ビル管理法とは?具体的な内容や検査項目などを解説

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ビル管理法とは?具体的な内容や検査項目などを解説

求人を探す中で良く目にする「ビルメンテナンス」。ビルを利用する人が快適に安全に過ごせるように設備の管理・点検などを行うこの業務は、ビル管理法に基づいて行われています。そこで今回は、ビルメンテナンス業界を知る上で根幹ともなる「ビル管理法」についてご紹介。具体的な検査項目や、ビル管理士など詳しくお伝えしていきたいと思います。

この記事の目次

    ビル管理法とは?

    ビル管理法とは、正式名称を「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(昭和45年法律第20号)といい、略称で建築物衛生法とも呼ばれます。
    現場の中では「ビル管理法」という通称で呼ばれるのが一般的で、その名前で覚えている方が多いのではないでしょうか。

    このビル管理法は、不特定多数の方が使用する「特定建築物」の維持管理に関しての法律であり、建築物の維持管理に環境衛生上必要な事項などが定められています。

    ビル管理法では、「特定建築物」の所有者、占有者等に対して「建築物環境衛生管理基準」に従って維持管理をすることを義務づけ、厚生労働大臣の免状を持つ「建築物環境衛生管理技術者」にその維持管理の監督にあたらせるとともに、建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者は都道府県知事の登録を受けることができる、と定めています。

    「特定建築物」の定義としては、
    ・建築基準法に定義された建築物であること。
    ・特定用途(興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校、旅館)に使用される建築物であること。
    ・特定用途に使用される延べ面積が3000平方メートル以上であること。(学校については、8,000平方メートル以上)
    などがあげられます。

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    ビル管理法の具体的な検査項目とは?

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    ビル管理法には、建築物の維持管理に環境衛生上必要な事項である「建築物環境衛生管理基準」が定められています。特定建築物の所有者は、この建築物環境衛生管理基準に従って当該特定建築物の維持管理をしなければなりません。

    「建築物環境衛生管理基準」は、「空気環境の調整」「給水及び排水の管理」「清掃」「ねずみ、昆虫等の防除」その他環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な措置について定めると規定されており、高い水準の快適な環境の実現を目的とした基準です。
    下記に詳しくお伝えしていきます。

    空気環境の調整

    空気環境の調整においては、それぞれ下記の基準が定められています。

    ① 空気調和設備を設けている場合の空気環境の基準
    ② 機械換気設備を設けている場合の空気環境の基準
    ③ 空気環境の測定方法
    ④ 空気調和設備に関する衛生上必要な措置

    この空気調和設備とは浄化、温度、湿度、流量の調節の4つの機能を備えた設備のことで、エアコンなどを指します。
    一方、機械換気設備とは、「外から取り入れた空気等を浄化し、その流量を調節して供給することができる設備」なので、空気清浄機などが該当します。

    チェックする項目は主に下記の7つです。

    ① 浮遊粉じんの量
    ② 一酸化炭素の含有率
    ③ 二酸化炭素の含有率
    ④ 温度
    ⑤ 相対湿度
    ⑥ 気流
    ⑦ ホルムアルデヒドの量

    給水及び排水の管理

    給水及び排水の管理に関しては、それぞれ下記の基準が定められています。

    ① 飲料水の管理
    ② 飲料水の水質検査について
    ③ 雑用水の管理

    水道法に規定された設備を設け、水道法第4条の水質基準に適合する水を供給しなければならないと規定されており、特に飲料水に関しては7日以内ごとに1回の検査となります。
    ただ、水質調査は専門業者と連携するケースもあるため、その場合は水を専門業者に送るというスタイルになります。

    また、排水に関しては、汚水などの漏出が生じないように、設備の補修や掃除を行う必要があります。排水設備の清掃は6ヶ月以内ごとに1回と決まっていますが、こちらも清掃業者に委託しているケースもあります。

    清掃

    掃除、廃棄物の処理に関して細かい規定はありませんが、「清掃は日常的に行なわなければならない」「大掃除を6月以内ごとに1回、定期的に統一的に行う」と明記されています。

    大掃除もまた細かい規定はありませんが、業者に委託し、徹底的に行ってもらうケースが多く見受けられます。

    ねずみ、昆虫等の防除

    人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物の発生及び侵入の防止並びに駆除についても、その基準や方法が規定されています。

    人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物とは、ねずみ、ゴキブリ、ハエ、蚊、ノミ、シラミ、ダニといった、病原微生物を媒介する害虫や害獣のことです。
    ただ、これらの動物の防除で薬剤を使用する場合、その薬剤で防除作業者や、建築物の使用・利用者にも健康被害がもたらされることのないよう留意する必要があります。

    そのため、特定建築物における特定の動物の防除は、生息場所や侵入経路、並びに被害の状況について十分に調査した上で行い、用いる殺そ剤、殺虫剤についても、薬事法上の製造販売の承認を得たものを用いなければならないと規定されています。

    ビル管理法に該当する建物はビル管理士を選任する必要がある

    ビル管理士は建築物環境衛生管理技術者の通称

    前述したように、ビル管理法(建築物衛生法)では、特定建築物の所有者、占有者等に対して、建築物環境衛生管理基準に従って維持管理をすることを義務づけ、厚生労働大臣の免状を持つ「建築物環境衛生管理技術者」にその維持管理の監督にあたらせるよう規定されています。

    「建築物環境衛生管理技術者」では長いので、現場の中では「ビル管理士」という通称で呼ばれています。このビル管理士は国家資格であり、厚生労働省の管轄です。
    特定建築物の所有者やテナント先に対し意見を述べる権限や、その意見の尊重義務が法律で定められており、事実上の最高責任者と言えます。

    ビル管理士の仕事内容

    ビル管理士の仕事内容は以下のようなものがあります。

    ① 管理業務計画の立案
    ② 管理業務の指揮監督
    ③ 建築物環境衛生管理基準に関する測定または検査結果の評価
    ④ 環境衛生上の維持管理に必要な各種調査の実施

    管理業務計画とは、特定建築物の管理維持のために必要な設備の保守点検、修繕補修、清掃などの計画です。基準に明記された時期に基づいて立案し、実行していくことになります。

    また、維持管理に必要な各種調査も、必ずビル管理士が行う必要はなく、例えば水質調査や、空調、電気、消防設備といった数多くの設備の点検は、提携している業者に委託するケースが多いです。その場合はその手配も必要となってきます。

    必要に応じて建物内のテナントとの打ち合わせや、周辺の自治体との交渉、クレーム対応など、スムーズに建物の運営ができるようにするのもビル管理士の業務にあたります。

    ビル管理士はシニアにもおすすめ

    以上から、ビル管理士はテナントに関わる方々はもちろんのこと、ビルを利用するさまざまな方と関わることになり、コミュニケーションスキルは必須の職業でもあります。

    そして、相手の立場に立った上でこちらの意見を述べる交渉力や、クレームに対しての誠実な対応など、これまで仕事で培ってきた経験が活かせる職業でもあります。
    そのため、人生経験の豊富なシニアにオススメの仕事と言えるでしょう。

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    ビル管理法に必要なビル管理士の資格を取得する方法

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    ビル管理士の資格を取得をするためには、講習会を受講するか、試験に合格する必要があります。これらは厚生労働大臣が指定する試験機関、公益財団法人日本建築衛生管理教育センターが実施しています。

    日本建築衛生管理教育センターが主催する講習会に参加する

    講習会に参加するためには、「最終学歴および、学校卒業後の一定の実務経験年数」、「特定の資格所持」もしくは「特定の資格取得および、取得後の一定の実務経験年数」が必要となります。

    ここでいう実務経験とは「建築物の維持管理に関する実務」であり、以下のようなものを指します。

    ① 空気調和設備管理
    ② 給水、給湯設備管理 (貯水槽など)
    ③ 排水設備管理 (浄化槽など)
    ④ 電気設備管理
    ⑤ 清掃及び廃棄物処理
    ⑥ ボイラ設備管理
    ⑦ 清掃及び廃棄物処理
    ⑧ ねずみ、昆虫などの防除

    また、実務経験としてカウントされる建物も下記のように指定されています。

    商業施設 興行場(映画館、劇場など)、遊技場(ボーリング場など)、百貨店、店舗
    公共施設 集会場(公民館、市民ホールなど)、図書館、博物館、美術館、学校など
    宿泊所 旅館、ホテル
    医療・福祉施設 保育所、老人ホーム、病院など
    そのほか 結婚式場、研修所、事務所、共同住宅、保養所、寄宿舎など

    その上で、例えば大学の理学、医学、歯学、薬学、保健学、衛生学、工学、農学または獣医学の課程を卒業しているか、あるいは防衛大学校の理工学の課程、海上保安大学校を卒業している場合、実務経験1年以上で受講が可能です。

    短期大学・高等専門学校の理学、医学、歯学、薬学、保健学、衛生学、工学、農学または獣医学の課程を卒業した場合は3年、それ以外の大学の学部や、高等学校・中等教育学校の工業に関する学科を卒業した場合は5年以上、と明記されています。

    学歴で難しい、と感じた場合でも、資格次第で受講が可能となります。
    医 師(歯科・獣医師、薬剤師を除く)や一級建築士、技術士の機械、電気電子、上下水道、または、衛生工学部門の登録を受けた者は実務経験なしで受講が可能です。

    また、「電気工事士」「ボイラー技士」「冷凍機械責任者」などの資格を取得した後に該当する実務経験を積むことで受講することが可能となります。
    より詳しい内容は公益財団法人日本建築衛生管理教育センターのHPをご覧ください。

    講習会では101時間の講習があり、これを受講することで「建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)」の「修了証書」が交付されます。受講料は108800円と受験料より割高であり、受講資格が細かく決められていますが合格率の低い試験と違い、確実に資格を取得できるので、ご自身の経歴を鑑みてどちらにするか検討してみてください。

    建築物環境衛生管理技術者試験を受ける

    建築物環境衛生管理技術者試験は年に一回開催されています。
    こちらも受験資格がありますが、「建築物の維持管理に関する実務2年以上」のみで、受講と比較してかなりハードルが低いのが特徴です。

    しかし、2021年の試験合格者は1707人。全体の17.7%と、かなり難易度の高い試験だということができるでしょう。

    参考:厚生労働省 第51回建築物環境衛生管理技術者試験の合格発表

    試験問題数は全科目合計180問で、配点は1問につき1点です。出題範囲は建築物衛生行政概論、建築物の環境衛生、空気環境の調整、建築物の構造概論、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ、昆虫等の防除の7科目です。
    範囲が広く、難易度も高いので、こちらを受験する場合はしっかり準備をして臨みましょう。

    ビル管理士に向いている人

    ではここから、ビル管理士に向いている人をご紹介していきます。

    人と接することが好きな人

    ビル管理士は多方面とやりとりするため、コミュニケーション能力が求められる仕事です。
    交渉やクレーム対応することもあるので、人と接することが好きな人や、そのような業務についていた人は、その経験を活かすことができるでしょう。

    細かいことに気が付く人

    ビル管理士は異常を見つけたら、早めに対処することが求められる仕事です。
    よって少しの変化にも気づける人は向いているでしょう。ビルに限らず設備の保守や管理業務に携わっていた人や、警備業務についていた人はそのスキルを活かすことができる職業です。

    不規則勤務でも大丈夫な人

    ビル管理士は交代制で、24時間拘束されることもあります。
    そのため不規則な生活になりやすい仕事ですが、年間休日で見ると休みが多い求人もあるので、不規則な勤務体制に慣れている方や、しっかり休日を取りたい人にはピッタリの仕事です。

    まとめ

    今回は「ビル管理法」について、具体的な検査項目などを詳しくお伝えしてきました。ぜひ今回お伝えしたことを参考に、自分にあったキャリアプランを描いていただけたらと思います。

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