2,000万円以上の年金が蒸発...。老後資金を確保する方法

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2,000万円以上の年金が蒸発...。老後資金を確保する方法

40代、50代、60代となると定年後の生活を考えますよね。そんな中、ニュースや新聞で「2,000万円以上の年金が蒸発する」と目にして、自分の老後は大丈夫なのかと不安に感じている方が多いのではないでしょうか?今回は、年金蒸発の原因と、将来への影響を解説。加えて、老後の資金の作り方・貯め方をご紹介します。

この記事の目次

    年金蒸発の原因と将来への影響

    2,000万円以上の年金蒸発にはどのような原因があるのでしょうか?また、年金が蒸発した今、将来にどのような影響を与えるのでしょうか?順に解説していきます。

    原因は「年金制度改正法」の施行

    年金蒸発の原因は、2022年4月施行された「年金制度改正法」です。法改正では、以下の内容が順次施行されています。

    在職老齢年金の見直し
    在職老齢年金の見直しにより、年金支給が停止・調整される収入額があがりました。これまでは賃金などが28万円を超えると、支給停止や一部減額が行われていました。しかし、現在は47万円を超えない限り、年金の全額受給が可能です。

    在職定時の新設
    厚生年金保険に加入して働き、老齢厚生年金を受けている65歳以上の方は、年1回の年金額改定が行われるようになりました。年金額改定を行うことにより、保険料納付分が年金額に反映され、結果として収入増加が期待できます。

    受給開始時期の選択範囲が拡大
    生活の状況に合わせて受給時期を選べるようになりました。早めに受給を開始する「繰り上げ支給」では、これまでより受給減額率が小さくなります。遅めに受給を開始する「繰り下げ支給」では、繰り上げする月数によって受給金額が増加します。また、繰り下げ可能な年齢も70歳から75歳に幅が広がったため、さらに受給金額が増えると言えます。

    年金制度改正法は「損」になることも

    上記の年金制度改正法により受給金額が増加したことは、私たちに大きな得があると感じられるでしょう。しかし、これらの基礎知識をしっかりと理解し、自分のライフスタイルや働き方を見直さなければ、必ずしも得だとは言えません。

    たとえば、繰り上げ支給では、国民年金に任意加入できなかったり、障害年金が受け取れなかったりするデメリットがあります。また、厚生年金保険受給を予定する方で、「在職老齢年金」によって受給額の「支給停止・調整」を希望する場合は、受給金額の増額はありません。

    このように、ただ得なだけではないのが「年金制度改正法」です。視野を広く持ち、受給金額を多くもらえる方法を考えなければ、年金は蒸発してしまいます。

    将来は「年金暮らしは夢物語」になる可能性も

    年金制度改正法により、さまざまな制度が改定されると将来的に年金暮らしができない可能性が高まります。その原因は、主に2つ考えられます。

    年金受給開始年齢が後ろ倒しになる
    年金制度改正法では、年金受給開始の上限年齢が75歳と5歳引き上げられました。これによって、企業には70歳までの就業機会確保が努力義務となりました。

    70歳まで働くシニアが増えることにより、政府は年金受給開始の基準年齢を70歳に引き上げようとしているのです。日本年金機構も政府に合わせて、年金受給開始年齢の後ろ倒しを検討するようになるでしょう。結果として、2,634万円の年金が蒸発することとなります。

    65歳まで年金掛金の支払いを行うことになる
    これまでは60歳までであった納付義務を5年延長し、65歳までにする方針が発表されています。今後、65歳まで支払うことになると、年金掛金が200万円増加します。

    5,000万円近い老後資金が必要

    2つの原因により、合計3,000万円程度の老後資金が増加します。また、近頃ニュースや新聞で「老後資金が2,000万円足りない」と報道されていますよね。3,000+2,000、合計5,000万円近い老後資金が足りないということになります。

    しかし、もし5,000万円の貯金が可能だとしても生活は難しい場合も。なぜなら、日本がインフレに突入したからです。お金の価値が下がり・物価が上がるインフレでは、5,000万円の30年後の価値は500万円程度となります。500万円では2年程度の生活しかできないため、「年金暮らしは夢物語」となる可能性が高いと言えます

    老後の資金の作り方・貯め方

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    現在の収入だけでは十分な貯金ができない方も多いことでしょう。老後資金を作る・貯めるためには、自分にぴったりなものを探して、早めに備えておくことが大切です。

    つみたてNISAを始める

    つみたてNISAとは、少額投資非課税制度のこと。2018年1月に開始され、2022年9月時点で466万口座と利用者が多いことが特徴です。

    参考:日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2022年9月30日現在)について」

    iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する

    iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、掛金の拠出・運用・年金受取をすべて自分で行う私的年金制度のことです。公的年金に加えて私的年金があることで、老後資金確保に役立ちます。

    財形貯蓄制度を利用する

    財形貯蓄制度とは、企業と国が従業員の資産づくりを支援するためのもので、一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類があります。

    老後資金づくりで重要となるのが、財形年金貯蓄。55歳以下の労働者が給与から積み立てを行います。事業主が控除するため、自動的に貯蓄できることになります。自分で貯金することが苦手な方に嬉しい制度でしょう。

    ネットビジネスに挑戦する

    ネットビジネスとは、スマホ・パソコンを使って行うビジネスのこと。ここでは、アフィリエイトとクラウドソーシングについて紹介します。

    ・アフィリエイト
    アフィリエイトとは、ブログ内で企業の商品やサービスを紹介し、読者がクリックしたり購入したりすることで報酬が得られる仕組みで、成果報酬型広告とも呼びます。

    ・クラウドソーシング
    クラウドソーシングとは、専用サイトで企業が仕事を依頼する業務形態のことです。利用者は年々増加しており、フリーランスや副業、定年後のシニアが活用しています。デザインやライティング、アプリ開発、アンケート回答などさまざまな仕事があり、自分に合った仕事を探せるでしょう。

    仕事を掛け持ちする

    Wワークで働くことも老後資金を確保する1つの方法です。時短・休日のアルバイト、写真やイラストの販売などさまざまな副業があります。ほかにも、本業で培った知識や趣味の分野で講師をしたり、クラウドソーシングで働いたり、代行業で働いたりすることも可能です。

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    預貯金で着実に貯める

    「投資といったリスクのある方法は怖い」「時間やスキルが必要なネットビジネス・Wワークは難しい」という方は、預貯金で着実に貯めることがおすすめです。

    上手な貯め方は、口座を2つ作ること。日常生活用の口座と老後資金用の口座をつくり、それぞれ貯金することです。老後資金用の口座には毎月○○円貯金すると目標を立て、コツコツと貯めていきましょう。

    生活費を見直して貯金する

    食費や通信費、自動車関連の支出、保険代、住宅ローンなど生活費を見直すことで、貯金額を増やすことができます。セール時や空腹時に食品を衝動買いするのはよくあることではないでしょうか?買い物に行く日を決め、節約することで食費をおさえることができます。

    また、携帯やスマホを格安のものに乗り換えるだけで、通信費はグッと抑えられます。月額2,000円程度になるプランもありますので、一度検討してみましょう。

    そして、大きな支出となるのが自動車関連の支出です。ガソリン代や車検代、保険料、ローン、駐車場代...、さまざまな支出がありますよね。日常的に使用しているのであれば仕方がありませんが、週末のみ・月数回程度であれば処分することも1つの手です。

    加えて、保険の見直しも大切です。生命保険の必要保障額はライフステージごとに変わります。また、医療保険も公的なものだけで賄えることもあります。

    最後に、ライフスタイルや家族構成、収入によって賃貸のダウンサイズを検討することも大切です。持ち家の場合は、収入が減る定年後の支払いがなくなるよう、早めの完済を目指しましょう。

    【種類別】副業のメリット・デメリット

    老後資金を確保するためには、さまざまな方法があることはわかりました。では、副業にメリット・デメリットはあるのでしょうか?

    投資(株式、つみたてNISAなど)をするメリット・デメリット

    株式やつみたてNISAなどの投資には、それぞれメリット・デメリットがあります。

    メリット
    つみたてNISAのメリットは、毎月1,000円、10,000万円など少額から投資をスタートできることです。金銭的な負担をかけない金額を選べるため、長期間の資産形成が可能となるでしょう。最小金額は金融機関によって異なりますので、詳細は問い合わせてみるのが良いでしょう。

    また、運用益・分配金は最長20年非課税であることもうれしいポイントです。一般的な投資では、利益分に対して税金がかかりますが、つみたてNISAでは税金がかからないため、気軽に始められます。

    デメリット
    つみたてNISAのデメリットは、金融庁が認めた投資信託・ETFしか購入できないことです。金融庁が定めた条件をクリアした投資信託・ETFのみ購入可能であるため、個別株式やREITなど非課税で投資できるものは対象外となりますので、注意が必要です。

    また、つみたてNISAで対象となる投資信託等の買い付けは、銘柄を指定したうえで定期的に一定金額の自動買い付けを行う方法だけです。そのため、タイミングや金額など投資の知識がなくとも始めることができます。一方で、株式などの投資では予備知識や情報収集が必須です。状況によっては資金を失うリスクもあることを覚えておきましょう。

    ネットビジネスをするメリット・デメリット

    ネットビジネスには、それぞれメリット・デメリットがあります。

    メリット
    メリットは自宅で気軽にはじめられ、隙間時間に取り組めることです。アフィリエイトやクラウドソーシングには知識が必要です。知識・経験のある方には取り組みやすく、高収入を得られるでしょう。

    デメリット
    まず、アフィリエイトで安定した報酬を得るためには、ブログや記事が検索上位に表示されることが必要です。ある程度の読者を獲得するまでには時間がかかるため、報酬獲得までにも時間を要します。しかし、読者数が増加し、アクセス数が安定すればしっかり報酬が得られるでしょう。

    また、ネットビジネスは予備知識や情報収集が必要となるため、知識・経験がない方には難しいかもしれません。

    仕事を掛け持ちするメリット・デメリット

    仕事を掛け持ちすることには、それぞれメリット・デメリットがあります。

    メリット
    Wワークのメリットは、経験・スキルが増え、スキルアップにつながることです。所属する企業で働くことで、身につけられる知識やスキルは2倍となります。

    その知識やスキルを活かして仕事に取り組めば、キャリアアップも可能かもしれません。また、転職してスキルアップすることもできるでしょう。

    デメリット
    デメリットは、拘束時間が長くなったり、休日が少なくなったりする可能性も高いことです。無理をせず、時間に余裕をもって働くことが大切です。

    また、企業によっては副業NGの可能性もあります。しっかり規則を確認してからはじめるようにしましょう。副業可でも申請が必要な場合もあります。

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    稼ぎ口を増やす時に注意したいポイント

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    稼ぎ口を増やす時には以下のポイントに注意することが大切です。

    短時間でできるものを選ぶ

    稼ぎ口を増やすと、どうしてもプライベートな時間が減り、拘束時間が増えてしまいます。本業には一定の勤務時間があることをふまえ、からだに負担のない短時間でできる仕事を選びましょう。

    無理なく続けられるものを選ぶ

    2つ目の稼ぎ口をこなすには、本業にもこれまで通り取り組む必要があります。もし、プログラミングの経験がないのにプログラミングの仕事をしたり、投資に興味がなく知識を得る気力が出ないのに株を買ったりしてしまうと、身体的・精神的にストレスがかかってしまうでしょう。

    本業がおろそかになり、思ったような収入が得れなくなってしまっては本末転倒です。リフレッシュできる時間をとり、無理せず続けられるものを選択しましょう。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか?今回は年金蒸発の原因と将来への影響をお伝えしたうえで、老後の資金の作り方・貯め方を解説しました。老後資金を確保することは決して簡単なことではありません。

    だからこそ、できるだけ早く行動し、少しでも資金を増やしておく必要があります。ぜひ今回お伝えしたことを活かして、充実した老後を過ごしてほしいと思います。

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