人材銀行とは? 廃止理由と中核人材確保支援センターについて
- キャリアを考える
- 公開日:2019年2月20日
40歳以上の実務経験者を対象とした国の人材紹介機関「人材銀行」。多くの求職者に活用されてきましたが、2016年に廃止されてしまいます。なぜ人材銀行は廃止されたか、人材銀行に代わるサービスはあるのかなど、お届けします。
この記事の目次
人材銀行とはどんなもの?
ミドルシニア世代の皆さんが転職活動を行う際、「自分のキャリアや経験を評価してくれる会社に入社したい」と思うのは、当然のこと。実際、闇雲に就職先を探すよりも、求人情報を精査して、求める条件にマッチした企業を検討した方がマッチングの確率も高まることでしょう。
人材銀行とはは、40歳以上で3年以上の実務経験を有する管理職・技術職・専門職に特化した国の人材紹介機関です。1966年にスタートし、東京、大阪、名古屋の3カ所に設立。その後、埼玉、京都、福岡など各地域に拠点が拡大されていきました。
無料でサービスを利用できることもあって、一時期は多くの中高年が人材銀行を活用していました。今も「中高年の転職」と聞いて人材銀行を思い浮かべる人は少なくないことでしょう。
なお、国の人材紹介機関を人材銀行と呼ぶことから、民間の人材紹介サービスを人材バンクと呼び分けるようになりました。
人材銀行とハローワークの違い
人材銀行もハローワークも国の人材紹介機関です。どちらも「国民に安定した雇用機会を与えること」を目的とし、就職や転職を考えている求職者を支援していることに変わりありません。
ただし、人材銀行は前述の通り対象とする年齢や職業を限定していますが、ハローワークは年齢や職業の制限がありません。
2016年、人材銀行は廃止に
一時期は全国26カ所に設立された人材銀行ですが、民間の人材紹介サービスが増えていったことから徐々に利用者が減少し、閉鎖が進んでいきました。さらに国の事業仕分けにより予算が削減され、2012年には埼玉、東京、愛知、京都、大阪、福岡の6カ所にまで縮小されました。
一方、ハローワークの求人情報を民間の人材紹介サービスで公開するなど、ハローワークと民間事業社との連携も進みつつありました。こうした経緯を経て人材銀行の廃止が決定。2016年3月31日をもって、6カ所あった人材銀行すべてが業務を終了したのです。
中核人材確保支援センターとは
人材銀行は廃止されましたが、一部の地域で人材銀行に代わるサービスは提供されています。
その一つが、人材銀行廃止後の2016年4月、ハローワーク飯田橋合同庁舎内に開設された「中核人材確保支援センター(以下・中核センター)」です。
人材銀行と同じように、40歳以上で管理職・技術職・専門職の実務経験が3年以上あり、フルタイム雇用を希望している方を対象としています。
[対象となる職種]
管理職(課長職以上の管理的業務に従事する職業)
事業方針の決定、計画の樹立、作業監督・統制、人事考課など専ら内部組織経営管理に従事する職業
※総務部長、人事課長、経理課長、営業部長、企画室長、工場長、支配人、事務長など
技術職(技術的知識・資格を必要とする業務に従事する職業)
科学的・専門的知識と技術を生産に応用し、生産における企画・開発・設計・管理・監督・研究などの技術的業務に従事する職業
※機械技術者、電気技術者、土木技術者、建築技術者、化学技術者、生産技術者、SEなど
専門職(専門的知識や資格を必要とする業務に従事する職業)
専門的知識や免許・資格を有し、専門的分野の業務に従事する職業
※医師、薬剤師、翻訳・通訳者、記者・編集者、広告企画、デザイナー、教育など
[利用の流れ]
求職者:管轄のハローワークで申し込み、管理職・技術職・専門職の実務経験を登録し、企業へ公開する
↓
求人企業:求職登録をした人の情報を閲覧し、条件に合う人をリクエスト(オファー)する
↓
中核センター:企業の求人内容と求職者の情報をマッチングし、紹介可能な求職者に企業からのリクエストを紹介する
↓
求人企業:面接、採用選考を実施し、求職登録者に結果を通知する
シンプルに説明すると、ハローワークで登録した実務経験を企業が閲覧。興味がある求職者に企業がオファーを行い、そのマッチングを中核センターが担う、という流れです。
なお、求人情報は都内就業の仕事に限定されていますが、東京都以外に在住している人もこのサービスを利用することができます。
※注記 中核人材確保支援センターでの求職者向けサービスは、平成31年3月20日(水)で終了。平成31年3月22日(金)以降からは、都内全てのハローワークで同様のサービスが受けられるとのことです。近場のハローワークでもサービスの提供が受けられるので、より利便性が高まるかもしれませんね。
東京しごとセンターとは
人材銀行の後継となる施設は中核センターだけではありません。2004年に飯田橋に開設された東京仕事センターは、東京都民の雇用や就業を支援することを目的としています。
キャリアカウンセリングから、就職に役立つ各種セミナーの開催、求人情報の提供・職業紹介まで、ワンストップでサービスを提供しており。年齢や職業に関する制限はなく、東京都民であれば誰でも利用できます。
ヤングコーナー(29歳以下)、ミドルコーナー(30歳~54歳)、シニアコーナー(55歳以上)と、年齢別に3つのコーナーを設置。家庭と仕事の両立を考えている方が対象の「女性しごと応援テラス」もあります。
アルバイトやパートなどの非正規から正社員をめざす30~44歳の方に向けた支援プログラムも実施しています。
まとめ:自分に合った人材紹介サービスを活用しよう
かつて、人材銀行が誕生した1966年から50年余り。時代とともに、企業の人材に対するニーズや求職者の仕事に対する考え方が変化してきました。その間、人材派遣など新しい雇用形態が誕生するなど、雇用のあり方も大きく様変わりしています。
人材紹介サービスも同じです。民間事業者が次々と人材サービスに参入するようになり、マイナビミドルシニアのようにミドルシニア世代に特化した人材紹介サービスも生まれています。
さまざまな人材紹介サービスの中から、自分に合ったものを選べるようになったのですから、求職者にとって選択肢が増えていると言えるでしょう。
「転職したい」と思いながらも、なかなか一歩踏み出せずにいる方は、まずは公的・民間含めて人材紹介サービスの内容について調べることから始めてはいかがでしょうか。もしかしたら、期待以上のサービスを受けられるかもしれません。