人生後半の選択肢―ミドルシニアの独立・起業に必要な準備と心構え
- 独立・起業
- 公開日:2025年10月17日
会社に属して働くだけではなく、自分のやりたいことや新たな職種に挑戦をして独立することも多くなるのがミドルシニア世代。しかし、独立後の現実はそこまで甘くない場合も。本日は独立後に失敗しないための情報をお伝えしていきます。
この記事の目次
独立する人が多い一方、続けていく難しさがある
人生100歳時代、ミドルシニアでの独立が増えているといいます。ミドルシニアになるとこれまで培ってきた経験や人脈を活かせるため、年齢が有利に働いてくれることも独立の後押しをしてくれているのでしょう。
定年後のセカンドライフとして自分らしい生き方を求めた結果、起業や独立を果たした方も。読者の方の中にも、スキルや経験、自分の趣味を活かして今後は起業をしたいと考えている方も少なくないのではないでしょうか。
ミドルシニアでの独立のきっかけは人それぞれですが、大まかに定年前後と再雇用の契約期間満了前後のターニングポイントで独立を考える人が多いと言われています。
開業でみても、1991年においては開業時に50歳代の方が9.3%だったのが、2023年においては20.2%となっており、開業における平均年齢も毎年上がっているとのこと。多くのミドルシニア世代が一度の人生、自身の納得いくものにするために積極的に行動されていることがわかります。
また、独立に対する50代の関心が高まっている理由の1つには「退職後の収入への危機感」があります。老後の資金問題など、ミドルシニアのうちから考えなくてはいけないお金の問題も、独立に一役買っていると考えられています。
そして、人生の中盤を迎え、このまま会社員として人生を送るべきなのかと、ご自身の生きがいや生き方に疑問を持ち、やってみたかった職種や業界にチャレンジする独立や起業も多いでしょう。
しかし、その一方で独立後に仕事や会社を畳むケースも多いことは意外に知られていないかもしれません。中には、収益の見込みが立たずに会社員に戻る方もいます。独立するだけなら誰でもできるかもしれませんが、5年、10年と独立して生活を送ることは本当に難しいと言わざるを得ません。
データ元:日本政策金融公庫「2023年度新規開業実態調査」
失敗しやすい独立とは?

ミドルシニアでの独立は、成功よりも失敗が多いとも言われています。失敗しないために何に気をつければよいのでしょうか。
・収支のバランスは慎重に
収支のバランスが取れていないのにもかかわらず、見切り発車で起業するのは大変危険です。起業当初は思ったほど稼げないことが多いため、無計画での起業は失敗する確率が高まってしまいます。起業前にはある程度の蓄えをしてから臨むようにしましょう。
・老後資金には手を出さない
ミドルシニアの場合、起業の失敗で多いのが老後の資金を使ってしまうという点です。起業がすぐに成功すれば問題ないのですが、収入が安定しない場合には将来の生活が困窮してしまう恐れも。起業では老後資金には手を出さずに、余剰資金を使って起業準備をするようにしましょう。
・市場調査は入念に
起業する際に忘れがちなのが市場調査です。競合他社の存在や地の利などのリサーチをせずにビジネスを始めるのはとても危険です。自分ではいいと思ったビジネスでも、需要がなければ成り立ちません。「起業してみたら意外とニーズがなかった...」ということも起こり得ます。起業をする前には、しっかりと市場調査を行っておきましょう。
・勝算のないビジネスを行う
ミドルシニアでの起業で失敗しがちなのが、憧れや夢を前面に出してしまうことです。夢や憧れも大事ですが、あまり自身の経験やスキルと関係のない職種や業界にチャレンジするのは危険です。新しいチャレンジも勝算があれば問題ないのですが、できれば今までの経験や人脈が活かせる事業を行う方が成功に繋がりやすいでしょう。
・初期投資が多額にかかる
多額の初期投資が必要な事業は、初めての起業では避けるべきでしょう。退職のタイミングで起業する方も多いため、退職金が手元にあるからといって多額の投資をする方がいます。投資は回収できるから投資というのであって、最初から多額すぎる投資は回収できないことも。独立の資金繰りはご自身のできる範囲で始めましょう。
成功するために意識すべきこと
独立を成功させるために、意識しておいた方がいいポイントをまとめいきます。
・差別化を考える
独立を考えている場合、自分がスタートさせるビジネスの分野での差別化を意識しましょう。差別化できるビジネス形態かどうかわからない場合は、周りの人やコンサルタントなどのプロに一度相談してみましょう。
独立時は熱意もあるため、自身では客観的にこれから始めるビジネスを見えていない場合も。成功させるためには、冷静沈着にアイデアを客観視することが大切になります。
・宣伝はしっかりと
会社員の頃は仕事が用意されていることがほとんどですが、起業してからはそうはいきません。会社のネームバリューやこれまでの功績により仕事が入ってくることもありますが、起業後はどうなるか先のことは見えないことも多いものです。そのため、クライアント探しは常に行うようにしましょう。そのための宣伝・広告が重要となります。
・資格取得に終始しない
世の中には、取得が難しいと言われる資格が存在します。そのため、取得できたらすぐに独立して稼げると思っている方も多いかもしれません。しかし、日本のビジネスシーンでは資格の有無よりも経験値があるかどうかで仕事になる場合がほとんどです。
そのため、資格取得だけに終始するのではなく、取得後の実務に力を入れて独立を考えましょう。もちろん、難易度の高い資格が取得できれば独立に有利に働きますが、その先の実務にまで目を向けられると成功率が格段に上がるでしょう。
失敗しないために、心がけることとは?

では、どのようなことを心がけて独立すればよいのでしょうか。
・人との繋がりを持つ
人との繋がりは独立にはとても大切です。ミドルシニアでの独立の場合、これまで行っていた仕事の人脈を活かしてビジネスをスタートさせることも多いでしょう。そのため、今までの人間関係は特に大切にしましょう。
また、新規の人脈もビジネスに幅を持たせる上で重要になります。時には交流会に参加したり、知り合いの経営者にアポをとって会ったりなど、人と知り合う機会を自分で積極的に取るようにすると◎。
・情報発信を行う
近年、重要となっているのがインターネットでの情報発信です。ミドルシニア世代の独立ではネット環境に苦手意識を抱いてしまい、インターネットを活用できていない場合も。FacebookやTwitterなど、ソーシャルメディアは日本だけではなく世界中と繋がっています。
自社の商品やサービス、そして会社のビジョンなど、ウェブサイトやソーシャルメディアで情報発信をするようにしましょう。情報を発信することは、独立後の成功においてもかなり重要です。
・先人に習う
独立して成功するための近道は、成功者から学ぶということです。成功している事例や人と知り合い、話を聞くことで先人たちの成功のポイントを知ることができます。
ミドルシニアになるとこれまでの積み重ねてきたキャリアからプライドも高くなってしまうことがありますが、独立する時には一年生だということを忘れずに、謙虚に人から学ぶ姿勢を大切にしましょう。
・プチ起業から始めてみる
ミドルシニアでの起業ではリスクを抑えて始めるのも大事なポイントでしょう。少ない初期投資で始められる小規模な「プチ起業」や「プチ副業」からはじめてみるのもおすすめです。スモールスタートで独立することによって本格的に起業した際のイメージをより正確に思い描けます。
たとえスモールスタートであっても、ビジネスが軌道に乗り始めたら規模を拡大していくこともできるため、本格的な起業をするためにもまずは小さく始めてみましょう。
・強みを生かす
これまでやってこなかった新しい分野に挑戦することもミドルシニアの独立の醍醐味かもしれませんが、成功させることをプライオリティの一番にするのならば、自身の経験や知識やスキルを生かせる仕事を選ぶ方がよいでしょう。
また、やったことのある得意な分野を活かすことで実現可能性の高いビジネスとしてスタートさせることができるため、事業を軌道に乗せる確率を上げられます。
ミドルシニアでの起業におすすめの業種!
ミドルシニアで独立や起業を検討する際には、どのような職種や業種でスタートさせればいいのでしょうか。
・コンサルティング業
コンサルティング業は専門分野における深い知識や豊富な実務経験が必要なため、ミドルシニアの独立や起業におすすめです。キャリアを積み重ねてきた実績や人脈もプラスに働かせることができるだけではなく、ご自身の知識が強みとなるため初期投資を抑えて起業することも可能です。
・資格系の仕事
法律、税務、不動産などの専門的知識が必要となる士業もミドルシニアからの独立では人気となっています。
職種としては弁護士や税理士、司法書士などです。資格さえあれば独立・開業できるので老後の働き方の選択肢にと、ミドルシニアから学びをスタートさせる方も。資格取得の難易度は高いですが、働きながらでもコツコツ勉強することで独立に繋げることができます。
・ネット系の仕事
ウェブデザインやグラフィックデザインなど、インターネットを活用した仕事も現代では人気です。ミドルシニアからスキル取得をするのは難しいのでは、と考える方もいるかもしれませんが、編集ソフトも進化を遂げ、徐々に使い易くなっています。
これまでそういった職種で働いてきた方にとっては独立しやすい分野でもあるのと同時に、初心者でも学びからビジネスに転化しやすい業種と言えます。さらに、仕事を始める際にもパソコンとインターネット環境さえあれば業務を行えるため、開業コストを抑えられるのもミドルシニアからの独立には向いていると言えます。
まとめ
人生100年時代、年齢にとらわれず自分らしく生きるための働き方が独立や起業なのかもしれません。成功させるためには、失敗しないためのポイントをしっかり抑えてからチャレンジしていきましょう。








