暮らしのダウンサイジングとは?50代から始めるメリットやコツなどを紹介
- ライフプラン・人生設計
- 公開日:2025年8月 6日
暮らしのダウンサイジングは、無理なくシンプルな生活へと変更し、必要な物にだけ囲まれて心地よく暮らす方法のことです。50代から始めることで、老後の生活に対して金銭的にも精神的にも余裕を手に入れられます。今回は暮らしのダウンサイジングをした方がいい理由や、やり方、メリット・デメリットなどをご紹介します。少しでも老後の生活を身軽に始めたい方は、ぜひご一読ください。
この記事の目次
暮らしのダウンサイジングとは生活の規模を縮小すること
ダウンサイジングとは直訳すると縮小するという意味で、暮らしのダウンサイジングとは、生活の規模を縮小することです。特に50代以降では年金支給額や老後の蓄えに不安がある人が、生活費用の削減や身辺の整理をする流れが活発化しています。
ダウンサイジングするものは多岐にわたり、食費や娯楽費などのほか、住まいを縮小する場合もあるでしょう。老後を豊かに過ごすために今の自分に必要なものだけに絞り、身軽でシンプルな生活に切り替えていく人が増加しています。
50代が暮らしのダウンサイジングをした方がいい理由
50代が暮らしのダウンサイジングをした方がいい理由は、50代が老後の生活に対する準備が行える最後のタイミングだからです。50代になると子育てがひと段落する人が多く、子どもと一緒の生活から夫婦2人の生活になる人も多いでしょう。
これまで使っていたスペースが空いたり、食費などの出費に変化が出たりします。そのため、自然と暮らしのダウンサイジングが行いやすくなるでしょう。また50代は老後の生活が近づいてくることで、老後資金や生活スタイルについて現実的に考えられるようになる年代です。
年金の支給額や退職金、預貯金などが今後の生活をするために十分足りているのかを判断し、不足があれば用意をしていけるラストチャンスとなります。まだまだ現役として働ける50代のうちに生活の無駄を削って、効率的に貯蓄や投資を行えば、老後の生活が楽になるでしょう。
暮らしのダウンサイジングのやり方

暮らしのダウンサイジングをするための、具体的なやり方をご紹介します。まずは身近で取りかかりやすい項目から始めて、徐々に暮らし全体の見直しを行ってみてください。
住まいの見直し
50代以降は子育てがひと段落して、夫婦2人の生活になっていくタイミングです。老後の生活に備えるために、住まいのレイアウトを変えるなどの見直しをすると良いでしょう。生活導線も再度見直して1階に集約させたり、使わなくなる部屋は閉じたりして生活の規模を縮小させます。
今後の生活スタイルに合った形へ変更すれば、移動や掃除の手間が省けます。また、手入れがしやすい素材に床や壁を変更したり、バリアフリー対応にリフォームしたりするのもおすすめです。照明をLEDに変更するなど、簡単な変更でも構いません。
定期的に断捨離をするルールを設けておけば、モノを増やしすぎず一定量を保つ習慣が作れます。住み替えが難しいという人は、現在の住まいの中で生活規模を縮小できないか検討してみてください。
家具・家電の見直し
住まいの見直しと同時に、家具・家電の見直しを行います。生活する人数が減ることで余った収納棚や家電があれば、処分や片付けをしましょう。収納棚はあるとそのスペースを埋めようとモノが増えるため、買い替えや処分がおすすめです。
洗濯機、冷蔵庫などこれまでの生活を基準に選んでいた家電は、買い替えのタイミングで2人暮らし向けのサイズへの変更を検討してみましょう。節電や時短などにつながります。
不要になったベッドや机などの大型家具は、老後に処分するとなると体力的にかなりキツくなるため、早めの処分を検討しましょう。体力が減ってくると行動を起こすのは難しくなるため、50代のうちから断捨離や買い替えを行うのがおすすめです。
食費の見直し
外食など、自炊以外を頻繁に活用している人は、食費の見直しを行いましょう。自炊と比較すると外食は費用がかさむため、利用するタイミングを決めておくのがおすすめです。併せてスーパーで食材をまとめ買いして冷凍しておくなど、自炊を続けやすい工夫をして、食費を抑えてみましょう。
50代に入ると30代・40代よりも代謝が落ちて、太りやすく痩せにくい体へと変わっていきます。以前までと同じ食事を続けていると太りやすく、病気になる確率も上がっていきます。自炊でシンプルな味付けの食事を増やす、摂取カロリーを減らすなどの工夫で健康維持にも努めましょう。
交通費や車の見直し
交通費や車についても見直しを行いましょう。これまでの車では大きい場合は、小さいサイズの車への買い換えも検討してみましょう。新しい車は燃費がよく、車両によってはエコカー減税の対象となるなど、現在の車よりも安い維持費で乗れる可能性があります。
車をそれほど使用しない場合は、思い切って手放してみるのもおすすめです。車はガソリン代・車検の費用・修理費・自動車税など、かなりの維持費が必要です。車を手放すと年間で30万円〜50万円は節約となります。
車を持っていない人は、今後の生活で必要となる交通費について考えましょう。病院などに行くまでの交通費は、年齢が上がるにつれて増えていきます。自宅近くに良い病院はないか、節約できる方法はないか事前に調べておきましょう。
固定費の見直し
スマホの利用料金や保険料、水道光熱費などの固定費の見直しも行ってみてください。固定費は一度見直しをすると、節約効果が長く続きます。現在契約しているプランは、過剰なオプションは付いていないか、無駄にしているものはないか見直しをしましょう。
スマホの利用料金は、格安SIMの場合月2,000円〜利用できるプランもあり、見直しによって5,000円以上の節約になる可能性があります。会社によってはシニア向けのプランを用意している場合もあるため事前の確認がおすすめです。
50代が暮らしのダウンサイジングをするメリット
50代から暮らしのダウンサイジングを行うことには、いくつかのメリットがあります。節約になるだけではなく、生活の利便性が向上する場合もあるでしょう。今回は、以下の3つをご紹介します。
出費が減る
余分なモノを持たない生活は、出費が減りやすくなります。物が多いと管理や修理などの維持費も高くなるでしょう。物が少なければ、維持にかかるコストも下がるため節約につながります。持っているモノが減ると、モノに対する価値観や考え方も変わってきます。
そのため、モノを消費する・購入することで満足感を得る生活から、体験や学びなどのコト消費で満足感を得られるようになります。暮らしのダウンサイジングは単純な支出を減らせるほか、お金の使い方が変わるきっかけになるでしょう。
老後の介護や移住などが楽になる
暮らしのダウンサイジングをしておけば、老後の住み替えや介護による生活の変化などに柔軟に対応しやすくなります。移住や施設の入所で引越しをする時も、必要なものがどこにあるかわかっているため、すぐに移動が可能です。
さらに暮らしのダウンサイジングは、終活への準備にもつながります。不要なモノと必要なモノを自分の意思で判断できるため、相続させたい資産の準備や遺言の作成などもできるでしょう。もし終活が間に合わなかった時でも、整理された家であれば、遺族の片付けの負担を減らせます。
物の管理がしやすくなる
不要なモノを手放して必要なモノだけに絞れば、自分の持ち物を管理しやすくなります。自分の持ち物を把握できていれば、同じようなモノをいくつも買ってしまうことも防げるでしょう。
モノが少なければ、精神的にも身軽さや自由さを感じられるようになります。家も整理されれば、広々とした開放感を得られるようになるため、過ごしやすさが向上するでしょう。
50代が暮らしのダウンサイジングをするデメリット

50代の人が暮らしのダウンサイジングを行うと、環境の変化によるデメリットを感じる場合があります。今回は、以下の3つをご紹介します。
費用や手間がかかる
家具や家電などの買い替えによるダウンサイジングは、費用や手間がかかります。長期的には節約となることでも、短期的には出費が増えてストレスとなる場合もあります。ダウンサイジングをする際は、事前にどの程度の費用が必要か計算をし、十分な予算を用意しておきましょう。
住み心地が変わる可能性がある
自宅の間取りを変更したり、リフォームをしたりすると、これまでとは住み心地が変わってしまいます。家具や部屋の配置が変わることで、ストレスを感じる場合もあるでしょう。
これまでの生活スタイルを見直す必要が出てくる可能性もあるため、ダウンサイジングをしてすぐは住みにくくなったと感じる場合もあります。
老後に後悔する可能性がある
暮らしのダウンサイジングを行ったことで、老後に後悔をする可能性があります。処分した物が後から必要となって買い直しが発生したり、家の生活スペースが狭くなったために、孫が泊まる場所がなくなったりと、後から支障をきたす場合があります。
ダウンサイジングをする際は、片付けや処分によって発生するであろう問題を事前に洗い出し、解決策を用意しておきましょう。
50代が暮らしのダウンサイジングをする時に気を付ける5つのポイント
50代から暮らしのダウンサイジングをする際は、後悔やトラブルが発生しないよう、以下の5つのポイントに注意して始めましょう。
目的を明確にする
暮らしのダウンサイジングをする際は、目的を明確にしましょう。節約をしたい・老後の生活に備えたい・シンプルな生活を送りたいなど、ダウンサイジングを行う理由はさまざまです。
目的が曖昧だと片付けや整理が中途半端になったり、必要なモノまで捨ててしまったりする可能性があります。必ず始める前に、暮らしのダウンサイジングをする目的を明確にしましょう。
家族とよく話し合う
暮らしのダウンサイジングを始める際は、家族とよく話し合いましょう。個人の判断で進めてしまうと、家族の大事なモノを捨ててしまいトラブルになる可能性があります。
暮らしのダウンサイジングは一緒に生活する家族にも大きな影響が出ますので、なぜ行うのか、メリットやデメリットも説明し、同意を得たうえで行いましょう。
思い出と切り離す
モノを処分する際、昔お土産でもらった物など、捨てるに捨てられない物が出てきます。思い出とモノを同一視してしまうと、なかなか片付けは進みません。そういった際は、思い出は思い出として記憶や写真に残しておき、不要なモノは思い出と切り離して処分しましょう。
当たり前を疑う
普段の生活で、そこにあるのが普通になっている家具や家電、お金の使い方など染み付いている当たり前は多くあります。それらを一度、本当にあるのが当たり前なのか疑ってみましょう。
実際には使っていなかったり、一回り小さいサイズで十分だったりする場合があります。食費も購入するスーパーや頻度などを見直して、当たり前になっている部分を変えられないか検討してみましょう。
小さく始める
暮らしのダウンサイジングをする際は、小さく始めましょう。いきなり大量の断捨離や、家丸ごとの片付けなどはハードルが高く、挫折する可能性があります。
まずは一部屋だけ始める・自室のクローゼットからやってみる・本棚を1つだけ片付けるなど小さなところから始めて、徐々に家全体が片付くように広げていくと失敗する可能性が下がります。
まとめ
50代から始める、暮らしのダウンサイジングについてご紹介しました。老後の生活が具体的に見えてくる50代に暮らしのダウンサイジングを始めると、老後の生活に合った片づけや費用の見直しなどができます。老後を身軽に暮らすためにも、ぜひ元気な50代のうちからダウンサイジングを行ってみてください。








