定年の再就職やキャリアの選択肢を増やすためにリスキリングの準備を始めてみよう

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定年の再就職やキャリアの選択肢を増やすためにリスキリングの準備を始めてみよう

数年前からキャリア市場に盛んに叫ばれているリスキリング。しかし調査の結果、定年後の再雇用や新たな働き方を積極的に模索している方が多いにも関わらずリスキリングの詳しい内容については理解が進んでいないことが分かりました。そこで今回は、定年後こそリスキリングが重要となることをお伝えしていきます。

この記事の目次

    調査から導かれた「リスキリング」の認知度の低さ

    50代の以上のセカンドキャリアに興味や関心のある、働く人々を対象に行った調査の結果、リスキリングを「良く知っている」と答えた割合は全体の約17%に留まり、認知度が低いことがわかりました。定年後の再雇用や、新たな働き方を積極的に模索している方が多かったのにも関わらず、リスキリングの詳しい内容については理解が進んでいないようです。

    一方で「少し知っている」、「聞いたことはある」と答えた方はおよそ64%にのぼることから、リスキリングという言葉自体はどこかで耳にしている方が多いと言えるでしょう。ただし、さきほども指摘したように、「どのようなもの」で「どのような時に必要で」、「何のメリットがあるか」といったリスキリングの本質にまで理解が及んでいないというのです。

    リスキリングとは?

    そもそもリスキリングとは、新しいスキルを学ぶことによって時代に即した能力を持つといった意味があります。最近では企業内でもDX化の波が来ており、ビジネスシーンにおいてもインターネットを主としたテクノロジーなしではスムーズな運営が難しくなってきました。

    そこで、近年ではそのようなテクノロジーを使いこなす人材を育てるためにと社員教育に取り入れたり、積極的に学ぶ機会を設けたりすることで、知識やスキルを現代に則したものにアップデートしようという動きが加速しています。つまり、リスキリングとはキャリアにおいて社会の成長スピードに置いていかれぬよう、成長していくために必要な学びのことです。

    現在の日本では企業が積極的にリスキリングを取り入れ、従業員のスキルアップや成長へ注力をしています。教育機関や公的機関でも社会人向けのリスキリング講座を設けるなど、人生100年時代を迎えた現在、「リスキリング」は物凄いスピードで私たちの生活にとって身近なものになっています。

    データ元:スキルアップ研究所「定年後のリスキリングとその目的に関する実態調査」

    なぜ今、「リスキリング」は注目されるのか?

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    リスキリングへの興味について尋ねたところ、「非常に興味がある」、「少し興味がある」を合わせて8割近くが学び直しに好意的であったことがわかりました。ミドルシニアやセカンドキャリアといったワードと共に頻出するリスキリングという言葉。では、なぜこんなにも注目を集めているのでしょうか。

    定年の延長

    2013年、高年齢者雇用安定法が改定され、定年は60歳から65歳に引き上げられました。さらに現在、70歳定年が企業の努力義務となっています。私たちは、定年が延びたことにより働くことにおいて多くの選択肢を持てるようになったのです。

    しかし、少しでも良い条件で働くためには自身の能力やスキルをアップデートする必要があります。定年の延長といったこれまでの働き方が変革していく中で、長期的に働くことを主軸においたキャリアを考える際にリスキリングは必要とされているのです。

    老後資金の問題

    厚生労働省によれば、男性は平均で81歳・女性は平均で87歳という寿命年齢が発表されています。現行の定年制度に則って65歳まで働けたとしても、寿命までのおよそ20年弱は年金などの老後資金に頼って生きていかなくてはなりません。寿命が延びたことで、老後の資金について真剣に考えなくてはならなくなったとも言えます。

    現在、マネープランを練り直すことが求められています。それに伴い必要とされるのがリスキリングです。ミドルシニア世代がリスキリングによって時代に即したスキルや能力を身に付けられれば、仕事に困ることがありません。仕事に困らなければ、年金不安や老後の資金不足に悩まされる恐れが軽減されるでしょう。

    健康への不安

    歳を重ねると衰えてくるのが体力です。これまでと同じようにしているつもりでも疲れやすくなったり、精神面でも活力が湧かなくなってしまったりと、体力不足は働くことにおいてマイナスに響きます。そんな体力の衰えをカバーするためには、スキルを身に付けておくのが必須となります。

    例えば、宅地建物取引士の資格を取得しておけば、国家資格という優位性があるため時短で雇ってくれる会社は存在します。さらに、誰もが持っている資格ではないので企業でも重宝されるという訳です。リスキリングによって学びを得ておくことで健康不安にも脅かされることなく生きていけるでしょう。

    必要とされる人材になるため

    人生100年時代を迎えた今、ミドルシニア世代での転職も増えています。そこで転職を有利にさせるためにもリスキリングによってスキルを身に付けておくことは、自身を守る武器にもなるでしょう。同じようなキャリアを重ねてきた人材が2人いるとして、企業側は何を見て採用を決めるのでしょうか。

    もちろん、人柄といった内面も求められるかもしれませんが、より能力の高い人材である方が採用には近道と言えそうです。そういった意味でミドルシニア世代がリスキリングによって企業や組織が求めるスキルを身につけ、デジタル業務に躊躇することなく取り組めるようになっておけば、組織を変えても自信をもって働けるというわけです。

    時代遅れの人材にならないため

    世界経済フォーラムの「仕事の未来レポート2023」では、ロボットやAIなど新たなテクノロジーの進展により、2027年まで8300万人の雇用が消滅すると予測されています。スピードが求められる現代において学びを止めてしまうことは、自身のキャリアアップへの糸口を見失うこととイコールなのです。

    AI(人工知能)などの技術革新によって、社会や経済の構造が大きく変化すると言われる"第四次産業革命"に対応するためにも、リスキリングは非常に重要と言えるでしょう。

    「リスキリング」のメリットとは?

    調査ではリスキリングに取り組む目的は、「新しい職業に挑戦するため」と答えた人が最も多く、定年後であってもキャリアチェンジを積極的に考える層が一定数存在していることがわかりました。さらに、「趣味を深めるため」(26.3%)も2番目に多く、ライフワークを兼ねたビジネス展開を視野に入れている人も多くいます。

    リスキリングを積極的に取り入れたいというミドルシニア世代にとっては、「自己実現」や「新しい収入源確保」という目的も頭にはあるようです。では、リスキリングで得られるメリットを具体的にみていきましょう。

    セカンドキャリアに繋がる

    リスキリングは新しいスキルを身に付け、ステップアップをするために必要な学びと解釈されることも多いですが、一方で自身やキャリアを見つめ直す良い機会にもなります。なぜなら、リスキリングを行う上では自己のこれまでのキャリアを振り返ったり、見直したりしたりしてスキルの棚卸しを行わなくてはならないからです。

    そもそもリスキリングの目的は、キャリアアップをすることほとんどです。リスキリングを行うことで、あらゆる仕事で通用するスキルを獲得するチャンスを獲得することができると言えるでしょう。今後もデジタルスキルを持った人材は転職市場においても需要が高いため、リスキリングはセカンドキャリアを形成するのに大変役立ちます。

    チャレンジ精神を養える

    ミドルシニアになれば、何かに挑戦することも減っていきます。そこで、リスキリングに向き合うことで新しいことに挑戦する機会を得ることができます。ルーティンや反復をしているだけであった日常も、新しい挑戦をすることで違った角度の人生が見えてくることもあるでしょう。

    また、新しいスキルを活用することで社内でも活躍の場が広がります。「仕事はお金が発生するから辛くて当たり前」とよく耳にしますが、人生のほとんどの時間を私たちは働いています。そんな時間を有意義にするためにも、自身が積極的に仕事に関われるようにリスキリングの機会を設けてみるのはいかがでしょうか。

    選択肢を増やせる

    リスキリングを身に付ける一番のメリットといっても過言ではないのが、「選択肢を増やせること」でしょう。リスキリングで習得したスキルを活かせば、定年退職後の再就職やキャリアの選択肢を増やすことに繋がります。

    また、スキルがあれば働き方にも変化が生まれます。短時間労働でも高いスキルがあれば、収入を減らさずに働くこともできるのです。新卒の際にはチャンスがなかった仕事に就くことができるなど、キャリアの選択肢を広げることを通して人生の幅も広がるでしょう。

    収入確保に繋がる

    リスキリングで収入の柱を増やしておけば、老後の資金問題に焦ったり、不安を抱いたりせずに生活をすることができます。マイナビによれば、リスキリング経験ありとなしで年収を比較すると分野差もあるものの、「リスキリング経験あり」の年収方が70~200万円ほど高いことがわかってきたといいます。リスキリングで年収アップが図れることで、精神面での余裕も得られるでしょう。

    ※データ元:マイナビ『「リスキリングで年収アップ」は本当にするのか【2023年最新調査から考察】』

    「リスキリング」の具体的な方法とは?

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    主な、リスキリングへのアプローチ方法について触れていきます。

    ハローワークに通う

    多様なスキル獲得の機会を提供しているハローワークに通えば、様々なスキルを獲得できます。ハローワークでは専門的なスキルを身につけられる講習や、キャリアチェンジをサポートするものまで、ありとあらゆる講座が用意されています。

    費用面が心配に感じる方もいるかもしれません。しかし、講座は一部のプログラムは無料や低コストで提供されているので、ミドルシニアやシニア世代でも利用しやすいのが特徴です。

    オンライン学習

    オンライン学習もリスキリングには最適な学びの方法でしょう。オンライン学習ではスクールに通うのとは異なり、自宅で自分のペースで学ぶことができます。歳を重ねると無理がきかなくなるのが身体です。体調が優れないときや、気分が乗らない時には自由に休むことができるといった自分のペースで進められるのはミドルシニアの学びにはぴったりでしょう。

    ただし、通いのスクールとは違い、モチベーションは自分で保たないといけません。途中で頓挫しないよう、意識的に学ぶ必要があります。それでも、オンライン学習には多くの専門的なコースがあるため、自分に合っているものを選びながら始められる気軽さもあります。

    企業主催のリスキリング制度を活用する

    費用面に心配がある方は、企業のインターンシップや企業が開催するリスキリングの制度を活用するのがおすすめです。現在、多くの企業でリスキリング制度を取り入れています。まずは一度、ご自身の所属する会社にそういった制度があるかを確認してみるとよいでしょう。

    資格や検定試験の受験

    近年、人気のリスキリング方法は資格や検定を受験することです。資格や検定は取得すれば履歴書にも書くことができますし、誰にとってもわかりやすいものです。TOEICやITパスポート、MOS(Microsoft Office Specialist)といった業務にも役立つ資格から、中小企業診断士やMBA(経営学修士)などの経営に関わる難易度の高い資格まで、幅広い種類の検定があります。

    ボランティア活動

    ボランティア活動と聞くと、リスキリングと一見関係ないようにも思えます。しかし、スクールや資格試験でリスキリングをした後に、ボランティア活動でアウトプットをすることでスキルを着実に自分のものにすることができます。例えば、パソコンのスキルを学んだ後に、人に教えることで実践的なスキルへとアップデートすることができるでしょう。

    「リスキリング」の注意点!

    調査では、7割以上の人がリスキリングの成功事例に興味があることがわかっています。では、リスキリングを成功させるためのポイントはどのような点なのでしょうか。

    無謀な計画は立てないこと

    リスキリングの学習計画では、無理なく続けられるようにスケジュールを組みましょう。最初は気合が入るので「頑張ろう!」とリスキリングの計画をびっしりと立ててしまうかもしれません。しかし、キャリアアップの学びはそんなに早くは身に付きません。

    無理なく、着実にスキルを身に付けるためにもマイペースに学ぶ姿勢が大事になります。たとえ、計画通りに実行できなくても、自分を責めるのではなく、長期的に見てキャリアのスキルを上げるようにしていきましょう。

    自分の時間を確保する

    真面目な方に多いのが、リスキリングをスタートさせると仕事と学びが生活の中心にきてしまい、自身の時間を全くなくしてしまうことです。これでは知らず知らずのうちにストレスをためてしまい、気づいたらリスキリングへのモチベーションをなくしてしまったり、体調を崩してしまうことも。

    学習の効率を上げるためにも、趣味の時間を確保したり、疲れたときには一旦リスキリングは手にとめて睡眠を取ったりするなど、自分の身体を最優先にしてあげてください。ストレスない生活の方が学びの吸収が早くなるので、そういった自分の時間を大切にすることがリスキリングの近道なのです。

    まとめ

    働き方が流動的になった今だからこそ、個に求められる能力。これからは複業の時代とも言われます。リスキリングでの学びを活かして多角的に活躍していかなくてはもったいないかもしれませんね。

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