パートでも産休・育休は取れる?条件や取得する方法
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- 公開日:2023年9月28日
産休や育休は正社員だけが取得できると認識している方もいらっしゃいますが、パートやアルバイトでも取得できます。ただし条件や手続きがありますので、それらを理解することが大切です。今回の記事では、産休・育休を取得する条件から、パートでももらえる手当の種類、産休・育休取得時の注意点などを紹介します。
この記事の目次
パートでも取れる産休・育休とは?
産休・育休は、正社員に限らず、パート・アルバイト・契約社員など、雇用形態に関係なく取得できます。ただし、産休と育休では取得条件が異なります。
産休は労働基準法によって出産前後の女性であればどなたでも取得できるように定められていますが、育休は育児・介護休業法により、一定の条件を満たす人のみが取得できます。
産休・育休を取得するには?
産休・育休は、対象者や期間、取得条件がそれぞれ異なります。
産休を取得する条件
対象者
出産前後の女性(妊娠・出産による身体の回復が目的のため)
期間
産前:出産予定日の6週間前(妊娠34週)から出産日まで ※任意
産後:出産翌日から8週間 ※義務
条件
企業に勤める妊娠中のすべての女性(就業期間、雇用形態、週の労働日数問わない)
産休は、出産準備にあたる「産前休業」と、産後の心身回復のための「産後休暇」があります。出産する女性であれば、雇用形態や入社時期、週の稼働時間に関係なく、どなたでも取得可能。(週1・週2のパートでもOK)
一般的に産前休業は、出産予定日の6週間前から取得できますが、双子以上の多胎児の場合は、心身への負担がより大きいため、出産予定日14週間前(妊娠26週)から取得可能です。
産休の取得方法
産前休業は任意取得になるため、取得したい場合には自ら申し出る必要があります。申請期限は特にありませんが、産前休暇が取れる出産予定日から6週間前までには、会社に申請しましょう。
産休を取得する時に覚えておきたいのが、産前休業・産後休業は同時に申請すること。産後休業は、出産翌日から8週間の取得が法律で義務付けられていますが、出産から6週間が経過し、本人の希望と医師が認めれば復帰も可能。そのため、産後休業についても会社と話し合っておくと安心です。
会社によっては「産前産後休業取得申請書」の提出が必要な場合もありますので、妊娠がわかった時点で、休暇をとる予定があることを上司に説明するようにしましょう。
育休を取得する条件
対象者
出産後の女性とその配偶者
期間
育児休業:子どもが1歳になるまで
延長可能:子どもが1歳6か月になるまで(理由によっては子どもが2歳になるまで再延長可能)
条件
子どもが1歳6か月(1歳半~2歳の育児休業の場合には2歳)になるまで雇用が見込まれる企業に勤める男女
※労使協定により以下の条件の方は育休の対象外となっています。
・雇用期間が1年未満の労働者
・育休申出日から1年以内(1歳から1歳半、1歳半から2歳までの申出の場合は半年以内)に雇用関係が終了することが明らかな労働者
・週の労働日数が2日以下の労働者
育休は男女ともに取得できますが、上記の表に記載したように条件があります。
育休の取得方法
育休の申し出期限は育児・介護休業法によって、休業開始予定日の1か月前と定められています。休業開始予定日の1か月前までに、会社へ「育児休業申出書」を提出しましょう。育休を取得するのが女性の場合、産休から続けて育休に入る場合がほとんどなので、産前休業前に申請しておくと安心です。
また、通常の育休期間(子どもが1歳になるまで)から延長する場合には、休業開始予定日(子どもの1歳の誕生日または育休対象者の育休プラスの終了予定日の翌日)の2週間前までの申し出が必要です。
パパも積極的に育児休暇の活用を
育児休暇は、男性・女性にかかわらず条件を満たせば1年間(子どもの1歳の誕生日の前日まで)取得可能です。また、保育所に入所できなかったり、新たな妊娠が発覚したり、別居などで復帰が難しいと判断された場合は、延長もできます。
2022年10月からは、育児・介護休業法が改正され、男性も女性も仕事と育児が両立しやすくなるよう、新たに「産後パパ育休(出生児育児休業)」制度が設けられました。産後パパ育休制度とは、1歳までの育児休業とは別に、子どもの出生日から8週間以内に4週間(28日)を限度として休暇を取得できる制度です。
制度のポイントは、分割で育休が取得できるようになったこと。これまでの制度では、原則1度にまとめての取得しかできませんでしたが、改正によって2回に分けて取得できるようになりました。もちろん分割の必要がなければ一度に4週間分の休暇を取得することもできるので、家庭の事情や予定によってフレキシブルに対応できます。
パートでももらえる産休・育休時の手当て
正社員ではなく、パートやアルバイトでも一定の条件を満たせば、出産・育児関連の経済的な支援を受けることができます。ここでは、パートでももらえる産休・育休時の手当てを紹介します。
出産一時育児金
出産育児一時金とは、妊娠4ヵ月以上のほぼすべての方が出産した時に受け取れる給付金のことです。給付金が受け取れる対象者は、「勤務先の健康保険に加入している人」、「健康保険加入者の扶養に入っている人」、「国民健康保険に加入している人」です。これに加え、「妊娠85日(4ヶ月)以上での出産」が支給条件になります。
これまで一児につき42万円が支給されていましたが、制度の改正により2023年4月以降は一児あたり50万円までに引き上げられました(産科医療補償制度対象外の出産の場合は48.8万円)。申請期限は出産日の翌日から2年間になるので、忘れず申請するようにしましょう。
出産手当金
出産手当金とは、出産のために休業し、給与を受けられなかった場合に受け取れる給付金です。「勤務先の健康保険に加入している人」が対象で、パートやアルバイト、契約社員などでも自身で健康保険に加入していれば受け取ることができます。
出産手当金は、自身が勤める会社の健康保険組合から支払われ、過去12ヵ月の給料(標準報酬月額)をベースにした日給の3分の2に相当する額と定められています。
育児休業給付金
育児休業給付金は、1歳未満の子どもの養育を目的に休業した場合に支給される給付金です。育児休業給付金を受け取るには、以下の条件を満たしている必要があります。
・対象者が雇用保険に加入している
・休業前の2年間のうち、11日以上出勤している月が合計で1年以上ある※1
・子どもが1歳6か月になるまで継続的な雇用が見込まれている
※1:11日以上の月が1年に満たない場合、月80時間以上の月を1か月として算定可能。過去2年間内であれば、前職など別の勤務先も含めることも可能
給付額は期間によって変動し、育児休業の開始から180日目までは育休開始前の月給の67%、それ以降は育休開始前の月給の50%を受け取ることができます。雇用保険への加入や長期間の労働実績などが必要ですが、知っておきたい給付金のひとつです。
誰でも受けられる手当
これまで紹介した手当には、受け取るための条件がありましたが、以下で紹介する手当はどなたでも受け取ることができます。知らなければ損をしてしまうこともありますので、チェックしてぜひ活用してくださいね。
健診費用の助成
国や会社からではなく、住んでいる自治体からも経済的なサポートが受けられます。妊娠すると、経過観察のために定期的に妊婦健診を受けます。計14回ほどの受診が必要で、健診費用は1回あたり5千円~1万円が目安。健診費用だけでも合計10万円ほどがかかると言われています。
そうした費用の負担を一部サポートするべく、自治体から「妊婦健康診査費用補助券」といった名称で、健診時に使える補助券が配布されます。サポート額や補助券の枚数などは自治体により異なります。自治体の窓口に妊娠の届出を行う際にもらえますので、チェックしてください。
医療費
風邪などと違って妊娠健診などでは健康保険が適用されませんが、妊娠高血圧症候群、つわり、切迫早産、帝王切開など、妊娠・出産に伴い医療行為が必要になった場合には、健康保険が適用となります。
通常の医療費負担と同様、3割負担が受けられます。また、医療費が高額になってしまった場合には「高額療養費制度」も適用され、自己負担限度額を超えた分が戻ってきます。
出産・子育て応援交付金
出産・子育て応援交付金とは、安心して出産や子育てができる環境を支援し、少子化を解決する目的で国の令和4年度第2次補正予算に組まれた交付金制度です。令和4年4月以降に出産した家庭を対象に、経済支援と相談支援の二つのサポートが受けられるようになっています。
経済支援では、妊娠届出時と出生届出後に各5万円、合計10万円相当の支援が受けられます。支援は現金、クーポン、ギフトなど自治体ごとに異なります。相談支援では、不安なく出産や子育てができるような情報発信や定期面談など、それぞれのニーズに応じた支援を行っています。
健康保険・厚生保険の保険料の免除
産休・育休中は、所定の手続きを行うと社会保険料を免除することができます。産休中の免除期間は「産前42日と産後56日の産前産後休業期間中、妊娠または出産を理由に労務に従事しなかった期間」です。
勤め先が年金事務所に申し出ることによって、対象者と会社の両方の負担が免除されます。国民年金保険に加入している人も免除の対象です。「出産予定日or出産日が属する月の前月から4か月間」の国民年金保険料が免除されます。
児童手当
児童手当とは、中学校卒業までの児童を持つ家庭に支給される手当です。支給額が児童の年齢によって異なりますが、児童1人あたり月額1万5千円または1万円が支給されます(3歳未満:一律1万5千円)。ただし所得制限があり、所得制限限度額以上の家庭の場合は、特例給付として児童1人あたり月額5千円が支給されます。
産休・育休を取得する時の注意点
世間的にはパートでも産休・育休を取得できるようになっていますが、現実では職場の事情や手続きを理解できなかったなどの理由で取得しない人がいるのも事実です。ここでは、産休・育休取得のために押さえておきたい注意点紹介します。
手続き方法を確認する
産休・育休を取得したい場合には、さまざまな手続きが必要です。勤務先への申請が第一なので、申請期限である「休業開始予定日の1ヵ月前まで」に、産休・育休の申請を行いましょう。
手続きは企業によって異なるため、事前に確認が必要です。その他手当を受け取るための申請や仕事の引き継ぎ、社内挨拶など、やらなければならないことを確認しておくとスムーズに産休に入れます。
必ず期日までに手当受け取り申請をする
出産・子育てに関する手当は申請しなければ受け取れません。申請や受け取りには期限があり、期限を超えてしまえば受け取る権利がなくなるため、きちんと確認しておきましょう。
出産育児一時金や出産手当金など、給付金ごとに受け取り条件が異なりますので、申請前に扶養内でも受け取れるかをチェックしてくださいね。
勤務先の人間関係を良好に保つ
産休・育休は労働者のための権利ではありますが、周囲への配慮が大切です。産休・育休前にもつわりなどの体調不良で迷惑をかけてしまうこともあるため、日々感謝の気持ちを持って接し、職場内の人間関係を良好に保つことを心がけましょう。
みんなが懸念することを率先して働いたり、元気な挨拶を意識したり、上司に言われる前に行動したりなどを積み重ねておくと、人間関係がスムーズで良好になるはずです。
産休・育休が理由の退職依頼には注意<
なかには「妊娠・出産するなら退職した方がいいんじゃない?」という会社もあります。しかし、産休・育休を取得しても、企業には賃金の支払いや社会保険料の支払いはありません。
そのため、この旨を伝えれば退職を免れる可能性もあります。加えて、働く意欲のある人には退職を勧めてくることも少ないので、復職したい想いも一緒に伝えておくと良いでしょう。
育休が取れない場合は機関に相談する
育休は任意ではありますが、労働者が利用できる権利です。育休を取得できる条件をクリアしているのにも関わらず、育休が取得できない場合は、「都道府県労働局」や「総合労働相談コーナー」、「労働基準監督署」、「弁護士」などに相談しましょう。
まとめ
今回は、産休・育休の取得条件や取得する方法などを紹介しました。これらを知っておくと、さまざまな予定がスムーズに立てられ、出産後も子育てに集中しやすくなるでしょう。また、産休・育休に関する手当も把握しておけば、金銭面での不安も軽減されます。今回紹介した注意点もあわせて、ぜひ活用してみてくださいね。