これから増えていく「女性の定年」|人生100年時代の女性のキャリアを考える

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これから増えていく「女性の定年」|人生100年時代の女性のキャリアを考える

あと数年で1986年に施行された「男女雇用機会均等法」の第一世代の女性たちが60歳を迎えつつあります。男女平等社会では、女性が定年を迎えることはもはや常識となりました。本日は定年制度からみる、女性のキャリアの変容をお伝えします。

この記事の目次

    人生100年時代は、女性のキャリアも変容させた⁉

    1986年に「男女雇用機会均等法」が施行されました。それまでは男性は社会に出て働き、女性は家事や子育てをしながら家庭を守るのが日本における男女の役割だとされていました。法律施行後に女性の働き手は年々増え、共働き家庭はもはや珍しいものではありません。1985年と2021年で比べてみると、共働き世帯数は20年でおよそ2.6倍となったのだといいます。

    働く女性が増えたことで、日本社会の意識も変わり始めています。例えば、多様化の社会において「男性だから・女性だから」という言葉は死語となってきていますし、働きながら子育てをする女性も昔よりも格段に増えました。女性たちにとって家庭の中に収まることなく、社会に出て働くことは当たり前のことになったのです。

    ある女性をターゲットにした調査によると、60歳以上まで働きたいという回答が全体の80%を占めたといいます。アンケートの結果からは、女性たちは働ける間は働いていたいと考えていることが見て取れます。そして現在、「男女雇用機会均等法」施行後に社会の中心として働き手を担ってきた女性たちが定年に差し掛かろうとしています。

    これまで定年制度は男性が中心に考えられてきましたが、今後は女性たちにとってもキャリアの節目となる定年制度。定年後の人生も含めて、キャリアや自身の人生について真剣に考える方が多くなってきたのです。

    データ元:厚生労働省「働く女性の状況 」、男女共同参画局「男女共同参画白書 令和4年版」

    今後、定年を迎える女性たち

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    では、実際に定年を迎える女性たちはどのくらいいるのでしょうか。
    厚生労働省によれば、従業員21人以上の全企業を対象に行われた調査での定年を迎えた従業員は約40万人とのこと。そのうち女性は13万5000人でした。つまり、定年を迎える女性は定年を迎えた就業者全体の3割に上るのです。

    さらに今後も、定年を迎える女性は増えると予測されています。総務省の令和4年の調査によると、正規の従業員数は男女ともに概ね増加傾向にあるといいます。女性は2022年で初めて400万人を超えました。そして、この400万人もの人たちが今後15年間のうちに、60歳を迎えていくとされているのです。

    そして、働いている多く女性たちは定年退職後も「勤め続けたい」との意思を示しています。年代別にみてみると、55~59歳の「勤め続けたい」という回答が他の世代よりも高いことがわかりました。年齢を重ねると仕事へのモチベーションは減るかと思いきや、女性の勤労意欲はむしろ増えていることになります。

    その理由としては「報酬を多く得たいから」や「自己成長のため」、「社会に貢献したい」といったものが挙げられるといいます。女性たちの多くは、年齢を重ねても自らが成長できるやりがいのある仕事をしたいという意欲を持っているのです。加えて、近年の老後の資金問題といった経済的な不安定さもその背中を押しているのでしょう。

    なお、いつまで働きたいかという質問に対しては、就業女性の全体のおよそ7割が定年、またはそれ以降まで働き続ける意欲を持っていることが分かったといいます。つまり、定年を迎えてからも、健康なうちは働きたいと大半の働く女性たちは考えているのです。

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    データ元:厚生労働省『令和5年「高齢者雇用状況等報告」』、総務省『令和4年「就業構造基本調査」

    それでもまだ、女性が働きづらい社会?

    これまでは共働きが増えた日本社会と、女性の勤労意欲に焦点を当ててきました。しかし、共働き世帯のうち、女性がフルタイム(週35時間以上労働)で労働している世帯数は1985年以降400~500万世帯で推移しており、2021年においても486万世帯とほぼ横ばいです。

    一方、パートタイム労働の世帯数は1985年に228万世帯であったものが、2015年ごろに専業主婦世帯数を上回り、2021年には691万世帯と大きく増加しました。この数字から共働き世帯の女性たちの働き方は、フルタイムではなくパートタイム労働が増えたということが結論付けられます。

    また、女性の正規雇用比率は25~29歳が約60%を占め、その数値は30代・40代と年代が上がるほど低下していくといいます。この数字からも、女性は結婚や出産を機にパートタイムや派遣など、非正規雇用が多いことがわかります。そして、仕事と家事や育児に使う時間の男女差があるのも事実でしょう。

    内閣府によれば世帯構成別の時間の使い方では、夫婦+子ども(就学前)世帯では、女性の「仕事等時間」は男性の約0.8倍である一方、「家事時間」は男性の約2.8倍、「育児時間」は男性の約2.1倍となっています。女性の労働者は家事や育児に充てる時間が多く、負担が女性に偏っている傾向が見て取れます。

    結婚や出産によって一度仕事から距離を置くことによってキャリアにブランクができてしまう女性も少なくありません。出産を機に退職をした女性の退職理由の上位には「育休制度が使えない・使いづらい」が挙げられているのです。また、育児休業を取らずに働いている女性たちの4割強は、育児休業制度を利用しなかった理由として「職場の雰囲気や仕事の状況から」と回答しています。

    このことから育児と仕事の両立は難しく、キャリアアップしづらい風土がまだ会社組織に残ってしまっているのだということがわかります。男女平等社会とは一概にいっても、まだまだ女性への働き方に課題も多いのが日本社会なのです。

    データ元:内閣府「男女共同参画白書 令和2年版」

    定年後のセカンドキャリアは早めに考えるべき

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    女性の定年退職後の働き方としては、そのまま勤めている会社で働き続けることが一般的になっているようです。最近ではこれまで勤めていた会社で、嘱託社員や契約社員など雇用形態を変更して就業するケースも多いようです。セカンドキャリアというと職種が変わることを想定する方も多くいますが、契約形態が変化こともキャリアの変換といえます。

    もちろん、定年退職後に別の企業や組織に再就職するケースもあります。セカンドキャリアのトレンドの一つには、起業が挙げられます。定年までは会社や家庭、子どものためなど人のために働いてきたからこそ、定年退職後は自分のやりがいを追求したり、やりたいことをしてみたりという女性たちが今、増えているのです。

    最近は、フリーランスとして独立するためのクラウドソーシングなども盛んになっています。インターネットが発達した現代では、定年後にフリーランスとして独立・開業する土壌が整っていることもあり、好きなことをしたいという定年後の女性たちはこうしたサイトやアプリを積極的に利用しているようです。

    セカンドキャリア準備のための方法とは?

    定年後にやることがなくて燃え尽き症候群になってしまった、という話はもはや男性に当てはまるものではありません。女性たちも定年後に向けて、今のうちから第2の人生の準備をしておくべきでしょう。

    では、セカンドキャリアに向けてどのような準備をしておけばいいのでしょうか。

    ・転職サイトや転職エージェントに登録する

    セカンドキャリアを見つけるためにできる第一歩として、転職サイトや転職エージェントに登録するのをおすすめします。マイナビミドルシニアのように、40代・50代・60代に特化した求人サイトを活用することで、事前に情報収集をすることができます。

    転職エージェントでは、担当者が付いてヒアリングを行ってくれるため、現在の自分のキャリアを見つめ直すことでセカンドキャリアの軸を洗い出すことができます。さらに、キャリアアドバイザーなどのプロに話を聞いてもらうだけでも新たな気づきや可能性を見いだせるかもしれません。

    今すぐ動かなくても登録だけでもしておくことで、ご自身のキャリアや経験スキルなどを活かせる職種が見えてくる場合もあるでしょう。転職サイトや転職エージェントを活用することで、賢くキャリアの選択肢を増やすことができます。

    ・副業から始めてみる

    趣味や得意なことがある方は、まずは副業からはじめてみるとよいでしょう。定年後に独立をしたいと思っていても、いざ始めて収益化するまでには時間がかかることもあります。そのため、まずは定年を迎える前に副業としてスタートさせておくとセカンドキャリアを描きやすくなります。

    副業として多いのは、ハンドメイド商品の販売やオンラインレッスンです。ネットを使えば、簡単に出品・販売できるサイトが多数あるので、ご自身にあったものを選び、これまで作ってきたアクセサリーやぬいぐるみなどを販売したり、趣味のピアノや手話などを教えたりすることで収入に繋げることができます。

    最近ではYoutubeなどで配信を行い、収益化しているシニア女性も。料理などで多数の登録者を誇るチャンネルもありますので、顔を出さずに配信業で稼ぐ道もあることを覚えておいてください。

    ・セミナーやキャリア支援施設を訪ねてみる

    民間企業が開催しているセミナーに参加してみるとセカンドキャリアのヒントを得られることも。また、セミナーに参加することで、同じ悩みや目標を持った仲間と出会いも期待できます。1人では億劫なセカンドキャリア探しも仲間と一緒に情報交換や準備を進めることができればとても心強いものになるでしょう。

    マイナビミドルシニアは朝日新聞社との共催イベント「セカンドキャリア発見!合同説明会」を開催しています。ミドル・シニア世代を積極的に採用している企業の採用担当者と直接お話しができるほか、キャリアアドバイザーによる無料の就職相談を行っています。

    また、自治体のハローワークやシルバー人材センター、セカンドキャリアセンターといったキャリア支援施設を訪れてみるのも新しい情報や気になる職種を発見するのに効果的です。

    ・スキルや知識を学んでおく

    人間が亡くなる前に後悔することの一つに"何も挑戦しなかった"という項目があるのをご存知でしょうか。「もうこんな歳だから...」、「他にもスキルがある人と比べてしまう...」といったお悩みを抱えている方はぜひ、講座の受講や関連する資格の取得などを通じて学び直しやスキル・知識を身につけてみましょう。

    人生で今日の自分が一番若いのです。未経験の分野に挑戦するには勇気がいるかもしれませんが、セカンドキャリアをスタートさせる前に専門性を高めておくとあらゆる可能性が広がっているなんてことも考えられます。昨今は通信教材やオンライン教材も充実していますので、「私なんか...」と思わずに勇気ある一歩を踏み出し、研鑽を積み重ねていきましょう。

    まとめ

    キャリアの一つの節目でもある定年制度。しかしながら人生100年時代の今、定年がキャリアのゴールではなくなりつつあります。定年後も「自分はどうやって生きていきたいのか」というセカンドキャリアの視点を早めに持ち、動いていきましょう。

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