警備会社はどのような仕事をする?ミドルシニアが知るべきポイントを解説

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警備会社はどのような仕事をする?ミドルシニアが知るべきポイントを解説

商業施設の出入り口など、見かけることも多い警備員。施設が民間会社へ警備業を委託しているパターンも多く、制服でどこの警備会社か分かる、ということも少なからずあります。民間の警備会社が行う「警備業」は、厚生労働省編職業分類では「保安」に分類されるものの、総務省の行っている統計調査「経済センサス」の産業分類では「サービス業」に分類されたりと、実態が掴みにくい、と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は警備会社とはどんな会社なのか?といったところから、仕事内容、求人を選ぶ時のポイントまで詳しくご説明していきます。

この記事の目次

    警備会社業界とはどのような業界?

    警備会社とは、一般的に「警備業」を行う会社のことを指します。
    この「警備業」とは「警備業法」第二条(※1)に定義がなされております。

    一 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務

    二 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務

    三 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務

    四 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務

    これらを他人から依頼され、業務を行うことを「警備業」と言います。そしてこの警備業を営む企業こそ「警備会社」なのです。

    また、警備員になるために必須の資格は特にありませんが、警備員の欠格事由に該当していないことが必要となります。主な欠格事由は犯罪歴や薬物中毒、心身の障害などが挙げられます。

    年齢制限は18歳以上のみで、上限は設けられていません。そのため40代後半から50代、または退職後に未経験からガードマンにチャレンジする方が多く、ミドルシニア世代が多数活躍している業界といえます。

    ※1 e- gov 法令検索「警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)」

    警備会社で働く前に知っておきたい「警備業法」

    警備業法とは、警備業を営む企業、または従事する者について定められた法律で、全8章60条の条文で構成されています。

    警備業の定義から認定要件、基本原則や警備員になるための教育内容などが示されており、警備会社はこの警備業法に則って業務を行っています。

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    これって警備業?

    警察官と警備員の制服が似ていて分かりにくい、と思われる方もいるかもしれません。同じような業務をやっているじゃないか、という疑問もあるでしょう。

    警備員と警察官を混同しがちになるかもしれませんが、その違いは何より「公権力であるかどうか」という点です。警備業法第15条(※1)には「警備業務実施の基本原則」として、以下のように明記されています。

    「警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」

    つまり、警備員は基本的に法的拘束力を持っておらず、なにか損害が生じた場合は警察に通報する、という手段を取ることになります。

    交通整備

    確かに、警察官が道路で交通整備を行うこともあります。ここでポイントなのが、「緊急時かどうか」ということ。

    一般的に警備員が行う車や歩行者の誘導は「交通誘導」と呼ばれ、工事現場や駐車場などで、スムーズな交通を手助けする業務です。一方、警察官が行うものは「交通整備」と呼ばれ、車の混雑が予想される道路をはじめ、損壊した道路や火災など緊急性がある時に行うものです。

    つまり、緊急性、ならびに事故の発生率が高い現場においては交通整備がなされることが多く、日常的に行われるのが交通誘導と言えるでしょう。

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    警備員の働く主な場所

    一口に「警備業務」と言ってもその業務内容は多岐にわたり、それらは警備業法で1号業務 、2号業務、3号業務、4号業務の4種類に大別されています。

    1号業務:施設の整備

    1号業務には施設を警備する業務であり、それぞれ5つに分類されます。

    ・施設警備業務
    契約した施設に警備員が常駐し、出入管理、巡回、開閉館管理、鍵の管理、防災センター業務などを行います。

    ・巡回警備業務
    契約先に警備員は常駐せず、それぞれの施設を警備員が定期的に、または不定期に巡回し警備します。

    ・保安警備業務
    書店、スーパーマーケットなどの商業施設にて、私服または制服警備員による店内巡回や、監視カメラによる監視などを行い、万引きや置き引きなど、店内での犯罪を防止する業務です。

    ・空港保安警備業務
    エックス線や金属探知機など、専門的な機器を用いて航空機内への不法な持ち込みを防止します。

    ・機械警備業務
    契約先の施設に各種センサーを設置し、監視センターで侵入者や火災の発生などを常時監視し、異常があった際には直ちに警備員が現場に駆け付ける業務です。

    1号業務は日本における警備業務の需要の約50%を占めており、事務所・住宅・興行場・駐車場・遊園地など、施設での盗難など、あらゆる事故の発生を警戒し、防止する業務です。
    国民生活に直接関係するライフライン施設・公共施設・各企業が保有する施設・個人宅に至るまで、業務の提供範囲は実に多岐にわたります。

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    2号業務:交通誘導

    2号業務は人や車両の通行の際に発生する事故を防止する業務であり、道路や駐車場などが勤務現場となる業務です。大きく2つに分類されます。

    ・交通誘導警備業務
    道路の工事現場や駐車場など、事故が発生しやすいと思われる場所において、通行する人や車両の誘導を行う業務です。

    ・雑踏警備業務
    コンサートや花火大会など、不特定多数の人々が集まる場所において混雑を解消し、事故などの発生を防止する業務。必要に応じて別ルート情報の提供や、交通規制、案内、誘導などを行います。

    このように、警備業務の中にはイベント開催や交通の安全に貢献する業務もあります。

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    3号業務:輸送物の警備

    現金や貴金属・美術品など、盗難の危険性が高い物品の盗難事故を警戒し、防止するのが3号業務になります。主に輸送中の警備となるので場所は問わず、目的地から目的地までの強固な警備体制が必要となってきます。

    ・貴重品運搬警備業務
    複数の警備員が連携して、依頼人の財産を安全に目的地まで運搬する業務。不測の事態に備えるため、特殊車両や特殊装備などを使用して警備にあたるケースも多く、非常に強固な警備体制が特徴です。

    ・核燃料物質等危険物運搬警備業務
    原子力関連施設間にて、核燃料物質等危険物を安全に運搬する業務。ひとつ間違えば大きな事故につながりかねないので、こちらも厳重な警備の元行われます。

    4号業務:身辺警備

    一般的に「ボディーガード」と呼ばれる仕事です。著名人や各国の要人などの身辺を警護するイメージが強いですが、昨今は一般市民や子どもまで、対象は拡大しつつあります。

    またGPSを利用した「位置情報サービス」もこの身辺警備に含まれ、ますますニーズが高まりつつある業務と言えます。

    ミドルシニアが警備会社で働くためには?

    前述したように、警備員になるために特別な資格は必要なく、また年齢制限も設けられていないため、未経験のミドルシニアでもチャレンジしやすい職業と言えます。

    しかし、きちんと研修は受ける必要があり、公安委員会の認定を受けた警備業者に就職した後、そこで法令で定められた警備員教育(新任教育)を20時間以上受けることで、警備業務に従事することができます。そのため、未経験でチャレンジできるが、研修は受ける必要がある、ということは覚えておきましょう。

    研修の内容は?

    警備員になるためには20時間の研修を受ける必要があり、その研修内容については、警備業法施行規則(※2)第三十八条に定義されています。

    「新たに警備業務に従事させようとする警備員」に関しては、
    イ 警備業務実施の基本原則に関すること。
    ロ 警備員の資質の向上に関すること。
    ハ 警備業法その他警備業務の適正な実施に必要な法令に関すること。
    ニ 事故の発生時における警察機関への連絡その他応急の措置に関すること。
    ホ 護身用具の使用方法その他の護身の方法に関すること。

    一般的には警備に関連する法令や基本動作などを学ぶ「基本教育」と、施設・交通など実際の業務に関連した内容を学ぶ「業務別教育」を20時間学ぶことになるでしょう。

    また、業務によっては別途研修が組まれることもあるので、最低20時間の研修、というスタンスで臨むようにしましょう。

    ※2 e- gov 法令検索「警備業法施行規則(昭和五十八年総理府令第一号)」

    警備員として働くためには、資格は必要?

    前述したように、警備員になるために特別な資格は必要ありません。
    しかし、警備に車両を使う場合もあるため、業務内容によっては普通自動車免許が必要となってくる会社もあるでしょう。

    もちろん求人によって必要な資格はさまざまですので、ぜひご自身のスキルやキャリアに合わせて求人を探してみて下さい。

    警備員としてキャリアアップを目指す場合

    警備員は無資格からでもチャレンジできますが、警備業務の中には国家資格を持っていなければ担当できない業務や、有資格者の配置が義務付けられている現場があります。

    そのため、警備員として長く働きたい、キャリアアップを目指したい、という方は資格の取得をオススメします。
    まずは「警備員検定」(1級、2級)で活躍できる場所を広め、キャリアを積みながら「警備員指導教育責任者」といった管理者候補を目指していくのが、一番わかりやすいキャリアアップの道筋でしょう。

    また「機械警備業務管理者」のように、人員ではなく機械を使用して警備をする業務の責任者を目指すこともできます。

    自分の適性を鑑みながら、キャリアプランにあった資格を取得していきましょう。

    気になる警備員の給料

    令和3年賃金構造基本統計調査(※3)によると、警備員の平均年収は335万円となっています。

    令和3年度の平均賃金が307万円なので、業種でみれば平均より上ということができるでしょう。

    ※3 ・政府統計の総合窓口(e-Stat)令和3年賃金構造基本統計調査
       ・厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

    ミドルシニアが警備会社で働く際に気を付けたいポイント

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    ミドルシニアが未経験からチャレンジしやすい警備員の仕事。しかし、業務内容もさまざまで、勤務時間帯も幅広いため、入職してから「想像と違った!」とならないよう、気をつけたいポイントをご紹介します。

    1.業務時間帯の確認

    当然のことながら、警備業務は日中だけではありません。人の多くなるピンポイントの短時間から、24時間体制までニーズも幅広く、交代制で警備を行う施設も存在します。

    そのため、自分がどのような働き方をしたいか改めて振り返り、自分に合った求人を探しましょう。

    2.給与形態を確認する

    求人によっては日払いや週払いの業務がある他、道路工事の交通誘導では、悪天候時に勤務が無い、というような場合も。

    そのため「この条件下では、給料はどう支払われるのか?」などをきちんとチェックして求人に応募するようにしましょう。

    3.金銭が発生しない警備業務は警備会社では請け負えないことを理解する

    警察庁生活安全局が通達した「警備業法等の解釈運用基準について」(※4)によると、警備業務は「他人の需要に応じて」行うものであり、これは契約に基づいて営利活動を行うことを指します。

    そのため、金銭の発生しないボランティア行為や、自社社員による巡回などは警備業には含まれないので、注意しておきましょう。

    ※4 警察庁生活安全局「警備業法等の解釈運用基準について(令和元年8月30日)」

    4.交通費は支払われるか確認する

    求人によっては、交通費の支払い基準が曖昧であったり、逆に支払のない可能性もあります。

    職場が遠方になった場合、せっかく定職についても交通費で出費してしまっては元も子もありません。交通費の支払いについてはきちんと確認しましょう。

    5.制服の着用はいつ行うか確認する

    警備業法(※1)第十六条には制服についての規定があり、以下のことが明記されています。

    「警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、内閣府令で定める公務員の法令に基づいて定められた制服と、色、型式又は標章により、明確に識別することができる服装を用いなければならない。」

    私服警備員の業務の場合は別ですが、基本的に警備員は制服を着用して業務にあたるケースがほとんどですので、着替える場所などをきちんと確認しておきましょう。

    6.屋外勤務の際はきちんと休憩があるか確認する

    制服を着用して業務にあたるので、屋外勤務の場合、夏場は特に暑くなります。

    自分で熱中症対策を行い、体調管理に努めることも必要ですが、休憩はあるのかなど、自分の体調に合わせて求人を選択しましょう。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか?今回は警備員の仕事について詳しくお伝えしてきました。

    ぜひ今回お伝えしたことを活かして、あなたにピッタリの求人を見つけてもらえたらと思います。

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