フレイル予防とは?ミドルシニア世代が始めるべき健康寿命の延命
- 100年時代のライフデザイン
- 公開日:2021年11月12日
世間的にまだあまりなじみがない「フレイル」と言う言葉。「フレイル」は、医学用語であり、加齢によって心身が衰弱することを言います。年を重ねる上で、こうした状態は当然と考えられてきましたが、適切な対策をするかしないかで将来の過ごし方が大きく変わってくるのです。今回の記事では、できるだけ長く健康で自立した生活を送るために、ミドルシニア世代が始めるべきフレイル予防を紹介します。
この記事の目次
フレイル予防とは
フレイルは、英語で老衰・虚弱など意味するFrailtyが語源。加齢に伴って心身の活力・生活機能が低下し、将来的に要介護になる危険性がある状態のことです。
フレイルの状態は、生活機能の自立度が高い健康な状態と、日常生活動作に手助けが必要となる要介護状態との間に位置しています。つまり、フレイル予防は早期からの介護予防を意味し、従来の介護予防をより進行させた考え方。また、フレイル予防は認知症予防にも役立つ可能性があるとされています。
フレイルになる原因
フレイルになってしまう原因はさまざまで、加齢に伴う心身の変化と社会的・環境的な要因が合わさることによって生じます。
また、生活習慣病(糖尿病・肥満など)や、慢性的管理が必要な疾患(呼吸器病、心血管疾患、貧血など)が合わさると、フレイル状態を加速させてしまうのです。
フレイルのさまざまな症状
フレイル状態になると、どんな症状が出てくるのでしょうか。ここでは代表的な3つの症状を紹介していきます。
身体的フレイル
筋力が低下して荷物を持つのがしんどくなった、内臓などの機能が低下して食事量が減った、少しの行動で疲労を感じやすくなったなどが身体的フレイルの代表的な症状です。その他、軽度の口腔機能の低下や食の偏りなども身体的フレイルのひとつとして挙げられます。
心理的・認知的フレイル
日によって気分の浮き沈みが激しい抑うつ状態や、何事にもやる気が起きない意欲低下、認知機能低下などが心理的・認知的フレイルで見られる症状です。
社会的フレイル
コロナウイルスによる外出頻度低下、知人との交流頻度の減少、独居などで孤立した状態のことを社会的フレイルと呼びます。また、適切な介護を受けられないほどの経済力不足も社会的フレイルに該当します。
フレイル予防に大切な3つの取り組み
上述したように、フレイルは加齢に伴う心身の変化と社会的・環境的な要因がリンクすることで生じます。予防するためには、栄養バランスのとれた食事・適度な運動・社会参加の3つ生活サイクルに取り入れることが大切。
ここでは、これら3つをどのように取り入れれば良いかを紹介していきます。
フレイル予防①:栄養バランスのとれた食事
フレイルを予防するためには、栄養状態を保つため食事が必要です。中年期以前は、メタボ対策に力を入れてきた人も多いかもしれませんが、年を重ね、フレイルの症状が見られると食事量や回数が減り、低栄養になる傾向にあります。
総死亡率の統計からみて、高齢期のBMI指数は、少々高めの方が健康に良いとわかってきました。そのため、低栄養・痩せすぎを防ぐためにも、炭水化物・タンパク質・ビタミン・食物繊維などが摂取できる食事を心がけましょう。
ポイントは、1食の中でごはん・パン・麺などの「主食」、肉・魚・卵・大豆などを使った料理の「主菜」、野菜・キノコ類などを使った料理の「副菜」を揃えること。合わせて乳製品や果物を食べると、より栄養状態を良好に保てます。
できるだけ毎日(2回以上)はこれらを揃えて食べるのがベター。調理するのが難しければ、レトルト食品などを活用しながら調整してみてください。
フレイル予防②:体力・筋力を維持する運動
身体的フレイルの要因になる筋力が低下は、適度な運動によって予防が可能です。運動による筋力維持は、転倒や骨折、寝たきりなどのリスクも軽減できます。筋力・体力を維持するための運動は、日常的に取り入れられる家事やウォーキング、ストレッチなどから始めましょう。
激しい運動よりも、体に無理のない継続的な運動がフレイル予防に効果的です。運動する際には必ず水分補給を忘れずに、痛みを感じたら休憩をはさむなど、体と相談しながら行ってくださいね。
フレイル予防③:つながりを形成する社会参加
人間は、さまざまな人・モノとつながりのもと生きています。社会とのつながりの豊かさは活力となり、将来的に長く健康で過ごせ、認知症にもなりにくいそうです。
実際に週1回以上、他者(家族・友人など)との交流がある人の方が、交流がない人と比べると活動能力障害や死亡のリスクが低いことがわかっています。だからこそ、健康状態を維持するためには食事、運動と同様に社会参加し、つながりを形成することが必要になるのです。
社会とのつながりを形成する方法のひとつに就業があります。勤務形態、頻度問わず、年を重ねてもできるだけ長く働き続けることで社会とのつながりが途絶えることはありません。
次に、趣味や教養、ボランティアなど社会活動の団体に所属することです。就業や社会活動団体への参加など、どんな場所でも問題ありませんが、自分にあった場所を選ぶのがフレイル予防の効果を促進させるポイント。
興味がある!やってみたい!などの自発性がフレイルに効果的です。こうした社会参加にハードルを感じるようなら、お友達とのおしゃべりや食事などでも十分フレイル予防につながりますので、無理のない範囲で社会、人とのつながりをもちましょう。
口腔環境を整えるのも大切
おいしい食事、人との会話を楽しむには、お口の健康も欠かせません。年齢とともに口腔環境も衰えてきますので、定期的に歯科医院を受診し、口内環境の健康を維持しましょう。そして、口や舌、顎周辺の筋力低下を防ぐためにお口のトレーニングを取り入れるのも大切です。
おすすめは食べ物を咀嚼する際に使う咬筋を鍛える体操(開口訓練)。まずは「あー」とできるだけ口を大きく開けます。次に上あごに舌を押し付け、奥歯で噛み締めて「んー」と声を出します。これを3回繰り返し、筋肉を鍛えてみてください。
まとめ
少子高齢化が深刻化する日本において、できるだけ長く健康で自立した生活を送るためのフレイル予防は、重要で欠かせないもの。特にミドルシニアには身近になりつつある心身の活力・生活機能が低下は、できるだけ早めに対策しなければなりません。
フレイル予防に大切な栄養バランスの取れた食事、運動、社会参加を積極的に取り入れ、健康寿命の延命を目指しましょう。