中高年にお金に関する調査!経済的なゆとりは?年金で生活できる?定年後におすすめの仕事も紹介
- ライフプラン・人生設計
- 公開日:2024年7月26日
老後の生活資金や年金に不安を感じている人は多くいるでしょう。今回は実際にミドルシニア向けに行ったお金に関する調査や、定年に向けてできる資産形成、シニア向けアルバイトなどをご紹介。少しでも将来のお金に対する不安を払拭させたい人は、最後までご確認ください。
この記事の目次
老後のお金にゆとりがない人が多い
中高年に対して行われた、老後のお金に対する意識調査の結果を確認すると、老後の生活にゆとりのない人が多いとわかりました。40〜50代のミドルシニア層では66.2%、60〜70代のシニア層では48.2%の人がゆとりがないと回答しています。
中高年以降の人の半分以上が経済的ゆとりがないと回答している理由としては、「定年退職後に年収が半分以下まで減少すること」があげられます。その結果、定年退職後も働きたいと考えている人が増えているのが現状です。
参照元:マイナビ「ミドルシニア/シニア層のアルバイト調査(2024年)」
年金に不安がある人は93%を占める
65歳以降になると年金が支給されますが、年金に対して不安を感じている人も多くいます。実際に不安だと思っている人は全体の93%となっており、ほとんどの人が年金について安心できていない状態です。年金受給開始予定の年齢は70歳以上で検討している人が多く、全体の約半分。それ以外では65歳から、75歳からの回答が多くみられます。
年金だけで老後の生活はできるのか
老後2,000万円問題などもあり、年金だけで生活できるかどうか不安に思う人は多くいます。実際に年金だけで、老後の生活を送れるのかを確認してみましょう。
年金の平均受給額は自営業やフリーランスで国民年金のみの場合は5万6,479円/月、会社員や公務員等で厚生年金に加入していた場合は14万5,665円/月です。その一方で、総務省統計局の2023年「家計調査年報(家計収支編)」によると、60歳以上の家庭の支出は26万円/月。
つまり、年金だけでは実際に必要な生活費に対して、毎月8〜21万円の赤字となる計算です。さらに、ゆとりのある生活に必要な金額は平均で月37.9万円となっています。余裕のある生活を送るためには、年金以外に23.4〜32.9万円の収入が必要です。
参考:マイナビニュース、厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」、生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
70歳を過ぎても働きたいと考えている中高年は多い
年金収入だけでの生活は難しいため、60歳以降でも定期的な収入は必要です。実際にマイナビの調査では、60代で70歳を過ぎても働きたいと考えている人は年々増加しており、全体の35%が70歳以降も働きたいと回答しています。
さらに、70代以降では80歳を超えても働きたい人は、全体の16.5%となっています。80歳を超えても働きたいと回答した人の理由は、家族や自分の生活費のため、次いで健康維持や趣味のため、という結果になっています。
参考:マイナビニュース
老後ついて考えるときにやっておきたいこと
老後の生活や資金を考える際に、やっておきたいことをご紹介します。不安を可視化し、どのくらいお金を貯めるべきかなどを明確にしましょう。
生活費の見直し
まずは、生活費の見直しをします。現在の収入と支出を明確にし、毎月の給与を何に使っているかを把握します。家計簿をつけてお金の流れをおおまかにでも掴みましょう。無駄な支出があれば、その分を将来の貯金や投資に回すことができます。
特に、スマホ代や保険料、サブスクリプションの月額料金などは削減しやすい項目です。現在のプランで本当に問題ないのか、より自分に合った料金やプランはないか確認しましょう。
将来の生活費のシミュレーション
毎月の生活費を見直したあとは、将来の生活費のシミュレーションをしましょう。将来入ってくる予定の退職金や、子供の結婚や孫への支援費用、趣味につかうお金などです。
また、より具体的な生活費を把握するためには、年金はいくら入ってくる予定なのかも計算します。50歳以上の場合は、「ねんきん定期便」によって老齢年金の見込額がわかります。40代の人は「公的年金シミュレーター」から将来受け取れる年金の見込額がわかるため、一度活用しましょう。
貯蓄額の設定
将来必要となる生活費がわかったあとは、そこから逆算をして毎月どのくらいの貯蓄が必要となるか計算しましょう。現在の手取り額から、いくらを貯蓄に回せるのか、無理のない額はいくらかを算出します。
貯蓄額の目安は、住居費用がかかる場合は手取りの20%、実家暮らしの場合は手取りの50%です。貯金に慣れてきたら、毎月の貯蓄割合を増やしていきましょう。目標金額がより明確に見えてくると、貯蓄へのモチベーションも高まります。
中高年が老後のお金を貯めるための方法
年金だけでは足りない毎月の生活費を補うためには、早いうちからの準備が大切です。老後の資金対策の方法をご紹介します。
貯金
老後資金の形成で多くの人が利用しているのは、貯金でしょう。毎月一定の額を口座に預けるだけで、管理の手間はほとんどかかりません。コツコツとお金を用意できる人は、貯金をしておきましょう。
資産運用
貯金以外の方法で老後の生活資金を用意する場合は、投資をご検討ください。いずれも、毎月少額から投資できるため、無理のない範囲で将来の資産を形成できます。
NISA
NISAは少額投資非課税制度の略であり、毎年購入した商品の利益の一定額までが非課税となる制度です。NISAには2つの枠があり、両方の枠を併用した運用が可能です。いつでも引き出しができるため、まとまったお金が必要となった際にすぐに引き出せるのは嬉しい点です。
NISAは各金融機関や証券会社から投資用の口座を開設して、積立額と購入する商品を設定すれば運用を開始できます。会社によっては毎月100円から積立できるため、無理のない範囲で将来の資金を貯められるでしょう。
ただし、NISAには元本割れのリスクや、損益通算ができないといったデメリットもあります。さらに、投資対象の金融商品は金融機関ごとに異なるため、希望している商品を取り扱っているかどうか、事前の調査が重要です。
こちらで詳しく解説しています:新NISAの開始はいつから?メリット・デメリット、始め方
iDeCo
iDeCoは個人型確定拠出年金と呼ばれ、個人で用意する年金です。掛金を60歳まで運用し、60歳以降に換金して受け取れます。掛金が全額所得控除の対象となるほか、運用益が非課税で再投資されるといったメリットがあります。加入は満20〜65歳までとなっており、60歳以降に加入した場合は加入から5年を経過した日から受給可能です。
iDeCoは老後の資金を貯めるための制度であるため、60歳にならないと引き出せません。さらに、毎月の掛金の上限が決まっている点や、元本割れのリスクがあるといったデメリットもあります。
こちらで詳しく解説しています:iDeCo(イデコ)はミドルシニアからでも間に合う!老後資金を上手につくろう
投資信託
投資信託は複数の投資家から集めた資金を、専門家が株式や債券といった商品に投資・運用して、運用益を投資額に応じて各投資家に分配する仕組みです。投資は1万円程度と少額から始められるため、無理をせずに投資ができます。投資信託はさまざまな商品に対して分散投資ができるため、リスクを分散できます。
専門家が運用を行うため、投資に対する知識がない人でも気軽に始められるのは魅力的です。ただし、購入や運用に関する手数料が発生するほか、iDeCoやNISAと比較すると節税効果が低い点がデメリットとなります。
定年後のアルバイトも選択肢のひとつ
老後の生活資金を得る方法として、定年退職後にシニア向けのアルバイトを始めるという方法もあります。今回は、シニア世代が活躍している職種をご紹介します。
ドライバー
ドライバーにはタクシーや軽貨物の配送、フォークリフトなどさまざまな種類があります。特に大型免許や二種免許、フォークリフト免許などの専門性の高い免許を持っていると需要が高く、給料も高くなります。
軽貨物の配送ドライバーは、普通自動車免許を持っていれば始められる仕事です。近年はネット通販の利用が増えているため、ドライバーの募集も増えています。普段から運転をよくしている人、車に乗る仕事をしたいという人は応募してみましょう。最近では、女性のドライバーも増えています。
軽作業
軽作業は倉庫や工場などで、梱包や仕分けといった簡単な作業を行う仕事です。単純な作業が多いため、未経験でも始めやすいでしょう。取り扱う物によっては座ってできる作業や、力仕事がない作業もあるため、シニアでも安心して働けます。仕事はシフト制が多いため、自身の生活に合わせて仕事ができる点も魅力的です。
警備員
警備員も、シニアにおすすめのアルバイトの1つです。しっかりと研修時間が設けられているため、未経験でも始められる仕事で、資格取得も目指せます。警備員として働ける場所は多くあり、オフィスビルや商業施設のほか、駐車場や工事現場の交通誘導などがあります。
清掃員
清掃員や商業施設や駅構内など、指定された場所を清掃する仕事です。短時間で働ける場合が多いため、生活スタイルに合わせて効率よく働きたい人に向いています。自分のペースで仕事を進められるため、決められた手順通りにコツコツと作業をしたい人に合っています。普段から家事に慣れている人なら、その延長で活躍できるでしょう。
介護職員
介護職員のなかでも、高齢者や身体が不自由な人に対して日常生活のサポートを行う、生活援助の仕事がおすすめです。生活援助は食事の準備や洗濯、掃除のほかに買い物といった内容のため、専門の資格がなくてもできます。人と接する機会が多く、他の人との会話を楽しみたい人や、細かい気遣いが得意な人に向いています。
まとめ
中高年のお金や年金に対する意識、老後の生活を送るための資金の作り方などをご紹介しました。年金は人によって受給額が異なりますが、多くの場合は最低限の生活を送るための金額には届かず、年金以外の収入がないと赤字となります。ほとんどの人は老後のお金や年金に対して不安を感じており、多くの人が定年退職後でもアルバイトで働くことを希望しています。
老後の生活を少しでも確保するためには現在の生活の見直しはもちろん、貯金や資産運用、シニア向けのアルバイトを検討しましょう。ドライバーや警備員、清掃員といった職種はシニアを歓迎している場合が多くあるため、一度求人を確認してみることがおすすめです。