ミドルシニアにおススメの財形貯蓄とは
- 100年時代のライフデザイン
- 公開日:2021年12月21日
老後の資金確保や形成には、さまざまな方法がありますが、やはり自分に合った方法で貯蓄していくのがベストといえるでしょう。沢山お金を稼ぐことは重要ですが、貯めたり増やしたりすることも同様に重要です。今回はその方法の1つとして有効な「財形貯蓄」について紹介していきます。
この記事の目次
財形貯蓄とは?
財形貯蓄(財形貯蓄制度)とは、社員の給与から毎月一定額を天引きし、勤務先の会社が提携している金融機関に送金する制度のことをいいます。ちなみに正式名称は「勤労者財産形成貯蓄制度」。
すべての会社にこの制度があるわけでなく、導入しているところとそうでないところがあります。毎月の給与から天引きという形で自動的に貯蓄されていくので、貯金をするのが苦手な人やお金があったらあるだけ使ってしまう人におススメの制度。また、この制度は強制ではなく、加入は任意なところも特徴の1つです。
財形貯蓄には3つの種類がある
財形貯蓄には、「財形年金貯蓄」「財形在宅貯蓄」「一般財形貯蓄」の3つの種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
財形年金貯蓄
年金という名前の通り、老後に安心して暮らせるような資金(年金)作りを目的とした貯蓄制度です。加入できるのは55歳未満の勤労者で、受け取り期間は60歳から5年以上20年以内と定められています。また、貯蓄型と保険型の2つがあり、種類によって税金がかかる金額が変ってきます。
保険型の場合は、貯蓄の残高は385万円まで、貯蓄型の場合は550万円まで非課税になります。加えて、保険型は後述する財形住宅貯蓄と合算する場合は、550万円まで非課税になるので覚えておいてください。
財形住宅貯蓄
マイホームの購入やリフォームをするための資金を貯蓄していく制度。財形年金貯蓄と同じく55歳未満の勤労者が加入でき、5年以上の積み立てが必要になります。貯蓄の残高が550万円までは非課税になり、先述したように財形年金貯蓄と合わせて加入する場合も合算して550万円までは非課税となります。
一般財形貯蓄
財形年金貯蓄は年金作りを目的とし、財形住宅貯蓄はマイホームの購入やリフォームを目的とした資金作りに対して、こちらは目的を限定しない自由に使える貯蓄制度です。
先に紹介した2つと違うところは年齢制限がないということ、そして非課税ではないという点に注意。原則として、3年以上積み立てる必要がありますが、1年後は自由に引き出すことができるようになります。財形年金貯蓄や財形住宅貯蓄と合わせて加入することができますが、貯金の利子に対して20%の税金が発生することを忘れずに。
財形貯蓄のメリットとデメリット
財形貯蓄の種類をお伝えしてきたところで、次はそのメリットとデメリットについて解説していきたいと思います。
財形貯蓄のメリット
確実に貯金することができる
財形貯蓄は、給与から天引きして貯金を行うので自分が何もせずとも自動的に貯金ができます。
貯金された後の金額が給与として振り込まれるので、手元にお金があるとついつい使ってしまう人でも安心かつストレスを感じることなく、確実に貯金することができます。
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は非課税
先述しましたが、財形年金貯蓄と財形在宅貯蓄は合計で550万円までは非課税になります。一定金額までとはいえ、税金がかからないのは大きなメリットといえるでしょう。
住宅ローンの融資を受けることができる
財形貯蓄の種類に限らず、どれか1つでも加入している場合は住宅ローンの融資を受けることができます。
勤務先が提携している金融機関などによって、「財形持家転貸融資」や「財形在宅融資」といった名称の違いはありますが、条件や内容はすべて同じものになります。対象となるのは、財形貯蓄を1年以上継続していて、50万円以上の残高がある人。融資限度額は残高の10倍以内で最高4,000万円、かかる費用の90%以内まで融資を受けることができます。
財形貯蓄のデメリット
すべての人が利用できるわけではない
財形貯蓄制度は、それを導入している企業で働いている人にのみ利用できる制度になります。
勤務先が本制度を導入していない場合やフリーランス、自営業をしている場合にも利用することはできません。また、導入している企業で働いていたとしても、役員である場合は利用できないので覚えておきましょう。
方法によっては元本割れのリスクがある
財形貯蓄の方法として、定期預金のほかに財形保険や投資信託を選ぶことができます。
選び先が財形保険や投資信託の場合、元本割れのリスクがあるということを覚えておきましょう。残念ながら元本は保証されていないので、注意が必要です。
ほかの金融商品よりも金利が低い
財形貯蓄の金利は、ほかの金融商品と比較すると低いです。
勤務先が提携している金融機関によって多少のバラつきはありますが、0.1%以下であることが多いため、運用益は大きな期待はできないと思ってください。
老後のための資金確保・形成に必要なプランニングを
財形貯蓄のメリットとデメリットをお伝えしてきました。
財形保険や投資信託などではなく、定期預金を選べば元本割れのリスクはありませんし、堅実かつ確実に貯金できる方法と考えれば非常に有効な手段といえます。
「金は天下の回りもの」という、ことわざにもあるように沢山お金を稼いで若いうちに楽しむ、というのも1つの生き方です。しかし、人生100年時代といわれている昨今。老後に向けた資金確保と形成を本格的に考えなければならない時がきています。そのためにも、稼ぐことだけでなく、貯める・増やすといったことに目を向けるようにしていきましょう。
まとめ
財形貯蓄は、その制度を導入している企業の勤労者にしか加入できない制度。確実に貯金をしていきたい場合は定期預金を、元本割れのリスクはあるものの、お金を増やしたい場合は投資信託などを選ぶのがよいでしょう。
今回お伝えしてきた財形貯蓄のメリットとデメリットを踏まえ、勤務先で本制度を導入している場合は加入を検討してみてはいかがでしょうか。老後の資金確保のための方法はいくつもあります。自分に合った方法で、無理なく資金形成をしていってください。