早期退職は本当に危険?有効活用するための準備とポイントとは

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早期退職は本当に危険?有効活用するための準備とポイントとは

どんなに工夫をしても数字が上がらなかったり、理不尽な理由で社内の人間関係がうまくいかなかったり、部下と上司の板挟みになって辛い立場に置かれたり……。ミドルシニア層であっても「もう、働きたくない」と感じるシーンは多くあるもの。「無理を重ねてしがみつく」そんな生き方にうんざりしてるのであれば、いっそ早期退職を活用して自分らしい人生を取り戻しましょう。

この記事の目次

    40代50代といえど「働きたくない」という気持ちは生まれる

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    40代50代といえど、仕事の量が多すぎる、会社の人間関係が悪いなど「仕事を辞めたい」と考える理由はあります。しかし、「家族を養わなければいけない」「辞めた後の生活が不安」などの理由から歯を食いしばって今の職場に在籍することを選んでいる人もいるのではないでしょうか。

    就職してから走り続けてきた40代50代。「いつまでこんな日が続くのか」と感じることもしばしばあるでしょう。

    仮に1年あたり1,800時間働くとしても、20年なら1,800時間×20年=36,000時間、30年なら1,800時間×30年=54,000時間も労働に費やしていることになります。これだけの長い時間で、自分の努力や働きかけだけでは改善できないストレスが存在し続けるのであれば「もう、働きたくない」という想いが高まるのは、人として当然のこととも思えます。人間は働くだけの機械ではないのです。

    そして退職という選択肢にも頭を巡らせるのであれば、いっそのこと「早期退職」という制度を検討してみてはどうでしょうか。

    早期退職制度とは大きく2つに分かれる

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    「早期退職」と言う言葉を耳にするとリストラや会社都合による人員整理のイメージを持つかもしれませんが、そもそもの意味は「定年を迎える前に退職」すること。退職に際して退職金の割増がある、特別な有給休暇が付与されるなど、退職において何らかのインセンティブが発生する場合「早期退職優遇制度」などと呼ばれますが、制度としては大きく二つに分かれます。

    早期希望退職制度

    「早期退職」と聞くとこちらを思い浮かべる人が多いかもしれません。経営の再建や事業を軌道に載せる目的で人件費の抑制を図るのがこの制度です。多くは臨時で行われ、期間と人数を限定して退職者を募集するものです。

    東京商工リサーチが行った調査によると2017年に希望・早期退職社募集の実施を公表した主な上場企業は25社。前年を7社上回り、総募集人数は3,087人分でした。

    メリットとして受けられるのは退職金への優遇が主ですが、加算の割合はこちらが大きいです。2018年に募集が行われたフジテレビでは最大で7000万円の上乗せとの報道があったように、特に大企業ではまとまった金額の退職金を受け取れるケースもあります。

    退職にあたっては会社都合となることが多いため、失業給付をすぐに受け取ることも可能ですが、希望者に再就職の斡旋を行う企業も存在しています。

    基本手当(失業給付)手続きのご案内

    選択定年制度

    これは会社の業績に関わるものではなく、人事制度の一つとして設定されているものです。会社によっては「ライフプラン制度」「キャリアプラン制度」などの呼び名がつけられている場合もあります。

    選択定年制について調査を行った平成27年賃金事情等総合調査(確報)によると、調査を行った217社中111社(全体の51.4%)が選択定年制を導入しています。そのうちの約8割の企業では勤続年数を要件としており、必要な年数の平均は14.2年となっていました。

    メリットとして受けられるのは退職金についての優遇が多く、勤続年数や年齢に応じた加算や定年退職と同様に扱われるケースも存在しています。

    退職にあたっては自己都合退職となることが多いようですが、会社によっては会社都合として扱うこともあるようです。

    早期希望退職制度であれば臨時で募集が行われるため計画的な応募はなかなか難しいですが、選択定年制が社内制度として制定されているのであれば検討しない手はありません。就業規則等に詳細な内容が記載されていることが多いので、中身を確認してみましょう。

    真剣に早期退職を検討する価値のある2つの場合

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    とはいえネット上では「早期退職は危険」などの多くの情報が溢れており、必ずしも肯定的な意見だけではありません。

    しかし次のケースに当てはまる場合は、早期退職を検討してもよいのかもしれません。

    役職定年がある場合

    仮にあなたが48歳であるとします。役職定年が行われる平均は55歳。あと7年後にはこれまでと同じ業務をしていたとしても給与は下がります。

    そして、定年延長制度が導入されていない会社であれば、多くの場合は60歳で定年退職を迎えた後は再雇用となり、非正規雇用などでの契約に切り替わり働くこととなります。

    そのため、「役職定年までの残りの期間で目標の貯蓄額に達することができるのか」という観点が必要です。それが難しいのであれば、早期退職を視野に入れる選択肢が生まれます。

    こちらの記事も参考になります。
    「役職定年で年収はどれくらい下がる?モチベーションはどう保つ?」

    会社でのストレスが極度に高い場合

    会社でのストレスは「人間関係によるストレス」と「仕事によるストレス」の二つに分かれますが、より重視するべきは「人間関係によるストレス」かもしれません。

    人間関係に起因するストレスの厄介なところは、個人の取組み・努力だけではなかなか解決しないこと。仮にメンタルに不調をきたすような状況になっているのであれば、環境を変えることも一つの選択肢かもしれません。体を壊してまで行わなければいけない仕事はありません。

    「第6回21世紀成年者縦断調査」の内容によると、40代を含む離職者の退職理由には「人間関係がうまくいかなかったから」が18.6%と高い水準で回答されており、中高年層といえどやはり重荷となっていることが読み取れます。

    「仕事によるストレス」で考慮すべきは日常的に激務をこなしている場合が挙げられます。これまでは体力的にこなしてこれたかもしれませんが、年を取るごとに体力は否が応でも低下していくものです。今後も業務上の負担が軽減されることが見込めないのであれば、かけがえのない自分の健康を守るために退職を検討する必要もあるかもしれません。

    こちらの記事も参考になります。
    「働きたくない...そんな気持ちを抱え続ける中高年への処方箋!原因・心理・対処法」

    具体的なシミュレーションが可能性を生む

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    とはいえ、気になるのは「退職した後、いくら必要なのか」ということでしょう。中でも気になるのは「教育資金」「住宅資金」と合わせて人生三大資金と称される「老後資金」です。

    「老後資金は3,000万円必要」というのが一般的な巷での見解ですが、これは「65歳の時点で3000万あり、65歳から厚生年金が満額支給されること」を前提とした意見です。「現時点で3,000万円貯まっているので、早期リタイアできる」という訳ではもちろんありません。

    では、いくらあったら早期リタイアが可能なのでしょうか。

    今後の生活をシミュレーションする

    現在の仕事を継続すればどれくらい貯蓄ができるのか明確化したいとき、もっとも効果的なのは今後のライフプランをシミュレーションすることです。

    「ライフプランシミュレーション」などで検索すれば、金融機関が提供しているシミュレーションサービスが無料で利用できます。このシミュレーションを行うことで、自分の世帯の収入を維持した場合にいくらあれば「ゆとりある老後が過ごせる」「慎ましく暮せば老後を過ごせる」などの目安を立てることができます。

    早期退職のみならず、今後のキャリアを考えるうえで必ず行ったほうがよい作業です。積極的に取り組んで下さい。

    年金がどのくらいもらえるかを確認しておく

    毎年の誕生月に日本年金機構から自宅に送られてくる「ねんきん定期便」を見れば、これまでの年金加入記録を確認することができます。そのうえで、「ねんきんネット」へアクセスすれば、自身がどれくらいの年金を受給できるかが把握できます。

    ちなみに、老後にどれくらいのお金がかかるかの目安をお伝えすると、統計局発表の家計調査年報によると65歳以上の月々の平均支出は約25万円となっています。また、ゆとりある老後を送るための生活費は月額34.8万円と言われているので参考にするとよいでしょう。

    上記の方法に加え、より緻密な計画を練りたいのであればファイナンシャルプランナーに相談するのが早道です。専門家の視点から今後の貯蓄計画や支出の減らし方などを提案してもらうことは大きな価値があるでしょう。

    これらの流れを踏むことで「現在の仕事を定年まで続ける方が得策」となる場合も多くありますが、現状の把握を行ったうえで残ることを選択するのであれば、新しい気持ちで働くことにもつながるかもしれません。

    今後の計画を考えるために必要なこと

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    経済的に「どうするべきか」が把握できたら、いよいよ「自分がどうしたいのか」を考える番です。

    選択定年制があるか調べる

    先程も説明しましたが、基本的には就業規則等に記載されています。年度ごとの人数制限や年齢制限などもあるため、詳細な内容について確認しておきましょう。


    退職した後のことを考える

    ここは大きく人によって異なる部分です。シミュレーションの結果によっては節約するなど支出を減らすだけで年金受給までしのげる方もいるかもしれませんが、多くの人は生計を立てる必要が生まれると思います。

    その時「やっぱりリタイアは無理か...」と考えるのではなく、「必要な分を働いて稼ぐ」と考えればよいのです。完全なリタイアは難しくとも、今よりも時間を確保することができる選択肢は豊富にあります。やり方次第では、自分の時間を大幅に確保しながらセミリタイア的に暮らすことだって可能かもしれません。

    そこでポイントとなるのは「何歳から何歳まで年収いくら稼ぐ」という明確な目標です。これを固めるためにシミュレーションが必要なのです。

    高い年収を60歳まで確保し続ける場合は

    そのためには年収を確保できる転職先があるか転職活動を始める必要があります。自分のスキルと経験が高く売れると感じるのであれば、人材紹介会社に登録するなど転職活動を進めてみましょう。難しそうであれば目標年収を下げるか、自社に残ることを選択すればよいことです。(年収を上げたい場合の方法は後述します)

    65歳まで世帯年収300万稼げばよい場合は

    このシナリオの優れているポイントは、1人で300万稼げる仕事を探すのもあり、夫婦で150万ずつ稼ぐという選択肢も生まれることです。会社に入って働くことを選んでも柔軟な雇用形態を選ぶことができるため、拘束時間の少ない仕事を選べば自分の時間を確保することも可能です。
    健康管理や社会とのつながりを維持するための手段としても、ある程度は働く生活が推奨されますから、無理なく仕事を続ける方法も一案でしょう。

    そして、退職した後も働き続けるシナリオを選択する場合の鉄則は「在職中に次の仕事を決めておく」ことです。退職した後に仕事を探すのであれば、決まらなかった時に起きるリスクは致命的なものとなってしまうおそれがあります。

    早めに転職活動を行い、交渉によって入社時期を後ろ倒しすることができれば一定の時間を自由に使うことができるかもしれません。

    正社員の求人・転職情報


    家族と今後の計画について話す

    シミュレーションの結果、経済的によほど余裕のある方以外は、どうしても働き続けるという選択肢を選ぶことになると思います。そして多くの場合、今の会社に在籍し続けることがもっとも多くの収入を得られるという結論になるかもしれません。

    しかし、生活のためとはいえ「解決の見込みがないストレスを感じながら、今の会社に在籍し続ける」ことが自分の幸せに繋がるかを考えてみましょう。「働く理由は家族のため」という大義を持っている人も多いと思います。しかし、そのストレスを家庭にまったく持ち込まないことは可能でしょうか?家で暗い顔をしているお父さんを見るよりも、明るい顔をしているお父さんと接したいというのが家族のホンネという場合もあるのではないでしょうか?

    もちろん、お金は多くあるに越したことはないですが、その代償として自分の、そして家族の幸せの何分の一かを失っているとしたら、家族と話し合ってみる価値はあると思います。

    多くの人は先に転職を検討し、その後家族に相談という流れを踏むため、家族に反対され転職自体を中止するいわゆる「嫁ブロック」などの事態が起きてしまいがちです。そのためにも、まずは話し合うことで「今後家族としてどのような生活を送っていきたいか」という目標を共有することが重要です。

    こちらの記事も参考になります。
    「「嫁ブロック」を引き起こす3つの要素。話し合いで解決するポイントとは?」

    年収アップ前提の転職で明るい未来を目指す

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    40代や50代からの転職で年収アップを目指すとしたら、これまでの経験やスキルが活きる業界をまず検討、会社への貢献度合いを明確にして条件交渉にあたります。自分を高く売り込むためには、応募書類や面接を通したアピールが必要でしょう。転職希望先にとって、採用した場合にどんなメリットを得られるのかが明確であるほど、良い条件はつきやすくなるはずです。

    待遇交渉をスムーズに行うためには、転職希望先の年収モデルや評価制度に関して、ある程度の事前知識が求められます。どんなに相手にとって「欲しい」と思ってもらえる人材であっても、転職希望先が考えている水準より明らかに高い給与を希望すれば、良い結果にはつながりません。そもそも希望する待遇条件にかけ離れた求人なら、応募段階でフィルターにかけてください。

    人材紹介会社に登録を行い、経験豊富な転職コンサルタントに相談すれば、過去の実績や転職者の傾向から、妥当な待遇水準の予測を教えてくれます。経験やスキルを考慮したうえ、どのくらいの待遇なら高望みにならないのか、年収アップを実現しやすい業種としてどこにねらいを定めたら良いのかといったアドバイスをもらっておくと安心でしょう。

    転職市場は生き物と言われるように、人材の需給状況や業界動向によって、得られる待遇は変わってきます。タイミングを逃さず、自分をより有利に売り込みできるチャンスをとらえましょう。労働力不足が深刻化しつつある昨今は、マネジメント経験・優秀なスキルを持ったミドルシニア層が有利に転職しやすいタイミングとも考えられます。老後の資金準備を効率的に進めるためにも、有利な転職条件を勝ち取りましょう。

    年収ダウンする転職は生涯賃金で考えよう

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    年功序列型の賃金が色濃く残る企業で働いていた方だと、転職することで年収が下がるケースの方が多いでしょう。しかし、この場合は定年退職までに残された時間を考慮した生涯賃金を試算し、転職する意味があるのか考えてみましょう。生涯賃金で考えた場合、ほぼ同水準になることや若干上積みされることもあります。

    新しい業界、仕事に挑戦する転職の場合、一時的には年収がダウンしやすくなりますが、60歳を超えても給料が下がらないなどのメリットがあるのであれば、中長期的な視点で考えると挑戦する価値はあります。

    「今の環境に居続けることは自分の幸せにつながらない」と考える気持ちが転職の原動力になって、良い結果につながるようなら立派な動機の一つです。

    何のために働くのか、それは人によって様々だと思います。一旦立ち止まり、その目的を見つめ直してみてください。そして、早期退職という制度を活用することで、少しでも目的の実現に近づけられるのであれば、挑戦してみる価値はあるのではないでしょうか。

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