新NISAの開始はいつから?メリット・デメリット、始め方
- ちょっと得する知識
- 公開日:2023年12月27日
最近、メディアでも多く取り上げられている「新NISA」。少しでも将来に資産を残す方法として有名な方法の1つです。節税効果があるほか少額でも投資できるため、多くの人が始めやすい投資と言えるでしょう。今回は、新NISAの開始方法から運用するメリット・デメリットなどを解説します。
この記事の目次
新NISAとつみたてNISAや一般NISAの違い
2024年にスタートする新NISAと、現行NISAにはいくつかの点で違いがあります。特に大きな変更点となるのは「制度の併用ができる」こと、「非課税保有期間の制限がなくなる」ことです。今まではできなかった制度の併用で、より柔軟な投資が行えます。
なお、現行のNISAは2023年度末で新規の買付が終了となりますが、その後も一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間、非課税で運用可能です。
▼新NISAの特徴
新NISA |
新NISA |
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年間投資上限額 | 240万円 | 120万円 |
生涯非課税限度額 | 1,800万円 | (うち成長投資枠1,200万円) |
制度併用 | 可能 | |
非課税保有期間 | 無制限 | |
対象年齢 | 18歳以上の成人 |
新NISAの成長投資枠
新NISAの成長投資枠は、現行NISAの一般NISAの役割を引き継いでおり、上場株式や投資信託に投資が可能です。ただし、以下のようなものは除外となるため、一般NISAよりも対象商品は制限されます。高レバレッジ型なども、安定した運用に向かないとして対象外です。
• 整理・監理銘柄(上場廃止基準に該当する可能性がある場合、もしくは上場廃止が決定された場合に指定される銘柄)
• 信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた投資信託など
新NISAのつみたて投資枠
新NISAのつみたて投資枠は、現行NISAのつみたてNISAを引き継いだ枠となり、対象商品は現行のつみたてNISAと同じです。
新NISAを始めるメリット3つ
新NISAは現行のNISAと比較して、どのような点がメリットとなるのでしょうか。年間投資枠や、制度の併用について、3つのポイントをご紹介します。
年間投資枠の増加
先述したように、新NISAでは現行のNISAと比較して年間投資枠が増加しました。つみたて投資枠と成長投資枠の併用によって、年間360万円まで上限が引き上がっています。
例えば、現行のつみたてNISAでは年間上限投資額は40万円、月の積立額は33,333円でした。しかし、新NISAのつみたて投資枠では年間120万円が上限です。そのため、月に10万円まで積立が可能に。同時に、非課税保有限度額も生涯で1,800万円に設定されており、資産に余裕がある方はより投資額を増やせるでしょう。
売却後に非課税投資枠を再利用できる
新NISAでは売却後に、非課税投資枠を再利用できる仕組みがあります。売却をした場合に買付金額分=売却した商品の取得価格分が、売却した翌年以降に再利用できます。あくまで売却金額ではなく、買付金額でとなる点は頭に入れておきましょう。
生涯限度額は現行NISAにはない概念で、年間上限投資額×非課税保有期間の金額が、実質的な上限額となっています。非課税枠の再利用によって、「含み損のうちは売りたくない」や「非課税期間が余っているから売りたくない」などの、従来の悩みが解消されます。
なお、仮に400万円分を売却しても、翌年に400万円が利用できるわけではありません。年間投資枠を超えた分は、さらに翌年まで待つ必要があります。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用
新NISAでは現行NISAではできなかった、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能です。現行のNISAではどちらか一方のみを選択し、切り替えるのは1年に一度のみ、NISA口座での買付をしていない状態でのみ行えるという仕組みでした。
新NISAでは併用ができるため、つみたて投資枠でコツコツと積立投資を行い、まとまったお金は成長投資枠へ投資、など目的に合わせた使い分けができるでしょう。
新NISAを始めるデメリット3つ
新NISAにはメリットはもちろん、デメリットもあります。現行のNISAと比較して、デメリットとなる点を、3つご紹介します。
新NISAへのロールオーバーはできない
新NISAでは現行NISAとは異なり、ロールオーバーはできません。ロールオーバーとはNISAの非課税投資枠で購入した商品を、非課税期間が満了した際に翌年のNISA非課税投資枠に移管して、保有を続けることを指します。
現行の一般NISAでは、非課税期間の5年間が終了した時にロールオーバーが可能です。しかし、新NISAは現行NISAとは別物のため、現行NISAで運用していた商品を新NISAへとロールオーバーできません。また、新NISAでは非課税保有期間が無期限のため、ロールオーバーという考え自体がなくなります。
従来よりも投資のスキルと知識が必要
新NISAは枠の再利用ができるなど、自由度が高まりました。柔軟な投資ができる分、従来よりも投資に対するスキルや知識が必要です。どのような銘柄を買うのか、買った時よりも値下がりしている中での売却判断、いくらまで投資に回すのかなど決める内容は多くあります。また、つみたて投資枠と成長投資枠で商品を分けるのか、投資金の振り分けも自身で決める必要があります。
そのほか、年間の上限投資額が上がったからといって、むやみに投資額を増やすと家計を逼迫させてしまうなどのリスクもあります。スキルや知識が無い内に、高額を投資に費やすのは失敗につながる可能性があるでしょう。まずは、少額から投資を開始して、必要な知識を身につけましょう。
新規購入は18歳以上が対象となる
現行NISAには18歳未満を対象とした、ジュニアNISAがあります。しかし、新NISAではジュニアNISAは廃止となり、どちらの投資枠も口座開設は18歳以上からが対象となります。
なお、ジュニアNISAは2024年以降でも、18歳になるまでは非課税で保有可能です。そのため、18歳になるまでは子供のための資金を貯めておくことができます。さらに、2024年からは年齢に関係なく、非課税での払い出しが可能です。
新NISAが向いている人・向いていない人の特徴
新NISAを利用するにあたって、目的を理解したうえで利用しないと、自身に合っていないと感じる場面があるでしょう。
新NISAが向いている人の特徴
新NISAの利用が向いているのは、老後資金を備えたい人や柔軟な運用をしたい人です。新NISAは恒久的な制度となるため、生涯を通して非課税での投資が可能です。つみたて投資でコツコツと貯めながら、目的に合わせて成長枠での投資もするなど、自身の状況に応じた柔軟な投資が行えます。
新NISAが向いていない人の特徴
反対に新NISAが向かないのは、短期間で大きな金額を運用したい人です。新NISAでは非課税保有限度額が決まっているため、数千万円という大きな金額を運用してもNISAの強みを活かしきれません。1,800万円を超える投資を行う場合は、別の投資方法と取り入れましょう。
新NISAを始める手順3STEP
新NISAを始めたい方向けに、始める手順をご紹介します。現行のNISAを行っていない方と、行っている方に分けてご紹介するため、どちらかをご確認ください。
これからNISAを始める方
これからNISAを始める場合は、大きく分けて3つのSTEPが必要です。
①運用する銀行を決める
NISAを運用するためには、どの金融機関で運用をするのかを決める必要があります。NISAの口座は1人1つまでしか開設できないため、自身が使いやすい金融機関を見極めましょう。
NISAを取り扱っている法人は700前後あり、銀行や証券会社のほか、信用金庫や生命保険会社でも取り扱いがあります。また、条件を満たすと、運用期間中でも金融機関の変更は可能です。
➁専用の口座を開設する
運用する金融機関を決めた後は、NISA専用の口座開設が必要です。普通預金口座ではなく、投資信託口座とNISA口座の2つを開設します。口座開設は通常の口座と同様に窓口や郵送、ネットのみでの手続きも可能です。いずれの方法でも、口座を開設する際は、以下の2点の書類を準備しましょう。
• マイナンバーを確認できる書類
• 本人確認書類
金融機関によっては、追加で書類が必要となるため、自身が希望する金融機関に事前に問い合わせると安心です。
➂商品を選択して投資開始
口座が無事に開設された後は、自身が希望する商品を購入します。購入のタイミングでは商品のほかに、つみたて金額と購入のタイミングも決定します。つみたての決済は口座からの引き落としや、クレジットカードなどの方法が選択可能です。
別途手続きが必要となる場合があるため、口座開設後必要な手続きについても事前に確認すると、スムーズに運用開始となるでしょう。
すでにつみたてNISAをしている方
金融機関の変更がない場合
すでに現行のつみたてNISAを運用している場合、2024年1月に自動で新NISAの口座が開設されます。現在利用している金融機関で問題ない場合は、特に自身で手続きをする必要はありません。そのまま新NISAへと移行しましょう。
金融機関の変更をする場合
新NISAから運用する金融機関を変えたい場合は、手続きを行うと専用口座が開設されます。現在利用している金融機関手続きの方法を確認しましょう。
まとめ
2024年から始まる新NISAは、現行NISAと比較して年間上限投資額や生涯非課税限度額が変更され、従来よりも大きい金額の運用が可能です。また、つみたて投資枠と成長投資枠の併用ができるため、自身の資産状況に応じて投資の方法を柔軟に変えられます。
そのほか、新NISAでは売却後に非課税投資枠を再利用できるなど、現行NISAと比較してメリットとなる点が多くあります。NISAを含む投資は、少しでも早く始める方が良いとされています。投資に興味がある、新NISAで将来に備えたいという方は、検討してみましょう。
しかし、投資のスキルと知識を身につけないと、損をする可能性があるでしょう。さらに、現行のNISAから新NISAへのロールオーバーができないなどのデメリットもしっかりと確認が必要です。
なお、NISAは金融庁が推進する資産形成の手段であり、他の投資に比べて安全性は高いものの元本保証はありません。場合によっては、投資商品を買い付けた時よりも値下がりし、元本割れのリスクがあることを念頭に置いておく必要があります。