嘱託社員(再雇用)は賞与ある?賞与がもらえる場合の注意点や賞与なしでも貯金できる方法を紹介
- ライフプラン・人生設計
- 公開日:2025年10月24日
定年退職後の働き方として、嘱託社員としての再雇用を検討している方もいるのではないでしょうか。しかし、嘱託社員は正社員と異なり、賞与が支給されない場合が多くあります。今回は嘱託社員の賞与の有無や相場、賞与を受け取る時の注意点などを解説します。また、賞与がなくても家計を守るための節約術もご紹介。嘱託社員での再雇用を検討している方、賞与の有無が気になる方はぜひご一読ください。
この記事の目次
嘱託社員とは
嘱託社員とは一定の期間を定めて契約をする契約社員の一種であり、非正規雇用の社員のことです。定年退職後の再雇用では、嘱託社員として契約をするケースが主流となっています。正社員とは異なるため、契約期間が存在したり、業務内容が変わったりといった変化があるのが一般的です。
また、契約社員とも雇用内容が異なる場合が多く、フルタイム勤務が多い契約社員と比較して、嘱託社員は週3日や時短勤務での契約も多くみられます。その他の違いとして、契約社員は有期雇用から無期雇用への転換が可能ですが、嘱託社員はできません。
嘱託社員に賞与はある?
嘱託社員への賞与の支給は、会社によって異なります。元々賞与を支給していない会社では、嘱託社員になっても賞与の支給はないでしょう。賞与を支給している会社でも、嘱託社員などの非正規雇用に対しては支給しないケースもあります。
代わりの報酬制度が用意されている会社も少なく、嘱託社員での再雇用後は毎月の給与以外で、まとまったお金の支給はないと考えておいた方がいいでしょう。ただし、会社によっては嘱託社員でも賞与を支給しているところもあります。
自身の会社が嘱託社員にも賞与を支給しているか調べるためには、就業規則を確認しましょう。雇用形態に関係なく支給すると就業規則で定めている場合は、嘱託社員でも支給されます。
賞与の支給自体は法律で義務化されているわけではありません。そのため、「業績に応じて支給する」「原則支給」などの場合でも、支給されないのは違法にはなりません。もし、金額提示などが詳細に記載されていても支給されない場合は、違法となる可能性があります。原則、非正規雇用となる嘱託社員では、賞与はなくなる可能性が高いと考えておくと良いでしょう。
嘱託社員の賞与の相場

嘱託社員と正社員では、賞与の支給額も大きく異なります。厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、嘱託社員を含む非正規雇用と正社員で、賞与の支給額は以下のように異なっています。
▼企業規模10〜99人の場合
| 年齢区分 | 非正規雇用 | 正社員 |
|---|---|---|
| 60〜64歳 | 346,600円 | 585,800円 |
| 65〜69歳 | 225,600円 | 449,100円 |
| 70歳以上 | 139,100円 | 345,600円 |
▼企業規模100〜999人の場合
| 年齢区分 | 非正規雇用 | 非正規雇用 |
|---|---|---|
| 60〜64歳 | 587,000円 | 950,000円 |
| 65〜69歳 | 275,900円 | 624,100円 |
| 70歳以上 | 118,900円 | 447,300円 |
非正規雇用と正社員では、賞与の額に倍以上の差があるとわかります。そのため、嘱託社員では賞与が支給されても、正社員の時のようにな使い方は難しいと考えておく必要があります。
嘱託社員も賞与が支給される確率は高まっている
賞与が支給されないケースも多い嘱託社員ですが、近年では支給される確率は高まっています。2021年に施行された「同一労働同一賃金」によって、非正規雇用と正規雇用との間にある不合理な待遇差を改善する動きが出てきているためです。
給与や賞与についても、非正規雇用と正規雇用との間で不合理な待遇差を設けるのは禁止となっています。もし、待遇差が適切でないと判断された場合は、嘱託社員でも賞与を支給されるでしょう。
嘱託社員で賞与をもらうなら在職老齢年金に注意
嘱託社員として働いている人が、賞与をもらう場合は在職老齢年金に注意しましょう。在職老齢年金とは、60歳以上の人が厚生年金に加入しながら受給できる老齢厚生年金のことです。働く際は収入額に気をつけないと、年金の支給額減額や全額支給停止などの措置が取られる場合があります。
賞与が支給されると、在職老齢年金の受給条件額を超える可能性が高まるので、事前に計算しておきましょう。在職老齢年金の支給基準は、基本月額+総報酬月額相当額の合計が51万円を超えるかどうかです。支給停止額の計算は以下の通りです。
• 51円以下の場合:全額支給
• 51万円を超えた場合:(基本月額+総報酬月額相当額-51)÷2
令和7年度 在職老齢年金の計算方法
例)収入が基本月額+総報酬月額相当額の合計が70万円だった場合
(70万円ー51万円)÷2=9.5万円となり、9.5万円が支給停止となります。
なお、支給停止要件の金額は将来的に、62万円まで引き上げられる予定です。計算の時に使用する総報酬月額相当額とは、標準報酬月額と標準賞与月額の合計を12で割ったものです。つまり賞与が支給されると、総報酬月額相当額が上がるため、在職老齢年金の一部が支給停止する確率が高まります。
嘱託社員が賞与をもらえない時の対応策2つ

嘱託社員に対して、完全に賞与を支給していない会社もめずらしくありません。以下では、賞与が支給されない際の2つの対応策をご紹介いたします。
交渉する
嘱託社員に賞与が支給されない会社の場合、再雇用契約の際などに交渉をしてみましょう。ぜひ会社に残って活躍してほしいと会社側が考えていれば、賞与について交渉をする余地はあります。ただし、交渉の前には就業規則の確認が必要です。就業規則内で「正社員以外へ賞与の支給はしない」と明文化されている場合は、交渉をしても支給されないと考えておきましょう。
交渉をする際は再雇用後の給与予定額を確認した後に、賞与の話を進めるのがおすすめです。給与予定額がわかっていれば、具体的な数字を見ながら話ができます。また、昇給や今後の賞与に関する話を聞ける可能性もあるため、一通り話を聞いた後に交渉を進めましょう。
転職を検討する
交渉しても賞与の支給がされない場合は、転職も検討してみてください。2021年の「同一労働同一賃金」によって、非正規雇用の人に対して賞与を支給する会社も増えています。どうしても賞与がある会社で働きたい、定年後もスキルアップに応じた報酬を望む人は、賞与を用意している会社への転職を検討しましょう。
賞与はないが、特別手当制度があったり福利厚生が充実していたりと、手厚くサポートしている会社もあります。定年後に仕事を続ける場合は、求人情報を見比べて嘱託社員での再雇用よりも充実した条件や仕事内容のある会社はないか探してみてください。
賞与なしで生活するメリット
賞与が受け取れないのはデメリットと感じる人も多いでしょう。しかし、賞与なしでの生活にはメリットもあります。賞与が支給されない分、自身の年収額は安定します。賞与が支給されている場合、会社の業績によって額が変動するため、減額された際は年収額も下がってしまいます。
しかし、支給されていなければ、賞与に振り回されずに生活が送れます。支給時期を気にする必要もないため、退職する際も時期を迷わずに申し出ができるでしょう。また、賞与を支給しない分、労働条件や福利厚生が充実している会社もあります。
以下のような福利厚生が用意されていないか、ぜひチェックしてみてください。
• 住宅手当・家賃補助
• 家族・介護手当
• 通勤手当
• 資格手当・資格取得補助
• 社員食堂
賞与なしでも貯金する方法7つ
賞与が支給されない会社に勤めていても、貯金は可能です。以下では賞与なしでも家計を守る・貯金ができる方法を7つご紹介いたします。気軽に始められるものはないか、ぜひチェックしてください。
先取り貯金
貯金をしたいのなら、給与が入ってきた際に先に貯金したい金額を貯金専用口座に移してしまいましょう。貯金できない人に当てはまる共通点の1つに、残ったお金を貯金するというのがあります。しかし、先に生活費などの支払いに給与を使ってしまうと、お金が残らずほとんど貯められないことになります。
給与が入ってきたら先に貯金の分を取っておき、残りのお金で生活をするように変えてみましょう。先取り貯金によって、継続した資産形成ができるようになっていきます。
特別費を積み立てる
家電の買い替えや車検など、大きな出費が発生する項目は特別費として積み立てておきましょう。家電の買い替えや車検費用などは、毎月の給与だけでは賄えない場合がほとんどです。
毎月一定額を貯めておけば、いざという時も安心して対応できます。毎月5,000円でも1年続ければ6万円、1万円であれば12万円は貯められます。誕生日や旅行のお金も特別費として計上しておけば、賞与に頼らなくても安定した生活が送れるでしょう。
固定費を見直す
家計を見直す際は、固定費から見直しをしましょう。保険料・スマホ代・サブスクリプションサービス代などは、一度見直すと節約効果が長く続きます。変更や解約には手間がかかりますが、一度手続きをすれば数年は手続きをする必要はありません。同じような内容でより安いプランがないか、ぜひ一度確かめてみてください。
クレジットカードに頼りすぎない
クレジットカードは自分で使い方を決めて、頼りすぎないように注意しましょう。クレジットカードは現金を持っていない時でも買い物ができるため、非常に便利です。しかし、買い物をしている実感が薄くなりやすく、想像以上に使っていたとなるケースもめずらしくありません。
買い物の際は、クレジットカードに頼りすぎないように意識をしてみましょう。また、クレジットカードで支払った後は、使った分を先取りして引き落とし口座に入れておくなど、請求日に慌てないようにする工夫も大切です。クレジットカードはうまく使えれば貯めたポイントで買い物をするなど、節約の助けにもなります。
買い物の習慣を見直す
買い物する際の習慣も見直しましょう。つい無駄な買い物をしていないか、高い買い物をする時に深く考えずにローンでの支払いを選択していないかを思い返してみてください。ネット通販の際に送料をタダにするためだけに買ったアイテムは、結局使わず、無駄にしたというのはよく聞く話です。少額でも無駄な買い物は、節約の妨げになります。
大きな買い物の際に、できるだけ月の支出を下げようとローンを組むこともあると思いますが、本当にその回数で問題がないかを考える癖を付けておきましょう。少ない回数で購入ができれば、分割手数料が減って、結果として節約になる可能性もあります。普段の買い物習慣を見直して、無駄な支出を削ってみましょう。
収入を増やす
支出を減らすのと同時に、収入を増やす方法がないか探してみてください。副業を始める・ポイ活をする・不用品を売却するなど、収入を増やす方法は複数あります。
ポイ活やフリマアプリでの不用品売却などは、隙間時間で取り組めるので、副業はハードルが高いという人にもおすすめです。まずは小さく始めてみて、コツが掴めるようになったら、徐々に他の方法にもチャレンジしてみましょう。
資産運用を行う
現金を口座に貯めていく以外に、資産運用でお金を増やす方法もおすすめです。現在は少額でも始められる投資が複数あります。NISAやiDeCoでコツコツと増やしていくのはもちろん、少額の株式投資で優待を獲得するなど、活用方法はさまざまです。少額で始められるものから、ぜひ取り組んでみてください。
まとめ
嘱託社員に賞与があるのかについて解説しました。嘱託社員は非正規雇用となるため、賞与が支給されないケースが多く、支給されても正社員より少ないのが一般的です。
賞与がないことで、生活が苦しいと感じる人もいるかと思いますが、無理のない節約で家計を守ることはできます。確実に貯金額を増やしたい人は、先取り貯金や固定費の削減などに取り組んでみてください。








