会社員とフリーランス(自営業)の年金受給額の違いは?補う制度や対策までご紹介

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会社員とフリーランス(自営業)の年金受給額の違いは?補う制度や対策までご紹介

会社員とフリーランスでは加入している年金の制度が異なるため、将来受け取れる金額には大きな差が存在します。今回は、会社員とフリーランスの年金受給額の違いや、フリーランスでも将来のお金を用意するための方法を紹介します。また、会社員でもできる老後資金の作り方も解説。年金受給額の違いを知りたい人、将来に備えておきたい人はぜひご一読ください。

この記事の目次

    会社員とフリーランスの年金制度の違い

    会社員とフリーランスでは、加入できる年金制度が異なります。日本の年金制度は3階構造と呼ばれており、1階は満20〜60歳までの全員が加入する国民年金保険、2階は会社員や公務員が加入する厚生年金、3階は個人で加入する私的年金でiDeCoや企業年金などが該当します。

    会社員の場合は国民年金保険+厚生年金に加入し、フリーランスの場合は国民年金保険のみ加入する必要があります。

    国民年金保険とは

    満20〜60歳の国民全員が加入する必要があり、満65歳を迎えると支給される年金です。フリーランスだけではなく、学生・無職・専業主婦の人なども加入対象となります。

    2025年の納付額は月17,510円で、全額を個人が負担します。給付金額は加入期間によって決まるため、満額加入の場合は全額支給されますが、加入期間が短いならその分減額されて支給となります。

    厚生年金とは

    会社員や公務員として働く人が加入できる保険で、厚生年金保険の適用を受ける事業所で働いている人かつ、70歳未満の人が対象の制度です。国民年金保険とは異なり、給料が増えると、その分保険料も増える仕組みです。しかし、会社側と折半になるため、厚生年金の満額を支払うことはありません。

    会社員とフリーランスの年金受給額の違い

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    会社員とフリーランスでは加入している年金が異なるため、受給額にも違いが出てきます。以下では、会社員の場合とフリーランスの各パターンでの受給額の差を紹介します。

    会社員の場合

    厚生年金に加入している人の平均年金受給額は、令和5年度で月額147,360円でした。男女別に見ると65歳以上の男性は169,484円、女性は111,479円です。夫婦ともに厚生年金に加入していた場合は、月に約28万円の年金が支給されます。

    厚生年金は年収によって納める保険料額が変わるため、年収が高いほど受給できる年金額も多くなります。そのため、年収によっては平均額以上に年金を受給できる世帯もあるでしょう。

    フリーランスの場合

    フリーランスの平均年金受給額は、令和5年度で月額57,700円です。毎月の保険料額は一定のため、年収に関係なく国民年金保険のみに加入している場合は毎月5.7万円しか受け取れません。

    フリーランスで学生納付特例を使っている場合

    学生納付特例を使用していた場合は、将来受け取れる年金額が利用していた期間分減額されます。学生納付特例とは、国民年金保険の加入年齢である20歳になっても、学生である期間は納付が猶予される制度です。

    学生納付期間を1年利用すると、年金額は2万円減るとされています。全額納付をしていた場合、年金額が80万円だったなら、学生納付特例を2年間使用していた人は2万円×2年間=4万円、80万円-4万円=76万円です。

    フリーランスで保険料免除の場合

    保険料免除は収入が少なかったり失業したりと、納付が厳しい場合に申請できる制度です。状況等に応じて全額・4分の3・半額・4分の1の免除が認められます。

    免除された割合の半分には税金が投入されるので、税金分については老後に年金として受け取り可能です。もし、全額免除の期間が5年間続いた場合、満額を80万円として計算すると、将来受け取れる年金の額は75万円になります。

    フリーランスの扶養家族の場合

    家族がフリーランスとして働いており、扶養に入っている場合はどのようになるか確認しましょう。フリーランスの人の扶養に入る場合、その人も国民年金保険の対象です。

    例えば、会社員からフリーランスへ転向した夫の扶養に入っている場合は、その扶養内の妻も厚生年金から国民年金保険へと切り替わります。この場合、扶養家族も将来受け取れる年金の金額は下がります。

    引用元:令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

    老後の資金はいくら必要か

    老後の生活における大きな収入源は年金ですが、会社員かフリーランスかによって受け取れるお金の額にはかなりの差が生じています。自分の場合は年金だけで生活ができるのか、蓄えがどれほど必要か気になる人もいるでしょう。

    老後の生活に必要な金額について、「生命保険文化センター」が行った調査によると、夫婦2人で生活を送るのに必要な金額は月平均23.2万円。また、趣味を楽しむなどゆとりのある生活を送ろうとすると生活費は月平均で37.9万円という結果になっています。

    厚生年金を夫婦2人とも受給する場合は、合わせた平均額が約28万円のため、最低限の生活は問題なく送れるでしょう。ただし、ゆとりのある生活をするには足りません。フリーランスの場合は月5.7万円ほどのため、年金だけでは生活できないとわかります。

    老後生活のためには年金以外に、年間100〜400万円ほどの収入となる資金を用意しておく必要があるでしょう。

    フリーランスができる将来への対策

    将来受け取れるお金が少ないフリーランスが、少しでも老後の資金を作るには以下の5つの方法を取り入れてみてください。

    国民年金基金

    国民年金基金とは、会社員のように公的年金に上乗せができる制度です。国民年金基金の掛金上限額は月68,000円で、一口目は終身年金のA型かB型から、二口目は終身年金のA型・B型または、確定年金のⅠ〜Ⅴ型の中から自由に組み合わせができます。

    掛金として拠出したお金は、国民年金と同様に社会保険料控除として課税所得から控除できるというメリットがあります。年金は基本的に終身年金となるため、受給開始から生きている間はずっと受け取りが可能です。運用指示も必要なく、加入するプランで決まった金額を将来受け取れるなど、メリットの多い制度です。

    付加年金

    付加年金は国民年金の第一号被保険者や任意加入者が利用できて、月額400円を上乗せして将来の年金額を増やせる制度です。増やせる年金額は納付月数×200円となり、払い込んだ総額の半分を将来の年金として受け取れます。

    なお、国民年金基金に加入している場合は付加保険料の納付はできません。付加年金は保険料額が安いので気軽に始めやすいのがメリットですが、iDeCoを行っている場合は拠出限度額から付加保険料分が控除されたり、繰り上げ受給を選択すると付加年金も同率で減額されたりといったデメリットも存在します。

    iDeCo

    iDeCoは自身で掛金を拠出して運用を行う制度で、個人で用意する私的な年金制度の1つです。年金制度の3階部分に該当します。月5,000円から始められて、1,000円単位で自由に設定ができるため、ライフスタイルに合わせて無理のない範囲で老後資金の形成が可能です。

    運用を行う際は自分で商品を決定して、状況の確認や変更をするなどの対応を行う必要があります。受給できるのは原則60歳からとなるので、老後資金を用意したい人におすすめの制度です。

    掛金は全額が所得控除、運用益も非課税で再投資可能、受け取り時も控除が利用できるなど、税制優遇が用意されています。iDeCoは、控除を活用しながら投資をしたい人に向いている制度の1つです。

    個人年金保険

    個人年金保険も年金制度の3階に該当し、個人で用意をする私的な年金制度の1つです。毎月、契約した保険に対して保険料を払込み、受け取り開始時期になると一定期間か終身にわたってお金を受け取れる仕組みです。個人年金保険には定額個人年金と変額個人年金の2種類があります。

    定額個人年金は契約時に決めた予定利率でコツコツと積み上げるので、確定した額を将来受け取れます。変額個人年金は運用実績によって金額が変わるため、場合によっては払い込んだ金額以上のお金を受け取れる可能性がある点がメリットです。

    小規模企業共済

    小規模企業共済とは個人事業主や中小企業の経営者などが加入できる退職金制度で、自分で設定した掛金を積み立てていくことで、将来の退職金を用意する制度です。年金とは異なる制度ですが、退職金の代わりに一括での受け取りや年金と同様に分割での受け取りもできます。

    掛金は毎月1,000〜70,000円の範囲で500円単位で、自由に設定が可能です。掛金は全額控除の対象となるため、節税対策にもつながります。また、小規模企業共済に加入すると、共済員のみ利用ができる融資制度も用意されています。低金利で利用できるため、万が一の時の備えとして加入しておくのもおすすめです。

    会社員でも取り入れたい老後資金への対策

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    フリーランスだけではなく、会社員でも取り入れておきたい老後資金を形成するためにできる対策をご紹介いたします。簡単なところから取り組んで、少しずつ老後資金を増やしていってください。

    家計の見直し

    老後の資金を作る前に、現在の家計状況を見直しましょう。収入・支出・貯蓄額がわかれば、これから用意する必要がある金額がわかります。ざっくりでいいので、月の収入と支出を確認するところから始めましょう。

    支出については、保険料やスマホの利用料など固定費を見直すとさらに減らせる可能性があります。また、収入を増やす必要があると分かれば、転職や副業などの別の方法も検討します。現在の課題を洗い出して、将来のために必要な行動を確認しましょう。

    NISAなどの投資

    老後の生活費が足りない場合は、収入を増やすだけではなく投資でお金を増やす方法もご検討ください。NISAなど少額で始められる投資が増えており、無理のない範囲でお金を増やせる金融商品が多数あります。

    投資を行う際は日々の生活に支障が出ないよう、余剰金で行うようにしましょう。また、株式投資などで短期的な売買を目的にした運用はリスクが高く、損をする可能性が高まります。あくまでもお金を少しずつゆっくりと増やしていくことを目的に、長期・分散・積み立てができる商品を選んでください。

    貯蓄

    投資以外にも貯蓄も用意しておくと、急に現金が必要になった時でも安心できるでしょう。毎月一定額を給料から天引きをすると、意識せずに貯蓄を続けられます。

    貯蓄がほとんどないという人は、まずある程度のまとまったお金を用意するところから始めてみるのもおすすめです。一定額を貯めた後に、一部を投資に回して増やすようにすると、より早いペースで目標額を貯められるでしょう。

    節税対策

    少しでも手元にお金を残すなら節税対策も大切です。iDeCoに加入する、ふるさと納税を利用するなどはもちろん、利用できる控除がないかも確認してみてください。

    年末調整の際に生命保険料や地震保険料など加入している保険や、配偶者控除や扶養に関する控除など、さまざまな控除を利用できます。その年によっても利用できる控除が変わるため、年末調整の前には自身が利用できるものがないか確認しましょう。

    また、医療費控除や寄附金控除など、年末調整では適用されない控除もあります。確定申告を行う必要があるのは手間ですが、その分所得税や住民税に還元されるため、条件に該当していないか確認してください。

    まとめ

    会社員とフリーランスの加入できる年金制度や、受給額の違いなどをご紹介いたしました。会社員の場合は国民年金保険と厚生年金に加入するため、保険料が高くなりますが、その分将来受け取れる年金額も多くなります。

    フリーランスは国民年金保険にしか加入できないため、将来受け取れる年金額は会社員の半分以下となります。少しでも将来に備えるなら、国民年金基金・付加年金・iDeCoなどを活用して、上乗せをしていきましょう。

    会社員でもNISAなどの投資やiDeCoの加入、節税などを利用すると年金以外の老後資金を用意できます。うまく制度を活用して、安心して将来の生活が送れるように備えていきましょう。

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