補聴器・眼鏡は補助の対象?生活を支える福祉用具の補助金・助成制度
- ちょっと得する知識
- 公開日:2026年5月13日
高齢になるにつれて、補聴器や眼鏡など日常生活を支える道具にかかる費用は大きくなり、家計への負担が重くなっていくのは、めずらしくありません。今回は補聴器などの福祉用具に活用できる補助金・助成金について解説します。また、眼鏡の購入費用が医療費控除の対象になるケースや、補助金を利用する際の注意点などもご紹介。福祉用具の購入が必要な人や、費用負担の重さに悩んでいる人は、ぜひご一読ください。
この記事の目次
補聴器などの購入で受け取れる補助金・助成金
補聴器や眼鏡など、日々の生活に欠かせない福祉用具に利用できる補助金や助成金を紹介します。
補装具費支給制度
障害者手帳を持っている人が補聴器を購入する際は、「補装具費支給制度」を利用できます。補装具費支給制度は、障害者や難病患者の人が生活や就労をより効率的に行えるようにサポートする制度です。
対象者は、補装具を必要とする障害者・障害児・難病患者等で、年齢による制限はありません。ただし、障害者やその配偶者のうち、市町村民税の納税額が最も多い人の納税額が46万円以上だった場合は、支給の対象にはなりません。
支給の対象となる補装具は以下の通りです。
• 義肢
• 装具
• 姿勢保持装置
• 車椅子
• 電動車椅子
• 視覚障害者安全つえ
• 義眼
• 眼鏡
• 補聴器
• 車載用姿勢保持装置
• 歩行器
• 歩行補助つえ
• 重度障害者用意思伝達装置
• 人工内耳
参照元:厚生労働省「補装具種目一覧」
購入上限額や耐用年数は用具によって異なっており、眼鏡や補聴器などはさらに種類によっても細かく設定されています。補装具費支給制度では、補装具の購入費用全額が補助されるわけではありません。
購入費用に対して、原則1割の自己負担額を除いた額が補助されることになっており、国が50%・都道府県が25%・市区町村が25%の割合で負担します。また、利用者が原則1割を負担しますが、以下のように所得による上限額が設けられています。
• 生活保護世帯:0円
• 市町村民税非課税世帯:0円
• 市町村民税課税世帯:上限37,200円
申請は市区町村にて行っているため、住んでいる場所の役場で手続きを行いましょう。その後、専門機関の意見を元に支給の決定が行われます。
福祉用具貸与
福祉用具貸与とは、車椅子や介護用ベッドが必要な場合に、要介護度に応じてレンタルできる制度です。レンタルできるのは、以下の13品目です。
| 品目 | 対象の要介護度 |
| 手すり | 要支援1・2、要介護1 |
| スロープ | 要支援1・2、要介護1 |
| 歩行器 | 要支援1・2、要介護1 |
| 歩行補助つえ | 要支援1・2、要介護1 |
| 車椅子 | 要介護2〜5 |
| 車椅子の付属品 | 要介護2〜5 |
| 特殊寝台(介護ベッド) | 要介護2〜5 |
| 特殊寝台の付属品 | 要介護2〜5 |
| 床ずれ防止用具 | 要介護2〜5 |
| 体位変換器 | 要介護2〜5 |
| 認知症老人徘徊感知機器 | 要介護2〜5 |
| 移動用リフト | 要介護2〜5 |
| 自動排泄処理装置 | 要介護4・5 |
参照元:厚生労働省「福祉用具貸与」
費用は1〜3割が利用者の負担となり、レンタルする用具によって自己負担額は変わります。また、要介護度によって1ヶ月の支給限度額が決まっているため、他の介護サービスとの組み合わせの中でレンタルをする必要があります。
特定福祉用具販売
貸与が難しい福祉用具を購入する際は、購入費用を負担してもらえる制度もあります。特定福祉用具販売は、福祉用具販売の指定を受けた業者が販売を行う制度です。対象の用具は以下の通りです。
• 腰掛便座
• 自動排泄処理装置の交換可能部品
• 排泄予測支援機器
• 入浴補助用具
• 簡易浴槽
• 移動用リフトのつり具の部品(リフト部分は対象外)
• 固定用スロープ
• 歩行器
• 歩行補助つえ
固定用スロープや歩行器などは、レンタルも可能なため、どちらの制度を利用するかは利用者側で選択できます。
費用の利用者負担は1〜3割ですが、購入時に全額支払い、後から介護保険で払い戻しがされる仕組みです。同一年度で購入できるのは最大10万円まで、1割負担であれば後から9万円が介護保険から給付されます。
特定福祉用具販売の制度を利用するには、都道府県から指定を受けた事業所からの購入が条件であり、ホームセンターやネットで買った場合は利用の対象外になります。
労災保険による補聴器の支給
仕事中や通勤時のケガや病気が原因で、障害が残った場合は労災保険の復帰支援制度を利用できます。もし、耳に障害が残り、障害等級第11級以上の障害等給付の支給決定となったり、受けると見込まれたりした場合は、現物で支給が行われます。
支給は補聴器だけではなく、義肢・眼鏡・点字器なども対象です。仕事中などになにかしらの怪我を負った際は、支給制度についても確認しておいてください。
居宅介護住宅改修費制度
福祉用具ではありませんが、介護のために自宅の改修が必要となった際には介護保険の助成制度が利用可能です。支給限度基準額は20万円で、そのうちの7〜9割を負担してもらえるので、最大18万円までの支給が受けられます。
工事費用は一度全額支払った後に、7〜9割に該当する部分が払い戻される仕組みです。支給額は要支援や要介護の区分に関係なく一定額になっており、原則利用者1人に対して20万円の支給です。
1回の改修で使いきれなかった際は、数回に分けて利用もできます。要介護度が3段階上昇したり、引っ越しをしたりすると再給付されますが、基本的には余程の事情がない限り再給付はありません。
制度利用の対象になる工事は、以下のようなものがあります。
• 手すりの取り付け
• 段差の解消
• 滑り防止及び移動の円滑化などのための床又は通路面の材料の変更
• 引き戸等への扉の取替え
• 洋式便器等への便器の取替え
• その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
引用元:厚生労働省「介護保険における住宅改修」
利用する際にはケアマネジャーに相談し、必要書類の作成・提出をしてから工事となります。しかし、やむを得ない事情がある際は、工事終了後に必要書類を提出可能です。
自治体で用意されている補聴器の補助金・助成金

補聴器は、自治体でも独自の補助金や助成金を用意しているケースがあります。以下では、東京都世田谷区・大阪市・福岡県大野城市の3つの地域で用意されている補助金について紹介します。
東京都世田谷区の場合
東京都世田谷区では、高齢者(65歳以上)のための補聴器購入費助成を用意しています。会話に支障のある中程度の難聴や、片耳が高度以上の難聴がある世田谷区に住んでいる人が対象です。
障害者手帳の交付がない人が対象のため、補装具費支給制度に該当しない場合は、こちらの利用を検討してみてください。助成額は5万円以内で、医療機関の文書料・診察料・検査料などは含まれません。
利用する際は、まず高齢福祉課に相談して、要件に当てはまるかを確認します。その後、病院への受診・補聴器の見積作成・申請書の提出を経て、正式に支給決定されてから購入となります。
大阪市の場合
大阪市でも、軽度・中等度の難聴の人に対する補聴器の助成金を設けています。対象となるのは、大阪市に住んでいる65歳以上で、身体障がい者手帳の交付をされていないなどの条件を満たしている人です。
助成金額は2万5,000円が上限で、2回以上に分けて支援を受けることはできません。利用する際は、事前に申請書を提出し、助成対象者と認められた後に購入という流れになります。
福岡県大野城市の場合
福岡県大野城市では、市内に住んでいる18歳以上で市民税が非課税の人を対象に、補聴器の助成金を用意しています。原則として、両耳の聴力レベルが30デシベル以上70デシベル未満で、身体障がい者手帳の交付対象ではない人が利用可能です。
助成額は各補聴器の基準額の3分の2となっており、残り3分の1は自己負担が必要です。
| 補聴器の種類 | 基準額 |
| 軽度・中等度難聴用ポケット型 | 44,000円 |
| 軽度・中等度難聴用耳かけ型 | 46,400円 |
| 高度難聴用ポケット型 | 44,000円 |
| 高度難聴用耳かけ型 | 46,400円 |
| 重度難聴用ポケット型 | 59,000円 |
| 重度難聴用耳かけ型 | 71,200円 |
引用元:大野城市公式ホームページ
支給の対象となるのは、原則片側1個のみとなる点は事前に知っておいてください。
補助金の対象になりやすい補聴器とは
補聴器は必ずしもすべての種類が、補助金の対象となるわけではありません。例えば、大手メーカーであるリオネットでは、以下の機種が障害者総合支援法対応補聴器とされています。
• 「HI-C3FA」:適応聴力「75dBHL」まで
• 「HI-C1FA」:適応聴力「85dBHL」まで
• 「HI-C7DA」:適応聴力「110dBHL」まで
これらの補聴器も購入すれば、必ず補助金がもらえるわけではありません。しかし、支給対象となった場合は、上記のような種類の中から選ぶ必要があります。
眼鏡が医療費控除の対象になるケースとは

眼鏡も補助金等を利用できるケースがありますが、それ以外に医療費控除の対象となる場合があります。通常、視力矯正用の一般的な眼鏡は、医療費控除の対象外です。
しかし、以下の2つの条件を満たしていると、医療費控除の適用が認められます。
• 医師の治療を受けるため直接必要なものである
• 医療費の総額が原則として10万円を超えること
1つ目は白内障や緑内障など、治療が現に行われていることや、治療を必要とする症状がある状態を指しています。また、もし治療のために作成した眼鏡の総額が10万円を超えていた場合、その超えた分のみが医療費控除として認められます。
対象となった作成費用については、確定申告の際にほかの医療費や控除とあわせて一緒に申請してください。
福祉用具の補助金・助成金を利用する際の注意点
福祉用具の補助金・助成金を利用する際に、事前に知っておきたい注意点についてご紹介いたします。利用する前に必ず確認しておいてください。
購入前に申請が必要なケースがある
福祉用具の補助金・助成金の多くは、購入をする前に申請の相談や申請が必要となっています。事前にどのような症状があるのか、程度はどのくらいかなどを自治体へ伝えて、認可がおりてから購入ができます。
そのため、購入をした後に条件に該当していたからといって、申請をしても補助金を受け取れない場合がほとんどです。なお、補助金や助成金は購入時に用具代から差し引かれる場合と、後から払い戻される場合があります。
自治体などによって異なりますので、負担の方法についても事前に確認しておいてください。
指定業者からの購入が必要
補聴器や眼鏡などの福祉用品は、指定された業者から購入する必要があります。同じ機能があるからといって、ホームセンターやネットで購入したものは、支給の対象ではありません。
指定業者については各自治体等で案内をしていますので、必ずそちらへ相談して見積もり作成や購入手続きを行いましょう。
医師への受診が必要な場合がある
補助金や助成金を利用するためには、自身の障害の状態を伝えるために、医師への受診が必要なケースが多くあります。近くの病院で問題ないこともありますが、医療機関が指定されている時もありますので、こちらも事前の確認が必要です。
また、医師への診察代や検査代などは、補助金や助成金の支給対象には含まれない場合があります。
まとめ
補聴器や眼鏡など、福祉用具を購入する際に利用できる補助金・助成金について紹介しました。障害者手帳を交付されている場合と、交付されていない場合で利用できる制度が異なりますので、自身の状況に合った制度はないか確かめてみてください。
また、各自治体で補助金・助成金を用意しているケースもあります。自分が住んでいる地域に用意がないか、ぜひ一度確かめてみてください。








