POINT3

退職の準備(3/3)

入社するまで

刻一刻と迫る入社日。それまでの時間、何をする?

諸手続や後任への引き継ぎ、お世話になった方々へのご挨拶は終わりましたか? 多くの場合、退職後、すぐに転職先に入社することとなりますが、中には退職日から入社日まで間がある方や、有給消化などで退職日よりも前に出勤を終える方などもいらっしゃることでしょう。せっかく、たっぷりと時間があるのですから、有効な使い方を考えてみましょう。

例えば、転職先で活かせる資格を取得するなど、自己啓発に励むこと。また、「住民票記載事項証明書」など入社のタイミングで提出する書類があるので、時間のゆとりがある入社前に役所で取得しておくのも良いでしょう。

会社勤めをしていると、長期間の休暇はなかなか取りづらいもの。入社までの時間を使って、家族旅行を楽しむなど、「今までできなかったこと」に挑戦するのも良いでしょう。心身ともにリフレッシュできるでしょう。

郷に入っては郷に従え――新たな環境になじみ、新たな仲間と良好な人間関係を築こう

最後に、入社後の心得に触れておきます。
中高年層の皆さんの場合、経験が豊富な故に転職先からの期待も大きく、「なんとかして実績を出さなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、最初から飛ばしすぎてしまうのは考えもの。例えば入社後、すぐに配属先の問題点を指摘する方がいますが、皆さんが勤務してきた企業に"文化や習慣"があったように、転職先にもその企業ならではの"考え方"や"文化"があります。闇雲に否定するようなことは控えて、まずは新しい環境に慣れることから始めましょう。

そして、「郷に入っては郷に従え」という言葉にあるように、転職先の考え方や仕事の進め方を学んでいきましょう。配属された部署のメンバーや環境などを観察するのも良いでしょう。そして、「ともに働く仲間」として社員と良好な人間関係を築いていきながら、「転職先で自分にできること」を見出していきましょう。

ポイントは、年齢に関係なく自分は「新入社員なのだ」という意識を持つこと。新入社員の頃は、元気よく挨拶をすることは当然のことですし、「覚えられない」「できない」ではなく、「覚えてみよう」「やってみよう」というポジティブな姿勢で仕事に臨んでいたことでしょう。これまでの経験を振りかざして周りをねじ伏せるのではなく、謙虚で前向きな姿勢で、仕事に、そして新しい環境に取り組めば、あなたに好感を抱き、手を差し伸べてくれる人はきっと新たな職場にいるはずです。

最後に、本サイトをご覧になっている中高年層の皆さんが転職先でも活き活きと働き、「会社に、そして社会に貢献している」というやりがいを感じていただけたら本望です。

資格取得に体力作り~頑張り過ぎるのも考え物と反省したNさんの場合

生まれてからこの方、一度も人生うまくいったことがありません。こんな風に書くと「暗いなぁ」と思われるかもしれないですね。でも本当なんです。大学受験もうまくいかなかったし、就職活動も面接で失敗してしまって。何をしてもうまくいかないせいか、人生を順調に歩んでいる友達をうらやましく思っていました。

だから久しぶりの転職活動をして採用通知をもらったときは本当に嬉しかった。採用してくれた会社に貢献するためにも、入社までの1ヶ月間を使ってスキルアップに励みました。転職先が物流会社でして、私は倉庫内の業務に就くのですが、フォークリフトの免許を持っていなかったんです。そこで、まずは最大積載荷重1トン未満の小型フォークリフトの運転免許を取得。そして、年齢的に体力の衰えを感じていたので、毎朝走り込みや筋トレをして体力作りに励みました。

ところが、2週間経った頃にダウンしてしまいました。妻から「やり過ぎよ」とたしなめられてしまい、大反省。何事も無理はいけませんね。以後、意識的に休みを取るように。妻から「転職先でもやりすぎないようにね」と釘を刺されているので、これからはマイペースで頑張りたいと思います。
(茅ヶ崎市 Nさん 58歳)

まとめ

  • 退職~入社まで時間がある人は、自己啓発など「今できること」に取り組もう。
  • いよいよ入社。まずは新しい環境に慣れることから始めよう。
  • 転職先でも良好な人間関係を築き、活き活きと働こう。

記事作成日:2017年10月3日
文責:マイナビミドルシニア編集部

監修者情報

監修:谷所健一郎(やどころけんいちろう)さん

有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメントアドバイザー(CDA)。
1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職道場、キャリアドメインマリッジ、ジャパンヨガアカデミー相模大野を経営。
主な著書「再就職できない中高年にならないための本」(C&R研究所)ほか多数。