60代男性に関する調査。仕事の探し方と、求人を見つけた後の行動について
- 自分の相場を知る
- 公開日:2018年2月15日
60代になっても同じ会社に留まり続ける道を選んだ時、このままで良いのか不安を感じる方もいます。60歳を超えてから新しいキャリアを探す人たちはどのように転職活動しているのか、アンケート結果をもとに、そこから見えてくる考察をご紹介しましょう。
この記事の目次
60代の男性に対して行った求職に関する調査結果
マイナビミドルシニアでは、転職活動を行っている、もしくは将来的に行う予定がある60代の男性を対象として、転職・仕事探しに関するアンケートを実施しました。正社員として勤務している層(以下正社員層)と、非正社員・無職の層(以下非正社員・無職層)に分けて結果を読み解くと、それぞれの特徴が見えてきます。具体的にはどのような傾向があるのか、早速ご紹介していきます。
<調査概要>
【調査対象】 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県に在住で、「現在転職・就職活動中」「転職・就職についての情報収集をしている(具体的な活動はしていない)」「情報収集も具体的な活動もしていないが、将来的に転職・就職を検討している」と回答した60歳から69歳の男性
【回答者数】 223人
【調査方法】 インターネット調査(調査会社の登録モニター活用)
【調査期間】 2017年5月10日(水)~5月17日(水)
求人情報を探す際、どのような行動を行いますか
正社員層 | 非正社員・無職層 | |
n | 111 | 112 |
求人情報サイトで探す | 63.1% | 61.6% |
ハローワークに登録する | 47.7% | 52.7% |
個人的な紹介を受ける | 32.4% | 17.9% |
求人誌・フリーペーパーに目を通す | 31.5% | 20.5% |
新聞の求人広告に目を通す | 22.5% | 33.9% |
就職/転職エージェントに登録する | 22.5% | 18.8% |
タウン情報誌や折込チラシに目を通す | 21.6% | 26.8% |
Googleで検索を行う | 19.8% | 13.4% |
各層に共通する傾向として、インターネットを活用した転職活動を重視する様子が見られます。「求人情報サイトで探す」と回答した比率は、正社員層で63.1%、非正社員・無職層で61.6%となりました。
近年の60代はパソコンを不自由なく使いこなす方も多く、他の年代と同様に重要な情報収集ツールとして活用していることがわかります。紙媒体や個人的な紹介といった他の行動については、正社員層と非正社員・無職層で回答が分かれました。
■正社員層の特徴
「求人誌・フリーペーパーに目を通す」が31.5%と高水準で、あらゆる媒体を駆使しながら、積極的に仕事探しをしている様子が伺われます。「個人的な紹介」も32.4%と高水準ではありますが、ひと昔前のように縁故ばかりに頼る方法とは異なるスタンスで臨む方が目立つようです。他の世代と比較するとエージェントサービスを利用する率は15%程度低く、浸透していないことが読み取れます。
■非正社員・無職層の特徴
「新聞の求人広告」に目を通す割合が33.9%と正社員層よりも高く、手軽な情報収集手段として活用していることがわかりました。また、「ハローワークに登録する」率は52.7%と利用率が高いことが読み取れます。
興味のある求人を見つけたら、どんな行動を取っている?
興味のある求人を見つけたら、どんな行動を取りますか
正社員層 | 非正社員・無職層 | |
n | 70 | 69 |
会社のHPを閲覧する | 55.7% | 53.6% |
お気に入り・検討リストに保存しておく | 37.1% | 33.3% |
まず、求人サイトの会員登録を行う | 32.9% | 23.2% |
すぐに応募を行う | 31.4% | 33.3% |
他媒体で同じ求人が出ているかを確認する | 27.1% | 21.7% |
家族や知り合いに相談する | 8.6% | 11.6% |
(店舗などの場合)求人先に見学にいく | 7.1% | 11.6% |
結局応募しない | 1.4% | 2.9% |
いずれの層においても、興味のある求人を見つけたらまず「会社のHPを閲覧」して情報を集める方が多いようです。「すぐに応募を行う」とする声は約3割程度に留まっていますが、40代50代と比較すると割合は高く、応募に積極的であることがわかりました。
■正社員層の特徴
気になる求人を見つけたときに、「求人サイトの会員登録」を行った後、「お気に入り・検討リストに保存」し、情報収集を行うという流れを踏んでいる割合が多いことから、積極的にインターネット媒体を活用していることがわかります。求人企業に関する情報収集と平行して応募経路を明確化していくことで、より有利なアプローチを考えていく姿勢の表れでしょう。
■非正社員・無職層の特徴
「すぐに応募を行う」割合が33.3%と正社員層よりもやや高い水準にあり、求人を比較検討しつつも、見つけたものからどんどんアプローチしていく方が多い傾向です。「会社のHPを閲覧」するのは、応募するかどうかを検討するというより、どのように自分を売り込むか見極めるために起こす行動とも考えられます。
転職・仕事探しを行うにあたって重視する項目は?
次に、60代の男性の転職ではどのような項目を重視して仕事探しを進めているのかを見ていきます。長年働いてきた会社を後にして仕事探しを始める方も多い中、現役世代とはやや異なる視点から求人を見ている方が多いようです。
【収入軸】
正社員層 | 非正社員・無職層 | |
n | 111 | 112 |
今よりも高い収入を求める | 26.1% | 16.1% |
今の収入を維持する | 30.6% | 20.5% |
金額にこだわらず、一定の収入を得る | 44.1% | 48.2% |
収入に関しては、「金額にこだわらず、一定の収入を得る」ことを目的とする方が多いようです。正社員層では44.1%、非正社員・無職層では48.2%の回答率となりました。60代を過ぎての転職では、定年退職前の給与をベースに考えた仕事を見つけることは難しいため、この事情をふまえて活動するのが60代の転職を成功させるためのポイントでしょう。
【仕事観】
正社員層 | 非正社員・無職層 | |
経験・スキルを活かせる仕事に就く | 45.9% | 46.4% |
興味がある・やりたい仕事に就く | 49.5% | 50.0% |
長く働ける仕事に就く | 32.4% | 30.4% |
最も回答が集まったのは「興味がある・やりたい仕事に就く」で、正社員層では49.5%、非正社員・無職層では50.0%となっています。慣れ親しんだ環境を離れて新しい仕事に挑戦しようとする意欲が高く、自分自身の可能性を改めて確かめる目的から、仕事探しをしている様子が伺われます。
その一方で「経験・スキルを活かせる仕事に就く」にも、正社員層では45.9%、非正社員・無職層では46.4%の回答が集まる結果となりました。長い社会人生活を送る中で培った経験、スキルはかけがえがないものです。できることならキャリアが活きる仕事を探したいとする意向が見え隠れした結果と言えます。
【通勤利便性】
正社員層 | 非正社員・無職層 | |
家から近い職場で働く (最寄り駅など) |
32.4% | 42.9% |
駅から近い職場で働く (どの駅からかはこだわらない) |
21.6% | 18.8% |
家から近すぎない職場で働く (家の最寄駅ではない) |
7.2% | 5.4% |
「家から近い職場で働く」ことについては、正社員層の回答率が32.4%、非正社員・無職層の回答率が42.9%となっており、いずれも他の年代よりも高い数値となっていることから、無理のないライフスタイルを維持しつつ、適度に仕事を続けたいと考える方が多いようです。
【こだわるポイント】
正社員層 | 非正社員・無職層 | |
シフト・勤務時間にこだわる | 18.0% | 28.6% |
仕事内容ややりがいにこだわる | 45.0% | 40.2% |
給与にこだわる | 15.3% | 24.1% |
研修制度が整っている職場にこだわる | 6.3% | 4.5% |
「仕事内容ややりがいにこだわる」には、正社員層で45.0%、非正社員・無職層では40.2%の回答が集まりました。新しい活躍の場を求めて仕事探しをしている以上は仕事内容にこだわる意向が強く、第二の人生をより良いものにしたいと考える方が目立ちます。
仕事探しで不安に感じる内容とは
仕事を探すうえで心配なこと
正社員層 | 非正社員・無職層 | |
n | 111 | 112 |
自分の年齢が募集対象か | 84.7% | 83.0% |
自分の経験・スキルが活かせそうか | 63.1% | 51.8% |
自宅からの通勤時間 | 59.5% | 71.4% |
自分の体力で問題なく働けそうか | 46.8% | 51.8% |
労働条件・制度に偽りはないか | 44.1% | 42.9% |
希望する収入を稼ぐことができるか | 40.5% | 37.5% |
交通費が支給されるか | 38.7% | 54.5% |
残業はどの程度発生するのか | 25.2% | 22.3% |
就業先の経営状況に不安はないか | 25.2% | 17.9% |
ノルマがあるなど心理的負荷が高そうな仕事か | 24.3% | 27.7% |
長く勤務することができそうか | 23.4% | 18.8% |
家族の病気など突発的に発生する状況での休みが取れそうか | 19.8% | 12.5% |
自分と同年代の人がどれくらい働いているか | 18.0% | 21.4% |
希望する勤務体系・シフトを確保することができそうか | 17.1% | 32.1% |
最後に、転職活動において心配なことに関して質問した結果です。どちらの層でも年齢を不安要素にあげる方が目立ち、「自分の年齢が募集対象か」を気にする率は、正社員層で84.7%、非正社員・無職層で83.0%となりました。酸いも甘いも知り尽くした60代だからこそ定年退職を迎えてからの自分を受け入れる先があるのか不安に感じる方も多く、大きな心配事となっていることがわかります。
「自分の経験・スキルが活かせるか」を気にする方も比較的多く、正社員層で46.8%、非正社員・無職層で51.8%となりました。全く新しい仕事を担当するとなると、自分よりも年齢が下の相手から指導を受ける状況も考えられます。管理職経験が長い方ほどこれまでの経験を重視しがちで、せめて「経験・スキルが活かせる」職場であってほしいと考える方もいることでしょう。
「自分の体力で問題なく働けそうか」「自宅からの通勤時間」を心配する背景には、健康面への不安がうかがえます。残業が少ない環境を選択する、デスクワーク中心の仕事を探すといった工夫でも不安を解消することができますから、どれくらいまでなら無理なく継続できるのかという条件の見極めも重要でしょう。
また、収入をある程度は妥協する余地があるとはいえ、約束した「労働条件・制度」はきちんと守ってほしいと考える方が目立ちます。非正社員・無職層では「交通費が支給されるか」に54.5%の回答が集まっていて、条件面に関する不安がより強い傾向もあるようです。
まとめ:60代の転職は希望条件の整理が勝敗の分かれ目
60歳からの転職に心配事は尽きないものですが、積極的に活動を行えば思ったよりスムーズに仕事が決まる方も多くいます。
60代で仕事の決まらない方に多いのは、これまでのキャリアや経験にこだわるあまり条件の妥協ができない方です。「これまでは大手企業で働いていたのだから...」「長い間管理職で働いていたのだから...」という思いから雇用形態や待遇、仕事内容にこだわるため、採用側としては「良いキャリアを歩んできた人だけど、現場に溶け込めるかどうかが不安だな...」という懸念を抱かれ、採用が見送りになるケースはよく聞かれることです。
自らのキャリアを棚卸しして、履歴書や職務経歴書を充実させることも重要ですが、採用において重要なのは雇用側と労働者のマッチングがうまくいくかどうかです。
イキイキと活躍できる環境を勝ち取るために、譲れない条件と妥協できる条件の整理をしっかりと行い、今の自分に何が必要かを今一度見直してみましょう。