40代、50代が有利ってホント?介護のお仕事、その内容とは
- 働き方を選ぶ
- 公開日:2019年1月23日
若い頃に比べて体力は落ちたけれど、その分、豊富な人生経験がある――ミドルシニア世代の転職を成功させるには、40代、50代ならではの強みをアピールし、評価を勝ち取ることが大切です。40代、50代に有利な仕事についてお伝えします。
この記事の目次
中高年・未経験での採用が多い業界
中高年層に有利な業界・職種とは
何か行動を起こすとき、必ず情報収集を行い、戦略を練る人が多いと思います。
転職も同じです。特に中高年の場合、若い人にはない強みがあるのですから、その強みを最大限にアピールすることが大切。そして、中高年に有利な業界を分析した上で、仕事を絞り込んでいく戦略もまた、大切です。
そこで、中高年層が多く働く業界を調べたところ、「介護職で中高年層の就労割合が高い」という実態が見えてきました。
中高年層の割合が圧倒的に高い介護職
施設等で働く介護職員の場合、40~49歳が全体の23.5%、50~59歳が19.3%を占めています。合わせて42.8%になり、全体の4割以上が40代・50代で占められていることがわかります。
利用者の自宅に行って介助を行う訪問介護員になると、さらに割合が高いことがわかります。40~49歳が全体の20.9%、50~59歳が25.2%、合わせて46.1%と半分近くを占めています。60~69歳の割合も高く、29.8%という結果が出ています。(財団法人介護労働安定センターの「平成27年度介護労働実態調査」をもとに厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室が集計)
未経験可の求人も多い
40代、50代が多く働く介護職。実は、介護業界で人材が慢性的に不足していることから、ハローワークなどで検索すると、「未経験可」とする求人が数多くあります。そのため、異業種からの転職もしやすいという特徴があります。
国も「介護人材の確保」に関する取り組みで、「中高年齢者の新規参入促進対策」を推進。介護職に興味があるミドルシニア世代がスムーズに就職できるよう、介護の基礎知識・技術を学ぶ研修を実施しているほか、介護事業者の職場環境整備を支援しています。
介護の仕事内容にはどんな種類がある?
40代、50代に有利な介護業界には、どのような仕事があるのでしょうか。ここでは、代表的な介護の仕事について紹介します。
一般的に、介護業界では利用者の生活介助をする現場の仕事を経験してから、生活相談員やケアマネジャー、施設長などの仕事にステップアップしていくもの。現場の仕事も、無資格でも可能な介護助手・介護補助から、資格を必要とする介護職員、施設長など、さまざまな種類があります。
就業先は、特別養護老人ホームや老人保健施設、有料老人ホームなどです。利用者の自宅を訪問して生活に関わるさまざまな支援を行う訪問介護員の場合は、訪問介護の拠点となる訪問介護センターが職場になります。
介護職員
利用者の身体介護を行うには、介護の国家資格が必要です。介護職員初任者研修は、130時間の講座を受講して、修了試験をクリアすることで資格が取得できます。
対して、介護福祉士は介護系の国家資格。資格取得の方法はいくつかあり、未経験者が働きながら取得する場合には、介護の実務経験を3年以上積み、国家試験に合格する必要があります。
介護助手・介護補助
介護職員初任者研修や介護福祉士など、介護の資格をもっている介護職の助手として働きます。未経験の方が介護業界をめざす場合、まずはパートやバイトで介護助手や介護補助として経験を積みながら、資格取得をめざすことが多いです。
訪問介護員(ホームヘルパー)
介護を必要とする方の自宅を訪問して、日常生活の援助を行います。仕事の内容は、食事や着替え、入浴などの介助を行う「身体介護」。掃除や洗濯、買い物などを援助する「生活援助」。通院の手助けをする「通院介助」の三つに大別できます。
生活相談員(生活支援員)
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設に勤務して、介護を必要とする方とそのご家族の相談に応じます。入所や退所に伴う事務手続きを行うほか、介護サービス利用中も相談に応じ、必要な援助に繋げていきます。
ホーム長・施設長
文字通り、施設の運営責任者です。マネジメントが主な仕事となるため、他業界で役職を務めていた方が転職してホーム長を務める場合、過去の経験を存分に活かすことが可能です。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護保険サービスを利用する上で必要となる「ケアプラン」を作成します。職場は、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの「施設」と、「居宅介護支援事業所」があります。
前者の場合は、施設の利用者のケアプラン作成。後者の場合は、ご自宅での介護が必要な方のケアプラン作成を中心に担います。また、介護を必要とする方へ利用できる事業所やサービスの情報を提供するため、担当地域の福祉サービス全般に関する知識が求められます。
中高年が介護職で働くメリットとは
40~50代のミドルシニア世代が数多く働く介護業界。では、介護職を選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。
パートなど働き方を選べる
介護職の特徴の一つに、敷居が低いことがあります。正職員だけでなく、パートやアルバイトなど短時間労働を可としているところも多いため、自分に合った働き方を選ぶことができます。
同年代が多い
40~50代の介護職が多いことは、先に紹介したとおり。同世代の仲間と一緒に働ける安心感が得られることや、仕事を通じて同世代の友人ができやすいことも、メリットの一つと言えるでしょう。
これまでの仕事・人生経験を活かせる
経験豊富な中高年だからこそ、過去の経験を活かさない手はありません。管理職の経験を活かして施設長など運営側に回ったり、運転経験を活かしてデイサービスの送迎などを行う道もあります。
高齢になっても働ける
「平成28年度有料老人ホーム事業高齢者雇用推進事業報告書」によれば、有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅に勤務する職員のうち、60歳以上が20.6%を占めています。1週間の平均勤務時間も40時間以上働く人もいれば、数時間程度働く人もいるなど多岐にわたっています。つまり、高齢になっても自分のペースで働くことかできるのです。
親の介護プランを事前に検討できる
介護職に転職することで、介護に関する制度や仕組みを理解できるのはもちろん、介護の現場をリアルに知ることができます。その知識と経験をプライベートにも活かすことができます。皆さんの両親が介護を必要とした時、どんなサービスを利用できるのか、また、どのような施設を選べばよいのか、検討することができます。
まとめ:長く自分のペースで働きたい人へオススメの仕事。
「介護の仕事」は、施設や現場によって方針や考え方が異なります。「辛い」「きつい」といった仕事のイメージがありますが、利用者の支援にやりがいを感じている職員も少なからずいます。そのような職員がいる施設では、利用者とじっくり向き合い、利用者に合った介護サービスを提供しているものです。
そのような「やりがいを感じられる職場で働きたい」という方は、積極的に職場見学をすることがオススメです。いくつかの職場を見学することで、施設ごとの違いもわかるもの。そうして、納得のいく職場を選択することができます。
介護の仕事は、40代、50代に有利なだけでなく、「60歳以降も自分のペースで働くことができる」など、さまざまなメリットがあります。介護業界に興味ある方はもちろん、「長く働きたい」と思っている方にもオススメです。何よりも、高齢者になっても社会と関わることで、心身ともに健やかな生活を送ることができるでしょう。
そういう意味でも、介護の仕事は多くのミドルシニア世代に検討していただきたい職業なのです。