物価高で老後2000万円から4000万円問題に?生活苦にならないための理想の支出割合とは

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物価高で老後2000万円から4000万円問題に?生活苦にならないための理想の支出割合とは

過去に話題となった老後2,000万円問題。最近では、4,000万円が不足すると話題になっています。なぜ老後に必要な金額が4,000万円に増えたのか、本当に必要な金額はいくらになるのかは気になる点です。今回は老後4,000万円に増えてしまった背景、老後資金を形成するための理想の支出割合を解説します。

この記事の目次

    老後2,000万円問題とは

    老後2,000万円は金融庁から公表された、金融審議会市場ワーキング・グループの報告書によって話題となりました。

    報告書のなかでは高齢夫婦の無職世帯では、年金支給を受けていても毎月約5万円の赤字がでるとされています。そのため、60歳で定年退職をした後、平均寿命である80歳後半までの約30年分の資金として約2,000万円が必要であるという計算です。定年後も働き、無職期間が20年間となったとしても約1,300万円が必要であると試算されています。

    あくまでもシミュレーション上の数字のため、実際に必要となる金額は人によって異なります。しかし、現状年金だけでは生活費を賄えない可能性が高いため、老後資金の対策は必須と言えるでしょう。

    なぜ老後に4,000万円が必要と言われ始めたのか

    では、なぜ老後に必要な金額が2,000万円から4,000万円になったでしょうか。
    これは、もし"消費者物価上昇率が+ 3.5%で今後も続いた時にどうなるか"をシミュレーションした結果です。シミュレーションによると10年後には2,821万円、さらに10年後には約4,000万円が必要となるという結果が算出されました。

    2023年度は2022年度と比較して、消費者物価指数は平均で3.0%上昇しています。今後も物価が上昇し続ける可能性が高く、試算のように老後に必要な金額も上昇していくと考えられます。

    参照元:統計局「消費者物価指数」

    老後に本当に必要な金額を考える

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    物価上昇によって老後に必要となる金額は、どんどん変化してきています。しかし、本当に老後に2,000万円や4,000万円が必要なのかと、考えている人もいるでしょう。

    2023年の総務省「家計調査年報」によると、65歳以上の世帯では実所得は244,580円、消費支出は250,959円、毎月6,379円が不足する計算になります。消費支出には税金や社会保険料などが含まれていないため、税金など金額を含めると総支出額は282,527円、不足額は37,916円です。この金額が65歳から30年間続くと考えると、不足金額は約1,300万円と試算できます。

    ゆとりのある生活をしたい場合に必要な金額は、平均で月額37.9万円です。先ほどの65歳の収入から考えると不足する金額は毎月約13万円となり、30年間で計算すると約4,800万円が不足します。これらに介護費用や治療費なども発生するため、総額は5,000万円以上となる可能性も。生活スタイルによっては、老後4,000万円でも足りないという人もいるでしょう。

    単純な試算による金額ではなく、自身が希望する生活とそれらにかかる費用を算出したうえで、必要となる老後の資金を計算しましょう。

    参照元:公益財団法人生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」

    老後資金を貯めるための理想の支出割合を考える

    現在の収入から理想的な支出割合を元に貯蓄をすると、必要な老後資金を貯められる可能性が高まります。

    まず、お金を貯めるためには収入を増やす・支出を減らす・投資でお金を働かせる、の3つの方法があります。貯蓄をする際は、3つの中から支出を減らすための見直しを最優先で行いましょう。収入アップや投資よりも結果が目に見えやすく、削減した金額をそのまま貯蓄に回せます。

    家計の支出割合としてよく見るのは、5:3:2や6:2:2です。内訳は基本生活費:予備や贅沢品の費用:貯金となり、収入全体の8割で生活をするのが理想とされています。つまり手取りが20万円の場合は4万円、手取りが30万円の場合は6万円、手取り40万円の場合は8万円が理想の貯金額です。

    ただし、生活スタイルによって比率は変化します。もし、単身者であれば貯蓄比率は15%程度、実家に親と同居している場合は35%程度が理想です。理想の支出割合と自身の収入額を当てはめて、無理のない範囲で老後資金を貯めましょう。

    老後資金を用意する方法3選

    老後資金を作るためには、いくつかの方法があります。少しでも老後資金の不安を減らすために、自分に合った方法を取り入れてみましょう。

    ①60歳以降も働く

    60歳の定年退職後も働く人は年々増加しており、2025年4月には65歳までの雇用確保が義務化となる影響もあり、60歳以降でも働ける環境が整っています。少しでも老後の資金に対する不安を減らしたい、より多くの貯蓄を作りたい場合は60歳以降の就労についても検討しましょう。

    60歳以降の平均年収は60〜64歳で569万円、65〜69歳で428万円、70歳以上で367万円です。定年退職をする前よりも年収は下がりますが、年金だけでは不足する生活費を補填できます。

    参照元:令和4年分 民間給与実態統計調査

    ➁老後資金のための投資

    老後の資金を確保するためには、貯蓄以外に投資も検討しましょう。貯蓄に回す金額のさらにいくらかを、投資に回すとただ貯蓄だけを続けるよりも、将来的な資産を増やせる可能性があります。NISAや投資信託などはもちろん、老後の資金形成用のiDeCoなどがおすすめです。

    ただし、投資はすぐに結果が出ないのはもちろん、元金割れを起こす可能性もあります。投資のリスクを理解したうえで、知識を身につけて行いましょう。

    ➂生活費の見直し

    60歳以降も働くのはもちろん、老後資金を貯めるためには生活費の見直しも行いましょう。まずは、どの程度の収入があり、毎月何にお金を支払っているのかの把握が必要です。ある程度お金の流れを掴めたら、今の生活に必要なものと不要なものを分け、不要な部分を減らしていきましょう。

    老後資金を貯めるために抑えておきたいポイント

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    老後資金を貯めるためには、生活費全体の見直しが必要です。どのような部分を見直すと良いのか、抑えておきたいポイントについてご紹介します。

    固定費の削減

    まず、家計を見直す際に最初に取り組みたいのは、固定費の見直しです。固定費とは住居や光熱費、保険料や通信費といった費用です。

    スマホや家庭で利用している光回線などの通信費は、特に見直しがしやすい項目です。スマホは格安SIMが多く出ており、同じような通信容量でも月で数千円安くなる場合があります。また、同じキャリアであっても不要なプランを解約するだけで、金額は変わります。

    また、同様に保険料も見直しましょう。必要な保障内容を付けられているか、似たような内容の保険に複数加入していないかなどです。最近では電気料金も会社の乗り換えによって、安くなる可能性があります。サービス内容や契約している会社の見直しをするだけで、毎月の支出を減らせるため、固定費から手を付けていきましょう。

    支払い方法の見直し

    家計管理をする際には、支払い方法の見直しも行いましょう。現金での支払いが中心の場合は、クレジットカード支払いに切り替えると、より簡単に支払い管理ができます。近年では光熱費などの公共料金も、クレジットカード支払いに対応しています。固定費もクレジットカードで支払いをすると、専用アプリからいつでも気軽に明細の確認も可能です。

    また、クレジットカードで支払いをするとポイントを貯められます。貯めたポイントはクレジットカードの支払いに利用できるため、結果として支払いを抑えられるでしょう。ただし、クレジットカード支払いは使いすぎてしまう可能性もあります。無駄な支出が増えてしまわないよう、クレジットカードを使って支払う内容をあらかじめ決めておくと、使いすぎを防げます。

    不要な物やサービスの断捨離

    家計を見直す際は契約しているサブスクリプションなどの、サービスも見直しましょう。具体的には、毎月支払っているジムや動画配信サービスなどです。利用していなければ解約、利用していてもより安く抑えられるものへの乗り換えなどで、毎月の支払額を抑えましょう。

    また、家の中の不用品を断捨離しましょう。自宅にある物を把握できれば、同じ物をいくつも買ってしまうといった無駄な出費を減らせます。不要と感じている商品でも、場合によっては買取サービスやフリマアプリなどで販売できる可能性もあります。

    貯蓄のためでも削減しないほうがいい項目もある

    老後資金を貯めるためには、固定費の削減や支払い方法の見直しなど、変更したほうがいい項目があります。しかし、反対に貯蓄のためでも費用を削減しないほうがいい項目もあります。

    食費

    節約をしようとした際、多くの人が費用を削る項目として挙げるのが食費ですが、食費の削減はおすすめできません。普段買っている食品から、さらに少し安い食品へ変える程度では問題ありませんが、過度な節約は健康に影響を与えます。栄養が偏った食生活や常にお腹が空いた状態になるのでは、意味がありません。

    また、安いスーパーのはしごも控えましょう。食費自体は安く収まりますが、移動のための時間やお金が従来よりもかかり、結果として長く続かない可能性が高いです。食費を抑えたい場合は、安いスーパーで必要な分だけを購入するといった形に変更しましょう。

    健康に関するお金

    健康に関するお金も食費と同様に、貯蓄のために削減しないほうがいい項目です。例えば、不調な時に病院へ行かずに過ごしたり、真夏の冷房代を惜しんだりといった内容です。

    健康に関するお金を削ってしまうと、より大きな病気や不調につながる可能性が高まり、場合によっては高額の医療費が発生することも考えられます。健康に関わるお金については、割り切ってしっかりとお金をかけましょう。

    趣味や交際費

    趣味や、人との付き合いに関係する金額は極端に減らさないようにしましょう。趣味があるだけで毎日の生活が楽しめるようになり、メリハリのある暮らしにつながります。さらに、人との付き合いも無理な制限はせずに、楽しめるようにしましょう。

    参加したくない会に参加する必要はありませんが、人との交流によって情報を交換できたり、リフレッシュできたりといった効果もあります。どちらも毎月の予算を決めたうえで、無理のない範囲で節約も趣味も成立させましょう。

    まとめ

    老後2,000万円問題が4,000万円へと変化した理由や、老後の資産を作るための理想の支出割合などについてご紹介しました。

    老後2,000万円問題は金融庁から公表された、金融審議会市場ワーキング・グループの報告書によって話題となり、老後では2,000万円の資産を用意しないと生活ができないとされています。老後の不足金額が4,000万円となるのは、上記と同様の資料から消費者物価指数が+3.5%上昇した場合です。実際に物価は上昇しているため、老後の不足資金も増えていく可能性が高まります。

    少しでも老後の資金を形成するためには、現在の家計を把握するのはもちろん、収入に対する理想の割合である20%の金額を貯蓄に回すことです。また、同時に収入や支出を見直し、適切な家計管理を行う必要があります。老後資金が足りているか不安がある人は、まず自身の現在の家計の見直しと、将来の生活費のシミュレーションを行いましょう。

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