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書類を準備する(2/6)

自己PRの書き方

「この人を採用したい!」と思わせる自己PRを作成するために。

自己PRでは、中高年層の皆さんが「これまで経験してきたこと」や「過去に達成した実績」などを企業にアピールしていきます。そのため、皆さん自身の仕事経験や人生経験をしっかり振り返って「強み」を明確にしていくのはもちろん、「経験によって身についたスキル・能力を、応募先の企業にどのように活かしていけるか」まで考えた上で、自己PRを作成する必要があります。

たとえば、皆さん自身が「強み」だと思っているスキルであっても、応募企業の職務に関連が一切なければ、採用担当者は「強み」だと受け取ってくれないかもしれません。「何をやってきたか」「何ができるか」「どう貢献していきたい」の3点をじっくり検討していき、応募企業が求める人材にマッチする能力をアピールしましょう。

ただし、応募する企業ごとに自己PRを作成していくと、多くの時間がかかってしまいます。まずは皆さん自身がアピールしたい内容を「自己PR」にまとめておき、この内容をベースにして、応募する企業に合わせた内容にブラッシュアップしていく方法だと、効率的に自己PRの作成を進めることができるでしょう。

応募企業で活かせる経験を中心にまとめて、簡潔にわかりやすく記入しよう

応募書類の中でも、履歴書の自己PR欄と志望動機欄は、採用担当者が特に注目する項目です。スペースが限られているので、一つの事柄に絞ってPRするなど、簡潔に記入するよう心がけましょう。仕事に関連する事柄が望ましいのですが、3つのタイプのうち、「③勤務経験が少ない」に該当する方はその限りではありません。

プライベートも含めて皆さん自身が経験してきたことを振り返り、仕事に関連性を持たせてアピールしていきましょう。応募企業が求めている人材をイメージして自己PR欄を記入すると、より完成度の高い内容になります。

また、書き方も一工夫すると、読む人にとってわかりやすく、伝わりやすい内容に仕上げることができます。例えば、応募企業で発揮できるスキルを具体的に羅列してみること。伝えたいポイントを最初に記入すること。このほかにも、【貴社で発揮できる強み】などの見出しをつけて、箇条書きで発輝できる能力と能力を裏付ける経験を記載する方法がありますので、魅力的な自己PRにするために様々な工夫をしていきましょう。

悪い例

30年間接客販売・レジ担当・品出し・商品陳列等さまざまな部門にてスーパーの一連の業務を経験し、店舗運営等のマネジメント業務経験はなく現場一筋でやってきました。だからこそ現場目線、お客様目線で業務にあたれることが私の強みだと考えております。また、パソコンを活用(ワードやエクセル等のアプリケーション含む)してPOPの作成などを行っておりましたので、パソコンでの作業に不安はございません。

良い例

職務経験が少ない方も、PRできることがある!

「③勤務経験が少ない」に当てはまる方の中には、「自己PRできることなんて、何もない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そう考えるのは早計です。なぜなら前述の通り、職務以外の経験で身についたスキルや能力を応募企業で活かせる可能性があるからです。

家事や育児経験がある方なら、家事代行や保育系の職種でその能力をアピールできますし、ご両親などの介護をされてきた方なら、介護職を志望する際にその経験が大きなアピールポイントとなります。応募企業の仕事につなげられる経験やスキルがないか、振り返ってみましょう。

最後に、自己PRを作成する際に陥りがちなことの一つに、「抽象的な内容になってしまい、何をアピールしたいのかがわかりづらい」という点があります。自分の強みを明確に把握できていない方に多いので、自己分析をしっかり行ったうえで具体的な内容を盛り込みましょう。採用担当者になったつもりで、応募企業が採用したい人材に求めるスキルや能力を箇条書きしていき、皆さんがこれまでに身につけた能力を当てはめていくと、アピールしたい項目が明確になっていきます。

実践で使えるサンプル集をご活用ください

マイナビミドルシニアでは、実践で使えるサンプル集を職種やシチュエーション別にご用意しています。プロ監修の元、書き方のポイントやアドバイスも多数。転職活動にぜひお役立てください。

団体スポーツのコーチ経験をアピール!~プライベートの経験を自己PR欄にまとめたJさんの場合

私が大学を卒業した年は、ちょうど就職氷河期と言われていた時期。多くの友人が内定を得られず、中には就職浪人をしたり、就活せずに大学院に進学した者もいます。私も結果的に内定を獲得できず、大学卒業後も学生時代のバイトを続けることで日を送っていました。

そうして、20代後半に派遣会社に登録。特に仕事に関する希望もなかったので、紹介いただいた仕事に就いてきました。業種も職種もバラバラで、今思うと、何の実績にもなっていないなと......。40歳の誕生日、「自分のキャリアは何だったんだ」とがく然としたのを今もよく覚えています。

これが最後の挑戦だ。そんな気持ちから、本格的に転職活動をスタートさせました。国語が得意なので、応募書類を書くのにそれほど抵抗は感じません。しかし、自己PR欄を前に、ペンが止まってしまいました。たいした職務経歴があるわけでもないし、企業で活かせるようなスキルもなかったからです。

後ろ向きになりそうな気持ちをなんとか抑え、「何かしらあるはずだ」と自分の人生を総ざらいしてみました。すると、あったんです。一つだけ。学生の頃から地元の少年サッカーチームのコーチをしていて、その活動を今も細々とですが続けている。コーチの経験を、自己PR欄に書いてみてはどうだろう――。

今、私は施工管理の仕事に就き、小さな現場を任せていただくようになりました。工事現場の責任者として、工程管理や安全管理、品質管理などを行うのですが、一筋縄ではいかない職人さんばかりで、なかなか大変です。それでも、一つの現場を任せていただけるのは、とても嬉しいですね。「自分のスキルを社会に活かせているんだ」という実感もあるし、身体を動かし、汗をかくこの仕事は、自分に合っているようです。
(八王子市 Jさん 42歳)

まとめ

  • まずは自己分析をしっかり行って、自分の強みを明確にする。
  • 応募企業が採用したい人材をイメージし、どんなスキルが必要か把握する。
  • 企業が求めるスキルと、自分自身の強みをすりあわせて、自己PRを作成する

記事作成日:2017年10月3日
文責:マイナビミドルシニア編集部

監修者情報

監修:谷所健一郎(やどころけんいちろう)さん

有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメントアドバイザー(CDA)。
1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職道場、キャリアドメインマリッジ、ジャパンヨガアカデミー相模大野を経営。
主な著書「再就職できない中高年にならないための本」(C&R研究所)ほか多数。