日本人は寝てなさすぎる!?健康のために必要な睡眠時間やより良い眠りのためのポイントを解説
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- 公開日:2025年5月20日

日本人は世界と比較すると、睡眠時間が足りていないといわれています。その中でも、特に睡眠時間が足りていないのはミドルシニア層の方です。今回は睡眠の質を高めるポイントや、寝不足が続くと起きる問題などを解説します。また、睡眠ソーシャルジェットラグと呼ばれる症状もご紹介していますので、睡眠に悩んでいる方、寝不足が気になる方はぜひ最後までお読みください。
この記事の目次
日本と世界の平均睡眠時間について
日本と世界では、平均睡眠時間の差が開いていることが調査によってわかりました。レスメドが発表した「レスメド世界睡眠調査2025」では、日本の平均睡眠時間は6.56時間と、3年連続で最下位です。世界の平均睡眠時間が7.09時間のため、日本の人は世界に対して、30分ほど睡眠時間が足りていません。
時間も質も確保された睡眠が週3日以下と回答した人は、前年の57%から59%に増加しており、睡眠の質に対しても課題を抱えている人が日本に多いとわかります。また、OECD加盟国の睡眠時間を調査したレポートでも、日本の平均睡眠時間の7.22時間は最下位でした。
日本人はどの世代が1番寝ていないのか
世界と比較して睡眠時間の短い日本人のなかでも、さらに睡眠時間が足りていないのは、40歳以上60歳未満の世代です。全世代を通して1日の睡眠時間が6〜8時間確保できているのは、全体の50〜60%程度ですが、40歳以上60歳未満の世代では46%にまで減っています。
また、令和元年の国民健康・栄養調査報告では、40〜49歳の1日の平均睡眠時間で、1番回答が多かったのは「5時間以上6時間未満」の36.5%で、多くの人が睡眠時間を十分に確保できていません。
40歳以上60歳未満の世代で、睡眠で休養が取れていると感じている人は、全体の70%ほどです。30%近くの人は、休んだのに疲れが取れない感覚を持ったまま日々を過ごしています。子育てや仕事などやることの多いミドルシニア世代は、睡眠時間が少ない傾向にあり、疲労も多い状態になっています。
何時間睡眠が理想なのか
必要な睡眠時間は年齢や環境によって個人差があるため、必ず何時間必要であるとは言い切れません。しかし、平均的な睡眠時間は45歳では約6.5時間、65歳では約6時間となっています。40〜60歳代であれば、6〜7時間の睡眠時間は必要であると考えて良いでしょう。
また、睡眠時間が7時間前後の場合が、生活習慣病やうつ病などの発症および死亡に至る可能性が低くなることもわかっています。睡眠時間が短くなると、発症や死亡のリスクが高まる点からも、理想の睡眠時間は7時間前後といえるでしょう。
睡眠の質を高めるポイント5つ
睡眠の質を高めるためには、いくつかのポイントがあります。今回は、すぐに取り入れやすい内容を5つご紹介します。
適度な運動を取り入れる
睡眠の質を高めるためには、日中に適度な運動を取り入れましょう。運動量が増えれば身体は疲労を感じて、より深い眠りにつけるようになります。運動と言っても、日常生活に少し取り入れるだけで問題ありません。ぜひ、以下のような運動を行ってみましょう。
• 階段を意識して使用する
• 5分だけ歩く時間を増やす
• 買い物や掃除などの家事で体を動かす
• 子どもや孫と体を使う遊びをする
散歩や自転車なども運動としては最適です。もっとしっかり運動したい人は、筋トレやヨガなどのエクササイズを検討してみてください。運動時間は有酸素運動を1回20〜30分、週3〜5日を目安にしましょう。
入浴で体を温める
入浴で体を温めるのも、睡眠の質を高めるのに有効です。人間の体は、体温が下がるタイミングで眠気を感じます。そのため、入浴によって体温を上げると、その後下がってきたタイミングで寝つきやすくなります。体はもちろん、精神的な疲労も改善されるため、ぜひゆったりと湯船に浸かりましょう。
入る際は、あまりお湯の温度が熱すぎると血の巡りが良くなりすぎてしまい覚醒状態になってしまいます。38〜40℃のぬるま湯に10分ほど浸かるようにしましょう。また、寝る2時間前までに入浴を済ませると、ちょうど就寝時間の時に体温が下がってきて、寝つきやすくなります。
寝る1時間前からスマホはやめる
睡眠の質を高めるためには、寝る直前のスマホはやめましょう。直前までスマホの画面を見ていると、画面からの光によって脳が昼間と勘違いをし、覚醒状態になってしまいます。また、SNSや動画などを見て不安になってしまう、悲しい気持ちになってしまうなど、感情が悪い方向へ動いてしまう可能性もあります。
悪い方向へ引っ張られてしまうと目が冴えてしまい、寝付けなくなる場合もあるでしょう。少しでも良い睡眠をとるためにはスマホやPC、テレビなどは寝る1時間前にはやめて、リラックスできる過ごし方を取り入れましょう。
カフェインを直前に摂取しない
カフェインには覚醒作用があるため、眠気覚ましとして日常的に摂取している人は多いでしょう。昼間であれば問題ありませんが、夕方以降の摂取は控えるのがおすすめです。カフェインは摂取してから分解までに4時間ほどかかるとされており、それ以上の時間が必要となる場合もあります。
カフェインに弱い人は、午後2時以降は控えるようにすると寝つきやすくなるでしょう。カフェインはコーヒーや紅茶のほか日本茶、ココア、チョコレートなどにも含まれています。夕方以降は、これらの飲料や食べ物は避けるようにしましょう。
寝室の環境を整える
睡眠の質を高めるためには、寝室の環境を快適に過ごせる状態に整えましょう。室温・光・音などは重要なポイントです。寒すぎたり暑すぎたりしないか、湿度は問題ないかを確認し、エアコンなどで調整をしましょう。部屋の照明も暖色のものにすると、落ち着いた雰囲気で過ごせます。
音は住居環境にもよりますが、耳栓をする、窓から離れた位置で寝る、カーテンを遮音のものに変えるなどで対策可能です。寝室の環境にこだわっていないという人は、ぜひ整えてみましょう。
睡眠不足によって起こる問題5つ
睡眠不足が続くと、どのような問題が起こるのか、今回は5つの問題をご紹介します。症状に思い当たる点がある人は、ぜひ睡眠時間を確保しましょう。
①脳が休めない
睡眠不足が続くと、脳が十分な休養を取れず、思考力の低下や記憶力の低下などの問題が発生します。記憶の定着には、質の高い睡眠が必要不可欠です。脳は睡眠時に新しく学習した内容や、その日あった出来事などを整理して記憶に残します。
睡眠不足が続くと記憶の整理ができなくなり、仕事の効率が下がってしまいます。また、集中力や認知機能の低下も、睡眠不足の症状です。毎日の仕事を効率よくこなすためにも、睡眠時間の確保は必要です。
➁疲れが取れない
睡眠不足や質が低い睡眠が続くと、体の疲れが取れず常に倦怠感を抱くようになります。睡眠は本来、1日の疲労を回復させるために必要なものです。質が低い睡眠では十分な回復ができず、朝起きた時からだるさを感じる場合もあります。
また、睡眠不足の状態では、自律神経のコントロールがうまくできず、頭痛やめまいなどの体調不良を引き起こすでしょう。場合によっては、腹痛などの内臓機能にも影響を与えます。血液循環やホルモンバランスが崩れるようになるため、高血圧症や糖尿病を悪化させる可能性もあります。健康のためには、睡眠時間を6〜7時間は確保するようにしましょう。
➂イライラ・不安・ストレスが増える
睡眠不足は体だけではなく、精神面でも問題を引き起こします。十分な睡眠が取れていないと、エネルギーレベルや気分に悪影響が出るため、イライラや不安、ストレスが増えてしまいます。些細なことで怒る・不機嫌になる場合は、睡眠不足も影響している可能性が高いでしょう。
また、寝不足では集中力が散漫になる影響で仕事のミスが増え、ネガティヴ思考になりやすく、うつ病になる場合もあります。精神的に不安になることが多い時は、睡眠時間を確保しましょう。
④太りやすくなる
睡眠不足が続いている人は、睡眠時間が7時間以上の人と比較すると、肥満になる確率が60%以上高くなることが、コロンビア大学の研究でわかっています。寝不足の人は食欲を増やすホルモンが増加するため、ジャンクフードを食べたがる傾向にあり、より肥満の確率は上昇します。さらに体の代謝機能が低下するため、摂取したカロリーの消費ができず太りやすくなるでしょう。
⑤免疫力が下がる
睡眠不足は体の免疫力を下げるため、感染症にかかるリスクが高まります。睡眠時間が短い人は、8時間睡眠の人よりも肺炎にかかるリスクが1.4倍になるともされています。また、炎症レベルが通常よりも高くなる可能性もあり、病気を悪化させる可能性もあるでしょう。風邪や感染症にかかりやすい人は、睡眠不足や睡眠の質が十分ではない可能性があります。
睡眠に関するNG行動
睡眠に関するNG行動を3つご紹介します。よく寝るためにと思ってとった行動が逆効果となる場合もあるため、ぜひ一度ご確認ください。
就寝前の飲酒や喫煙
就寝前の飲酒や喫煙は脳を覚醒状態にしてしまい、眠れなくなってしまう可能性があります。特にアルコールは寝つきを良くする効果があるため、寝酒をする人も多いでしょう。しかし、途中で起きやすくなる、熟睡感が得られないなど、別の問題が発生しやすくなります。
タバコのニコチンにはカフェインと同様に覚醒作用があるため、眠りを浅くします。寝る直前は、なるべく飲酒や喫煙以外の方法でリラックスを行いましょう。
朝にカーテンを開けない
朝起きてすぐにカーテンを開けて太陽の光を浴びないと、体内時計がリセットされず生活リズムがズレてしまいます。人間の体は起床してからすぐに太陽光を浴びると、15〜16時間後に眠気が起こるようになっています。
自然な睡眠リズムを作るためにも、朝はカーテンを開けるようにしましょう。雨天や日照時間が短い時期などは、時間になると太陽に近い光で起こしてくれる光目覚まし時計がおすすめです。
眠れないときに布団から出ない
眠れない時に、無理やり寝ようとして布団から出ないのは不眠症につながる可能性があります。布団で体を横にするだけでも疲労回復効果はあるとされていますが、布団にいても眠れない日が続くと、脳が布団は眠れない場所と認識してしまうためです。
結果的により寝つきが悪くなり、不眠症になるリスクも高まります。布団に入っても眠れない時は、一度布団から出て別の場所で眠くなるのを待ってみましょう。また、入眠のためのルーティーンを持っておくと、寝つきがよくなる可能性があります。
睡眠ソーシャルジェットラグとは
睡眠ソーシャルジェットラグとは、平日と休日の睡眠時間のズレで起きる時差ぼけ状態を指します。平日はあまり睡眠時間を確保できないため、休日にたくさん寝た際に起きる体や精神の不調が、時差ぼけを起こしている状態と似ているため、社会的時差ぼけと呼ばれています。
不調を起こさないためには、平日も十分な睡眠時間を確保する意識や生活習慣の改善が必要です。また、休日でも平日と同じ時間に起きて昼寝をする、太陽光を浴びて体内時計をリセットするなどの行動で、睡眠ソーシャルジェットラグが起きないようにしましょう。
まとめ
日本の平均睡眠時間の短さと、睡眠をとるためのポイントなどをご紹介しました。日本はミドルシニア層の睡眠時間が短く、質も高くないことがわかっています。睡眠不足が続くと仕事に影響が出るほか、将来の病気のリスクも高まります。
少しでも質の高い睡眠をとるためには、生活習慣の改善が必要です。今回ご紹介したポイントを取り入れて、質の高い睡眠がとれるように改善していきましょう。