個人事業主やフリーランスが納める税金の種類|支払い時期や方法、節税対策も解説

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個人事業主やフリーランスが納める税金の種類|支払い時期や方法、節税対策も解説

ミドル・シニア世代の人の中には、定年退職後に個人事業主として仕事をしようと考えている人もいるでしょう。今回は、個人事業主が支払う税金の種類や支払時期、節税方法などについてご紹介します。個人事業主に関する情報に興味がある、節税対策を検討している人はぜひご一読ください。

この記事の目次

    個人事業主が支払う税金の種類

    個人事業主が支払う税金は4つあり、それぞれ税金がかけられる部分は異なります。会社に所属していた時とは違い、自身で税金の種類の把握が必要です。まずは、税金の内容についてご紹介します。

    所得税

    所得税は、1月1日〜12月31日までの所得に対して課税される税金です。所得は収入から経費や控除などを差し引いた金額を指し、所定の税率をかけて税額が決定されます。所得額が大きくなるほど所得税額も大きくなるため、個人事業主が支払う税金で最も高額になりやすいです。

    もし、源泉徴収の対象となる報酬や給料を受け取った場合は、一定の所得税額が天引きされます。源泉徴収をした場合は支払い元が発行した「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を基に集計し、確定申告のタイミングで控除されます。万が一、納税額よりも多く天引きされていた場合は、確定申告後に還付される仕組みです。

    住民税

    住民税も所得によって決まり、提出された確定申告書を基に計算される税金です。住民税は毎年6月頃に通知され、確定申告を行っていれば、特に申告をせずに手元に連絡が届きます。しかし、確定申告を行っていない場合は確定申告書による計算ができないため、住民税の申告が必要です。

    住民税は主にゴミ処理や消防などの地方自治体が運営する、公共サービスのために利用されます。所得税との違いは、基礎控除額が最高43万円である点、所得金額によって税率が変動しない点です。場合によっては、所得税よりも住民税の負担額の方が少ないといった人もいます。

    消費税

    消費税は、商品の売買をした際に課税される国税です。納税義務の判断については、開業から2年前の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかです。1,000万円を超えた場合は、課税事業者として消費税を納める必要があります。開業したての場合や課税売上高が1,000万円未満の場合は、免税事業者となり消費税の納税義務はありません。

    ただし、2023年10月に始まったインボイス制度によって、課税売上高が1,000万円未満でも課税事業者として登録している人が増えています。課税事業者になった個人事業主は、的確請求書発行事業者として登録した日以降の消費税に、納税義務が発生します。

    個人事業税

    個人事業税、個人事業主全員が支払うわけではなく、特定の業種を営む事業者にのみ課税される地方税です。事業で得た所得が、年間290万円を超える場合に課税されます。課税される業種は、国が地方税法等で決めた特定業種を法定業種と呼び、第1種〜第3種までの70種類が定められています。

    納付は8月と11月の年2回で、課税される税率は業種や自治体によって異なります。自身の事業がどの業種に該当するかわからない場合は、事業所がある都道府県に問い合わせましょう。

    そのほか支払いが必要なもの

    個人事業主が支払う税金は基本的に4つですが、そのほかにも支払いが必要なものがあります。例えば、住宅やマンションを所有している場合は固定資産税、車を所有している場合は自動車税です。

    また、国民年金保険料や国民健康保険も支払いが必要となります。国民年金は毎年見直しが行われ、金額は一律です。しかし、国民健康保険は前年の所得に応じて決められており、毎年金額が変動します。

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    個人事業主が各種税金を支払う時期と支払い方法

    個人事業主が支払う税金の種類がわかったところで、次は各種税金の支払い時期と支払い方法についてご紹介します。それぞれ時期が異なるため、忘れずに納付しましょう。

    各種税金を支払う時期

    各種税金の支払い時期については、以下の通りです。

    税金 支払い時期
    所得税 毎年2月16日〜3月15日(3月15日が土日の場合は翌月曜まで)
    住民税 年1回もしくは4回の分割払い
    年1回の場合:6月末
    年4回の場合:6月末・8月末・10月末・1月末
    消費税 毎年3月31日まで
    個人事業税 年1回もしくは4回の分割払い
    年1回の場合:6月末
    年4回の場合:6月末・8月末・10月末・1月末
    国民年金保険 毎月
    国民健康保険 毎月

    それぞれ納付の時期が異なるため、間違いがないようにしっかりと把握しておきましょう。

    各種税金の支払い方法

    税金の支払いは、さまざまな方法に対応しています。基本的には、以下の方法で納税が可能です。

    • 振替納税
    • e-Taxによる納付
    • クレジットカード
    • QRコードによるコンビニ納付
    • 金融機関または税務署の窓口で現金納付
    • スマートフォン決済アプリでの納付

    また、国民年金保険や国民健康保険は、ペイジーによる納付にも対応しています。納税方法が豊富なため、自身の都合に合わせた支払い方法が可能です。確定申告をe-Taxで行う場合は、そのままダイレクト納付をすると便利です。納付方法によって納付期限が異なるため、忘れずに余裕を持って支払いができる方法を、選択しましょう。

    税金の支払いが遅れると延滞金がかかる

    税金の支払いを忘れており、納付期限に遅れてしまった場合には延滞金が発生します。さらに、納付期限を過ぎても支払わないまま放置すると、給料や預貯金の差し押さえなどの処分を受ける可能性があります。納付期限を1日でも過ぎた場合は、市役所の税務課などへ支払いをしに行くのが基本と考えておきましょう。

    ただし、バーコードの読み取り期限や使用期限が、納付期限と別に設定されている場合は、期限を過ぎてもコンビニなどで支払いできる可能性があります。納付期限が過ぎた納付書が使用できるかどうかは、市区町村によっても異なるため事前に確認が必要です。できるだけ、納付期限内に税金を支払いましょう。

    個人事業主向けの節税方法

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    個人事業主が支払う税金はさまざまで、人によっては高額となる場合があります。少しでも税金を抑えたい個人事業主に向けて、取り入れやすい節税方法をご紹介します。

    青色申告の活用

    確定申告をする際、白色申告と青色申告の2つがありますが、少しでも節税を意識するのであれば青色申告を活用しましょう。青色申告特別控除を適用すると、その分課税所得が減るため、所得税額を減らせます。

    青色申告事業者は所定の要件を満たすと、最大で65万円の控除を受けられます。複式簿記での記帳と貸借対照表や損益計算書を添付して、e-Taxまたは優良な電子帳簿保存を行った状態で確定申告をする必要があります。条件を満たせていなかった場合は、最大55万円または10万円の控除となり、節税の効果は薄れてしまうでしょう。

    そのほか、青色申告には以下のようなメリットがあります。

    • 30万円未満の資産を取得した場合は、一度に経費計上ができる
    • 家族への給与を経費にできる
    • 今年の赤字を翌年以降の所得から差し引ける

    白色申告よりも記帳は複雑になりますが、その分受けられるメリットも大きいため、節税のためにも青色申告を活用しましょう。

    経費計上の見直し

    経費として計上できるものを見落としていないか、見直しをしましょう。仕事で使う事務用品の購入費はもちろん、家賃や光熱費、通信費なども経費に計上できます。自宅で仕事をしている場合は、家賃や光熱費などを合理的な基準に分けて計算する家事按分が可能です。経費計上の金額が大きい分、課税所得金額が少なくなり、所得税額が少なくなります。

    また、場合によっては税金も経費にできる可能性があります。所得税や住民税は基本的に経費にはできませんが、個人事業税や仕事に関する固定資産税などは経費計上が可能です。そのほか、印紙税や登録免許税なども租税公課という勘定科目で、経費として処理ができます。経費にできる費用はないか確認しましょう。

    所得控除を活用する

    所得控除は、所得税を計算する際に所得から差し引ける金額で、以下のものが該当します。

    控除の種類 特徴
    基礎控除 収入のあるすべての人が対象、所得が2,400万円以下であれば一律48万円を控除する
    医療費控除 年間で支払った医療費が10万円以上か、所得金額の5%以上になった場合に受けられる
    配偶者控除 配偶者の収入に応じて受けられる控除で、控除額は条件によって異なる
    扶養控除 扶養をしている家族がいる場合に受けられる
    社会保険料控除 健康保険や国民年金、国民年金基金、介護保険、労働保険などの保険料の全額が対象
    小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済やiDeCoに支払った掛金の全額が対象
    生命保険料控除 生命保険や介護医療保険、個人年金などに加入している場合、一定の金額を控除できる
    地震保険料控除 地震や津波などを原因として発生した火災や、損壊に対する保険に加入している場合に受けられる
    寡婦(夫)控除 夫や妻と死別、離婚した場合などに扶養している親族がいる場合などに受けられる
    雑損控除 災害や盗難など生活する際の資産に被害があった時に受けられる

    控除を利用するかしないかで、納税金額は大きく異なります。また、税額控除も利用できないか確認しましょう。税額控除は課税される所得金額から計算された所得税額から、一定の金額を控除します。株式投資などで配当金を受け取った場合は配当控除、住宅を新築したり増改築をしたりした場合は、住宅借入金等特別控除を利用できます。

    法人化を検討する

    事業が発展して課税所得が増えてきたら、法人化を検討しましょう。法人化をすると同じ額の所得を得ていたとしても、所得税よりも税率が下がる可能性があります。例えば、資本金1億円以下の普通法人で、年間所得が800万円以下の場合は税率が15.0%です。しかし、個人事業主としての所得が500万円の場合は税率が20.0%となっており、法人税との差が5%もあります。

    法人の設立には手間も費用もかかるほか、そのほかの法人に関係する税額もあるため、簡単には法人化はできません。しかし、税率が変化する年間所得である330万円を超える場合は、法人化を検討しましょう。

    小規模企業共済へ加入する

    小規模企業共済は中小機構が運営している、個人事業主や中小企業のための積立式の退職金制度です。掛金の全額が控除の対象となるだけでなく、受け取ったお金も退職所得控除が受けられます。

    掛金は月額1,000円〜7万円までの範囲を、自分で自由に決められます。掛金は加入後に増減もできるため、収入が安定しない事業の人でも気軽に加入が可能です。また、共済に加入していると、事業資金の借り入れもできます。

    iDeCoへ加入する

    iDeCoは個人型確定拠出年金で、厚生年金や国民年金とは別に個人で用意する年金です。iDeCoも掛金全額を、所得税と住民税で控除が受けられます。毎月一定の金額を積み立てて、掛金を使って金融商品を運用する仕組みです。

    また、掛金は60歳になるまで引き出しできません。60歳を過ぎると、年金か一時金のどちらかの方式で運用した額を受け取れます。毎月5,000円から積み立てられ、場合によっては休止もできるため、自身のペースで老後の資金と節税を行えます。

    ふるさと納税をする

    ふるさと納税は復興支援に協力したい自治体や地元の自治体など、任意で選んだ先に寄付をすると、寄付額の一部について税金の控除や還付を受けられる制度です。自己負担額の2,000円を除いた全額が、所得税や住民税から控除されます。

    所得税は寄付した年から還付、住民税は翌年から控除が受けられます。上限額は所得や家族構成によっても異なるため、事前にシミュレーションを活用しましょう。

    まとめ

    個人事業主の人が支払う税金の種類や、支払いをする時期、方法についてご紹介しました。個人事業主は所得税・住民税・消費税・個人事業税の4つがあり、それぞれ支払いの時期が異なります。

    1日でも納付期限を過ぎてしまうと、延滞金が発生するため、支払い期限には十分注意しましょう。また、控除や確定申告の方法、iDeCoなどの利用で節税も可能です。自身に合った方法で支払いや、節税を行いましょう。

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