職務経歴書とは?
正社員への応募において必須の提出書類である職務経歴書(しょくむけいれきしょ)とは、応募者が過去に従事した職務の具体的な内容や、職務上の役職・ポジションをまとめた書類です。
記載の方法については、応募者の職歴を時系列的にまとめた編年体、またはプロジェクト単位でまとめるキャリア式などの書き方があります。
作成においては、企業すなわち採用担当者の視点で書類を作成することが大きなポイントとなります。ここでは職務経歴書の書き方について詳しくご説明します。
履歴書と職務経歴書。そもそも違いはどこにあるの?
そもそも、なぜ、履歴書とは別に職務経歴書を提出する必要があるのでしょうか。それは、履歴書で見るポイントと職務経歴書で見るポイントが異なるからです。
履歴書では、「求職者が通勤可能な居住地に住んでいるか」「学歴や職務経歴が評価でき、応募先の企業との関連性があるか」「応募企業への志望意欲の高さ」「組織適応力に問題はないか」「希望する給与に関して、隔たりはないか」「丁寧な字で書かれているか」などがチェックされます。
対して、職務経歴書で見られるのは「求める実務能力を満たしているか」「仕事に意欲を持っているか」「プレゼン能力があるか」「発揮できる強みを自覚しているか」「転職目的が納得できるか」「記載内容に信憑性があるか」など。
このポイントを理解した上で書類を作成することが大前提となります。
職務経歴書を書く上でのポイント1:読ませる工夫を凝らし、応募企業で活かせる経験をアピール
次に、職務経歴書を書く上でのポイントをご説明しましょう。
フォーマットが決まっている履歴書とは違って、職務経歴書には定められた書式がありませんが、A4用紙1~2枚、多くても3枚程度にまとめるのが一般的です。経歴を書く際には、過去の経験をただ羅列しただけでは魅力のない書類になってしまいます。
興味をもって読んでもらえるよう、応募企業のニーズを捉えた上で"応募企業で活かせる経験"を強調してみましょう。さらに、総務職の募集に対して、総務の経験だけでなく「人事として社員の研修制度構築を行っていました」など、求められる経験や能力にプラスアルファの要素を書き加えることで、企業の期待以上の存在であることをアピールすることもできます。
書き方としては見出しや要約文などを入れると、さらに読みやすくなります。詳しくは、下の図を参考にしてください。
最初に【経歴要約】と見出しをつけ、応募企業で活かせる経験を強調した要約文を250字程度で作成することで、採用担当者が理解しやすく、興味を示します。
会社概要を記載すると前職の職務内容が伝わりやすくなります。
見出しやレイアウトなどで読みやすさを意識しましょう。
なお、企業は職務経歴書と履歴書で書類選考を行います。また、面接時には、職務経歴書の内容をもとに質問されることが多いことも、頭に入れておきましょう。
職務経歴書の書く上でのポイント2:自分のキャリアを最大限にアピールできる書類形式を選ぼう
最後に、職務経歴書の主に2つの書き方についてご紹介します。
これまでの職務経験をどのようにまとめていくか。数十年というキャリアを築いてきた中高年層の場合、わかりやすくまとめるのは至難の業です。
そこで、以下の3つの形式を参考に、まとめてみてはいかがでしょうか。
編年体式記述:勤務先ごとに年月を追って職務経歴を書くスタイル
時系列に沿って、その時々の業務内容をまとめていく方法で、「職務の習熟度を効果的に伝えることができる」というメリットがあります。
「編年体形式」は過去から現在に、「逆編年体形式」は現在から過去へとさかのぼってまとめていきます。直近のキャリアを強調したい場合は、「逆編年体形式」を選ぶと良いでしょう。
記載にあたっては、入社や配属、異動などの業務経験をした年月を見出しにつけ、配属・職務/配属先を明記。実績や評価なども簡潔に記載して、昇進・昇格があった場合は書き添えましょう。また、転職歴もここに明記します。さらに、資格取得や個人的に取り組んできた自己啓発活動、社内外の表彰なども書き込んで、積極的に自己アピールしましょう。
昇進・実績の流れがわかりやすい
若い頃から職務経歴を順に書いてくと、配属や異動の時期に合わせて区切っていくことができるため、採用担当者からすれば、応募者がどのような実績を挙げ、昇進していったかという流れが理解しやすい。
特定の職務内容を強く押し出しにくい
特定の職務内容を強く押し出したいとき、また転職の回数が多い人には不向き。
編年体・逆編年体形式
応募者の最近数年間の職務内容と実績がトップにくる逆編年体形式は、採用担当者が注目する直近の実績がわかりやすいので、好まれる。
キャリア式記述:勤務先や年代にこだわらず、特定の職務に関する経歴を中心にまとめるスタイル
職務経験を業務内容やプロジェクト単位でまとめる方法です。技術職などの専門性の高い職種や、転職回数が多く同様の仕事をしてきた方に向いています。
注意する点としては「編年体形式」や「逆編年体形式」に比べて時間の経過がわかりにくいため、業務やプロジェクトについて紹介する時には、時間経過も併記するようにしましょう。
プロジェクト内容では、具体的な内容や実績、評価などを記入しましょう。携わったプロジェクトの規模や目的、重要性、プロジェクト内でのあなたの役割、プロジェクトを通じて学んだ業務知識・スキルなどもわかるように追記すると良いでしょう。また、IT関連業種の職種に就いていた方は使用言語やOS、使用機種、取得資格などを項目立ててアピールしましょう。
キャリア式(専門別)職歴記述ではメリハリが生きる
再就職活動を進めていく上で、自分がクローズアップすべきだと考えていること、または採用者側にアピールすると思われることを、順に書いていく。逆に志望職種や企業と直接関係ない経歴については、ごく簡単に済ますこともできる。
尚、キャリア式の記述では、時間の流れや年数がわかりにくくなってしまう場合があるので、通算経験年数や経験時期を記載するなど、工夫することが必要である。
キャリア式が向いているケース
- キャリアチェンジ:直近で担当していた職務や、長く担当した職務とは違う職務に就きたい場合、目指す職務に関連する職務経験を強調して書くことが出来る。
- ブランクがある人:仕事をしていない時期があったことを意識させずに書くことができる。
- 若い人:経験した期間は短くとも、職務内容を細かく分けて詳しく書くことができる。
実戦で使える職務経歴書のサンプル集
マイナビミドルシニアでは、実践で使えるサンプル集を職種やシチュエーション別にご用意しています。プロ監修の元、書き方のポイントやアドバイスも多数。転職活動にぜひお役立てください。
まとめ
- 書類選考では、履歴書と職務経歴書の内容がチェックされる。
- 具体的なキャリアや実務能力など、履歴書とは違ったポイントが見られる。
- 企業が求めるスキルやキャリアがあることをアピールしよう。
記事更新日:2019年2月22日
文責:マイナビミドルシニア編集部
紙が何枚あっても足りないほどの経験が!?~転職回数の多さを強みとしてアピールしたKさんの場合
私はテレビの情報番組が好きで、大抵の番組はチェックしています。世相がわかるし、自分とは関わりの薄い人たちの考えがわかるのが、とても面白いんですよね。特に街頭インタビューなどで若い人が「将来の夢は......」なんて語る姿を見ると、「すごいなー」って思います。若いのに、将来のことが考えられるなんて。自分なんて、この年まで明確なやりたいことは特に思い当たらず、周りの状況に合わせてこれまでやってきましたから。
でも、数年ぶりに転職活動をすることになって、今度こそじっくり将来について考えて、天職と言えるような仕事を見つけようと思ったんです。先日、孫が生まれてね。まだまだ元気な姿を見せたいし、それに、孫のためにいろいろとしてあげたいじゃないですか。60歳を間近に控えていますが、まだまだ働くつもりです。
しかし、応募書類の作成には本当に手こずりました。今までは親戚や知り合いの紹介で就職することが多かったので、提出する書類といえばせいぜい履歴書くらい。今回は、職務経歴書が必要な企業が多く、頭を抱えてしまったんです。何せ、転職回数が多いですからね。すべてを書いていったら、紙が何枚あっても足りません。それに、職を転々としているから、採用担当者の印象も悪くなっちゃうんじゃないかと思うんですよね......。
なんかすっかり落ち込んでしまって、それで、久しぶりに大きな本屋に行って、片っ端から転職に関する本をチェックしましたよ。今は情報が豊富ですね。転職回数が多い場合も、書き方次第で印象が良くなるようです。自分は多くの仕事を経験している分、いろいろな人と関わってきたし、コミュニケーション力には多少の自信があります。中でもレストランやホテルの勤務経験が長かったので、これらの勤務先で身についたスキルを中心に、職務能力としてまとめました。
字が下手なので、息子のパソコンを借りて書類を作成したところ、ある企業の面接で「良くまとめてありますね」と褒めていただいて。結局、その企業に就職し、今はマンション管理の仕事に就いています。
(さいたま市 Kさん 59歳)