【必読】50歳から考えておくべき定年後のプラン

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【必読】50歳から考えておくべき定年後のプラン

日本人の平均寿命が男性81歳、女性87歳となったいま、50歳は人生の折り返し地点を抜けた頃。定年退職後という後半戦をどう走りぬくかを思案する大事な時期と言えます。今回は定年後の働き方や定年前に備えておくべきポイントについてご紹介します。

この記事の目次

「人生100年時代」をどう生きる?

「人生100年時代」と言われる今、仮に100歳まで生きた場合はどれだけの自由時間を有するのでしょうか。

総務省発表の『平成28年社会生活基本調査』によると、65歳の平均余命は男性で約20年、女性で約25年とされています。仮に65歳で定年を迎えた場合、男性はその20年間で自由時間は6.7万時間と言われています。これは現役時代の実労働時間に匹敵するほど長い時間です。

会社員生活に匹敵するその長い期間を、どのように生きていくか、老後資金は足りるのかなどを一緒に考えていきましょう。

平均寿命が延びている

人生100年時代という言葉が一般的になってきましたが、日本人の平均寿命についてご紹介しましょう。

平均寿命は毎年更新を続けており、1990年には男性が75.92歳、女性が81.90歳だったのが、2010年には男性79.64歳、女性86.39歳、2019年には男性が81.25歳、女性が87.32歳に。今後もさらに伸び続けると見込まれており、2060年には男性が84.19歳、女性が90.93歳と予測されています。

「人生100年時代」をどう生きるかのアイデアを示した書籍「Life Shift 100年時代の人生戦略」によると、50代に突入した1967年生まれの日本人の2人に1人は、92~96歳まで生きると言われています。

定年後、自由を謳歌できる時間が長くなると、心配になるのは生活資金です。2013年には年金の支給開始年齢が65歳からに引き上げとなり、報道にもあった「老後資金2000万円発言」に不安を感じた人も少なくないはずです。

元気なうちは働いて、少しでも老後の資金をコツコツと貯めておきたいものですが、実際、どのくらいの年齢まで働き続けることができるのでしょうか。


公務員の定年も65歳までの延長を検討

2013年には、高年齢者雇用安定法の改正によって、企業には段階的に65歳までの希望者全員の雇用を義務付けられました。これは、60歳で定年退職を迎えた方が、年金受給が開始される65歳までの期間が無年金・無収入となることを避けるという背景があります。

2020年3月には、国家公務員の定年を段階的に引上げ、2030年度に65歳に延長する関連法案を閣議決定しました。海外に目を向けると、アメリカやイギリスに至っては公務員の定年はありません。日本も、中高年になっても働き続ける「生涯現役」の時代がやってくるかもしれません。


年金支給開始年齢が引き上げられる可能性も?

現在の年金の支給年齢は原則として65歳から。しかし、財務省の「財政制度等審議会」において、「年金の支給開始年齢を68歳まで引き上げ」についての議論が話題となりました。

これ以外にも、年金支給開始年齢に関する議論は、これまでたびたび行われています。2013年に行われた「社会保障制度改革国民会議」では、「年金支給開始年齢を70歳へ引き上げ」が検討されましたが、中長期的な課題として先送りに。

今はまだ65歳ですが、今後の議論によっては68歳や70歳に引き上げられる可能性があるかもしれません。

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継続雇用制度とは?

定年後も働き続けたい人に心強い制度が継続雇用制度です。「再雇用制度」「勤務延長制度」に分かれている継続雇用制度について解説します。

継続雇用制度は、企業が雇用している中高年者を対象に、希望に応じて定年後も引き続いて雇用する制度のことで、「再雇用制度」と「勤務延長制度」に分かれています。

「再雇用制度」
雇用している高年齢者はいったん定年退職し、その後、本人の希望により改めて雇用契約を結ぶ制度のこと。企業は原則として65歳まで契約を延長(更新)しなければなりません。改めて契約を結ぶため、賃金や労働時間は定年前と異なるケースが多いです。

「勤務延長制度」
定年を経過した後も、雇用契約を終了させずに雇用を継続する制度のこと。雇用が延長されるだけなので、それまでの労働時間や賃金に大きな変更はありません。

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再雇用制度の実情

現時点では、「勤務延長制度」より「再雇用制度」を導入している企業が主流です。
再雇用制度では、正社員とは別の雇用形態で雇用されることが主で、「嘱託社員」「パート社員」「シニア社員」「再雇用社員」といった呼び方で正社員と区別している企業が多くなっています。

単年更新のため、成果主義に

再雇用制度では、企業は原則として65歳まで契約を延長しなければなりません。ただし、定年時の60歳から65歳まで5年間の契約を結ぶのではなく、1年ごとに契約を結び更新を続けるケースが主流です。

雇用される側は、65歳まで雇ってもらえると安心しがちですが、企業には能力など年齢以外の理由により、契約更新しないことが認められています。

契約が続いたとしても、前年度の成果が翌年の労働条件に影響が及ぶため、前年度の成績によって報酬がダウンすることも考えられます。毎年の更新となるため、正社員の時よりも能力や仕事ぶりがシビアに評価されるといってもいいでしょう。

定年前から備えておくべきこととは?

現在、年金の支給開始年齢が65歳からとなり、それにあわせて定年も延長され、「収入は多少減るものの、65歳まで働けるなら安心」と思いがちですが、実は50代から収入減のカウントダウンは始まっています。定年前、そして定年後に備えるポイントを押さえておきましょう。

他でも通用するスキルをつけておく

大企業を中心として導入されているのが「役職定年」制度。特定年齢に達した社員が管理職を外れ、一般職や専門職で処遇される制度のことです。

人事院の「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」によると、役職定年が開始される年齢は55歳が多いようです。

役職定年後は、管理職のプレッシャーから開放されるというメリットがある一方、管理職から外れるため、手当が減額されたり、支給されないことも考えられます。基本給や賞与も減額されるケースも多く、人事院の資料によると、8割以上の会社で年収が下がるという結果が出ています。

年収は、役職定年前の約75%~99%に下がるというデータもあります。およそ2割程度下がると見ておいたほうがいいでしょう。

役職定年後の収入減に備えるため、住宅ローンの返済やかさむ教育費については、早めの見直しが重要となってきます。さらにこれまでと異なるポジションに転換になっても通用するよう、資格取得やスキルアップにつとめておくのも必要でしょう。

定年退職後も必要とされる人材となるためにも、50歳を超えてからは、新しい働き方を検討してみてもいいかもしれません。

参考記事:役職定年で年収はどれくらい下がる?モチベーションはどう保つ?

社内外の人脈を作っておく

定年後は正規雇用ではなくなるだけでなく、1年ごとの契約になるため、労働条件や環境において安定しているとは言えません。もしも、のときのリスクを抑えるため、複業的に仕事を構築していくことも検討してはどうでしょうか。

こうしたときに最も頼りになるのが「人脈」です。過去にお世話になった上司や取引先、交流してきた同期・同僚、将来性のある部下や後輩など。定年退職後の再就職や転職にも有利に働くかもしれません。

これまで培った社内や社外の人脈の再構築を進めておきましょう。

事業を始めてみる

再雇用制度で65歳まで働くことはできますが、その後の再就職はハードルが高いかもしれません。定年後の長い時間を「自営」にあてるという選択肢もあるかもしれません。

とはいえ、退職金を投資して事業を始めるというのは大きな決断であり、多くの場合得策とは言えません。

それでも個人事業主として稼ぎを生み出すことに興味があれば、1つ3万円程度の仕事を複数受けるというところから始めましょう。それでも3つ仕事を請け負えば、約10万円の収入になります。

起業には、準備期間が何よりも大切です。50代に入ったら勉強を始める、人脈を作るなどして、万全の体制を迎えることができるよう整えておきましょう。

マネープランを設計する

役職定年による年収の減額、定年退職後の年収の変化、退職金の支給、年金支給開始など、55歳を過ぎてからお金の動きはめまぐるしく変わります。

40歳間近になってローンで住宅を購入した人はまだ返済中であることが多いでしょう。30歳過ぎてから結婚・子育てとなった場合、子どもの教育費用がかさむ時期でもあります。親の介護と子育てが重なるダブル・ケア真っ最中の人もいるかもしれません。こうした年収が下がる時期での出費の増大は、老後資金をゆるがす要因のひとつにもなります。

そこで早いうちから、退職後に備えてマネープランを設計しておきましょう。十分にシミュレーションをして足りない額を明確にすることで、投資をしたり保険を切り替えるなど、早めに対策をとることができます。

自分だけでは見落としがちな点や客観的なアドバイスを受けるために、フィナンシャルプランナーに相談してみるのもおすすめです。

没頭できる趣味を作っておく

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定年退職後の生活を充実したものにするためには、収入も大切ですが、生きがいも重要なものとなります。時間ができたからと、カルチャーセンターに通い始めたり、地域でのボランティア活動を始める人もいますが、長続きしない人がいるのも確かです。「とりあえず」でではなく、没頭できる趣味を50代の頃から模索しておきましょう。

趣味は生きがいを作るだけではなく、それを通して人脈も広がります。もしかしたら、何らかの収入を得ることにもつながっていくかもしれません。

まとめ:今からひとつでも定年後に備えることを増やす

50歳から考えておくべき定年後のプラン、いかがでしたか? 50代に入ったばかりのころはまだ忙しく、定年が近い未来に控えている、と言われてもなかなかピンと来ないもの。しかし収入が減り始める役職定年を迎えたころから、じわじわと老後設計や老後資産に危機感や不安を感じる人も少なくないようです。

勤務先の継続雇用制度はどうなっているのか、また役職定年でどのくらい収入が減るのかの確認、フィナンシャルプランナーへの相談など、早め早めに手を打ち、今からできることを増やしていきましょう。

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