学資の融資制度などが受けられます。
また、小中高生のいる世帯に対し、新米60kgを贈呈する支援や、卒業後も沼田町に住み続ける子の免許取得費用の補助が受けられるなど、ライフサポート事業も用意されています。
参照元:沼田町子育て支援ガイド
就職に関する移住支援金がある自治体3選
地方移住に伴い、転職する場合に移住支援金を受けられる自治体のランキングをご紹介します。就職に対する不安がある人は、ぜひ活用しましょう。
①愛媛県西条市
愛媛県西条市では「創業支援等事業計画」を用意しています。創業からその後のフォローまでの一貫したサポートを受けられる制度です。相談窓口の利用や起業塾、セミナーの開催、補助制度の紹介などを行っています。
「特定創業支援等事業」に位置付けられた支援を受けた創業者は、追加の支援を受けられます。例えば、登録免許税の軽減措置や信用保証枠の拡大などです。新たに創業したいと考えている人は、愛媛県西条市の「創業支援等事業計画」の利用を検討しましょう。
➁島根県奥出雲町
島根県奥出雲町では在住の人やUIターンで就職する人に向けて、無料の職業相談や紹介事業を実施しています。また、介護施設や診療所、建設業に就職した人に向けて、奨励金を交付しています。交付されるのは、以下の条件に該当している人です。
1. 奥出雲町に住民登録している人で、事業所に就職した時点で45歳未満の人
2. 町内の介護事業所・診療所に3年以上勤務する意思を持って正規職員として雇用された人
3. 過去に町が交付する人材確保を目的とした奨励金などを受け取っていない人
条件を満たした人に対して、介護施設や診療所に就職した人には10万円×2年間の最大20万円、建設業に就職した人には10万円×3年間の最大30万円を交付します。
参照元:奥出雲町 就職・就農
➂愛媛県宇和島市
愛媛県宇和島市では次世代を担う農業者となる、新規就農者に向けた支援を用意しています。年間150万円を最長3年間、経営開始後3年度目分までが支援されます。対象となるのは、以下の条件に該当している人です。
1. 独立・自営就農時の年齢が原則50歳未満で、次世代を担う農業者になると強い意欲がある人
2. 青年等就農計画の認定を受けている
3. 経営開始資金申請追加資料が要件に適合している
そのほか、生活保護などを受けていないなど、全部で10の条件が設けられています。支援を受ける条件は厳しいですが、農業を始めてみたい、自然に囲まれて仕事をしたい人はぜひ検討してみてください。
参照元:宇和島市 農林課
地方移住で後悔しないためのポイント
地方移住で後悔しないために気をつけたいポイントとして、以下の3つをご紹介します。
①環境や移住支援に関する情報収集を行う
情報収集では居住予定地の交通事情や、病院などの位置、天候など生活に関するあらゆる情報が対象です。必要ないと思うような情報でも、気になったことはすべて調べておきましょう。
➁入念な資金計画を立てる
移住に伴って転職をする場合は、収入が一時的に下がる可能性もあります。住宅の用意などでお金もかかるため、資金計画を入念に立てておきましょう。
➂お試しプログラムを利用する
より具体的な生活をイメージしたい人は、移住に関するお試しプログラムの利用がおすすめです。数日間、実際に滞在して住み心地や地域の特性を知れるため、地方に移住しても問題なくやっていけるかを判断できます。もし、余裕があれば夏と冬に体験しておくと、より後悔を減らせるでしょう。
まとめ
40代〜50代の人の半分以上が興味を持っている地方移住で利用できる、移住支援金制度をご紹介しました。移住支援金制度は首都圏から地方に移住する人が利用でき、その内容は住宅支援や子育て支援などさまざまです。地方移住に興味があるが、費用面や生活に関するサポートに不安がある人は、移住支援金制度を活用しましょう。