今さら聞けない雇用形態|正社員、契約社員、嘱託社員の違いとは?
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- 公開日:2024年4月10日
正社員や契約社員など、企業ではいくつかの雇用形態が用意されています。今回は「嘱託社員と正社員では、どのように仕事が変わるの?」「契約社員で働くデメリットって何?」「地域限定採用ってどんな働き方?」といった雇用形態に関する疑問に、お答えいたします。
この記事の目次
正社員・契約社員・嘱託社員とは
転職する際には、正社員だけでなく契約社員や嘱託社員という選択肢を検討することもあるでしょう。ここでは正社員・契約社員・嘱託社員の違いを詳しく解説します。
正社員とは
正社員とは、企業から直接雇用(正規雇用)された労働者のことです。雇用期間は定めがなく、労働時間がフルタイムであることが一般的です。正社員の中でも、勤務地が限定されている地域限定正社員や、担当する業務範囲が限られている職務限定正社員など、多様な種類もあります。
契約社員とは
契約社員とは、企業と有期労働契約を結び、一般的にフルタイムで働く労働者のことです。原則として最長3年(条件に当てはまれば5年)が契約期間ですが、多くの企業では1年ごとに契約を結び、毎年更新するか終了するかを判断されます。
契約後5年間勤務すると、契約社員から無期限の労働契約をする申し出ができるようになります。ただし、すべての契約社員に当てはまるわけではありません。
嘱託社員とは
嘱託社員とは、企業と有期労働契約を結び、フルタイムやパートタイムで勤務する労働者のことです。「定年後の再雇用」「専門的なスキルを持つ人の有期雇用」である場合が主な特徴です。嘱託社員と契約社員の明確な区別はありません。企業によって嘱託社員の扱いが異なるため、嘱託社員として働きたい場合は企業に確認しましょう。
正社員・契約社員・嘱託社員の違いを表で解説!
正社員・契約社員・嘱託社員の違いを表でわかりやすく解説します。
正社員 | 契約社員 | 嘱託社員 | |
雇用形態 | 直接雇用(正規雇用) | 非正規雇用 | 非正規雇用 |
雇用期間 | 定めなし | 原則3年 | 原則3年 |
勤務時間 | 原則フルタイム | 原則フルタイム | フルタイムまたはパートタイム |
平均年収 | 300~399万円 | 200~249万円 | 200~249万円 |
賞与 | 84.8%の企業で支給 | 47.5%の企業で支給 | 50.1%の企業で支給 |
社会保険 | 加入可能 | 加入可能(週20時間働く場合) | 加入可能(週20時間働く場合) |
参考:東京都産業労働局「令和元年度 契約社員に関する実態調査」、厚生労働省「労働法制の動向」
地域限定採用という働き方もある
「地域限定採用」という働き方もあります。地域限定採用とは言葉の通り、一定の地域に限定して採用することで、自宅から通える場所で勤務できることが特徴です。「エリア限定職」や「地域限定職」などとも呼ばれています。
正社員で働くメリット・デメリット
正社員で働くメリット・デメリットを説明します。
メリット
安定した収入を得られる
正社員のメリットは、毎月保証された一定の給与で安定した暮らしを送れることです。給与に加え、賞与や退職金など複数の手当が支給されるため、他の勤務形態よりも収入が高い傾向にあります。
また、労働者の詐称が発覚したり会社が倒産したりすることがなければ、一般的に雇用を解除されることはありません。そのため、同じ会社で働き続けられることもメリットです。
裁量の大きな仕事ができる可能性がある
会社の一員として責任が伴う正社員は、長期的な雇用を前提としています。そのため、雇用期間のある契約社員や嘱託社員よりも、任される仕事の責任や領域や裁量が大きくなります。裁量権が与えられれば、自分自身の成長にもつながるでしょう。
充実した福利厚生を利用できる
福利厚生は、パートタイム・有期雇用労働法で「短時間・有期雇用労働者と正社員で、待遇について不合理な待遇差を設けること」を禁止しています。
しかし、住宅手当や通勤手当など企業が独自に設ける福利厚生(法定外福利厚生)は正社員やその家族が対象となることが多いです。正社員でなければ受けられない福利厚生もある、ということを理解しておきましょう。
転職活動が有利な傾向がある
正社員で働いていると、採用担当者から「企業の一員として責任のある仕事を任されスキルを身につけた人材」と認識されるでしょう。そのため、即戦力として働ける可能性が評価され、転職活動も有利になりやすいです。
社会的な信用度が高い
正社員は企業の一員であるため、会社名やブランド力によって一個人も信頼を得られます。また、社会的な信用を得られることで、ローンやカードの審査にも通りやすくなるというメリットがあります。
家や車を購入する際やクレジットカードを作成する時に、返済が見込めない方は審査が通りにくいです。しかし、正社員であれば「安定した収入があり、返済を見込める」と判断され、審査に通りやすくなります。
デメリット
責任が大きい
裁量が大きい仕事ことはメリットである一方、プレッシャーに感じることはデメリットとなります。正社員として長く勤務していると、大きなプロジェクトに携わったり、部下のマネジメントをおこなったりなど責任の重い仕事を担当することが多いです。責任の重さや人間関係でストレスを抱えたり、プレッシャーに感じたりしてしまうかもしれません。
プライベートの時間を取りづらい
残業・休日出勤があったり長期休暇が取りづらかったりすることが原因で、プライベートの時間を確保しづらいことも。正社員と契約社員の残業時間を比較したデータでは、「契約社員より正社員の方が残業時間が多い」と感じる方が約5割であることがわかりました。
特にみなし残業を導入する企業では、残業時間が多くなる傾向があります。勤務時間や勤務日数に融通が利きづらいため、プライベートの時間少ないと感じることもあるかもしれません。
参考:東京都産業労働局「令和元年度 契約社員に関する実態調査」
異動や転勤の可能性がある
正社員は転勤や異動を命じられた場合、原則従わなければなりません。余程の事情がない限り、断ったり自身の希望を選んだりといったことは認められないでしょう。
家族がいる際は子供の学校が変わる、配偶者側の仕事を変える必要があるといった、負担が発生します。また、異動や転勤は国内のみとは限らず、海外に赴く可能性もあります。必ず入社前に転勤や異動の可能性、条件についての確認を会社側と実施しましょう。
契約社員で働くメリット・デメリット
契約社員として働く場合の、メリット・デメリットをご紹介します。正社員や嘱託社員と比較して、契約社員はどのような面があるのかを知っておきましょう。
メリット
希望する業界・職種に就職しやすい
契約社員は正社員と比較して、採用しやすい傾向にあります。そのため、自身が希望している業界や職種に就職できる機会が、正社員よりも増えるでしょう。契約社員は有機契約であるため、転職がしやすく、さまざまな業界に勤められる可能性もあります。
特定のスキルを活かしたい方や、多くの職場で経験を積んでスキルアップをしたい方には、メリットとなります。
大きな責任を負う必要が少ない
契約社員は正社員とは異なり、特定の業務を担当する場合が多いため、大きな責任のある仕事を任せられる可能性が少ないです。決められた範囲の仕事を進めたい人や、責任の大きな仕事は極力避けたい人には、メリットとなります。少しでも心理的なストレスや、プレッシャーを減らしたい人には嬉しい点です。
プライベートの時間を確保しやすい
契約社員は勤務時間に自由が利きやすく、プライベートの時間を確保した働き方も目指せる可能性があります。また、正社員と比較して業務範囲が決まっているため、残業時間が少ない傾向です。場合によっては、週4日9時〜15時といった働き方も。契約社員は自身の都合に合わせて、仕事もプライベートも充実させた生活を叶えられるでしょう。
ほとんど異動・転勤がない
契約社員は正社員と異なり、ほとんど異動や転勤はありません。雇用契約書に異動や転勤についての記載があった場合は別ですが、無い場合は入社した時の部署で働き続ける形になります。転勤による引越しや家族の負担もなくなり、生活環境を変える必要もなくなります。環境を大きく変えたくない人にとっては、魅力的なメリットとなるでしょう。
デメリット
契約社員で働くには、もちろん収入面などでのデメリットも存在します。
安定した雇用・収入ではない
正社員と比較すると契約社員は、収入面での安定は難しいといえます。自身が望んでいたとしても、契約が更新されなければ転職が必要なため、その間の収入は不安定になります。また、契約社員はボーナスがない・退職金が少ない場合も。収入が不安定になりがちと見られるため、ローンの審査にも通りにくいと言えます。
キャリアアップが難しい
契約社員は責任が大きくない仕事を割り振られるケースが多いため、その分キャリアアップが難しい傾向にあります。昇給や昇進がないのが、一般的です。管理職などのステップアップを希望する場合は、正社員となる必要があります。ただし、契約満了後の更新時には昇給の可能性があるため、必ず企業側に確認をしましょう。
嘱託社員で働くメリット・デメリット
嘱託社員で働くメリットやデメリットには、どのような点があるのでしょうか。
メリット
身につけた知識・スキルを活かせる
嘱託社員の場合、それまでに培ってきた知識やスキルを活かした働き方が可能です。定年後に同じ企業で嘱託社員として働く場合、同じような仕事内容で働くため、長年身につけてきた知識やスキルを活かせるでしょう。新たな知識が不要なため、働きやすい環境で仕事ができると言えます。
プライベートの時間を取りやすい
嘱託社員は労働条件や就業内容を見直してから、個別に雇用契約を結ぶ場合があります。従来のフルタイムで働く場合もあれば、ゆとりを持った労働時間や日数での勤務も可能です。プライベートを充実させたい、体調面に考慮して働きたいといった希望を反映できるでしょう。時短勤務や週3日といった調整がしやすいのが、嘱託社員のメリットの1つとなります。
責任を負うことが少ない
正社員よりも給与は低くなりますが、プレッシャーのある立場から離れるため、責任を負うような働き方にはなりません。正社員の時よりも精神的なストレスが減る傾向にあるため、ゆとりを持って働けるでしょう。大きな責任を負わずに、仕事を続けられる環境となります。
新しく人間関係を築かなくてもいい
嘱託社員は定年前までに働いていた企業で働く場合がほとんどのため、新しい人間関係を築く必要がありません。慣れ親しんだ企業で働けるため、コミュニケーションなどもスムーズに取れるでしょう。新しい人間関係を築くのが苦手、慣れている業務を進めていきたいといった方にはメリットです。
デメリット
仕事内容が変わる可能性が高い
嘱託社員で働く際、正社員時代とは異なる仕事を任されることもあります。全く異なる仕事内容となり、モチベーションを失ってしまう可能性も。また、キャリアプランも描きにくくなるため、仕事に関する将来への意欲が落ちてしまう場合も考えられます。
正社員の時のように意欲的に仕事に取り組んでいきたい場合は、嘱託社員となる際に業務内容などについても企業側に確認しましょう。
待遇が悪くなる
嘱託社員は正社員よりも給与やボーナスが減る、昇給が期待できないといった可能性があります。役職から外れる、短い勤務時間など働き方が変わるため、その分の給与が下がるというのは珍しくありません。待遇に対して満足できなくなる可能性もあるため、収入面の備えや企業側への確認などを行う必要が出てきます。
契約更新されない場合がある
嘱託社員には契約期間に定めがありますが、必ずしも契約期間の満了後に更新されるとは限りません。契約の多くは1年ごとの更新となるため、働き続けるためには都度更新が必要です。
現在では定年後に嘱託社員として働く場合、65歳までは継続雇用が企業側に義務付けられています。しかし65歳以降は契約が更新されない場合もある点は、事前に知っておきましょう。
まとめ
気になる雇用形態の違いや、メリット・デメリットについてご紹介しました。雇用形態によってメリットやデメリットは、異なります。自身にはどのような働き方が合っているのか、よりプライベートを充実させたい、仕事に力を入れていきたいと希望も考慮したうえで、決定しましょう。