定年後にフランチャイズオーナーになるのは可能?老後の開業に向く業種や、活用できる制度・助成金
- 独立・起業
- 公開日:2025年5月15日

人生100年時代と呼ばれるなかで、定年後も働こうと考えている人は少なくありません。しかし「誰かの下で働くのは嫌」「でもある程度の安定感はほしい」というミドルシニアにぴったりなのが、フランチャイズでの独立開業です。今回は定年からフランチャイズオーナーとして働けるのか、起業するメリット・デメリットなどをご紹介します。定年後の起業に興味がある人は、ぜひご一読ください。
この記事の目次
定年後の生活について
定年後はこれまでの生活よりも時間に余裕が生まれ、やりたいことができる時期です。一方で安定した収入が少なくなり、お金に余裕がなくなる可能性もあるでしょう。老後に必要な生活費は平均で月23.2万円です。
しかし、年金の支給額は男性の平均で月14.9万円となっており、赤字になる場合がほとんどです。近年では老後のやりたいことや生活を叶えるためにも、定年後に再就職や独立開業を選択する人が増えています。
起業に関するアンケート調査では、50〜60代のタイミングで開業した人は、全体の3割ほどいるとわかっています。定年退職したけれど、まだまだ現役で活動したいという人は、定年後の起業・開業を検討してみてください。
定年後にフランチャイズオーナーになれる?
若い人を中心にオーナーを募集しているイメージがありますが、定年後でもフランチャイズオーナーになることは可能です。フランチャイズオーナーは、雇われる側ではなく経営する側になるため定年がありません。そのため、定年した後に起業したい人でも挑戦できます。
フランチャイズとして加盟をすると、本部から手厚いサポートを受けられるため、安心して起業ができます。定年後も仕事を続けたい、収入を得たい、起業をしたいが不安があるといった人は、フランチャイズオーナーとしての開業も検討してみましょう。
定年後にフランチャイズオーナーとして起業するメリット
定年後からフランチャイズオーナーとして起業すると得られるメリットを5つご紹介します。定年後も働きたいと考えている人は、ぜひ起業のメリットを確認してみましょう。
年金以外の収入が得られる
フランチャイズオーナーとして起業し、収入が得られれば、年金以外の収入源が確保できます。年金だけでは老後の生活が厳しい現在では、退職金や貯蓄、給与など別の収入源が必要です。
フランチャイズオーナーは会社に再雇用されるよりも収入の安定性はありませんが、努力次第で大きく稼ぐことも可能です。資格や経験を活かせる仕事であれば、現役の時と同等またはそれ以上に稼げる場合もあります。年金に頼らずに生活ができるのは、大きなメリットとなります。
好きなことを仕事にできる
定年後はこれまでの仕事とは異なり、以前から興味があったことや好きなことを仕事にできます。自分の好きなことであれば、やりがいを持って楽しみながら仕事に臨めるでしょう。
フランチャイズであれば、本部から集客や運営ノウハウの提供を受けられるため、0から立ち上げるよりも事業の成功率が高まります。好きなことで仕事をしながら事業を成功させたい、楽しみたいという人に、フランチャイズオーナーとしての起業はおすすめです。
定年を気にせずに働ける
フランチャイズオーナーとして働く場合、定年を気にせずに働き続けられるのもメリットです。再雇用や再就職をした場合は、65歳もしくは70歳までが定年です。そのため、定年を過ぎた後は働きたくても働けない可能性があります。
しかし、起業をしていれば定年制度に縛られずに自分のペースで働けます。また時間の融通も利くため、会社員時代よりもゆとりを持った働き方が可能です。働く場所も自分で選べるため、時間や場所、年齢を気にせずに仕事を続けられるでしょう。
開業資金を用意しやすい
定年後は貯蓄や退職金などがあるため、会社員時代よりも開業資金を用意しやすいでしょう。フランチャイズオーナーとして開業する場合、開業費として数十万円〜数百万円が必要です。
通常であれば銀行から融資を受けて、開業をするケースがほとんどです。しかし、貯蓄や退職金が十分にあれば、それを元手にした開業ができます。お金が必要となる老後の生活を、借金をせずに送れるのはメリットとなるでしょう。
メリハリのある生活を送れる
定年後も仕事を続けることで、メリハリのある生活を送れます。定年後にやることがない、と悩んでいる人は少なくありません。何もやることがない状態、刺激がない状態は認知症を発症させる可能性も高まります。
定年後にフランチャイズオーナーとして起業できれば、新しい人との関わりや経験を得られるため、メリハリのある生活が送れます。定年後も充実した生活を送る手段として、起業はおすすめの方法です。
定年後にフランチャイズオーナーとして起業するデメリット
定年後にフランチャイズオーナーとして起業するには、デメリットもあります。今回は主なデメリットを、2つご紹介します。
健康に影響が出る可能性がある
定年後である60代は、健康面に不調を抱えやすくなる年代です。起業をするまでにもやるべきことは多く、体力を必要とします。さらに起業をすれば慣れない仕事で、健康に影響が出る場合もあるでしょう。
そのため、せっかく起業したとしても、病気や怪我など健康上の理由で、すぐに廃業する可能性が高まります。健康に影響が出た場合には、どう対処するのかもあらかじめ考えておきましょう。
失敗のリスクがある
フランチャイズオーナーは、本部からノウハウを提供してもらえるため、自分でビジネスを立ち上げるよりも成功の確率は高くなります。しかし、経営者となる以上、失敗のリスクも存在します。
一般社団法人フランチャイズチェーン協会の調査では、開業から5年後の生存率は70%となっており、30%は撤退しているのが現状です。必ずしも成功するわけではない点は、知っておきましょう。
また、定年後の起業では、失敗後の再チャレンジが難しい点もデメリットとなります。若い世代であれば、失敗しても再チャレンジや再就職などが可能です。しかし、定年後では再チャレンジする資金や体力が少なくなり、再就職は年齢的に厳しくなります。少しでも失敗のリスクを減らすためには、細くても長く続けられる仕事を選ぶようにしましょう。
定年後にフランチャイズオーナーとして起業する際の注意点
定年後にフランチャイズオーナーとして起業を検討している際は、以下の4つに注意をしましょう。
初期投資をしすぎない
起業のためには初期投資が必要となりますが、あまりに高額な場合は注意が必要です。貯蓄や退職金があるからといって、多額の費用を使ってしまうと老後の生活費が足りなくなる可能性があります。また、失敗した場合は費用を回収できず、再チャレンジも難しくなります。定年後の起業では、利益よりもリスク回避を重視したビジネスを検討しましょう。
周囲の意見を聞き入れる
人間は年齢を重ねるほどに柔軟さがなくなり、頑固になる傾向があります。そのため周囲の意見を聞かず、失敗する場合もあります。しかし、フランチャイズオーナーとして起業し成功するためには、周囲の意見を聞き入れる力も必要です。
成功させるために改善するべき点はないか、問題となることはあるか意見を聞き入れ、柔軟な対応を行うことが求められます。自分の意見だけではなく、必ず周囲の意見も参考にし、どうしたらよりよくなるのかを考えるようにしましょう。
情報収集を行う
フランチャイズオーナーとして成功させるためには、情報収集が欠かせません。起業に必要なことから、リスクとなるもの、成功した人の意見など必要な情報は多くあります。最近ではネットで必要な情報はすぐに探せるため、情報収集も簡単です。インターネットに抵抗がある人も、まずは気になることをネットで調べてみましょう。
焦って決めない
定年後からの起業では、会社員時代と同じように長い期間を仕事に充てられるわけではありません。そのため、少しでも早く起業して、利益を出そうと考える人もいるでしょう。しかし焦って決めても、いい結果は期待できません。起業しても問題ないのか、業種はどうするのか、加盟先はどこにするのか、必ず複数と比較をしながらじっくりと検討しましょう。
定年後の起業におすすめの仕事3選
定年後にフランチャイズオーナーとして、起業する際におすすめの仕事を3つご紹介します。自分の興味がある仕事や、強みを活かせる仕事があるか確認してみてください。
小規模の飲食店
定年後でも小規模の飲食店であれば、無理なく運営できる可能性があります。席数を少なくする、テイクアウト専門にする、メニューを絞るなどの工夫があれば、1人でも運営が可能です。料理の経験がない人でも、フランチャイズであれば調理法を提供してもらえるので、問題なく始められます。
コインランドリー
コインランドリーは共働き世代の増加などで、需要が高まっています。自宅では洗えないものも気軽に洗えるため、今後も需要は増加していくでしょう。コインランドリーは専用の機械を導入するため、初期費用が高額になりがちです。
しかし、フランチャイズであれば、リース契約で初期費用を抑えられる場合があります。店舗に常駐している必要はなく、不労所得となる点も、定年後の仕事としておすすめな点です。
リペア
革製品や衣類、電化製品などのリペア(修理業)も、定年後の仕事としておすすめです。修理を依頼する人は一定数いるため、ある程度の安定した需要が見込めるでしょう。近年では、スマホの修理業が注目されています。
フランチャイズであれば、必要な技術は研修として身につけられます。未経験でも短期間で習得できるようなカリキュラムが用意されているため、リペア職人として開業が可能となるでしょう。
定年後の起業に活用できる制度・助成金
定年後に起業をする際に、活用できる制度や助成金を3つご紹介します。少しでも支出を抑えたい場合は、活用できる制度がないかぜひご確認ください。
日本政策金融公庫 女性、若者/シニア起業家支援資金
日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、女性または35歳未満の人、もしくは55歳以上の人を対象にした支援金制度です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)のため、初期費用が自己資金では足りない人でも、事業を開始できるでしょう。
生涯現役起業支援助成金制度
生涯現役起業支援助成金制度は、厚労省が用意している助成金です。利用するには、以下の条件を満たしている必要があります。
• 起業日の年齢が40歳以上
• 「雇用創出措置に係る計画書」を提出している
• 事業運営のために労働者を新たに雇い入れた
条件を満たしている場合、採用や教育にかかった費用の一部を助成してもらえます。助成額は起業者の年齢によって異なりますが、2分の1から3分の2の割合、最大200万円までです。
一般社団法人 日本シニア起業支援機構
一般社団法人 日本シニア起業支援機構は、実務経験豊富なシニアが経験や人脈を最大限に活かして、起業できるように手助けを行っています。アドバイザーは各業種に知見の深いシニア層であるため、プロの意見を聞きながら起業準備を行えます。希望している業種で活躍している同年代からの意見を、直に聞ける機会ですので積極的に活用しましょう。
まとめ
定年後の新たな働き方として、フランチャイズオーナーとしての起業についてご紹介しました。フランチャイズであれば、ノウハウの提供を受けながら自分のペースで無理なく働けるため、定年後でも無理なく働けます。シニアからでも利用できる助成金や制度もあるため、定年後は会社ではなく自分で何か仕事をやってみたいという人は、ぜひ検討してみてください。