終活とは?何歳から何を始める?終活の疑問もQ&Aで紹介!
- ライフプラン・人生設計
- 公開日:2023年12月25日
ミドルシニア世代となり、自身の人生の終わりを見据えた終活をしようと考える方もいらっしゃることでしょう。今回は、終活は「どうやって進めるの?」「いつから始めるの?」といった疑問や、エンディングノートに関する情報をご紹介します。
この記事の目次
終活とは
終活とは「人生の最期を迎えるための活動や準備」を指し、人生の終わりを意識して行う活動全般をいいます。
将来必要となる介護や医療に関する意向や、亡くなった後の葬儀についての準備が主な内容です。自身の希望を残された家族や親族に伝えるだけでなく、家族や親族の負担を軽減することにもつながります。
終活は強制されるものではなく、個人の自由で行うものです。しかし現在では、厚生労働省でも「人生会議」という言葉を使用して取り組み促進しており、終活を行う人は増えています。
終活を始めるタイミング
終活についてなんとなく知っているが、始めるタイミングは知らない方も多くいるでしょう。
終活はいつから始めるのか、明確な期限や決まりはありません。何歳から始めても問題はありませんが、時間がかかるものもあるため、早く取り掛かることに越したことはありません。認知症や病気になってからでは、終活で必要な契約が結べない可能性もあるのです。
一般的には、定年を迎えて時間に余裕ができた60歳以降から始める方が多いようですが、体力に余力のある40・50代で始める方もいます。中には、20代・30代で始めるという方も。いざという時に慌てないためにも、早い時期からの終活を検討してみましょう。
終活をする主な目的とメリット
どうして終活をする必要があるのか、終活をするとどんな効果があるのか、具体的な目的やメリットについてご紹介します。
家族の負担を軽減する
終活をすると、残された家族や親族の負担を軽減できます。自身が死んでしまった後、葬儀やお墓、遺品整理など必要な手続きは多いです。もし、終活をしていなかった場合、全てを家族が進める必要があり、負担は大きくなります。
終活では自身で葬儀やお墓など、問題となりやすい部分を決めておくことができます。いざという時にも、周囲が慌てて準備をする必要がなくなり、残された家族はスムーズに対応を進められるでしょう。
自分らしく生きるための手段になる
終活は、残りの人生を自分らしく生きるためのきっかけになります。終活の中には自身の身の回りを整える、生前整理も含まれます。生活に不要なものを手放せるほか、持ち物に触れることで、自身の人生の振り返りにもつながるでしょう。
また、エンディングノートを作成した場合は、残りの人生でやりたいこと・やり残したことも整理でき、後悔なく生きる機会となります。充実した人生を送るためにも、終活を利用して自身についての整理を行いましょう。
家族間のトラブルを最小限にできる
遺産相続がある場合、家族間でトラブルが発生する可能性があります。しかし、終活をしておくと、家族間のトラブルを最小限に抑えられるでしょう。生前整理をせずに亡くなってしまった場合、遺産となるものがわからず、遺産を探すところから始まります。
さらに、遺産分割協議が終わった後に見つかった遺産は、遺産分割協議をやり直す必要があります。誰が何を相続するのかといった争いを避けるためにも、事前に決めておきましょう。相続を決める際には、家族の意見を取り入れて進めるとより円滑です。
老後の不安を解消できる
終活を進めておくと、老後の不安解消にもつながります。死に対して向き合うため、死に対する漠然とした不安解消になるかもしれません。さらに、死んでしまうまでに自身がやりたいことや、必要な資産についても整理することができます。
生きている内から死について考えるのは、気分が良くないと考える方もいるでしょう。しかし、残りの人生を前向きな気持ちで豊かに過ごすきっかけになることはもちろん、家族への心配を減らすためにも終活は有効です。
終活やることリスト|活動内容一覧
終活ではやるべきことが多いため、始める前にどんな手続きや準備をすべきか確認しましょう。今回は法的な手続きや遺言状の作成など、6つの項目を解説します。終活を検討している方は、ぜひ一度ご確認ください。
財産・資産の整理
終活の1つとして、自身の財産や資産の整理が必要です。自身の財産を明確にし、相続が必要となるものは誰に受け継ぐのかを考える必要があります。財産は現金を含め、以下のようなものが該当します。
・預貯金
・クレジットカード
・有価証券
・公的年金
・保険
・ポイント
・マイレージ
・電子マネー
・土地の登記簿 など
利用していないものについては、終活のタイミングで解約しましょう。そのまま残してしまうと、残された家族が解約する際に手間取る可能性もあるため、自身で早めに行っておくと安心です。手続きが必要なものに関しては、問い合わせ先についても記載しておきましょう。
遺品の整理
家族に残すもの、処分をするものを明確にしておくと、いざという時に家族が手間取りません。処分をする際は、基準を設けておくと悩まずに整理が進みます。例えば、1年以上使用していないものは捨てるといった基準を作りましょう。
また、ただ不用品を捨てるだけではなく、売却や譲渡するなどの方法もあります。捨てるのは悩むといった場合は、他の人に譲り渡すという選択肢も検討しましょう。
デジタルデータの整理
遺品の整理は、家具や衣服などのほかにデジタルデータも対象です。近年では多くの方がパソコンやスマートフォンなどを持っているため、デジタルデータの整理が必要な方も増えています。
パソコンやスマホに入っているデータで、今後必要にならないもの、SNSなど他人に見られたくない情報を記載されているもの、残しておきたいものに分けて整理しましょう。残しておきたいもの、亡くなった後に処分してほしいものなどは、エンディングノートなどに記載しておくと家族にも伝えられます。
医療・介護の計画、意思表示
突然の病気や入院に備えて、医療や介護の計画も準備しましょう。かかりつけ医や現在までの身体の状態、服用している薬も記録しておく必要があります。そのほかにも、延命治療や終末医療の方針など、自身の意思を家族に伝えておくと安心です。介護においても、介護の方針や老人ホームの希望などの意思を残しておきましょう。
葬儀や埋葬の希望、詳細の決定
葬儀や埋葬の希望などを決めておくと、家族が故人の意思に沿った形で進められます。葬儀では規模や形式、返礼品など決める内容は多岐にわたります。遺影撮影や費用なども用意しておくとスムーズに進めることができ、家族の負担を軽減できるでしょう。
また、お墓がない場合は、納骨先を決める必要も出てきます。墓を建てるのか、散骨にするのか、自身が希望する形を決めておきましょう。
遺言書の作成
相続についてのトラブルを軽減させるためにも、遺言書の作成も行いましょう。遺言書を作成する場合は、規定・規則に沿った正しい方法で作成する必要があります。遺言書には種類があり、「自筆証書遺言」と、「秘密証言遺言」、「公正証書遺言」などがあります。
より確実に遺言を実現させるためには、「公正証書遺言」が最適です。相続の手間を軽減し、スムーズに進めるためには、遺言書を作成しましょう。
連絡リストの作成
死後に連絡が必要な場所や人の連絡先リストの作成も必要です。金融機関や保険など、大切な契約に関する担当者はもちろん、親しい友人の連絡先もリストに入れておきましょう。どういった場所に連絡を入れるべきか、家族が迷わずスムーズに進められます。
ただし、個人情報を記載するため、厳重な管理を行いましょう。その後、家族に保管場所について伝えておくとより安心です。
老後をサポートしてくれる契約
老後の生活を送る上で活用できる、さまざまなサポートがあります。いざという時のために、事前に情報収集をしましょう。
財産管理委任契約
財産管理委任契約とは、自身の財産管理を代理人に委ねる契約です。契約によって自身の預貯金の引き出しや、各種料金の支払い、役所での手続きなどを代行してもらえるようになります。入院や身体の不調で出掛けられない時に役立つ契約です。
しかし、金融機関によっては認めていない場合もあるため、事前に確認が必要です。財産管理委任契約は口約束でも成立しますが、トラブルを回避するためには、公正証書による契約を実施しましょう。
任意後見契約
任意後見契約とは、認知症や病気などによって自身の判断能力が低下した時のために、任意後見人に代理で行ってほしいことを決めておく制度です。任意後見人は自身で選べるため、自身の信頼できる人に入院の手続きなどを依頼できます。
契約をする際は、公正証書の作成が必要と法律で定められています。契約内容は法律に反しない限り自由に決められるため、あらかじめ内容を決めておくとスムーズに進むでしょう。
見守り契約
見守り契約とは任意後見契約の効力が発生するまでの間に、支援する人が本人の健康状態を確認するという契約です。定期的なコミュニケーションによって、任意後見や成年後見を開始するタイミングを判断してもらうことができます。適切なタイミングで任意後見契約を開始するためにも、見守り契約を締結しましょう。
死後事務委任契約
死後事務委任契約は、本人の死亡後に必要な手続きを第三者に委任する契約です。遺体の引き取りから葬儀や行政関係の手続き、契約中のサービスの解約など、必要な手続きを代行してもらえます。家族に負担をかけたくない人や、身寄りがない人には最適な契約です。契約は知人や友人、内縁関係にあるパートナーのほか、弁護士などの専門家とも行えます。
負担付死因贈与契約
ペットがいる方は負担付死因贈与契約を締結しましょう。飼い主の死後にペットをどうするのか、行き先について決めておくことができます。ペットの世話を引き受けてもらう代わりに、財産を相続するという契約です。
ペットには財産を相続させられないため、ペットに快適な将来を残すためにはこのような契約が必要です。また、ペット信託などもあるため、自身が良いと思うもので備えておきましょう。
終活の疑問|よくある質問まとめ
終活に関して、気になる点はまだまだたくさんあるでしょう。終活についてよくある質問をご紹介します。不安を少しでも解消させてから、終活をスタートさせましょう。
Q.エンディングノートとはなんですか?
A.エンディングノートとは、自分が亡くなった時や認知症などで判断力が低下した際に備えるためのものです。財産情報や連絡先、自身のやりたいことなど、記載する内容は自由に決められます。家族に必要な情報を伝えるためのノートであるため、法的効力はありません。
Q.エンディングノートはどう保管したら良いですか?
A.エンディングノートには資産に関わる個人情報なども含まれているため、盗難や紛失に注意して管理しなければなりません。しかし、保管が厳重すぎると、いざという時に家族が見つけられない可能性も。保管場所の例は本棚や机の引き出しなどがあげられますが、ご家庭により家具の配置も異なるため、一概におすすめとすることはできません。
大切なのは、自身が元気なうちにエンディングノートの存在と保管場所を家族に伝えておくことです。また、心配な場合は有料のエンディングノート保管サービスの利用を検討すると良いでしょう。
Q.自分の死後、家族は預金は引き出せますか?
A.亡くなった方の預金を引き落とす際は、委任状が必要です。本人以外が預金を引き出す場合は、「預貯金者本人の本人確認書類」と「委任状」、「代理人の本人確認書類」を持っていきましょう。
まとめ
終活とは「人生の最期を迎えるための活動や準備」を指し、老後や死後にスムーズに生活を送るために必要となっていくものです。自分の人生を見つめ直す、家族間のトラブルを最小限にするためにも、近年終活をする方は増えています。
終活では遺品整理や遺言書の作成、連絡リストなど用意しておくものは多いです。時間がかかるため、一つひとつしっかりと進める必要があります。また、老後の生活をスムーズにするために利用できる契約もあります。自身の生活に必要なサポートはあるのか、契約に関する手間はどの程度かなどを確認しましょう。
終活を進めておくと、いざという時でもスムーズに準備を進められます。自身や周囲の人が困らないように、少しずつ終活を進めておきましょう。