ビル管理士の仕事内容は?資格の取得方法や合格率も解説

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ビル管理士の仕事内容は?資格の取得方法や合格率も解説

求人サイトを見ていると、「ビル管理士」という仕事を目にすることがあります。具体的にどんな仕事なのか、必要な資格はあるのか、気になる人も多いでしょう。そこで今回は、ビル管理士の仕事内容から年収まで、詳しく紹介します。仕事の探し方まで解説しますので、ぜひ、参考にしてみてください。

この記事の目次

    ビル管理士の仕事とは

    まずは、ビル管理士の仕事内容について詳しく解説していきます。
    ビル管理士は、専門的な知識や技術が必要な仕事であり、特定の建築物にはビル管理士を配置しなければならないと定められています。これらのことから一定の需要があり、求人も多くあるのが特徴です。

    ビル管理士の仕事の概要

    ビル管理士は、特定の建築物におけるさまざまな業務を担います。
    ここでいう特定の建築物とは、オフィスビルやホテル、商業施設、病院などの面積が3,000平方メートルを超える建築物のことです(学校の場合は8,000平方メートル)。

    特定の建築物の例
    オフィスビル、ホテル、商業施設、映画館、劇場、図書館、美術館、博物館、病院

    このような特定の建築物の特徴は、大規模であり不特定多数の人が利用するという点です。
    そのため、定期的なメンテナンスが必要となります。そして、ビル管理士はそれを業者に依頼して監督する役目を果たします。問題点や改善点などがあれば、建築物のオーナーに報告するのも仕事の1つです。

    【ビル管理士の主な仕事内容】
    ・維持管理計画の立案
    ・立案した維持管理計画の指揮や実施、測定、検査、評価
    ・問題点の改善案を作成
    ・メンテナンス業者の監督

    ビル管理士はビルの最高責任者となるため、試験を合格して資格取得した人にしかできない仕事です。
    勤務時間は日勤であれば、朝8時~夜6時まで、夜勤の場合は夜6時~朝8時までが一般的です。日勤と夜勤、宿直の3交代制が多いため、体調管理も重要な仕事のうちになります。

    ビル・設備管理の求人を探す

    ビル管理士の仕事に就くには

    ここからはビル管理士の仕事の就き方について解説していきます。
    ビル管理士の仕事内容は非常に多岐にわたるため、仕事に就くには資格を取得する必要があります。そして、資格取得する方法としては「資格試験に合格する」「講習会を修了」する、という2つのパターンがあります。

    【方法1:資格試験に合格する】
    1つめは「資格試験に合格する」という方法です。ただ、この資格試験は誰でも受験できるわけではありません。
    以下の建築物において、管理衛生上の維持管理に関する業務を2年以上経験している必要があります。

    ■建築物
    ア)興行場(映画館、劇場等)、百貨店、集会場(公民館、結婚式場、市民ホール等)、図書館、博物館、美術館、遊技場(ボーリング場等)
    イ)店舗、事務所
    ウ)学校(研修所を含む。)
    エ)旅館、ホテル
    オ)その他アからエまでの用途に類する用途
    多数の者の使用、利用に供される用途であって、かつ、衛生的環境もアからエまでの用途におけるそれと類似しているとみられるものをいいます。

    ■維持管理に関する業務
    1.空気調和設備管理
    2.給水、給湯設備管理 (貯水槽の維持管理を含む。浄水場の維持管理業務を除く。)
    3.排水設備管理 (浄化槽の維持管理を含む。下水処理場の維持管理業務を除く。)
    4.ボイラ設備管理
    5.電気設備管理 (電気事業の変電、配電等のみの業務を除く。)
    6.清掃及び廃棄物処理
    7.ねずみ、昆虫等の防除

    出典:受験資格 公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター

    【方法2:講習会を修了する】
    2つめは「講習会を修了する」という方法です。試験と同様に、講習会も誰でも受講できるわけではありません。
    「学歴と経験年数で受講する」「免許と経験年数で受講する」という2つのパターンがあります。

    図4.PNG

    出典:受講資格一覧表 公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター

    上記のようにビル管理士は、講習を受講するための条件の区分が多くある職種、ということを覚えておいてください。

    ビル管理士の仕事の特徴とは?

    ビル管理士の仕事内容は多岐にわたるため資格取得が必要になりますが、ビルメンテナンス業界の仕事自体は資格や経験がなくても就くことができます。ただ、ビル管理士の資格があることで、キャリアアップに有利になります。

    まとめると、ビル管理士の仕事の特徴としては「できる仕事が多くあり、キャリアアップにも有利になる」ということ。そのため、ビルメンテナンス業界で長く働きたいという場合は、ビル管理士の資格取得をおすすめします。

    ビル管理士の仕事の必須スキルとは

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    求人サイトをみていると、ビル管理士には、さまざまなスキルや資格が求められることが分かります。ここからはビル管理士の仕事に必要なスキルを紹介します。

    ビル管理士の資格の正式名称は「建築物環境衛生管理技術者」

    ビル管理士は通称であり、正式名称は「建築物環境衛生管理技術者」と言います。
    建築物に関わる衛生的環境保全を行う法律によって、特定の建築物で選任が定められている国家資格でもあります。

    「建築物環境衛生管理技術者」はどんな試験?

    建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の資格を取得するためには、2つの方法があるとお伝えしてきましたが、その1つの方法である試験概要について解説します。

    建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の試験は、年1回(毎年10月)指定の試験機関にて開催されます。受験資格は「管理衛生上の維持管理に関する実務経験2年以上」、受験費用は13,900円(非課税)です。

    試験科目は、以下7科目の選択方式。出題数は科目によって異なります。

    1. 建築物衛生行政概論
    2. 建築物の構造概論
    3. 建築物の環境衛生
    4. 空気環境の調整
    5. 給水及び排水の管理
    6. 清掃
    7. ねずみ、昆虫等の防除

    出典:国家試験情報 公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター

    「建築物環境衛生管理技術者」の難易度はどれくらい?

    建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の試験は、合格基準が決まっていて「各科目毎の得点が満点数の40%以上、かつ全科目(7科目)の得点が満点の65%以上」です。

    つまり、1つの科目が70%以上正解だったとしても、別の1科目が40%以下になった時点で不合格になってしまうということです。難易度を知るために、過去5年の受験者数と合格者数から合格率を出してみましょう。

    年度 受験者数 合格者数 合格率
    2017年度 10,209人 1,387人 21.1%
    2018年度 11,096人 2,339人 21.1%
    2019年度 10,146人 1,245人 12.3%
    2020年度 9,924人 1,933人 19.5%
    2021年度 9,651人 1,707人 17.7%

    毎年、合格率は10%から20%程度なので、難易度は高い試験だと見てとれます。

    ビル管理士の年収アップには資格取得が有効

    多くの会社では、ビル管理士に関連する資格や上位資格の取得者には資格手当が支給されます。中でも「第2種電気工事士」「危険物取扱者乙種4類」「ボイラー二級技士」「第3種冷凍機械責任者」の4つの資格は、ビルメン4点セットと呼ばれていて、ビル管理士として重宝される資格です。
    これらの資格は1つにつき、数千円から1万円の手当が付くので、年収アップにつながります。

    ビル管理の仕事は、日勤・夜勤・宿直の3交代制の場合が多く、夜勤や宿直には手当が付きます。ボーナスが出る企業はさらに年収が高くなりますので、働き方に加えて、企業選びが重要になりそうです。

    ビル管理士の仕事のメリット・デメリット

    ビル管理士の仕事するためには、メリット・デメリットを押さえておくことも大切です。

    ビル管理士の仕事のメリット

    ビル管理士として仕事をするメリットはたくさんありますが、大きく3つあります。

    1つ目は、経験や性別問わず働けること。ビル管理士として働くには資格が必要ですが、ビル管理に関する仕事は、特別な資格やスキルは必要ありません。性別問わず活躍できる仕事でもあり、女子寮のような女性が必要とされる現場もあります。

    2つ目は、私生活も大切にできることです。ビル管理士の仕事はシフト勤務が多いので、残業が少なく、休みも自分で選択できる場合がほとんど。そのため、家庭や趣味の時間との両立も可能です。

    3つ目は、努力次第で年収アップが期待できること。ビル管理士は技術職のため、多くの場合、資格取得によって手当が付きます。「第2種電気工事士」や「危険物取扱者乙種4類」などを取得すれば、年収が上がることはもちろん、ビジネスパーソンとしての市場価値も高まり、転職する際にも有利になる可能性があります。

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    ビル管理士の仕事のデメリット

    ビル管理士の仕事には、デメリットも。
    1つ目は、覚えることが多いこと。シンプルな仕事だと思われがちですが、設備の仕組みが複雑だったり、点検項目が多かったりと、覚えることがたくさんあります。業務の幅も広いので、新しいことを覚えるのが好きな人でなければ、辛い仕事だと思う場合もあるでしょう。

    2つ目は生活リズムを整えるのが難しいことです。夜勤や宿直勤務もあるので、勤務時間が不規則になりがち。ただし、昼勤務だけの仕事もありますので、夜勤や宿直が厳しいと感じる人は日勤のみの求人を探してみるのも良いでしょう。

    ビル管理士の仕事の探し方

    ビル管理士の仕事は、就職・転職サイトで探したり、就職・転職エージェントで紹介してもらったりと、さまざまな方法で見つけることができます。最後に、ビル管理士の仕事の探し方を紹介します。

    ハローワークで探す

    ハローワークにもビル管理士の仕事に関する求人が多数あります。応募する場合はハローワークに足を運ぶ必要がありますが、住所管轄ではないハローワークでも可能なので、通いやすい場所での求職活動がおすすめです。

    マイナビミドルシニアで求人を探す

    マイナビミドルシニアには、ビル・設備管理に関する求人を探すことができます。
    マイナビミドルシニアは、40代以降の世代に向けた求人情報サービスで、パート・アルバイトから正社員まで、さまざまな雇用形態に対応した求人があり、求人エリアも全国に対応しています。

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    まとめ

    特定の建築物におけるさまざまな業務を担うビル管理士の仕事。ビル管理士の仕事に就くには、資格試験に合格するか、講習会を修了するか、いずれかの条件を満たす必要があります。

    どちらも難易度は比較的高く、苦労するかもしれませんが、年収アップなど多くのメリットが得られるため、ビル管理に関わる仕事をするのであれば、取得しておいて損はない資格です。

    ビル管理士の求人は、ハローワークやマイナビミドルシニアでも多く掲載されていますので、気になる人はぜひ、チェックしてみてください。

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