「終活アドバイザー」という新しいキャリアの選択肢とは？ミドルシニアが活躍できる理由

終活アドバイザー（カウンセラー）とは？

ミドルシニアの中には、第二のキャリアを築くために独立したいと思っていても「特にやりたいことも、スキルもないから難しいに違いない...」と諦めてしまう方も多いのが実情でしょう。

そんな方におすすめなのが「終活アドバイザー」や「終活カウンセラー」と呼ばれる終活をお手伝いする仕事です。高齢社会を迎えた今、はじめは知識がなくてもスキルを学べば独立ができる仕事としてニーズも高まってきています。

そもそも終活アドバイザーは、「相続・遺言・保険・葬儀・墓・介護・健康」など、終活についての幅広い知識を持ち、終活に対してのさまざまな不安や悩みに対し専門的なアドバイスをすることが主な仕事になります。

たとえば、相続問題で悩んでいる高齢者がいる際に、状況をヒアリングした上で弁護士や税理士といった専門家に相談を進めるなど、その人に適した解決策を提案していきます。そして、悩みを聞くことでシニアたちの悩みに寄り添い、心を軽くしてあげるお手伝いをするのもまた、アドバイザーの役目の一つです。

こうした終活アドバイザーは、若い世代よりも特にミドルシニアの方が活躍できるといいます。それはご自身もシニアに向けて年を取っている中で、何に悩み、何に手を差し伸べて欲しいのかということに気を配りながら、お悩みに対して本気で寄り添うことができるからです。

終活アドバイザーとして活躍できる場は多岐に渡り、冠婚葬祭を運営する葬儀会社や保険会社、行政書士事務所や老人ホームといった職場が挙げられます。時給は1,500円くらいが相場となっています。正社員の場合は月給20〜35万円、年収は約300〜500万が見込まれます。

中には、業務委託契約を結ぶことでフリーランスとして独立し、職場を2つや3つ掛け持ちしながら働いている方もいます。終活アドバイザーとして活躍しながら自分自身の終活の準備もできるので、ライフプランを設計しながら働けるという面でも、やりがいのある仕事でしょう。

終活アドバイザー（カウンセラー）の仕事内容

終活カウンセラーや終活アドバイザーの仕事内容は、どのようなものがあるのでしょうか。

大まかには、悩みや不安を持つ高齢者への個別カウンセリングを行い、綿密なヒアリングを行った上で専門家への案内やエンディングノートの作成のお手伝いにはじまり、死後に必要となる遺言書作成や相続関係のサポートといったことまで対応していきます。

エンディングノートの作成サポート

特に、財産の分与についての細々としたご家族やご友人に伝えておきたいことや、介護が必要となった場合のケアや医療についての希望、葬儀や埋葬の方法までをまとめておくエンディングノートの作成は、その手腕が問われる業務です。

エンディングノートの作成は後々必要となる"遺言書"に必要な事項になるため、遺言書の下書きとして作っておきたいと思うシニアたちが増えているといいます。高齢者一人でのエンディングノート作成は、知識もない中では困難です。そこで、終活アドバイザーや終活カウンセラーが親身になって適切なアドバイスを行い、作成を進めていくのです。

終活アドバイザーは、金融や不動産、保険や年金、医療に至るまで幅広い知識を備えていなくてはなりません。相談者個々の人生に合わせて適切にアドバイスをして、終活を進めるサポートをするのが役割と言えます。

各種手続きのサポート

介護保険の手続きなどによっては、自治体の窓口に同行して一緒に行う場合もあります。歳を重ねてから様々な手続きを一人で行おうとする際には、多くの不安がつきものです。終活アドバイザーがしっかりとサポートに入ることにより、シニアたちも安心して手続きを行えるようになるのです。

終活セミナーの開催

自治体や介護施設などで開催される「終活セミナー」の講師を主導することも、終活アドバイザーの仕事の一つです。セミナーを通して終活の重要さだったり、終活を始めるきっかけを作ったりするのです。

終活アドバイザー（カウンセラー）に向いている人の特徴

終活アドバイザーやカウンセラーとして働く場合、コミュニケーション能力が高く、人への思いやりができる方が多く活躍しています。仕事全般において、シニアたちが抱える不安や悩みについて相談を受けることがほとんどです。そのため、相手のニーズを聞きだしながらも適切なアドバイスや細やかな対応ができる方が向いています。

また、信頼関係が結べない場合には相談者から心を開いてもらえず、本音や相談を聞き出すことはできません。そのため、信頼関係を構築するために細やかな気配りができ、人の役に立ちたいという精神性がなければ続けていくのは難しいでしょう。

介護や医療現場、金融や保険業界で働いた経験がある人は終活アドバイザーやカウンセラーとしてより一層活躍できる土壌があるといえます。これまでの知識や経験を基にアドバイスすることができるからでしょう。

終活アドバイザー（カウンセラー）に資格は必要？

終活アドバイザーやカウンセラーとして働くためには、適切なアドバイスができるという証明になる資格が必要になることが多いです。各認定団体が行っている検定試験に合格すれば、資格を取得できます。試験合格後は登録申請し、登録料と初年度年会費を支払えば正式に認定される仕組みです。

また、最近では終活アドバイザー養成講座などが開かれている通信教育も増えています。終活にまつわる資格は種類が豊富なので、ご自身にあっているものを選択するようにしましょう。

終活アドバイザー

終活アドバイザーは「終活アドバイザー協会」が認定する資格で、「医療・介護、住まい、葬式・お墓、相続」について的確なアドバイスをするための資格です。終活カウンセラーにはない「住まい」の内容が含まれるため、高齢者の老後の住まいや不動産について、より深く学ぶことができます。

生前整理アドバイザー

生前整理アドバイザーは、「生前整理普及協会」が認定する資格で、相談者やご家族が物や情報を正しく効率的に整理するにはどのようにしたらいいのか、アプローチ方法を指導することができます。

遺品整理士

遺品整理士は、「一般財団法人 遺品整理士認定協会」が認定する資格です。主に、故人の遺品を整理し、処分方法など適切に行うアドバイスをしていく仕事です。近年、遺品整理に頭を悩ませているご家族も多いため、ニーズの高い資格でしょう。

介護福祉士

介護福祉士は、「公益財団法人 社会福祉振興・試験センター」が実施する国家資格です。介護福祉士である場合、食事や入浴などの介助をすることができます。ただし、受験するには指定の養成施設や福祉系高校を卒業するか、3年以上の実務経験が必要となります。

介護支援専門員

介護支援専門員の資格は、各都道府県が実施している国家資格です。高齢者や要介護者の相談を基に、ケアプランを提案しながら自立した生活を行えるように支援するお仕事です。近年は、介護支援専門員が終活アドバイザーや終活カウンセラーの資格を取得して活躍しているケースも目立ちます。

今後、需要の高まる将来性がある仕事で独立を！

せっかく将来的に独立を目指すのであれば、将来的にニーズの高い仕事を選ぶべきです。そういった意味で終活アドバイザーやカウンセラーの仕事は、幅広く需要がある仕事だといえるでしょう。

今年はまさに「2025年問題」と呼ばれる年です。日本人の5人に1人が75歳以上の後期高齢者になり、多くの社会問題が表面化すると言われています。実際に老後の資金や年金問題、雇用情勢での人手不足など、深刻化している問題も多々あります。

特に、福祉や介護の分野では約40万人もの人材が不足するという試算が出ており、現場では福祉や介護を担う人材の確保に奔走しています。今後、より需要がある"終活アドバイザーやカウンセラー"として仕事をスタートできれば、引く手あまたの人材として重宝される可能性も高いと言えます。

介護や福祉は誰にでも関係のあるものです。終活に向けて考えるタイミングが必ず一度は訪れることでしょう。終活アドバイザーやカウンセラーとして活躍できれば、第二のキャリアとして独立することも夢ではありません。

データ元：厚生労働省「我が国の人口について」

まとめ

いずれ迎える、終末のために準備をしておきたい人は年々増えています。そこで、終活アドバイザーやカウンセラーとしてのミドルシニアの力が今、必要とされているのです。