70歳定年時代こそ、業務委託という働き方を活かす
- 独立・起業
- 公開日:2023年3月30日
現在の日本では、以前と同じような働き方を続けることが難しくなりました。しかし、これは悪いことではありません。社会の変容に合わせ、自分の働き方も選べるようになったからです。本日は、業務委託という今時の働き方に焦点を当てていきます。
この記事の目次
業務委託とは?
私たちの生活は、人生100年時代を迎え、着実に変わってきています。その中でも、働き方はこの10年でガラリと変化したと言えるでしょう。
2021年の改正高年齢者雇用安定法で、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務になったのは、皆さんの記憶にも新しいですよね。また、年金の支給開始年齢も段階的に引き上げられている現状があります。
少子高齢化や、寿命が延びたことで私たちは歳を重ね、長く働けるようになりました。ただ、長く働くと聞くとなんだかマイナスな印象を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、その"働き方"を工夫すれば、自分の有意義な時間も確保しつつ、自由に働くことができる活動的社会になったと捉えることができるのです。そして、そんな働き方の中で「業務委託」はまさに現代に相応しい働き方の一つではないでしょうか。
まず、業務委託とは一言で「企業に雇用されない働き方」のことです。企業が業務の一部やある程度の領域間の仕事を任せ、個人にその業務を委託することを指します。そのため、企業と個人での雇用関係は発生しません。
会社員のように定時や、守らなくてはいけない就業規則もありません。会社に属さないため、両者は完全に対等関係となります。つまり、依頼された業務(成果物)をこなし、それに対する対価としてお金をもらうのです。
どんな契約があるの?
一概に業務委託といっても、いくつかの種類が存在します。ここでは契約されることの多い、2つの契約形態を挙げます。
・請負契約
請負契約とは、成果物を完成させ、その対価として報酬を受ける契約です。
何かしらの制作物を企業から依頼されるなど、納品物が発生する場合にはこの契約方法が取られることが多いです。具体的には、委託ドライバーやプログラマー、ウェブデザイナーなどの職業が挙げられます。
納品が完了すれば報酬が支払われるので、時間作業や作業方法などは個人の裁量に任されます。ただし、もし仮に納品物を完成できなかった場合は報酬が発生しない可能性があります。
そのため、何十時間かかって作業をしようとも成果物を提出できなければ、報酬がもらえないことも。さらに、完成までが契約の範囲となるため、成果物に不備等あった場合には、修正対応が何度も発生することも覚えておきましょう。
・委任契約
委任契約とは、業務を行うことで、報酬が発生する契約です。
委任契約の場合、請負契約と異なり作業自体に対価が支払われますので、成果物の完成責任は問われません。
具体例でいえば、マンションの管理・受付業務やコンサルタント業務など、無形の仕事に対して委任契約を結ばれることが多いでしょう。
参考:「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」厚生労働省
なぜ、ミドルシニアこそ業務委託という選択がいいの?
先ほどまでも述べたように、70歳定年が定着しつつある今、長く企業で勤めあげるのも手ですが、企業と個人間での業務委託契約を結び、多角的に働くことも一つの手段だと言えるでしょう。
例えば、本業を持ちつつ、副業という選択肢も取り、多くのクライアントと業務委託契約を結べば、収入も1本柱ではなく、複数の収入源を獲得することができます。現代では新型コロナウイルスのように、いつ何が起きるかわからない世の中です。
飲食業界や航空業界などに勤めていた方にとっては、コロナ禍は「こんなはずではなかった」という事態になってしまったはずです。しかし、もし第2、第3の働き方を自分で用意することができれば、人生のリスクヘッジになります。
また、ミドルシニアからの働き方は、やってみたいと思っていたことに挑戦するなど、アグレッシブな人生を送るのにも業務委託は合っています。
例えば、エンジニアの方に「いつかはジャズ喫茶店をやってみたい!」という夢があるとします。しかし、夢を追いかけるためにも、生活の安定は必要不可欠です。そこで、フリーランスとして業務委託で働くという選択肢を持つことで、夢にも大きく前進することができるのです。
時間給で働くアルバイトは、時給の上限金額や勤務時間の縛りがありますが、成果物と報酬の引き換えである業務委託という働き方なら自分次第でいくらでも働き方と生き方のベストな選択ができるようになるのです。さらに、業務委託で働きながら、起業に向け経営学を学ばれている方など、リカレント教育※を受ける方も増えてきています。
人生は1度きりです。働き方に多様性が生まれた現代だからこそ、キャリアを重ねてきたミドルシニアはこれまでのキャリアを基に、業務委託という働き方が活かせるといえるでしょう。
※リカレント教育...学校教育を終えた人が再び学ぶことを指し、主に社会人がキャリア再開拓のため、大学等の機関で学び直しを行うことをいう。
参考:「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」厚生労働省
業務委託として働くメリットとは?
では、メリットをみていきましょう。
メリット1:専門性を活かせて、人間関係の煩わしさがない
業務委託の場合、特定の作業を依頼されることがほとんどです。
依頼された仕事だけを進めればいいので、組織の先輩や上司に気を遣うこともありません。
社会人としての節度は必要ですが、会社員のように業務が多岐に渡ることがないので、自分の得意な分野のことだけに専念した働き方ができます。
メリット2:場所や時間に縛られない
業務委託で働く場合、仕事を行う場所や時間は自由です。
特に、請負契約では在宅で働けることも多く、通勤や勤務時間に関わるストレスが大きく軽減されます。さらに働く時間や場所が自由だと、ご自身のキャリアデザインを思うように描くこともできます。
例えば、育児や介護をしながら働くこともできますし、最近では旅をしながら働く「旅ライター」などという新たな職業も生まれています。
メリット3:ルーティンワークがほぼない
業務委託契約は、クライアントを複数抱えることができます。また、やる気次第で自分でどんどん挑戦することができるのも利点です。
学びながらスキルを身に着けていくこともできますし、変化を楽しみながら可能性を広げていけるので、飽きのこない働き方でしょう。
メリット4:収入に上限はない
雇用されている場合、いくら結果を出したとしても、外資系などでない限り、給与にはすぐに反映されません。
しかし、業務委託の場合は、分量をこなせば報酬を多く受け取ることも可能です。多く稼いでいきたいという方にとって業務委託契約はまさにもってこいの働き方です。
業務委託として働くときの注意点!
これまでにメリットを挙げてきましたが、反対に注意しなくてはいけない点もあります。
注意点1:労働基準法などの適用がない
業務委託で働く場合には、労働基準法等の適用がありません。そのため、法律によって守られることはなく、契約内容を予め把握しておかないと後にトラブルの原因になることも。
また、確定申告や保険料の支払いなども自らが行う必要があるため、ただ仕事をしていればいいという訳ではなく、自身の身も守りながら業務にあたる必要があります。
注意点2:コンスタントに収入が得られない
業務委託で働く場合、常に仕事があるわけではありません。また、雇用契約がないため、突如として契約を切られてしまう可能性もあります。そうした場合に備え、新しい仕事を常に見つけておかなくてはなりません。
いざ、フリーランスになったはいいが、生活ができずに会社員に戻るといったことが近年増えています。経済産業省の「中小企業白書」のデータによると、新たに設立された会社や個人事業主が1年後に残っている生存率は約72%だそうです。
つまり、10人のうち3人はその翌年に廃業してしまっているのです。このように、収入源が確保できないプレッシャーに耐えていけるかどうかも、個人事業主として働いていけるかどうかの見極めポイントでしょう。
注意点3:契約をするときは契約書を必ず交わす
業務委託で働く際には、書面など目に見える形で契約内容を結ぶようにしなければいけません。例えば、口頭で約束した場合、仕事を完了した後に値下げされるなど、トラブルになってしまうことも。
契約期間や報酬、報酬の支払い方法、秘密保持についてなど、留意しておかなければいけない点は様々あります。面倒くさいと思わず、契約書は個人事業主にとっては自分の身を守る盾のような存在ですので、細かいところまでチェックをするようにしてください。
注意点4:責任を放棄できない
業務委託で働く場合、仕事に関する責任は会社員に比べてとても大きいです。そのため、契約した仕事には細心の注意を払い、常に責任を持つことが大切です。
最近では、フリーランスと企業間でのトラブルも多く、フリーランスや個人事業主が弁護士に無料で相談できる相談窓口「フリーランス・トラブル110番」などが設置されています。何かあった場合には、一人で抱えずに速やかに相談するようにしましょう。
参考:「中小企業白書」経済産業省
「フリーランス・トラブル110番」厚生労働省
業務委託の求人の探し方とは?
では、業務委託として実際に働くにはどうすればよいのでしょうか?
1.知り合いにあたる
人は財産といいますが、個人事業主ほどその瞬間を感じることが多いかもしれません。仕事は責任が伴うものですから、依頼者である企業も信頼のおける人からの紹介で業務委託契約を結ぶことが増えています。普段から友人にも「こんな案件探している人がいたら教えて」と声をかけておくとよいかもしれません。
2.自分で宣伝・営業をする
HPを作成したり、SNSなどを利用したりして案件を獲得する方法もあります。その際、実績をまとめたポートフォリオの提出をお願いされることがあるので、予め作成して持っておくといいでしょう。 また、ネット検索で直接メッセージを送ったりと、自ら働きかけて仕事を獲得する姿勢も重要です。
3.求人情報サイト、マッチングサービスで探す
業務委託を取り扱う、求人情報サイトやマッチングサービスに登録することも一つの手です。業務委託の様々な案件が掲載されているので、まずは応募してみるるのが◎。
ただし、媒体の中には成約料が発生するものもあるので、労力と報酬が見合っているかを見極めて仕事をスタートしましょう。
まとめ
これまで、メリットやデメリットを含めて業務委託という働き方についてみてきました。気を付けないといけない点もありますが、自分らしい働き方をするためにも業務委託という働き方は、スピード感のある今の時代に合っているといえます。