新しい働き方、スポットワークとは?ミドルシニア・シニア世代にこそおすすめの理由
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- 公開日:2025年1月24日
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最近話題となっている新しい働き方「スポットワーク」。単発で短い時間から働けるため、会社員の方が副業として利用する場合も増えています。今回はスポットワークについて、解説していきます。
スポットワークとは、短時間・単発で稼働する働き方
スポットワークとは、自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発で稼働する、働き方を指します。スポットワークは、単発バイトやスキマバイトとも言われ、面接や履歴書の提出も不要な場合がほとんどです。
また、すべての手続きはスマートフォンのアプリ等で行うことができ、給料は即日入金されるため、空いた時間を利用して働ける手軽さからも現在人気を博しています。企業や店舗は、人手が必要な短い時間帯の求人を出すことができ、雇用契約や雇用関係に縛られずに効率よく人材を活用できるのです。
さらに、近年ではミドルシニやシニア層にもスポットワークへの需要が高まっているといいます。多くのアルバイト先では最低何時間~といった決まりや、同僚たちへの配慮から好きなシフトで働くことが叶わない場合が多いです。それに比べ、スポットワークなら体力に合わせて勤務時間が選ぶことができ、職場への配慮や同僚たちへの気遣いなどが必要なく働けるのです。
そして、働くことで少しでも体を動かせるため、運動代わりにもなってお金がもらえるからと、スポットワークを趣味にしているなんて方までいるのです。このように、ミドルシニアやシニア層から熱い視線が注がれているスポットワーク。しかし、注意点は健康保険や厚生年金などの社会保険には加入できないため、働いている最中の事故やケガなどについては労災が認められないことです。
スポットワークの現状
現在、スポットワークの市場規模はおよそ800億円と言われています。また、スキマバイトサービス「タイミー」の累計ワーカー数は2024年2月には700万人に達したとのこと。この結果からも近年のスポットワークの人気の高まりが伺えます。
2024年8月度の首都圏を中心とした、スポットワークの平均賃金は1,182円で、通常のアルバイト平均と比較すると、10円ほど安くなっているのだとか。しかし、コンビニスタッフにおいては通常のアルバイトよりもスポットワーク賃金の方が高くなっている場合もあり、アルバイトの時給をスポットワークの時給が上回る結果も出ています。
調査によると、スポットワーク利用者の約6割は正社員としての本業を持っている方だということが判明し、スポットワークのみで生計を立てている人は0.6%という割合となりました。このことからも、スポットワークは本業ではなくスポットワークとの呼び名のごとく、空いた時間に副収入を得たい人が活用していることがわかりました。
データ元
・矢野経済研究所「スポットワーク仲介サービス市場規模の推移」
スポットワークと業務委託の違いは契約形態
スポットワークと業務委託の最大の違いは、契約形態です。スポットワークでは、働き手と企業との間で短期雇用契約が結ばれます。企業と雇用関係にあるため、企業は勤務時間や業務内容を提示し、働き手はそれに従います。また、報酬に関しては時給や日給といった時間に基づいて支払われることがほとんどです。
一方、業務委託契約の場合は働き手と企業は対等な関係です。そのため、仕事の進め方については働き手に一任されています。報酬面でいえば、成果物やプロジェクトの完了など、結果に対して支払われることが一般的でしょう。社会保険の面で比較すれば、条件を満たす場合においてスポットワークでは企業が社会保険を負担する義務を負うのに対し、業務委託では働き手が自分で負担します。
スポットワークが拡大した背景とは?
今では当たり前の働き方の一つになった、スポットワーク。多くの人が利用し、人気がある理由には、どのような背景があるのでしょうか。
・新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルス感染症の影響で、スポットワークの市場規模は一気に拡大しました。影響が大きかった分野は、物流業界や製造業といったコロナ需要で多くの担い手が求められた軽作業の求人数です。
・人手不足の解消
日本では少子高齢化に伴う労働人口の減少により、あらゆる産業で人手不足となっています。そんな人手不足が深刻となった分野では、スポットワークの需要が大幅に拡大しました。人手不足打開の一手として、現在も多くの企業がスポットワークサービスの強化を図っています。
・労働市場の変化
現在、労働者の働き方は多様化しています。ライフスタイルの多様化によって短時間で働くことができ、すぐに報酬がもらえるタイプの仕事に注目が集まっているのです。また、人生100年時代を迎え、ミドルシニアやシニアたちにとって短時間で働ける単発バイトに人気が集まっていることも、スポットワークへの需要が高まっている要因の一つでしょう。
・デジタル社会の到来
スポットワークでは煩雑な手続きをしなくとも、スマホ1台あればすぐに働くことができます。そんな手軽さもスポットワークが拡がった要因でしょう。また、IT技術が進んだことにより、在宅でも働けるようになりました。スポットワークの中には、自宅で取り組める案件もあるため、場所を選ばずに働けることで人気に拍車がかかったのです。
・社会情勢の変容
物価上昇など生活に対する不安や老後の資金問題の観点から、空いた時間に収入を増やしたいと考える方が増えたこともスポットワークが注目されている要因の一つです。そんな日本の経済状況や年金問題といった社会情勢の変化も、スポットワーク市場拡大を後押ししています。
ミドルシニアやシニアからも支持される、スポットワーク
2023年、55歳以上の働き手は約18万人でしたが、2024年には約38万人まで増えたといいます。このように、年々ミドルシニアやシニア層の働き手は増えている現状があります。
また、55歳以上の働き手のおよそ7割が「軽作業」に従事したことがあると答えたことからも、体力的負荷の少ない業務が好まれていることがわかります。スポットワークではそのような軽作業が多いため、ミドルシニアからも支持を得ているのです。
ミドルシニアやシニア層がスポットワークをする理由には、およそ7割が「生活のため」、「空いた時間を有効に使いたいから」との理由を挙げているといいます。なお、65歳以上のシニア世代の理由の多くは「健康維持のため」と、体力向上や健康な身体作りのためにスポットワークを活用していることがわかりました。
ミドルシニアやシニア層のスポットワーク利用後の感想としては、約7割の方が「気分転換ができた」と回答したといいます。他にも、「人の役に立てることに喜びを感じた」や「自信になった」など、スポットワークを通して生活の充実感や心境の変化を感じられた方が多くいるのです。
人生100年時代を迎えた日本社会に目を向けてみると、人手不足を補うスポットワークでミドルシニアやシニア層が活躍することは、社会全体の生産性を上げるという好循環を産んでいると言えるでしょう。
ミドルシニアがスポットワークに従事するメリットとは?
ミドルシニアがスポットワークをするメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
・体調や体力に合わせて働ける
スポットワークであれば、自分の都合や体力に応じて仕事をすることができます。ミドルシニア世代の場合、働く意欲はあるのに身体や体力が追いつかないことも。そのため、単発の仕事ができるスポットワークでは無理をせずに、自分の体力や体調と相談しながら働くことができると言えます。
・社会と関わり合いができる
働くことは何も収入を得るために行うばかりではありません。ご自身の能力やスキルを仕事に活かしていくことで、人とコミュニケーションを図ったり、それによって感謝されることも。そんな人からの「ありがとう」を言葉にして受け取ることで、いきがいを感じることもできます。
心の充実は平均寿命だけではなく健康寿命の増進にも役立つのです。孤独死が叫ばれている現代では、働くことで少しでも社会と繋がる必要性も問われているでしょう。
・空いた時間で収入を得ることができる
スポットワークは、特別な資格や経験がなくても始められ、面接や研修を受ける必要もないため、空いた時間に手軽に働くことができます。また、1日や数日の勤務で報酬がもらえるのもスポットワークの魅力でしょう。多く収入を得たいときは仕事を増やすこともできるので、ご自身の都合を最優先して働くことができるでしょう。
・採用されやすい
正社員などに比べ、スポットワークは未経験でも「即採用」となることが多いです。長期的な雇用と比較してもスポットワークは採用難易度が低い傾向にあることからミドルシニアでも挑戦しやすい働き方と言えます。
女性の就業にも貢献するスポットワーク
スポットワークは女性の就業にも貢献しています。女性の正規雇用比率は20代後半の50%台をピークに、それ以降低下していくデータがでています。そこには、結婚を経たり子育てをしたりといったライフステージの変化があります。
そうして子育てが一段落した後に働きたいと考えても経験を重視する職場へは再就職が難しい実態も。しかしながら、スポットワークを活用すれば経験やブランクに縛られずにすぐに働くことができるでしょう。
また、ミドルシニアになると考えなければいけないのが、親の「介護問題」です。介護をしながらフルタイムで働くのが難しくても、スポットワークなら1日3時間だけといった働き方もできるので、ご自身の都合に合わせた働きを実現することができます。
人によっては働くことでリフレッシュできるため、スポットワークを利用しているといった方も。年収の壁問題など、巷ではいろいろと女性の働き方に注目が集まっていますが、そんな現代だからこそ、スポットワークの存在感が高まっているのかもしれません。
まとめ
スポットワークのように手軽に働くことができるようになった昨今。今後も、ますますミドルシニアやシニアたちが社会で活躍できる働きの場が増えることでしょう。