60代男性の転職体験談|デスクワークから現場仕事への挑戦。社会との接点を持ち続けるために

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60代男性の転職体験談|デスクワークから現場仕事への挑戦。社会との接点を持ち続けるために

奥様とお二人で暮らす岡元さん(仮名)。これまで一貫して機械設計や技術戦略などのホワイトカラー分野を歩んできた岡元さん。なぜ69歳というご年齢で現場の仕事に身を置くことを決めたのか。お話を伺いました。

この記事の目次

    機械いじりが高じて工学部へ。そこから始まった技術畑のキャリア

    東京で生まれ育ちましたが、大学受験の年は折しも大学紛争の影響で東大の受験が中止となりました。そうして母親の実家が大阪だったこともあり、関西の大学へ進学。機械いじりが好きだったこともあり、産業機械工学について学びました。

    卒業と同時に入社したのは、大手メーカー。家庭用ボイラーなどの製品設計を担当していました。仕事自体は面白かったのですが、在籍していた事業所が辺鄙な場所にあったため、異動を希望。念願叶い、数年後に東京への異動が決まったのですが、逆に通勤ラッシュに辟易。その時、漠然と「他の会社へ移ろうかな」という思いが芽生えました。

    そうして、求人を探したところタイミングよく募集をかけていた機械メーカーを発見。採用担当者と話をしていると、その方の息子さんが同じ大学だったという縁もあり、即採用が決定。結局、7年ほどの在籍で、次の会社へ移ることに決めました。

    入社した機械メーカーではカーエアコンなどの設計を担当。その後、会社の技術戦略を考える研究所へ異動し、行政や大学など、産官学での共同研究において、音頭を取る役割を果たしていました。

    義母が病気に。家族を優先するために選んだ介護離職という選択。

    何不自由なく技術者として順調なキャリアを歩んでいたように見えるかもしれませんが、人生では何があるかわかりません。それは2000年頃、私が50歳のときでした。妻の母親が難病に罹ってしまったのです。

    全身の筋肉が少しずつ動かせなくなっていく病気のため、自宅に引き取り介護を行うことに。当初は妻が介護を行い、私が働くという生活をしていましたが、24時間の介護が必要なため、妻の負担は大きなものでした。 

    当時は今ほど介護サービスも充実しておらず、介護を行う場合は家族が面倒を見るのが一般的。献身的な介護を続ける妻を見て、「このままでは妻も倒れてしまうのでは」という思いがよぎりました。

    そのような状況で私が選んだのは、妻と二人で介護をすること。悩んだ結果、会社は退職することにしました。そうして、退職してから義母が亡くなる3年ほどの期間、介護に専念する生活を送っていました。

    54歳で職場復帰。そこから生まれた縁で顧問として働くことに。

    そうした介護生活の後、義母が亡くなりました。葬祭など事柄が一段落つくと、再び仕事に戻ることを考えるように。妻と二人暮らしということもあり、経済的な心配はありませんでしたが、「まだまだ世の中の役に立っていたい」という思いが大きな動機でした。

    ハローワークで求人を探してみると、とある団体の求人を発見。そこは、技術支援を必要とする会社に対して技術顧問の派遣を行ったり、産官学での共同研究を働きかける活動を行っている団体でした。興味を持ち応募したところ、すぐに来てほしいとのこと。団体職員として働くことを決めました。

    その団体では、主に中小企業などに対して技術助言や、販路の開拓、補助金の申請方法の指導といったコンサルテーションを行っていました。担当の県内を歩き回り、多くの会社や経営者へ助言を行う生活を送るように。忙しいながらも、充実したものでした。

    そんな中、よく接していたと自動車関連の企業から「顧問として会社に来てくれないか」というお誘いが。その会社とは深く接していたこともあり、今後の成長にも興味を持っていたため、経営企画の顧問として入社することを決めたのです。59歳のときでした。

    経営悪化から身を引くことに。しかし、働き続けたいという思いがあった。

    顧問として入ってからは、経営者に対して技術面、経営面からのアドバイスを行うとともに、業界における国内外の環境変化についての情報提供。さらに、経営計画の策定に関わり、骨子の取りまとめや資料作成などを行っていました。

    顧問とはいえど、毎日フルタイムで出社。経営層、そして現場の社員と密な関係を築いていました。

    そうした働き方を続けて10年ほど経った2018年のこと。事業採算が悪化し、残念ながら赤字決算が見えてきました。人件費などコストを圧縮しなければならない。それならば自分の年齢(68歳)も考慮し、身を引くことを申し出ました。

    会社からは慰留の声も上がりましたが、話し合いの結果、69歳の誕生日をもって退職することとしたのです。

    DSC_0022.png

    引退はせずに働くことを選んだ理由

    その後のことについて、妻と話し合いました。経済的な不安はない。世間的には、仕事から引退してもよい十分な年齢です。飼いたいと思っていた大型犬を飼い、趣味の家庭菜園をしながら暮らしていくことは現実的な生活プランだったと思います。

    しかし、まだまだ体力、知力、意欲も旺盛。働くことで社会との接点を築き、これまでと同様に規則正しい生活を続けることが健康のためにもよいのでは、そう考えた私は仕事探しを始めたのです。

    そうして見つけたサイトが「マイナビミドルシニア」。自宅にほど近いエリアで検索を行ったところ、金属加工工場での軽作業の仕事を発見。その情報を見ながら妻と話し合いを行い、働き続けることへの理解を得て、応募。無事内定をいただきました。

    そうして、次なる職場を見つけたことを会社に伝え、これまでの仕事の整理をすることに。最終日は大きな花束をいただき、万雷の拍手の中で退社しました。気恥ずかしい思いはありましたが、思い出深いものですね。

    はじめての体力仕事。大切なのは睡眠と食事。

    「72歳の人も働いているので、年齢的には問題はないと思う。だけど、他の人はこれまでずっと現場仕事をやっていた方たち。デスクワークばかりをしていたあなたにできるかな」

    軽作業の面接へ赴いたとき、主に体力面についての質問をされました。

    そう言われても、やってみないとわからないのが本音。なので、正直にその旨を伝えたところ、無事採用となった経緯がありました。

    しかし、実際に働いてみると、やはり体への負荷はなかなかのもの。腰も痛いです。とはいえ、先輩方に言わせると「体の使い方を覚えれば、楽になる」とのこと。その言葉を信じ、まずは体が慣れるまで頑張ってみようと思います。

    わかってきたのは、体力勝負の仕事では寝不足は禁物ということ。集中力が下がり、ケガのもととなってしまいます。そして、体が資本のため食事も大切。妻が栄養を考えて食事を作ってくれることには感謝ですね。

    この職場で働くシニア層は合計で20名程度。午前だけという働き方もできるので、午前だけ働いて、午後はマラソンの練習をしている70歳の方もいます。このような方を見ると、体力のあるシニアが増えているのだな、という実感が湧いています。

    人生100年時代。もっと経験を活かせるシニアの仕事が増えますように。

    DSC_0037.png

    仕事探しにあたって「せっかくこの歳で新しいことをやるのだから、デスクワークを離れてみたい」という気持ちはありました。しかし、本当のところは、「経験を活かせる仕事がない」というのが実情でした。

    人によって違いもあると思いますが、私の場合は、報酬よりも
    ・生きがい
    ・人とのつながり
    ・これまでの知見の活用
    これらを重視し、仕事を探していました。この観点から仕事を探すシニア層は私だけではないと思います。

    現場仕事ももちろん大切な仕事ですが、これまでデスクワークばかりをしていた者がこの年齢から挑戦するのは、正直ハードルが高いもの。そのような思いを持つシニア達の、受け皿となるホワイトカラー的な仕事があればどんなにいいことか、と常々思っていました。

    これまで培ってきた技術や人脈を活かす形で、いくつになっても仕事を通して、世の中に貢献していける。そんな世の中になることを期待してやみません。

    ※年齢は2019年3月取材当時のものです

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